赤旗の間抜けさ、小ネタ集三題(安倍首相動静記事、加計学園問題の本質等)


平成29(2017)年8月11日


@安倍首相動静記事(赤旗)

 8月11日(金曜日)赤旗2面に首相が麻生氏と会談という記事を載せています。以下に全文引用します。
 安倍晋三首相は9日夜、東京・富ケ谷の私邸で麻生太郎副総理兼財務相と約2時間会談した。麻生派に所属していた白石徹氏が3月に死去したのを受け、自民党は10月に実施される衆院愛媛3区補選に麻生氏主導で次男を擁立する方針を決めており、同補選の対応を協議したとみられる。
 この記事を見て違和感を禁じ得ない。首相と副首相が衆院愛媛3区の補選の候補者を誰にするかを2時間もかけて私邸で協議するでしょうか?政治記者としてのセンスがうかがわれます。この記事の出どころを調べたところ、時事ドットコムニュース(2017/08/10-00:28)の配信記事をそのまま載せています。

 一般紙はこれをどのように載せているかを調べたところ、産経新聞と毎日新聞が上記と違う共同の配信記事を載せていました。

★毎日新聞(首相動静)
 麻生副総理と会談 政権運営で意見交換か(毎日新聞2017年8月10日 00時28分)
私邸で約2時間
 安倍晋三首相は9日夜、東京・富ケ谷の私邸で麻生太郎副総理兼財務相と約2時間にわたり会談した。会談内容は不明だが、3日に実施した内閣改造・自民党役員人事を踏まえ、今後の政権運営を巡って幅広く意見交換したとみられる。(共同)
★産経新聞(首相動静)
 安倍首相と麻生副総理が夜の私邸で会談 政権運営で意見交換か(2017.8.10 00:32更新)
 安倍晋三首相は9日夜、東京・富ケ谷の私邸で麻生太郎副総理兼財務相と約2時間にわたり会談した。会談内容は不明だが、3日に実施した内閣改造・自民党役員人事を踏まえ、今後の政権運営をめぐり幅広く意見交換したとみられる。

 この時事通信の配信記事と共同通信の配信記事では全く内容が違います。時事通信の会談内容は愛媛3区の補選の候補者選定を安倍首相と麻生副首相が2時間も協議したことになります。あまりにも馬鹿げています。これは麻生氏が帰り際に記者に煙幕を張るため適当なことを言ったにすぎません。それを信じた記者がそのまま書いたのを、赤旗は信用してそのまま載せる、赤旗の政治的力量のなさを暴露しています。(赤旗は共同通信とは契約していないのかも知れませんが)
 私はこの記事を最初に読んだ際、「麻生氏主導で次男を擁立する方針を決めており、同補選の対応を協議したとみられる。」と行だけが目に写り、麻生氏が自分の次男を候補者に立てることを安倍首相にお願いに来たのかと思いました。麻生氏の次男を候補者にして戦うのであれば、異常なことであり(麻生氏の地元は福岡)、安倍首相の私邸に訪れ頼んだという記事かと錯覚しました。そうでないと一地方の補選の候補者を誰にするかを、副首相がわざわざ首相の私邸にまで出向き2時間も協議して決めることはありません。全くピント外れの記事です。(選対委員長に塩谷を無視したことになります。)
 共同の記事「会談内容は不明だが、3日に実施した内閣改造・自民党役員人事を踏まえ、今後の政権運営をめぐり幅広く意見交換したとみられる。」内容は書かれていませんがこの見立てが正しいに決まっています。
 

会談内容は何であったのか?

 日刊ゲンダイは8月9日ポスト安倍”の目も消えた・・・麻生財務相が安倍首相に激怒という記事を載せています。その記事を少し引用します。
不満が募る麻生財務相(C)日刊ゲンダイ
 やってられねぇ――麻生財務相(76)が、安倍首相に対して不満を強めているという。原因は改造人事だ。要望が完全に無視されたという。
 麻生派は第2派閥なのに、党三役に誰も起用されず、事前に安倍首相から相談もなかった。麻生派はないがしろにされた格好です」(自民党関係者) 麻生派が推していたのは、衆院当選7回なのに大臣経験がない“入閣待望組”の3人だった。ところが、麻生派から入閣したのは河野太郎と鈴木俊一という再任組の2人だけ。しかも、要望が無視されただけでなく、今回の人事は“犬猿の仲”である菅官房長官の思惑通りに進んだとみられている。安倍首相が、盟友の自分よりも菅義偉官房長官の意向を重視したことにガマンがならないということだ。「初入閣した小此木八郎氏と梶山弘志氏の2人が菅さんに近いことはよく知られていますが、同じ神奈川県選出の河野太郎氏も、菅さんとは昵懇の仲です。菅さんは10年前から『いずれ河野太郎を総理にしたい』と公言し、河野氏も菅さんを慕っています。それもあって麻生周辺は『すべて菅人事じゃないか』と吐き捨てている。そのうえ、麻生派は第2派閥なのに、党三役に誰も起用されず、事前に安倍首相から相談もなかった。麻生派はないがしろにされた格好です」(自民党関係者)
 もともと、安倍政権は閣内に亀裂が走っていた。麻生大臣と菅長官が閣内でいがみ合い、安倍首相と菅長官の間にも隙間風が吹いているとみられている。改造人事でさらに亀裂が深くなった形だ。政権末期の様相が強まっている。
 と書いている。

 この会談はこの安倍首相と麻生副総理の亀裂の解消を狙ったものと思われます。様々な裏取引が行われ、その一つに愛媛県の補選の候補者を麻生氏に任せたのかもわかりません。
 こうした視点で記事を書かないと間が抜けてしまいます。

A加計学園問題の本質

 次に8月13日・20日付大阪民主新報の記事ですが、面白い記事が載っています。辰巳孝太郎の国会レポートです。(別紙参照)この記事で辰巳氏は、「森友・加計学園疑惑は、いずれも首相のお友達に便宜を図るため行政がゆがめらた国家の私物化です。」と書き、「私物化のツールとして機能してきたのが『国家戦略特区制度』です。」として、さらに「この国家戦略特区制度は加計学園にとどまらず、『民泊』や家事支援外国人受入れ事業や外国人農業支援事業などにも及び、これらの事業に深く関わっているのがパソナという人材派遣会社です。」と指摘し、「このパソナの会長が竹中平蔵氏であり、国家戦略特区を使って規制緩和の先頭に立って進めてきた張本人です。」と糾弾し、「国会議員でもない民間人の竹中氏による国家の私物化であり、国会で追及される同氏をテレビで見るのもそう遠くない。」という記事を載せています。
 この辰巳孝太郎氏の見方は鋭いし、赤旗の森友・加計学園疑惑追及とは全く違った視点に立っています。この記事はこの間の疑惑の全体像を捉えており、こうした見方はは赤旗にはない視点でものすごく魅力を感じますが、同時にこの視点は全てを見通している様でありながら同時に誰が最も追及されるべきかをあいまいにしています。
 森友・加計学園疑惑の中心人物は、安倍首相夫妻であり、近畿財務局であり、さらには安倍首相のお友達(加計孝太郎等)が行政をゆがめたのであり、その中で竹中平蔵氏の果たした役割が何かを明確にする必要はありますが、最終目的は竹中平蔵氏の悪を暴くところにあるのではありません。
 一方では赤旗は、森友疑惑では、「籠池氏が詐欺師だ」とこればかり追求していますが、これは全くのピント外れですが、同時に辰巳孝太郎氏の竹中平蔵主敵論も間違った世論誘導です。問題の核心は安倍政権です。この運動は安倍政権打倒に連動していかなければならず、安倍政権が倒れ、その下で竹中平蔵氏の罪状が暴かれるというのは正しい展望ですが、安倍政権が残り、籠池氏や竹中平蔵氏だけが追及されも何も意味がありません。
 その無内容さは、森友学園疑惑で、籠池氏血祭論と同じ弱点を持っていると思います。

B加計学園認保留へ

 最後に、加計獣医学部の認可判断を保留(設置審)という記事を赤旗(11日付)は15面【社会】で載せていますが、まったくのべた記事です。毎日新聞は「加計新学部認可保留へ」「文科省審議会 教育環境整わず」という記事を10日付夕刊に一面トップに載せている。(8面に関連記事)その中で、新説計画への官邸の関与の有無を巡り、国会で政府・与党と野党が激しく対立する中、設置審がどう判断するか注目が集まっていた。さらに11日の朝刊にも29面【社会】で「加計認可10月再判断」「新学部で文科省課長見解」という記事とその下に「補助金差し止め監査請求を棄却」という記事を載せ、加計学園をめぐるもんだいを赤旗朝刊より大きな誇示を載せている。
 この問題は、昨日(10日)行われた日報問題をめぐる閉会中の審査でも議論が行われ、民進党の福山哲郎氏が、「大学設置・学校法人審議会は9日に開かれたか。」という質問をおおなったが、丹羽秀樹副文科省の答えは「審議会の内容は、公平公正な審査の環境を確保する観点から、会議の日程も含めて非公表にしている。(9日に)あったかどうかもお答えできない。」と突っぱねた。
 福山市が、「NHKがすでに審議会が開かれ、認可が保留された」と報道している。さらに新聞の記事を見せながら追及しても、この副大臣は、「開催日も一切報告できない」と突っぱねた。
 赤旗はこの加計学園の認可が保留された記事を書く際、なぜ保留されたのか、その理由と、文部省は会議が開かれた否かすら答えない隠ぺい体質であることの抗議と共に、この記事を書かないと記事の意味が生み出されない。
 もし国会でのこの問題の追及が無ければ、この段階で「保留」することは考えられず、何も検討せず「シャンシャン」で認可されていたであろう。これが一時的であっても認可保留になったのは相手側が追い込まれたことを表しており、引き続いて追及し認可を認めさせない戦いが必要である。
 余談ではあるが、森友学園に認可を検討していた府私学審議会の梶田叡一(かじた・えいいち)会長(奈良学園大学長)は、審議会にかけられるということは行政側は認可を求めているのであり、認可否決という結論はあり得ないと考えていたと発言している。
 これが審議会などの先生の役割である。加計学園の審議会には、安倍友が送り込まれており、よっぽど不正を暴き出さない限り認可されてしまう恐れがある。
 赤旗は認可保留意味を伝えず、を他人ごとのように伝えている。

 参考資料;辰巳孝太郎の国会レポートです。(別紙参照)