ついに出た共産党の見解はやっぱりダメだった。

    生真面目さは間抜けにつながる(すでに桜宮は政治問題になっている。)


                                                                                                             平成25(2013)年1月20日

 私は1月19日に、「マヌケな大阪民主新報」という記事を書いた。その主要な主張は、「桜宮高校の体罰・それに伴う自殺」が社会問題として大きく取り扱われ、それを利用して橋下市長が政治的策動を行っている。この橋下氏の愚行と戦わない限り、維新の会に共産党は勝てないというものであった。(大阪民主新報は1月20日付けで橋下批判は一切行わなかった。)

 先に南方週末の件で共産党の批判を行った時もそうであった(私の批判の翌日に記事がでた)が、私の批判の翌日に共産党の府委員会「書記長のよびかけ」が赤旗に掲載された。しかし、その内容は私が求めたものではなかった。

<すでに政治問題になっているという自覚が全くない>

 共産党は政治集団である。政治を通して日本を改革しようとしている。橋下・「維新の会」も政治集団であり、日本の右傾化のためには教育改革(戦後の民主教育を破壊し政治が直接教育に介入しようとしている。)

 話は全く違うが、日本は戦争で負け、アメリカによって再軍備して、再び日本が軍事的に台頭してこないようにさまざまな手が打たれている。このアメリカから教えられた民主主義が戦後の日本の繁栄を支えてきたし、戦争のない民主国家として繁栄してきた。

 尖閣列島を巡る中国の対応を見ていると、軍部がやたらに煽っている。今にも戦争が始まるような主張をしている。また教育でも前に、Mr・サンデーで放映された中国の幼稚園の運動会で尖閣列島をいかに早く取るかの競技が行われているニュースを紹介した。

 日本社会は、尖閣列島の問題で中国と軋轢を生んでいるが、自衛隊が中国をねじ伏せよと叫んではいない。また教育でも急に尖閣列島の問題を生徒に教え反中国をあおるような事を行っていない。ここに日本の戦後民主主義の良さがある。

 しかし、石原氏や橋下氏は、このような状況を嘆き、教育を政治の道具に利用しようとしている。大津・中2自殺事件の際。橋下氏がまず発言したのか「クソ教育委員会」であった。今回も橋下氏は教育委員会をやり玉に挙げ、入試試験の中止を求め、それに従わなければ、予算をストップすると脅かしている。

 これについては、政府自民党の下村大臣でさえ、「慎重に検討を」と行き過ぎだと批判しているのが現状である。さらにすでに、公明、自民、民主系の3会派は入試実施を求める要望書を出したと聞く。民間からも、弁護士17人が入試実施要求「橋下市長は教育に無理解」と主張し、「入試実施を求める声明文」を出している。(これらについては「マヌケな大阪民主新報」参照)
 共産党は「桜宮の事件」がすでに政治問題になっているという自覚が全くなく、府委員書記長呼びかけは「体罰をなくす討論と共同」という間抜けな声明を出している。この声明は教職員団体の声明なら理解できるが、共産党としての声明は「橋下氏の体罰問題を利用した教育破壊に抗議する」位の声明を出さない限り何の効果も無い。

 志位委員長の「国民に溶け込む」という提起は単に手ぶらで国民の中に入るのではなく、共産党の主張を持って国民の中に入っていく(溶け込む)ことをしないのなら何ら効果を生みださず、逆に国民に飲み込まれてしまう。

<共産党の声明のどこがまずいのか>

 まず分からないのは、なぜ大阪府委員会の声明でないのか、あるいは委員長声明でなく、書記長の呼びかけなのか分からない。(そもそも共産党の声明党の出し方の原則が私には理解できていない。)

【この呼びかけの問題点】

1.この「呼びかけ」が、保護者団体や教師の組合から出されたのであれば基本的に正しいと思われる。

2.共産党としての声明としてみれば問題がある

  • (1)呼びかけ文のタイトルに橋下市長の名前が無い。橋下氏の無謀な対応に抗議するという視点がない。こ
       の問題の責任者は橋下市長自身である。彼の責任転嫁の話術を封じ込める必要がある。

(2)呼びかけの最後に橋下氏に対する批判があるが、橋下氏の新の狙いがどこにあるかについて触れず、
   一般紙の批判の範囲にとどまっている。体罰問題だけ素直に論議するなら全国的課題である。体罰を利
   用した教育改悪が画策されているから、緊急に呼びかける必要があるのだ。

(3)さらにこの批判も、共産党は「こう思う」「こう主張する」でなく府民の中にこういう意見があると紹介し、そ
   の威光を背景に共産党もそう思うというスタイルで党の主張を行っている。(共産党の最近のスタイルで
   ある。自らの主張に自身が無い。せこすぎる)

その部分を引用する。

         「(前略)、同校の教育全体を否定し、教職員の総入れ替えや体育科の入試中止を押し付け、従わなけれ
     ば予算を執行しないなどと強弁しました。」と橋下氏の無謀な行動を書き、そのあとに「高校進学を希望する
     生徒の進路を閉ざすことになると、生徒や保護者をはじめ学校関係者から強い批判の声が上がっていま
     す。」と状況を述べ「橋下氏の主張では、問題を混乱させ解決を妨げることになることを厳しく指摘します。」と
     なっている。

        共産党の主張は、橋下氏の主張が現場を混乱させて解決を妨げているから反対だという物です。しかしこ
    の次元の批判なら、すでに下村文科大臣も行っているし、公明、自民、民主系の3会派は入試実施を求める
    要望書と同じ次元である。(注1)

  • (4)橋下氏がなぜ異常に教育委員会を攻撃(大津・中2自殺事件以降)するのか、その本質を暴かない限
        り、共産党の主張にはなりえない。彼の狙いは、「時の権力者」が教育を握る。(中国型を狙っている)こ
        の一点である。自分の考え方で大阪の教育を行う。そのためにこの事件を利用しようとしている。

    この本質論議を避けている限り、共産党は橋下・「維新の会」には絶対に勝てない。


注1:大阪市立桜宮高校(都島区)の体罰問題で、大阪市議会の公明や自民、民主系の3会派は18日、橋下徹市
   長が同校の体育系2科の入試中止を市教委に要請していることについて「到底賛成できない」として、市長ら
   宛てに入試実施を求める要望書を提出した。
       要望書では「受験準備を進め願書を出そうとしている段階で、市長の発言が生徒たちや保護者の混乱を増
     幅させる結果となっている」と指摘した上で、「夢と希望を持って入学できるよう万全の体制を整えるのが行政
     の責任者のとるべき道」などと入試中止の撤回を求めている。産経新聞(1月18日)