加計学園問題の本質を赤旗はどう報じたのか?(問題の本質を捉えていない)


平成29(2017)年5月21日

   はじめに

  私はこの間森友事件に対して赤旗は主犯が誰かの認識が誤っていると、ずっと批判し続けています。赤旗の報道は籠池氏の詐欺事件の報道に偏り、松井知事や大阪維新の役割や安倍氏や安倍夫人の役割等を過小評価しています。

  この事件は主犯は誰かで悪だくみグループの内部分裂しています。安倍首相近辺は、この事件は大阪の「特殊問題」であり、安倍政権とは全く関係ないと切り離しを図っています。松井氏は批判が松井氏及び大阪維新へ及ぶことを回避するため、財務省側の働き掛け等を職員の記憶からまとめ上げ、国の意向であったと主張しています。ご丁寧にも大阪府はこの問題にかかわった私学課課長の「厳重注意処分」を行い、松井知事に批判が向かないように仕向けています。

  安倍周辺と松井氏は、この問題を籠池氏という詐欺師がおこした問題で処理し、自らは安全圏に逃げようとしています。安倍周辺の議員は、証人喚問での籠池氏の発言に偽証があったと告発する構えを見せましたが、藪蛇になるとあきらめました。

  松井知事は、森友事件と直接関係のない塚本幼稚園の人員配置や、障がい者に対する補助金詐欺等で籠池氏を告発し、籠池氏は詐欺師だという印象づくりを進めています。

  赤旗は、この松井知事の責任逃れのための策動(大阪市市長も参加)の記事を時事通信等の配信記事を何ら批判せずに載せ続けています。松井知事に対する批判より、籠池氏が如何に詐欺師かという報道に力を入れています。

  籠池氏が詐欺師か否かが森友学園問題の本質ではありません。赤旗のこの「籠池落とし」の報道に加担している姿には違和感を禁じえません。

  余談ですが籠池氏は目先の利く詐欺師です。昨日、籠池氏の小学校建設の取下げ前で、安倍首相から切られた当時(首相の「しつこい人だ」の発言があった当時)の籠池氏のビデをメッセージを改めてみました。彼は安倍さんから「しつこい人だ」と言われたことが相当腹が立ったのでしょう。「なぜ私が『しつこい人だ』と言われなければならないのか、私は安倍首相の電話番号など知りません、その私がなぜ何回も電話したと言わ無ければならないのでしょうか」と怒りをぶちまけていました。しかしこの話は全くの嘘です。

  籠池氏は、最近のインタビューで「近畿財務局がなぜこの案件を安倍首相の案件と思ったのか」と聞かれた際、自分の携帯電話を示し、安倍首相の電話番号、昭恵氏の電話番号、もう一つは何か忘れましたが三つの電話番号の記録を見せ、「近畿財務局の役人にもこれを見せたら「ハハーア」という感じだった」と証言しています。

  さらに、2012年に安倍首相は塚本幼稚園で講演する予定でしたが、総裁選挙に出るために中止した際、安倍首相は直接籠池氏に断りの電話しています。(この件で電話番号を取得しています。)

 昨日ビデオを見ていて、やはりこの人は詐欺師だなと思いました。しかしこの人は森友疑惑の主犯ではありません。彼は「なぜ小学校を作ろうと思ったのか」と聞かれた際に、第一次安倍内閣の「教育基本法の改正(2006年)」だと言いました。詐欺師独特の感性で、これからは「右翼思想の学校の建設が金になる」と閃いたのだと思います。週刊誌だと思いますが、「今の利権は公共事業でなく『学園ビジネス』が一番お金になる」と書いていましたが、加計学園の加計氏も場合も同じ発想だと思います。

加計学園の本質は、安倍さんの腹心の友である加計氏に133億円の税金を回したこと

 先に述べたように赤旗は森友事件で、主犯が誰かを見誤り、籠池攻撃を続けていますが、本日付(5月21日)加計学園の記事もポイントがずれています。赤旗3面【総合】で『加計学園』という特集を組んでいます。この見出しを拾うと「特例”の裏に『総理の意向か』、「内部文書が示す『特区で新学部』の経過が大見出しで、中見出しが「文部省の抵抗押し切る」「関係者『国家の私物化』」となっています。

  この記事を最初に読んでまず違和感を持ったのは、「お金の流れが書いていない」ということでした。しかしよく見ると大学完成イメージというイメージ図の下に、以下の説明書きがあります。

  「今治市が土地を無償提供」という見出しで、加計学園による獣医学部新設計画では、今治市が16.8ヘクタールの土地を無償で提供します。また、愛媛県と今治市は総事業費192億円のうち、大学立地補助金として96億円を限度に交付します。(この説明文には土地の値段(約37億)が無い・・・お金の流れに注目していない証拠である。)

 と書いています。

  私はなぜこの文書を、全体の文書の中に入れなかったのか、さらにはこれだけの税金が特定(安倍首相の腹心の友)に流れるのか、これが国民の怒りだと思います。今治市の総予算の中で16億円を毎年(6年間)家計学園に補助金として支出する必要があります。(注1)

注1:この数字は正確には分からないが、加計学園の総事業費192億円の半分を愛媛県と今治市で補助する
     (2023年までに)ということを前提に計算した。
   192億/2(県と市)/6年間=16億円・・・と推測
   今治市の一般会計予算は800億円くらいと思われ、2%ぐらいの負担だが、16億円の予算はおそらく市民生活
    に影響するだろう。この学園建設での経済効果より、大きな支出だと思われる。

加計学園問題を毎日新聞はどう報じたか?

  私は常に毎日新聞の記事と赤旗の記事を比較しながら見ている。同じことの繰り返しで脳が無いが、お付き合いください。

  毎日新聞は、「加計学園認定」「親友に特区ダウン?」「『総理の意向』並行し文科省軟化」「『個人の利益優先』懐疑」という見出しを掲げている。

  「総理の『親友に』」を頭に持ってくることで、この問題の本質を浮かび上がらせている」さらに、赤旗が「内部文書が示す『特区で新学部』の経過」とは客観的な状況を述べているだけで中身が分からないが、毎日新聞は「『総理の意向』並行し文科省軟化」と書いている。赤旗は一番大見出しに「『総理の意向』か」と断定できず、疑問形で書いているが、毎日新聞は、総理の意向と文部省の軟化が一体のものだと断定系で書いている。

  さらに決定的違いは、「『個人の利益優先』懐疑」で相当突っ込んだ議論をしている。以下に紹介する。

そんたく』を超え、権力の使った恫喝に近い

 まず、「学園の理事長が安倍総理と親密なことから不自然さが指摘され、『国家戦略特区』という制度そのものに懐疑の目が向けられ始めている。」と書き、

 ジャーナリストの布施祐仁さんは『公益よりも首相の友人や妻昭恵氏に近い人たちの個人の利益を優先しているように見える。森友学園問題と同じで、安倍政権の性質が表れている』と批判。「表に出た一連の文書を見る限り、文部科学省に対する内閣府の姿勢はもはや『そんたく』を超え、権力を使った恫喝に近い。真相を究明し、国民の疑惑を晴らすのが政府の最低限の責務だ」と話す。

特定の産業や企業への利益誘導にしか見えない

 次に、立教大経済学部の郭洋春教授も「風景を変える、と首相が言うわりに、認定事業はちまちましたものばかり。特定の産業や企業への利益誘導にしか見えない」と批判。「地域の意見を吸い上げ支援していた従来の特区に比べ、トップダウンで恣意的な考えが入り込む余地があり、透明性や公平性に疑いがある」と話す。と書いています。

 毎日新聞は、この問題の本質に迫っている。赤旗は森友学園も問題も加計学園問題も本質を突かず腰抜けになってしまっている。