一紙で間に合う(赤旗)は本当か

 「6月28日付毎日新聞」と比較すると赤旗のダメさがよく判る。


 

  共産党は赤旗拡大の際、対象者から「我が家は一般紙を取っているので、二紙も取る経済的余裕が無い」と言われた場合、一般紙を止めて赤旗をとるように進める。その際の殺し文句は「一誌で間に合うし、お金も安い」であったが、お金は高くなってしまった。後は記事内容に遜色が無いかどうかにかかっている。

  しかし、6月28日付の赤旗記事を見て、これでは一紙で間に合わないとつくづく思った。何が問題か、それは極めてセクト的立場から記事を編集しているからである。以下具体的に見ていこう。

<6月28日毎日新聞は何をメインに据えたか>

  まず一面トップは、電力9社 株主総会 「脱原発提案 否決」、「関電賛成率22%飛躍的に増加」という見出しを掲げている。

  その内容は、神戸市と京都市が共同提案した「原発に依存しない電力供給体制の早期構築」(脱原発依存)は22%の賛成を集めた。(昨年は同じような提案が3.9%しか支持が得られなかた。)そのた原発関連記事は2面、3面、9面、29面に渡って報道されている。

  また一面左側には、「報告偽造 検事不起訴」、「陸山会事件 処分は減給6ヶ月」という記事を載せている。解説で「東京地検特捜部(当時)の田代政弘検事が元秘書の石川知裕衆議院議員を再聴取した際、実際には無かったやり取りを捜査報告書に記した問題。(中略)報告書は検察審査会に送られ、2度目の基礎議決に影響したとして市民団体が刑事告発、東京地裁も元代表への判決(4月)で「あってはならないこと」と批判し、検察に調査を求めた。」事件であることを伝えている。

<同日(6月28日)赤旗は何をメインに据えたか>

  一面トップは、「崩れる二大政党」(上)であった。「電力9社株主総会」は一面左端に追いやられている。見出しは「再稼働に批判続出」、「廃炉・賠償求め発言」としている。

  この原発記事で、赤旗が意識的に落としている視点は何か、毎日新聞が3面で大きく取り上げている「自治体 物言う株主」という内容である。テレビ等でも、橋下市長の発言、猪瀬東京副知事の発言が大きく取り上げられたが、赤旗は一切無視している。毎日新聞は3面の解説記事で、「関電体質に不満 浸透」という記事が載せられ、そこに「大阪市などが関西電力に対して提出した株主提案28議案は反対多数ですべて否決されたものの、「脱原発議案」を含めて自治体が提案した13議案はすべて2桁の賛成率という異例の結果となった。」「株主が問うているのは脱原発にとどまらず、閉鎖的で独占的とされる電力会社の経営体質そのものと言えそうだ」と橋下市長など自治体の活動を評価している。

  赤旗は橋下市長憎しで、こうした記事を一切伝えない。こんな姿勢で「一紙で間に合う」のか疑問である。

  さらに小沢裁判に関わる検察の「報告書偽造」の件にいたっては、15面のベタ記事扱いでしかない。毎日新聞は、1面と、社説(「検察改革はまだ途上」)、さらに28面にも載せ、この問題の重要さを警鐘している。国家権力と最も対峙してきた共産党が、これも小沢憎しで、検察の不正(悪)を見逃そうとしている。

  赤旗のキャッチフレーズは「正義の味方・真実の友である」政治的思惑で記事を捻じ曲げて報道するなら、このキャッチフレーズが泣くであろう。

<共産党は大きな勘違いをしている>

  共産党は、橋下市長や、猪瀬東京都知事が嫌い(政治的な対抗軸)であるから彼らの言動を伝えない、あるいは小沢さんは「政治とお金」に汚いから、検察がたとえでっち上げても、小沢さんが政治的に失脚するほうが良いと判断してこのような記事になっているのだと思われる。

  しかし、これは共産党の大きな勘違いである。共産党が赤旗に付けた「正義の味方・真実の友」(月光仮面のようでかっこ悪いが)という姿勢こそが国民が求めていることである。赤旗が一般紙に報道できないことを報道し、我々に真実を見開かせてくれてこそ赤旗であり、赤旗が党派的利害に走り、自らの政党にとって都合の良いことばかり書くのであれば、それは一般紙と同じ偏向報道であり、赤旗の魅力は失われる。

  言論や報道が魅力をますのは、誰にも拘束されず、自らの思いを自由に発信できることが大切である。現在ツイッターが大きな影響力を増しつつあるのは、誰でも思ったことを自由に発信できる情報であるからである。(国会を包囲した4万5千人のデモ隊もツイッターが支えている。)

 情報の取捨選択は国民一人ひとりがおこなうのであって、何かの思惑で特定のフィルターにかけられた情報はすでに国民から拒絶されている。それが情報通信機器の発達した現在の情報伝達のあり方である。

<東京電力の病院の真の目的について>・・・ここからは余談と偏見だが

  今テレビを見ていると、猪瀬氏が指摘した東電が保有する「東京電力病院」が話題になっている。ベット数が113床ほどあるのに2割も使われていないとか。(この病床数が近隣の病床数を圧迫し、近隣市民は被害にあっている)と大騒ぎしている。こうした問題こそ赤旗は報道すべきだと思う。

 ここからは私の全くの余談と偏見だが、「東京電力病院」は職員の福利厚生のために東電が所有しているのではない。(こんなとんでもない赤字病院を放置することは考えられない)警察病院でも一般外来を受け付けている。これは全くの私の想像ですが、東京電力がなぜ独自に病院を持っているのかは、原発による作業員の被爆などの実態を隠すため、あるいはそのデータを集め分析するためだと思う。

 アメリカが広島に原爆を投下した後に調査団を派遣している。ここで治療にあたりながら膨大なデータ収集作業をおこなっている。恐らく東電も今回の事故を想定外としているが、はじめから想定し、独自の病院の必要性を把握していたと思われる。ベットが2割しか利用されていないのに、東電関係者以外お断りという秘密主義は何か怪しい。

 ここらあたりの究明が赤旗の役割であろう。