共産党大阪府委員会は「大阪都構想」に本気で反対しているのか?



令和2(2020)年9月19日


 私はかねてから大阪府委員会の「大阪都構想反対」の戦い方を批判してきた。それは「大阪都構想」とは何かの本質を明確にせず、「大阪都構想」が実現したらプールの数が24カ所から9カ所に減ってしまうという宣伝でしか相手陣営と戦えていない現状をとらえて批判してきました。
 その確信を何時つかんだのかは、「たかじんのマネー」という関西ローカルの番組に共産党の府会議員の宮原たけし氏と橋下氏が出演し「大阪都構想」の是非について論議を戦わした内容を見て、共産党の大阪都構想に対する方針が分かりました。
 宮原大阪府議の主張は、大阪都構想が実現すれば「市民プールが24カ所から9カ所に減少する」という主張を最大限主張しましたが、その討論を見ていたコメンテータから。「共産党の主張は「行政が老人福祉等社会福祉政策に重点を置くか、それとも府民の生活基盤を重視するかは、行政の政策の重点の置き方の問題であり『大阪都構想』の問題点を語るべきだと指摘された。私もこの指摘が当たっていると思いました。
 この「たかじんのマネー」を見て、このHPに共産党の「大阪都構想」批判は「プールの数が24カ所から9カ所に減るだけであり、ばかげている」とその後何回も主張してきました。しかし本心を申し上げますと、共産党の政策を捻じ曲げ揶揄している面があるのではないかという後ろめたさを少なからず持っていました。なぜなら大阪府会議員の宮原氏は大学時代からの友人であり、職場も一時期同じでした。
 今日、大阪民主新法の9月20日版が我が家に入りましたが、一面全部を使って「大阪都構想」批判を行っています。大見出しは「"住民サービス継続"は大ウソ」、次に大きな見出しは「市民プールが24→9に激減」「利用者から不安と怒り」「各区にプール"誇らしいことなのに"」となっています。1面の8割を使って「市民プールが減る」ことを「大阪都構想」の本質として伝えています。(緑色はリンクを貼っています)

 私がこれまで批判してきたことの正しさが表明された記事です。(注1)

注1:私は、たかじんのマネーを見てから平政27年に連続的に「大阪都構想」問題を扱った記事を書いて
   います。その本質は何か、戦い方は如何にすべきか等、ぜひ読んでみてください。
  1.「たかじんのマネー」での共産党府会議員の主張は間違っている。(平成27年3月8日)
  2.共産党の「大阪都構想」批判の論点は完全に間違っている(平成27年3月13日)
  3.「大阪都構想」反対の共産党の戦い方の稚拙さは目に余る(平成27年3月22日)
  4.維新政治と戦わず、自民党の金魚の糞に成り下がった大阪の共産党(平成27年10月22日)
  を書いています。ぜひ読んでみてください。(クリックをしていただければそこに飛びます。)

 この4点の記事の中でプールを取り上げた際、私は24カ所のプールが9カ所減らされると書いていましたが、今回の大阪民主新報を見て「24カ所が9カ所」まで減らされることに気付きました。元の文書は訂正していませんので、そのように読んでください。

 一番最近「討論の広場」で「大阪都構想」問題での投稿があり、そこでも荒っぽいですが私の考えを載せています。これも参考に見てください。

9月20日付大阪民主新報の問題点は他にもたくさんあります。いくつか拾ってみます。


 1.2面に「山下副委員長が街頭演説」という記事があります。その中に大阪都構想に触れたところ
  があります。見出しは「『特別区』でサービス低下必至 立場超えた共同で大阪市を守る」と書かれ
  ています。
  山下氏は3点を指摘しています。
  ア.大阪市を廃止して4つの「特別区」に分割されれば
   @政令市・大阪市の財源が府に吸い上げられ、「18歳までの医療費助成制度」「敬老パス」など
    を維持するのは困難になり、住民サービスは必ず低下する。
   A「介護保険などは「特別区」が共同で担う(一部事務組合)のため、「介護保険料を下げてほし
    い」など住民の声が直接届かない
   B都市計画の権限が府に奪われ、立派な景観を誇る御堂筋のような、統一した街づくりができなく
    なること―――の三点を指摘しました。と書かれています。
    ・・・・・プールは出てきません!!
  イ.維新は新自由主義の大阪版
   @「二重行政の解消」の名で住吉病院を廃止したが、「命を守る病院が二重にあることは、府民・
    市民にとって一番の安心」と力説。
   A維新府政が府立病院をいち早く独立行政法人化して財政支援を削った。
   B「新自由主義の大阪版が維新府政に他ならない。」
   C「それをもっと露骨に進めるのが『都』構想だ」
   と批判しました。と山下副委員長の話はまとめられています。(前宮原府会議員等の話と相当違い
   ます。)

 2.この山下副委員長の街頭演説は、「大阪都構想」どういうものかを端的に指摘し、維新府政の狙い
   が大阪市の破壊であることを明らかにし、「共同で大阪市を守る」と訴えています。なぜ大阪府委
   員会は都構想の本当の狙い等の暴露を行わず、プールが24カ所から9カ所になるという枝葉
     末節の論議しかできないのか不思議でたまりません。
 3.9月20日付け大阪民主新報の他の紙面では「大阪都構想」をどう伝えたか?もう少し探ってみた
   い。2面に【寸鉄】という欄がある。毎日新聞でいえば【余禄】みたいな紙面であるが、ここでも
   プール問題を取り上げ「プールの写真を全部そろえようと、記者を手分けして大阪市内の24
   区をった」というような記事を載せている。
    さらに2面では「大阪市立高校移管計画案を決定」「府教委 扇町・南・西を統合」という記事
   を大きく載せているが、これは「大阪都構想」と関連があるのか全く触れていない。不思議な記事
   である。
    3面では、「安倍後継でなく新しい政治へ」「『大阪の共産党です!』第8弾をライブ配信」とい
   う記事を載せその中に「『都構想』は対策停滞原因の一つ」という記事が書かれている。内容は中
   見出し「命守ることは政治の最大の責任」と書き、「『大阪都』構想の是非を問う2度目の住民投
   票について辰巳氏は、「『大阪都』構想が、コロナ対策が進まない原因の1つになっている」と指
   摘しました。と書いている。
    3面ではさらに「都構想サービス維持不可能」「関テレ報道番組共産・山中氏が力説」という記
   事があります。山中智子大阪市議団長は、かつて宮原氏が指摘したプール問題、今日の民主  
    新報もプールが減るという主張は一切されていません。もっと根本問題財源論を展開されていま
    す。山中氏はプールが減るという論議では勝てないと思っておられるのだと思います。
    3面にはもう一つ大門実紀史の国会レポートがあります。この見出しは「今度こそ新自由主
    義からの転換を」です。私には良く分かりませんが政治的課題をどのように国民の中に入れてい
    くのか模索されているのだと思います。しかし「大阪都構想」の是非を「プールの数」論議に単
    純化して府民に訴えようとする共産党の姿は、まったくの大衆迎合であり、大阪を馬鹿にし
    た論議だと思います。一方大門氏が提起している新自由主義との戦い(これは志位委員長も
    同じだが)は上から目線の戦いであり、新自由主義とは何かもう少しかみ砕いて説明する必
    要があると思っています。
   政治的センス、バランス感が欠如していると思います。
    4面、5面は大阪都構想関連記事はないので省きますが、6面、7面に「読者のひろば」あり大阪都
   構想関連の投稿があります。
    まずAさんは、「住民投票強行は狂気でしか」で大阪市解体のための住民投票は狂気としか思え
   ない。と書いておられます。大阪市の「解体」は本質を把握した議論です。「プールの数が減る」
   とでは政治的感覚が全く違います。
    次にBさんですが、「大阪市をなくすなと訴えて」これもAさんと同じ視点です。(上記2つは6
   面)7面のCさんは「平気でテレビで言っている」という見出しで、住民サービスの削減に触れ
   ています。「温水プールが24カ所を9か所に削るのがなぜサービスの維持なの」「スポーツ施設24
   か所を18カ所に減らすのが、なぜサービスに変化なしなの」「老人福祉センター28カ所を18カ所に
   削るのが、なぜサービス維持なの」「子育て支援活動24カ所を18カ所減らすのがなぜ変化なしな
   の」だまし、だましならしていくやり方。と書いておられます。この方はどのサービスが切られる
   かをすべて挙げておられます。これは分かりやすい指摘です。共産党の幹部は「プ―ルだけをこと
   さら大げさに捉え宣伝しています。

 「たかじんのマネー」(5年前のテレビ)でもコメンテータの勝間氏が宮原議員の「プールが減る」という主張に対して、「プールを行政が運営するのが正しいのか、あるいはそれだけの数が必要なのか」質問した。それに対して宮原氏は高槻市には市民プールが4カ所あると主張したが、勝間氏は「市民全体が使う施設ならわかるが、利用者は限られているのではないか」と論破していた。
 プールの数だけで「大阪都構想」は語れない。これは「たかじんのマネー」でも簡単に論破されていた。しかし大阪民主新報や宮原レポーとはその後もプールの数の問題で「大阪都構想」問題を語っていた。
 先にも書いたが、私の批判は大阪府の共産党の主張を捻じ曲げて批判していると反論されるのではないかと心配していたが、久しぶりに「大阪都構想」批判の大阪民主新報が、一面の8割を使ってプール問題を取り上げている。私の批判のポイントが正しかったことが証明され、安心した。
 私から見れば、大阪民主新報に投稿している府民は大阪都構想の本質を見抜いているのに、大阪の党幹部は未だにプールの個数にしがみついている。この姿はばかげているし、哀れでもある。
 これでは、大阪では共産党は維新の会には絶対勝てない。ただ勝とすれば維新の会の自滅の時しか考えられない。選挙のたびに維新は増長し、共産党は縮小している。
 箕面の選挙結果はそれを語っており(8月26日HPにUP)、今回の和泉市の選挙結果も同じように語っています。共産党は箕面の選挙でも陣地が小さくなっているのに勝ったと書いていたが、今回の和泉市の選挙もまた勝ったと宣伝しているが、大きな後退である。
 共産党は二人が立候補して二人当選だから勝ったと主張するが、前回の選挙は3人当選している。最初から立候補を1名引いて戦っている。得票率でみれば、前回は9.09%、今回は6.71%と大幅に減らしている。大阪維新は、前回は16.89%、今回は21.66%と大幅に増やしている。「勝った、勝った」でなく、冷静な分析が必要だと思います。