第三弾:一斉地方選挙の総括の視点・・共産党は本当に大勝利したのか



平成27(2015)年5月2日

 
 共産党は今回の一斉地方選挙で、一番勝利したのは共産党だと盛んに宣伝している。しかし、これは本当だろうか、選挙戦の総括には、どのような視点が重要かの判断基準を提起しながら、共産党の主張が必ずしもあたっていないことを指摘してみたい。

 まず共産党は、今回の選挙戦がなぜ大勝利と主張するのかその根拠を見ていきたい。
【前半戦】
 4月14日(火曜日)赤旗 主張 前半戦での党躍進 暴走ノーの期待に応える決意
画期的な「空白」克服
 41の道府県議選で、日本共産党は前回の当選者数を31議席上回る111議席を獲得することができました。なかでも七つの県議の空白議会を克服し、新たな空白も生まなかったことは、これまで何度挑戦しても実現できなかった歴史的快挙です。悪政に立ち向かい、住民の暮らしを守る議席がすべての都道府県に誕生したことは、「住民が主人公」の政治を地方からすすめるうえで大きな力になることは間違いありません。
 17の政令市議選では、前回選挙時を29議席上回る136議席を得る結果となりました。六つの市で日本共産党の立候補者全員が当選したのも貴重な成果です。
 道府県議・政令市議のいずれの選挙でも改選時と比べて議席を大きく増やしたのは日本共産党だけです。

【後半戦】
 4月29日赤旗は2面で共産党の大躍進の根拠の数字を載せている。

  いっせい地方選挙後半戦の当選者数
政党名
区議選
市議選
町村議員選
合計
今回
前回
今回
前回
今回
前回
今回
前回
増減
共産
128
121
672
628
292
281
1092
1030
62
自民
267
259
634
503
30
24
931
786
145
民主
71
87
284
388
17
26
372
501
▲129
公明
166
169
908
914
170
175
1244
1258
▲14
維新
29

47


78


社民
10
72
86
89
104
▲15
                     ※維新は前回の実績なし(▲は減)
「共産と自民が議席増」「前回比民主は大幅減」と言う記事を書いています。

  確かにこの票数だけを見ると共産党が今回躍進したことは伺われます。しかし共産党は過去に地方議会では最大の議席数を持っていた。共産党が第一党だと主張していました。今回の数字では公明党にまだまだ大きな差をあけられています。
 地方の議会では無所属議員が多数を占め、政党化が進んでいません。近代的な全国政党として組織を持っているのは共産党と公明党だけであり、他の政党は国会議員という個人商店の結合体でしかありません。それゆえ市町村議会選挙にまで手が届かないのが実情です。(注1)

注1:
  市議会選挙の政党別獲得数(前回との比較)
政党名
今回
前回
増減数
     備       考
議席数
占有率
議席数
占有率

自民
634
9.25
514
7.24
120

民主
284
4.14
389
5.48
105

維新
41
0.60




公明
908
13.24
915
12.87
ー7

共産
672
9.80
627
8.82
45

社民
72
1.05
85
1.20
ー13

諸派
109
1.59
192
2.70
ー83
前回:みんなの党、たちあがれ日本を含む
無所属
4134
60.25
4382
61.62
ー248

6854

7104

ー250

   ※無所属議員の議席占有率が60%もあります。



共産党の選挙総括は、議席数の増減だけで語ろうとしている。(椅子取りゲーム的思考)


 共産党が選挙に勝ったと主張する唯一の根拠は、議席数・得票数が増えたという視点である。さらにこの間、長期低落傾向にあり、相当陣地が後退していたため、今回の選挙が大勝利に見える。
 選挙闘争の総括の視点は何かを平成24年12月27日「総選挙総括の視点」及び平成24年12月30日「選挙戦の総括は誰もが納得できるものを!」を書いたが、そのときに私が主張したことを簡単に触れてみたい。

まず、大前提として赤旗部数と選挙結果は関係ないことを書いた。共産党は赤旗の部数と選挙の得票数の関係を描き出し、赤旗が増えれば選挙に勝つと選挙前に常に一大拡大運動を鼓舞するが、これは赤旗拡大に党員を動員するための詐欺的手法である。
このことが嘘であることを端的に示したのが、今回の「躍進」である。共産党は今回議席数、得票数ともに増やした、しかしこの間赤旗は減り続け、4年前の選挙時より赤旗の部数は減っている。にもかかわらず今回の選挙で議席数・票数とも伸ばしている。これを共産党はどう総括するのか楽しみだ。今のところ勝利の原因を赤旗部数との関連で語られていない。
 共産党は選挙で負けたときは、必ず赤旗の部数との関連で説明する。それは党中央は赤旗が減っている状況下で選挙を迎えることは危険だと大号令を発した。ところが末端の党員はその危険性に気がつかず、赤旗拡大で成果が挙げられないまま選挙戦に突入してしまった。そして敗北した。という総括を毎回行ってきた。(選挙で負け続けたジリ貧の時)つまりこの総括は共産党の幹部にとっては極めて都合がよい総括である。幹部は勝てる方策を示しました。しかし末端の党員がそれに応えなかった、だから選挙戦で敗北した。悪いのは党中央でなくて、末端の党員が悪いのだというのが共産党の総括の筋書きであった。
ところが今回のように、議席数、得票数ともに増えた場合、説明がつかないのである。この間赤旗が増えておれば、幹部が赤旗拡大を指導し末端の党員がそれに応え、赤旗拡大で奮闘しこれだけの部数を増やしていたから今回の選挙に勝利した。と総括したいが、実態は赤旗が増えていないのに得票数は増えた。説明不能の状態に陥っている。(もともと赤旗の部数と選挙の得票数には何ら因果関係がないのであるが・・・。)
 この点を抑えながら、具体的に総括で必要な視点に触れてみる。

先に述べた総選挙総括の視点で、「選挙戦で共産党が選挙に勝てない理由」を7点指摘した


 第一点は、上記とも関連するが、過去の選挙結果からまったく学ばない唯我独尊
      の戦い方をしている。赤旗拡大が選挙戦勝利の最大の戦術(武器)。

 第二点は、他党派がなぜ躍進したのか、その結果から学ばない。
        誰が敵で誰が見方かを鮮明にした者が勝つ、小泉や橋下はそれで勝
          っている。 
        共産党は、安全・安心やさしい大阪などの方針を掲げ敵を明確にし
       ない。

 第三点は、国民政党としての要件を備えていない。
       党内外の共産党に対する批判に一切聞く姿勢を持たない。問答無用
          の政治のあり方に問題がある。

 第四点は、選挙戦の争点を設定できない。他党派は国のあり方での戦いを挑んで
          いる。
       選挙戦の争点に一貫性がまったくない。先の参議院選挙戦では、消
          費税税値上げ反対を最大の争点としながら、今回はまったく消費税に
          ついては語らない。今回はやっと「海外で戦争できる国づくり」を争
      点にすえたが、大阪で見る限りは「大阪都構想」批判が極めて弱い。

 第五点は、候補者がしょぼすぎる。
       国会議員候補や市会議員候補などを系統的に育てていない。同じ人
          を国会議員、市長選挙、市会議員選挙に使いまわししている。

 第六点は、統一戦線を模索していない。
       一点共闘や保守との共同は主張するが、革新の統一戦線はまったく
           主張しなくなった。その弱点が、高槻市市会議員選挙に出た(これは
           後で詳しく述べる。)

 第七点は、運動員が政治的に訓練されていない
         4年前の橋下・維新の会との戦いは、安全・安心やさしい大阪で戦
          ったが、最終版(告示後)橋下独裁NOにスローガンを変えたが、運
          動員がそれを切り替えて戦う力がなかった。
       今回も「大阪都構想」と戦う主張がまったく定まらない。タカジン
      のマネー(大阪ローカル番組で)橋下氏と一緒に出演した大阪府会議
      員団長は、「大阪都構想」の本質の批判がまったくできず、同席した
      コメンテーターから盛んに突っ込まれたいた。

をあげた。(先に挙げた7つの問題点を今回の選挙結果とも絡んで簡単なコメントを書いた)

問われているのは、安倍内閣の暴走を止めるだけの陣地の構築ができたのかである

この視点から今回の選挙を見た場合、議席数・得票数で躍進はしたが、この7点の指摘は相変わらず変わっていない。何よりも問題だと思うのは、現在の情勢下での政治的課題は何であるのかを明確にし、それと戦い今回の選挙戦を通じて情勢を動かしたのかどうかを語っていない。
 
今回、国レベルで言えば、安倍政権の推し進める「戦争できる国づくり」に対する反対勢力を増やすことができたのか。大阪レベルで言えば、橋下・維新の会の進める「大阪都構想」の住民投票で勝てる展望を築いたのかが問われている。先にも書いたが、毎日新聞は維新系の三市長候補が敗退し、大阪と構想に暗雲がというような記事を書いているが、共産党は自らの政党の議席数・得票数にだけこだわり、こうした情勢論議の中で選挙総括ができない。さらに数字のマジックを使って「勝った」ことの印象を振りまいているが、大阪での天下分け目の戦い「大阪都構想の住民投票」は、予断を許さない戦いになっていることには全く危機感がない。
4月27日付 日本共産党の中央委員会常任幹部会は、「躍進した力でたたかいと党勢拡大へ」という声明を発表しているが、躍進した力で、党勢拡大へを前面に打ち出している。確かにこの文書では、安倍内閣との戦いや、大阪維新との戦いも述べているが、最大限強調しているのは党勢拡大である。それはこの見出しが語っている。「躍進した力で、国民大衆と共に『海外での戦争できる国づくり』を阻止しよう」というぐらいの見出しを書いてほしい。国民が共産党に投票したのは、安倍政権暴走を抑えて欲しいという思いからである。この国民の思いを前面に出した決意表明を行わないと、赤旗拡大の促進のために国民は投票したのではないと共産党に物申すと思われる。何かがズレている。

大阪府会議員選挙・市会議員選挙の勝者は「大阪維新の会」だ。

 今回の選挙戦の勝者は大阪においては「大阪維新の会」である。大阪都構想の住民投票が行われる大阪市議会選挙の選挙結果は、維新の大勝利である。前半戦の選挙の際、NHKの出口調査でも「大阪都構想賛成派」が52%を占めていた。


松井大阪維新幹事長は選挙の結果は「負けた」と言った。(共産党との大きな違い)

そこで共産党が言う大阪府議会選挙・市会議員選挙で共産党は勝ったのかどうかを見ていきたい。この場合大事な視点は、大阪都構想を住民投票で否決に持ち込む見通しがこの選挙結果から得られたのかが最大の総括の視点(共産党が勝ったのか負けたのかの判断基準である。)
この私の主張に違和感をもたれる方も多いと思われるが(なぜ市議会選挙で8議席から9議席に増えたのに素直に喜べないのか、へそ曲がりだ)しかし、選挙戦の結果が出たとき、大阪維新の松井幹事長は、「選挙は負けた」と発言している。大阪維新の会は今回の選挙で、府会議員選挙では、過半数に迫る42議席を確保し、大阪市会議員選挙でも36議席を獲得して圧倒的な第一党の位置を獲得した。しかし松井幹事長はこの選挙戦を開口一番「負けです」と評価した。これは橋下市長や松井知事は大阪都構想実現のための選挙戦として位置づけていたから、そのためには大阪府議会での過半数がどうしても必要であった。だから負けたといった。
つまり、政治課題と選挙の勝敗を関連づけた評価である。共産党は「『維新政治にNO!』を突きつけよう」といって今回の選挙戦に望んだ、結果は維新の圧勝であり、議員定数が減らされたこともあるが、共産党は府議会では議席数を1議席減らしている。にもかかわらず勝利したと騒いでいる。
 この場合、大阪府議会は定数削減があったから、3名でも現状維持と捉え、市会議員選挙で1名の増員を勝ち取ったことで勝利だと主張していると思われる。しかし大阪市会議員選挙でも前回選挙が維新旋風で共産党は大幅な議席減を食らっており、前々回と比べればまだまだ大敗のままである。(前々回の当選者は16名)

 今回の選挙結果
大阪府会議員選挙

大阪市会議員選挙
政党名
今回
解散時
前回
        
政党名
今回
解散時
前回
維新
42
45
57

維新
36
29
33
自民
21
12
13

自民
19
18
17
公明
15
21
21

公明
19
19
19
共産

共産
民主
10

民主
無所属
12

無所属
みんなの党





88
101
109

86
85
86

 もう少し詳しく大阪での各政党間の力関係の分析をしておく。


今回
前回
前回比

得票数
得票率
得票数
得票率
共産党
365921
11.83
361792
11.60
1.01
維新
1273291
41.16
1267695
40.64
1.00
自民党
783830
24.69
470399
15.08
1.62
公明党
331917
10.73
451846
14.49
0.73
民主党
109313
3.53
376383
12.07
0.29
その他
249616
8.07
191014
6.12
1.31

3093888

3119129



この表から分かることは、維新の得票率は前回も今回も40%を越えており、一方共産党も前回と今回はほぼ同じ票数であるが、これは維新が高止まりしているのに対して低止まりであり、この4年間で失地回復は何もできていないことをうかがわせる。
 この4年間で失地回復を行ったのは自民党であり、前回選挙の1.62倍の得票を挙げている。この奮闘のおかげで、一人区全勝を狙って維新の野望を打ち砕き、大阪都構想否決に向けての展望をかすかながら残した感がある。
 余談ではあるが、民主党は議席数においても得票数においても歴史的敗北を期しており、今後大阪の民主党の再建は荊棘の道となるであろう。
 公明党は自民党との関連で候補者調整等も行っており、この票が直接公明党の実力を現すものではない。
共産党はこの間大阪維新の会と戦うことを避けて自らの政党の躍進だけを狙ったが、そのようなずるさは府民に見抜かれ、得票数を全く増やすことができなかった。
 大阪市議会選挙(8名〜9名は勝利と言えるのか?) 次に大阪市議会選挙の結果を見ていきたい。

日本共産党9人(前回8人)
区名
定数
今回
前回
票差
前回比
得票率
得票数
得票率
得票数
得票率
浪速区
2203
11.58
2496
15.68
ー293
0.87
港区
4032
12.14
4966
14.56
ー934
0.83
西区
3010
11.12
2311
9.92
699
1.12
生野区
5705
13.76
5972
13.73
ー267
1.00
天王寺
3045
11.52
2970
12.96
75
0.89
中央区
3962
14.18
2206
8.99
1756
1.58
阿倍野
5377
11.51
5493
12.20
ー116
0.94
東住吉
6261
12.10
5510
10.04
751
1.20
平野区
10245
12.95
8145
9.93
2100
1.30
住吉区
10398
16.42
8887
14.20
1511
1.16
住之江
6401
12.31
6188
11.51
213
1.07
西成区
4632
10.61
4500
9.37
132
1.13
大正区
6617
22.92
6523
20.10
94
1.14
北区
4570
11.08
3098
8.25
1472
1.34
福島区
6224
24.95
5796
25.13
428
0.99
都島区
5250
12.87
4756
11.66
494
1、10
城東区
10671
16.17
8410
12.64
2261
1.28
東成区
3507
11.54
2532
8.27
975
1.40
西淀川
9108
23.30
8939
22.60
169
1.03
此花区
8411
31.80
7729
27.87
682
1.14
淀川区
8609
13.83
7945
13.09
664
1.06
東淀川
6983
11.13
6052
9.38
931
1.19
旭区
6431
16.53
5301
13.22
1130
1.25
鶴見区
5896
14.11
5205
12.47
591
1.13

86
147548
14.57
132030
12.99
15518
1.12
  ※票数を黄色の背景色を使った分は当選したことを現す。あと赤は大きな前
   進、青は逆に後退を現す


 前回選挙との関連では、共産党も躍進したように見えるが、前々回選挙との関連で見えれば未だ76%しか回復していない。(以下2007年選挙との比較)

日本共産党16人(2007年)
区名
定数
今回
前々回(2007年)
票差
前々回



得票率
得票数
得票率
得票数
得票率
浪速区
2203
11.58
3505
26.89
ー1302
0.50
港区
4032
12.14
6957
20.61
ー2925
0.59
西区
3010
11.12
3306
17.33
ー296
0.64
生野区
5705
13.76
8483
19.83
ー2778
0.69
天王寺
3045
11.52
2800
13.95
245
0.83
中央区
3962
14.18
3308
17.36
654
0.86
阿倍野
5377
11.51
7203
17.51
ー1826
0.66
東住吉
6261
12.10
7694
14.72
ー1433
0.82
平野区
10245
12.95
11268
13.86
ー1023
0.93
住吉区
10398
16.42
11919
20.80
ー1521
0.79
住之江
6401
12.31
8441
16.47
ー2040
0.75
西成区
4632
10.61
6108
12、51
ー1476
0.85
大正区
6617
22.92
8749
25.70
ー2132
0.89
北区
4570
11.08
5547
17.69
ー977
0.63
福島区
6224
24.95
6852
32.64
ー628
0.76
都島区
5250
12.87
6078
17.11
ー828
0.75
城東区
10671
16.17
11671
19.78
ー1000
0.82
東成区
3507
11.54
4813
17.96
ー1306
0.64
西淀川
9108
23.30
11426
30.34
ー2318
0.77
此花区
8411
31.80
7729
34.10
682
0.93
淀川区
8609
13.83
10912
19.53
ー2303
0.71
東淀川
6983
11.13
9248
15.76
ー2301
0.71
旭区
6431
16.53
6800
18.12
ー369
0.91
鶴見区
5896
14.11
7770
20.36
ー1874
0.69
89
147548
14.57
178623
19.23
ー31075
0.76
 ※この年は此花区は、候補者が定数と同じであったので、無投票当選となった。
  そのため得票数はないが、統計のバランスを取るため2011年の得票数を仮にい
  れた。
 ちなみに2007年の市会議員定数は89人であり当選者の内訳は、自民30名、公明20名、民主17名、共産16名、その他6名である。
 2007年選挙との比較で共産党は16名から9名(今回の選挙結果)公明党は20名から19名に1名減になっただけである。

最後に高槻市議会選挙の結果についてみておきたい。


  高槻市市会議員選挙は、定数34名に対して立候補者は45名と激戦になった。今回の選挙戦の最大の特徴は、大阪維新の会が大きな躍進を遂げたことと、公明党が前半戦の府会議員の得票数をさらに伸ばし、8名の市会議員団を維持したこと。 一方府会議員の選挙では公明党とほぼ同数の票を獲得した共産党が市会議員選挙ではその56%しか得票数を確保できず当選者は4名にとどまっていること(もっとも4名しか立候補していないが)さらに共産党が見のがしているが、今回の選挙の結果で重要なことは、革新無所属の2名が落選したことが重要である。
  浜田市長を自民党から共産党まですべての主要政党が支持し与党化している中で、唯一革新の立場で批判していた革新無所属の2名が落選したことは、今後の高槻市の市政運営に大きな影響を与えると見られる。
  この2名は、安倍政権が推し進める「海外で戦争できる国づくり」にも反対であり、橋下・維新の会が進める大阪都構想にも反対の立場に立つ人である。取り分けて革新無所属の女性議員は、すべての審議会等も傍聴し、自己のHPも毎日更新され、高槻市制に対して一貫して市民の立場から問題提起をされてきた。おそらく議会の中でもっとも活動的な議員であり、もっとも市民に寄り添ってこられた議員である。
 すべての政党が与党化した現在、まだまだこの2名の革新無所属議員の活躍が期待されたが、今回落選されてしまった。
  私がここで言いたいことは、共産党は議会の中で誰が見方で誰が敵かを見誤り、この人たちとともに戦い、支援していくことが重要であった。共産党は自分の党の議席のみで勝ち負けを判断しているが、もともと昔は共産党は6議席持っていたが、3名まで凋落していた。今回やっと4名に戻したが、議会での活動という面では、この二人の議員のほうが圧倒的に市民の立場に立った活動をされている。
  この2名の重みを忘れ、共産党が4名になったことだけを喜んでいるが、実際には躍進した維新の発言力が大きくなり、高槻市制は反市民的な政策変更が行われていくであろう。
 その場合、どこまで共産党が戦えるのか、私は極めて不安である。

 いま、共産党の発行したビラを見ているが、「海外での武力行ストップ、市民の願いを前に進める」「−全力を尽くしてがんばります−」「4人の市会議員団ができました」という高槻民報であるが、同じ「海外で戦争できる国づくり」に反対した人が落選し、大阪維新の会の議員が1位〜3位を独占し、1位の候補者に至っては13077票も獲得し、この票だけでも共産党を上回っている(共産党12458表)現実に何らコメントがなく、3名から4名になったことだけを喜んでいる共産党のセクト主義にあきれ返る。また共産党は票が増えたと主張しているが、わずか4票である。
  最低限、「海外で戦争できる国づくり」反対派の議員が2名落選し、維新の会への投票が前回の2倍近くある(今回26369、前回14232)ことに対して危機感を募らせ、「一層気を引き締めて革新無所属の2名の活躍を継承してがんばりたい」ぐらいの言葉が出てこないのか、常識を疑わざるを得ない。
 最近は、一点共闘や保守との共同に重点を置き、より身近な革新勢力にエールを行わない姿勢は、必ず市民から見放されていくと私は思っている。

府会議員選挙で「キミエホワイト」の販売戦略路線を踏襲した?

 さらに、高槻市委員会が今回の選挙戦で、府会議員選挙で公明党とほぼ同数であったのが市会議員選挙ではなぜダブルスコアー公明党に負けたのか、この原因の追究がぜひとも必要である。
(府会議員選挙:共産党21580票、公明党22941票、市会議員選挙共産党12458票、公明党23840票)
 私はさきの「一斉地方選挙で共産党は果たして大勝利を勝ち取ったのか?」で書いたが、府会議員の戦い方に問題があったと思っている。安倍政権や橋下・維新の会と対決して勝ち取った票ではなく、自分の個人的な思いを前面に出した選挙戦術に最大の誤りがあると思っている。今回の府会議員のとった方針は、通販でいま活躍している「キミエホワイト」というシミやそばかすを飲み薬でなくすという第三種医薬品あるが、その社長がこの製品をなぜ開発したか、それは私の母が悩んでいた。それを解決するために一生懸命開発に取り組み、このシミ・そばかすをなくすキミエホワイトを作った」というのが最大の宣伝文句である。宣伝では母親もあらわれ「私のために息子が作ってくれました」と主張する。このキミエホワイトの「キミエ」は母親の名前であるらしい。効果が疑わしい商品を、効能を明らかにするより「親孝行」というものを前面に掲げて販売促進を行う詐欺的商法だと私は見ている。これと同じ手法で府会議員選挙を戦った。ここに最大の弱点がある。
 「キミエホワイト」路線で共産党が戦うことには私は選挙を愚弄するものだと思っている。今回は安倍政権の批判と橋下批判を前面に掲げて戦うべきであった。そのことで組織した票なら、必ず市会議員選挙でも入れえてくれたはずである。
 「キミエホワイト路線」で獲得した票は共産党と全く関係なく、府会議員個人には入れても他の市会議員候補には入れない票である。こんな戦いをしていれば、政治的にはますます後退していく。 
 最後に苦言を一言
 私は選挙後発行され共産党の高槻民報の数字はいつも間違いだらけと批判しているが、今回は詳しくは見ていないが、共産党の獲得得票数が間違っている。高槻民報は、12458票としているが裏面に4名のそれぞれの票数が出ているが、それを足せば12456票である。(これは大阪民主新報も高槻市12456票としている)いつも指摘しているが、表計算ソフトを使えばこのような誤りは発生しない。未だにそろばんか電卓の世界で仕事を行っている。
 今気になったので他党派も見てみた、自民党:大阪民主新報は20856、高槻民報は20857、公明党:大阪民主新報23839、高槻民報23840、その他:大阪民主新報35685、高槻民報35687である。それで両紙とも総得票数134370票で同じである。
 おかしいので全ての政党の票を足してみた、高槻民放は134372票となり、大阪民主新報は134366票となり、合計数で六票の違いが出る。(高槻民報、大阪民主新報両方共総得票数に合致していない。いま確かに言えることは、高槻民法の134372の合計数より2票多いのは、共産党議員の足し算の誤りから来ている。)
  ただし、今回は大阪民主新報も大きな誤りをしている。高槻市有権者数:今回28555人、
前回287241人としている。4年間でこんなに人口が減るはずがない。少し点検すれば防げたミスである。(桁を一桁間違っている。)

資料:府会議員選挙のポスター(「キミエホワイト」路線)