小ネタ集 猪瀬問題 マンデラと朴大統領・中国


平成25(2013)年12月12日


1.猪瀬問題(徳州会裏献金疑惑)


5000万円授受前日に貸金庫契約(赤旗の見出し)

 12月11日付け赤旗は、一面で、10日に行われた東京都議会総務委員会での日本共産党徳留道信都議の猪瀬知事に対する追求を伝えている。この内容は10日の夜の各局のテレビデも伝えられ、共産党議員が猪瀬知事から重要な発言を引き出していた。(共産党が自慢していい話である。)

この赤旗見出しは適切であったか

 その内容は2点あり、一つは5000万円授受前日に貸金庫契約をしたことと、もう一点は「借用書」を返送した人物が、この5000授受を仲介した右翼団体「一水会」の木村三浩氏であったことを引き出した事である。
 この二つの内容のどちらが重要な論点か、赤旗は貸金庫を選んだが、私は借用書を返した人物が右翼の大物だった方に政治的ニュースバリューあるとみている。
 5000万円授受が裏献金であったことは、すでにほぼすべての国民が認識している。このお金が公職選挙法違反で問題とされるのか、刑法の贈収賄罪で立件されるのか、その辺にみんなの興味はあると思われる。
 貸金庫が前日に契約されたと言うことは、そのお金が違法なものであり、銀行等に正式に預ける事ができず、隠そうとした、そこには明らかに犯意があった事の立証につながるのかも知れないが、状況証拠にしか過ぎない。私は一歩前進ぐらいにしか捉えていない。
 それよりも、東京都政が右翼と徳州会によって、お金で支配されていた事実こそが、日本の政治にとって極めて深刻な事態である。(注1)日本における右翼勢力は、国会議員や市会議員でもほとんどおらず、政治的基盤は極めて小さいとみられてきた。(安倍首相を右翼と評価すれば違うのかも知れないが)

注1:東電の株主総会で猪瀬氏が売却を主張したときは正義の味方のように見えたが、これが徳州会から頼まれ
   ていたとすれば、都政をお金で売り渡した男である。
     話は全く違うが、私はこの東電病院は、病床がほとんど空いていると追求されたが、これは原発事故の際
    の受け皿病院であり、平時に空いているのは当然と私は思っていた。(世間から隠蔽するための施設であ
    る。)

 東京都の知事という政治的に極めて大きな権力が、右翼の支配下にあるという事実が暴露されたことは極めて重要である。猪瀬氏はこの「一水会」の木村氏につれられ、徳田虎雄氏に会い、木村氏が徳田氏に「選挙にお金が必要だろうから1億円ぐらい用意してやってほしい」と頼み、結果的には5000万円が徳田毅議員から猪瀬氏に議員会館において手渡された。
 ところが徳田側が選挙違反で捜査を受け逮捕者を出し、やばいと思った猪瀬氏がお金を返そうとした際、猪瀬氏の特別秘書はそのお金を徳田氏側に直接返したのではなく、一水会の木村氏に返している。だから、一水会の木村氏から借用書が返されている(注2)

注意2:このお金は「一水会」代表の木村氏が借りる際にも返す際にも大きく絡んでいる。返しに行った現場になぜ
       「一水会」の木村氏がいたのか、特別秘書はなぜ5000万円を直接徳田夫人に手渡ししなかったのか、ある
       いは借用書の返還を求めなかったのか不思議である。(これが籠脱け詐欺ならどうするのか。)

   @借りる際
          猪瀬氏を虎雄氏に紹介した新右翼団体「一水会」代表、木村三浩氏は産経新聞の取材に「私が毅氏に
      『1億円ぐらい(貸したら)どうか』と話したかもしれない」としており、猪瀬氏側の説明は一定していない。

   A返す際
         日刊ゲンダイ(12月4日付け) 仲介者 大物右翼 「一水会」代表 木村三浩氏直撃という記事を載せてい
     る。その中で5000万円の返金時の状況が具体的に書かれている。以下引用する。
     「秀子夫人への返却は、9月26日夜、ホテルニューオータニのトンカツ屋“ふみぜん”の個室で行っています。
      知事の特別秘書が、紙袋に入れて5000万円を持ってきた。秘書は30分くらいで退室し、その後、僕が立ち
      会って確実に返しています。札束には銀行の帯封がしてあった。秀子夫人と数えたのを覚えています」

   B借用書の返還
           5000万円を徳洲会側に返却した後に戻ってきたとされる「借用証」は、徳洲会側と猪瀬氏を仲介した新
       右翼団体「一水会」の木村三浩代表から郵送されたと説明。これまでは「徳田毅衆院議員の事務所から返し
       てもらった」と説明していたが、この日は「徳田議員の秘書から木村氏が受け取り、郵送してきた」とした。
       (共産党徳留都議の質問に対して)

 これらの記事から分かる事は、猪瀬紙側は、5000万円を「一水会」の木村氏に返し、木村氏が徳田側に返している。(特別秘書が退出してその後僕が確実に返しています)この5000万円授受において、「一水会」の木村氏の役割の大きさがうかがわれる。
 政治の世界の裏社会で右翼が未だに活躍し、猪瀬氏がその手の上で踊らされていたことが暴露された。仮に猪瀬氏が生き残った場合、猪瀬氏はこの右翼に首根っこを押さえられたままになる。
 猪瀬氏自身が先進的なインテリ臭さを出しながら、都政を運営しているように見えたが、彼は右翼に引き回され、金の力で権力を獲得しているとんでもない政治家である。
 しかし、この問題の本命は、徳州会と石原元知事のつながりであり闇で政治献金を受けた額は相当な額だと言われている。猪瀬氏は石原元知事が築いた東京都の闇の部分に安易に乗っかり墓穴を掘ったにすぎない。猪瀬後に石原伸晃の動きもある中で、猪瀬氏を本命にするより、石原氏・右翼・徳州会+お金というトライアングルにメスを入れることが重要である。
 なぜ、共産党はこのことを問題とせず、貸金庫を前日に借りた事の方が重大とみるのかその政治的センスの無さに驚かされる。

追記:上記記事は11日に書いたが、赤旗12日朝刊は再度猪瀬都知事5000万円「借金」問題を14面で伝えている。
      その見出しは、「徳州会裏献金疑惑深まる」と大見出しを掲げ、中見出しでやはり「受領日に貸金庫契約」
      「共産党追求」と書いている。猪瀬都知事の裏献金はすでに誰もが認識している。  
       赤旗は、東京都庁で右翼が裏で闊歩しているこちらを伝えるべきだ。ここにこの政治スキャンダルの最大の
       ポイントがある。


2.マンデラ大統領と朴大統領・中国との違い


@マンデラ大統領

 5日に死去した南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領(享年95)の追悼式が10日、ヨハネスブルク郊外の球技場で開催された。「和解のシンボル」と呼ばれたマンデラ氏にふさわしく、世界各国の指導者から国内の一般市民まで数万人が一堂に会して同氏を追悼した。
  式典は南ア国歌の演奏で幕を開けた。マンデラ氏の遺族や友人、国会議員、獄中での仲間が追悼の言葉を述べると、会場には「タタ(お父さん)マディバ」と、マンデラ氏の愛称を呼ぶ声が響いた。
会場にはオバマ大統領、英国のキャメロン首相とチャールズ皇太子、フランスのオランド大統領、リベリアのジョンソン大統領らの姿もあった。マンデラ氏らが設立した国際人道組織「エルダーズ(年配者たち)」のカーター元米大統領、アナン前国連事務総長も出席した。
  マンデラ氏と同様、自国で初の黒人大統領となったオバマ大統領は、同氏を「歴史の巨人」と呼んだ。政治の世界に入ったきっかけは同氏の存在だったと振り返り、「ネルソン・マンデラのような人物は二度と現れないだろう」と述べて喝采を浴びた。
  また世界中から寄せられる同氏への敬意にも感謝の意を表し、「世界がひとつになったこの場に、全人類の平和と正義、団結を掲げたマディバの理念が現れている。マディバの夢を絶やさないことを誓い合いましょう」と呼び掛けた。

恨みを恨みで解決するよりも、南アフリカ共和国という国をよくしていこう

 なぜマンデラ氏の葬儀が世界各国の大統領や国賓に見守られ盛大に行われたのか、それは彼の生き方、戦い方にみんなが感動と尊敬の念を抱けたからである。
 彼は、反アパルトヘイト(人種隔離)政策撤廃運動の指導者として活躍しました。アパルトヘイトでは、少数の白人の既得権益を守るために、白人の既得権を守るため、白人だけに参政権を認め、黒人を「ホームランド」と名付けた狭い地域に閉じ込めて移動の自由を制限した。彼は大学在学中から、撤廃運動に取り組んで、1964年には国家反逆罪で終身刑を受けたが、国際社会では南アフリカへの批判が高まり、経済制裁などを科してきた。内外の圧力で90年に解放され、94年に選挙をへて初の黒人大統領になった。
 彼は大統領になってからも、「人は、生まれながらにして肌の色や出身や宗教を理由に他人を憎む人は誰もいない。憎しみは後から学ぶものであり、もし憎しみを学ぶことができるなら、愛することも教えられるはずだ。愛はその反対の感情よりも、人間の心にとって自然になじむものだから」と言うことを唱え、自分苦しめた人々に対して仕返しをしませんでした。「恨みを恨みで解決することよりも、南アフリカ共和国という国をよくしていこう」という高い次元で物事を考えられる人でした。ノーベル平和賞も受賞したまさに偉人です。

A.朴槿恵大統領は恨み千年論

  一方韓国の大統領は、朴槿恵大統領は大統領に就任するやいなや、3月1日、「抗日運動の記念日(3・1節)」の演説で「被害者と加害者の立場は1000年経っても変わらない」と「恨み千年論」を力説して以後、「反日姿勢」をますます強めている。
 2013年12月5日、中国の時事政治専門サイト・観察者網は、日本駐在「観察員」で東アジア史に詳しい劉元海(リウ・ユエンハイ)氏の記事「韓国はどうすれば心から日本を許せるのか」を掲載した。

韓国はどうすれば心から日本を許せるのか

  朝鮮半島問題の研究者・武貞秀士氏は、「韓国はどうすれば心から日本を許せるのか」と韓国人の友人に聞いたそうだ。そのきっぱりとした答えを聞いたとき、武貞氏は背中に冷や汗をかいたという。「日本は韓国を35年間植民地統治したのだから、韓国も35年間、日本を植民地統治してはじめてわれわれの気持ちは収まる」。日韓両国には今後も歴史問題がまとわり続けていくのであろう。という記事を載せている。この話は荒唐無稽に思われるだろうが、次の述べる防空識別圏における中国の発言を見れば同じ思想が流れている。

B防空識別圏で中国の主張 (中国も44年後に撤回を検討)

 中国が防空識別圏を設定し、日本政府が一切の措置の撤回を求めていることについて、中国国防省の楊宇軍報道官は28日の記者会見で 「日本は今から44年前の1969年に防空識別圏を設定した。日本側が中国の防空識別圏の設定にとやかく言う権利はない」と反発しました。
  そして、「もし撤回しろと言うのなら、日本側がまず撤回すべきだ。そうすれば、中国も44年後に撤回を検討する」と一方的に主張しました。

朴槿恵大統領や防空識別圏で中国の主張は、「目には目を歯には歯を」という思想

 この中国国防省の主張は朴槿恵大統領の主張と、同じ発想であり、「目には目を歯には歯を」というバビロニアのハムラビ法典の主張である。
  現代社会は犯罪に対して「目には目を歯には歯を」(応報刑主義)ではなく「法」によって処罰(処理)すべきだ。「恨みには恨みを、日本に同じ苦しみを味合わせるのでは無く」国際法の枠の中で解決することが重要です。
朴大統領の無責任な扇動は、国民からも国際社会からも孤立するであろう。マンデラ大統領から学ぶべきです。
共産党は、「歴史認識問題」で朴槿恵大統領に無原則的にすり寄るのでなく、批判すべき点は批判する立場を堅持しないと、朴大統領に足を引っ張られることになるであろう。
                                        (26回大会決議案批判の補強も兼ねて)