日本共産党 最近おかしくないですか

一夜にして右傾化した日本共産党


平成27年(2015)年2月2日


「イスラム国」の解体を!・・・これが共産党の主張?

 2月2日の赤旗を読んでビックリした。これが赤旗か、右翼の新聞そのものではないかとの驚きである。
 赤旗一面に志位委員長の「声明」が掲載されている。見出しは「過激派武装組織『イスラム国』による蛮行を糾弾する。」であるが、その中身は全く納得がいかない。まず中見出しを付け「政府対応 検証が必要」と書かれ、まず「いかなる口実をもってしても許されない残虐な蛮行であり深い怒りを感じる」と書かれ、その後に3点の主張を行っている。
 一点目は、「『イスラム国』に対する基本的立場を述べている。「(国際社会は『イスラム国』を)孤立させ、追い詰め、武装解除と解体に追い込んで行くことである。日本政府の外交もこうした方向に資するものとなるべきである。
 2点目は、日本政府の対応について書いているが「政府は、2人の日本人が拘束されてから今日にいたるまで、政府のとってきた対応について、検証にとって必要不可欠な情報を公表すべきである。」
 3点目は、「今回の事件を『海外で戦争する国』づくりに利用することは断じて許さない。というものである。

 この志位委員長の声明で評価できるのは、3点目の主張だけであり、1点目の主張、2点目の主張は全く容認できない。
 まず一点目の主張であるがこの真意を読み解くには、他の紙面を読めばもっとよくわかるがまず赤旗から検証したい。三面には大きな見出で「国際法に基づき『イスラム国』包囲を」という見出しを掲げている。また2面には【主張】「国際的結束でテロ組包囲を」と見出しを掲げ、「なによりも大事なことは日本共産党の志位委員長の「声明」も指摘しているように、『イスラム国』の蛮行を阻止し、解体に追い込むための国際的な結束です。」と書いている。

志位委員長「声明」及び赤旗の【主張】のどこがおかしいのか

 私はこの主張に驚き、一般的に右翼的新聞と言われる読売新聞と産経新聞がどういう立場をとっているかに興味を抱き、買ってきて読んだが、毎日新聞を含め三紙とも「イスラム国の解体」など主張などしていない。この赤旗の主張は、安倍首相の主張より過激であり、極めて危険な思想である。(戦争を愛する右翼的思想である)
 それでは安倍首相はなんと発言したか、「ご家族のご心痛を思うと言葉もありません。政府として全力で対応してまいりましたが、誠に痛恨の極みであります。非道、卑劣きわまりないテロ行為に強い怒りを覚えます。
 テロリストたちを決して許しません。その罪を償わさせるために国際社会と連携してまいります。
 日本がテロに屈することは決してありません。食料支援、医療支援といった人道支援をさらに拡充してまいります。
 そして、テロと戦う、国際社会において、日本としての責任を毅然(きぜん)として果たしていきます。」
 安倍首相は、共産党のように、「イスラム国」の解体をめざすなどとは一切行っていない。。彼が言ったのは、「テロを憎みます、テロリスト達を決して許しません。その罪を償わさせるために国際社会と連携してまいります。」と言っているだけです。
 今回の事件で共産党の突出ぶりが、非常に目立ちます。安倍首相より過激であり、この主張こそ、「海外で戦争をできる国」づくりに繋がる思想です。
 次に2点目の主張ですが、インターネットや週刊誌が主に主張していますが、安倍首相の中東での不用意な発言(確信犯だという主張もあり・・私も確信犯を支持する)が「今回のイスラム国による蛮行を引き出した」と安倍首相の責任を追求する声が多くありますが、共産党は安倍首相の責任には全く触れず、この間の検証に必要な情報公開を求めています。
 この2点目の論点で、「いやこの検証は安倍首相の発言も含んでいる」と言われる人もおられるでしょうが、共産党の主張、「イスラム国の解体」からすれば、安倍首相批判が行われないことは明らかです。穿った見方をすれば、安倍首相より過激な発言を行い、安倍首相の不用意な発言をカバーしようとしているのかもしれません。(それぐらいおかしな発言です。)

共産党のマヌケさは、志位委員長の「声明」のすぐ下の記事に従来の共産党の主張がある

 志位「声明」の下の記事は「暴力の連鎖のぞまない」という記事であり「官邸前の哀しみと抗議」という記事を載せている。
 ここでは「許すな!憲法改悪・市民運動」が呼びかけたもの。冷たい風が吹き抜けるなか、200人が「わたしたちは報復の連鎖はのぞみません」など、後藤さんの悼み、平和を願う思いを込めたプラカードを握り締め、アピールしました。
 「誰もがお互いの違いを尊重し、平和に暮らせるようになるため、行動を続けたい」
 「(イスラム教徒の立場から)『日本は70年間戦争をしなかった。その歩みをやめないで』ほしい』と訴えました。」と参加者の声を紹介している。この記事こそ共産党の取るべき立場である。
 この記事を見て3.11後の原発問題で共産党の取った態度を思い出す。あの時も共産党(赤旗)は、原発反対運動の海外での盛り上がりや、国内でも原発反対派が5割以上いると伝えながら、赤旗の【主張】は共産党の原発政策は、「安全優先の原子力政策」だと主張したが一斉地方選挙で大負けし、やっと大衆の盛り上がりの後ろから発言し始めた。
 今回の事例も、市民団体の主張が多くの大衆の心をつかめば、また後ろからついてくるかもしれないが現状では、志位委員長の声明は、安倍首相と軍拡競争の一番手(担い手)は誰かの争いをしている姿にしか映らない。

共産党の主張が如何におかしいか、一般紙の論調を紹介しておきたい。

 まずいつもの毎日新聞であるが、一面左に「日本 問われる冷静さ」という記事を出している。この記事で「中東で日本が果たしてきたのは中立的かつ非軍事分野での貢献で、そのことが評価されてきたことは間違いない。・・・「今回の首相の中東訪問を検証する必要性も指摘されている。自民党のベテラン議員は『首相の考え方の打ち出し方や言い方は、工夫の余地がなかっただろか』と苦言を呈した。」「民主党の枝野幸男幹事長も1日のNHK番組で  
『テロに屈したと見られてはいけないが、挑発する必要はない。誤ったメッセージを送り、相手に口実を与えてはいけないと』と語り、検証をする姿勢を示した」と書いている。
 ここでも明らかなように日本の今日までの中東外交を評価し、これを安倍首相が不用意な発言を行い、今回の事件を招いたことを、自民党のベテラン議員や、民主党の幹事長の発言を引用して暗に批判している。
 ここでの重要な指摘は、枝野幹事長の「挑発する必要はない、誤ったメッセージを送り相手に口実を与えてはいけない」という主張である。共産党の「志位声明」や【主張】は正にこれに当たる。政治家としての基本的資質が疑われ発言だ。
次に読売新聞であるが、【社説】「『イスラム国』の蛮行を糾弾する」「日本人標的のテロに警戒強めよ」と見出しを掲げている。この社説の最後のまとめだけ引用したい。「中東支援の強化も重要となる。首相は、「食料、医療といった人道支援をさらに拡充していく」と協調している。
 「イスラム国の壊滅までには時間を要しようが、「テロとの闘い」の一翼を担い、その最前線に立つ中東諸国を支援するという現在の方針を変えてはなるまい。」
「今後も、欧米や中東の各国との連携を強め、地域の安定とテロの拡散阻止に努めたい。」
 と赤旗よりよっぽど常識的な【社説】である。

 最後に産経新聞であるが、この右翼的新聞と毛嫌いしていたが、赤旗の【主張】よりはましだ。一面左端に、「テロの脅しにひるむな」という署名入りの記事を載せている。基本的には安倍政権の主張の擁護ではあるが、最後のまとめは「多くの日本人がビジネスや観光で世界各地を訪れ、大勢の外国人が日本を出入りする。政府は、国内外でテロの備えを固め、テロを許さない姿勢をさらに強めて行くべきだ」これで締めている。常識的な主張である。


一般紙と赤旗の主張の違いは、「テロ」と戦うのか「イスラム国」の包囲・解体か

 上記三紙と赤旗の決定的な違いは何か、それは赤旗だけが「イスラム国」の解体を主張していることである、あとは安倍首相も、上記三紙も、戦いの対象をテロとの闘いに限定しているところが全く違う。「テロを憎む」、「テロと戦う」ということは誰もが一致できる課題であるが、「イスラム国」という擬似国家が急速に勢力を拡大し、その統治下に国民が暮らしていることも事実である。この実態を認めたく無いから政府も「イスラム国」とは呼ばず「ISIL」と呼ぶことに決めたが、上記三紙ともまだ「イスラム国」を使っている。政府のめざす単なるテロ集団という表現はいまのところとっていない。敵は「テロ」と限定し、「イスラム国」としていない。ここに安倍首相の失敗から学んでいるのである。(挑発しない)
 赤旗だけが「『イスラム国』包囲を」という大きな見出しを掲げ、さらに志位「声明」や【主張】で「イスラム国」解体を呼びかけている。正に戦争前夜の大本営発表の新聞の紙面構成になっている。もしこれが政府声明であれば、正に日本はテロの標的となるであろう。その点の配慮も出来ていない共産党の政治的音痴さに驚くばかりである。