共産党の大きな勘違いは中国問題を見ればよく分かる



令和2(2020)年3月15日

 本日のしんぶん赤旗は、一面トップで「改訂綱領が開いた『新たな視野』」という記事を載せている。内容は学習講座 志位委員長が講演という記事である。
 その中身は「この20年余の日中両党の関係の実体験を踏まえた結論」である。この志位委員長の講演は、「中国に対する綱領上の規定の見直し」について語っているが、この志位委員長の発言こそが、現在の共産党の弱点を現している。
 志位委員長は中国共産党への見方を決定的に変える契機となったのは、「2016年のアジア政党国際会議(ICAPP)総会だった」と語った事である。その批判内容の核心は、「『社会主義をめざす新しい探求が開始』された国とみなす根拠はない」と判断し、綱領から削除したのです。(注1)

注1:削除部分を下に記す。
   「今日、重要なことは、資本主義から離脱いたいくつかの国ぐにで、政治上・経済上の未解決な
    問題を残しながらも「市場形態を通じて社会主義へ」取り組みなど、社会主義をめざす新しい探求
    が開始され、人口が一三億を超える大きな地域での発展として、二一世紀の世界史の重要な流れの
    一つとなろうとしていることである。」という部分を綱領から削除した。
 この規定は中国だけを指したものでなく、ベトナムやキューバなども含む規定である。削除したことによって、ベトナムは中国と同じ判断か読み取れない。

 共産党が中国批判に決定的な舵を切ることをすでに2016年9月11日にこのホームページで批判的に取り上げた。(参照:中国共産党との決別を意識し始めた日本共産党)なぜそのことが分かったのかは、9月5日付けの赤旗「『クアラルンプール宣言』日本共産党のとった立場」という記事が掲載されたからである。(この記事を読んで共産党の対中国方針が変わることを予測した者が他にいたかは把握できていない。)
 なぜ分かったのか、それは共産党の同盟国の共産党の決裂の基準が、日本共産党の見解を相手側が認めなかったことを基準に判断しているからである。
 日本国民は中国をどう見ているか、とうの昔から中国を社会主義国と見ていない。それは共産党と判断基準が違うからである。日本人は中国が中国人民にとって幸せな国か、共産党の一部特権階級だけが幸せな国かを基準に判断している。さらには人権問題や、尖閣諸島周辺の我が国領海内に公船が侵入してきて日本を脅かすような行為を見て判断している。この判断基準のズレが、共産党と国民の意識のズレになっていることに共産党は気づいていない。
 そもそも考えてほしいのは、「アジア政党会議」(ICAPP)なるものを日本人の何%が知っているか、さらにはその宣言作成に当たって、日本共産党が中国共産党から虐められたというような話を何人が知っているかである。恐らく1%にも満たないと思われる。そんな話を出してきて、中国共産党が社会主義を目指している国でないことが分かったと説明しても全くの説得力がないことになぜ気づかないのか?
 この国民目線からはずれた共産党の自己満足の姿が、国民から見放されることに繋がっていることを分からない幹部は、政治家失格だと私は思う。
 私の言うことが嘘だと思うなら、一度市民アンケートを取ってみてください。
@アジア政党国際会議(ICAPP)を知っていますか、A共産党の主張と中国共産党の主張とどちらが正しいと思われますか?おそらく99%以上の人が「分からない」と答えると思います。
 共産党から見れば、それが決定的な分岐点であっても、国民から見ればそれが決定的な分岐点と思われない話をなぜ前面に出すのですか?まさに独りよがりの領域です。

この間の国会論戦で共産党の議員の優秀さは際立っている。なぜこれが支持率に繋がらないのか?

 「桜」めぐる問題では、田村副委員長を始め、宮本議員、大門議員の追及、森雅子法務大臣の支離滅裂答弁に対する藤野議員、山添議員の追及など非常に優れた論議をされています。
 国会での共産党議員の活躍が相当テレビでも放映され、日本共産党の議員が優れた人材だということは一目瞭然です。しかし支持率は一向に上がりません。なぜ支持率が上がらないのか、もっと謙虚になり民間の調査団体に任せ客観的に調べ、対応していくことが重要です。
 なぜ支持率が上がらないかはこのHPでも何回も書いていますが、私の判断では偏見だと思われるので、民間の調査機関に出して、客観的な意見の集約をする必要があります。共産党はそこで批判意見が出ればすぐに「反共攻撃」と反応されると思いますが、その視点を捨てて、謙虚に受け止め対応することなしに共産党の支持率は上がりません。
 共産党が従来からの方針でいくら頑張っても支持率は上がりません。「れいわ新選組」は明らかに支持を伸ばしています。ここから学ぶことは大きいと思います。その度量がなければ、共産党の支持率は上がらないと思っています。
 
 今回私が中国問題を取り上げましたが、これも支持率を上げない一つの要因です。「中国が社会主義国ではない!」は一歩前進ですがそれが「アジア政党国際会議」での中国が取った態度が決定的と言っている限り、支持率向上にはつながりません。「国民の幸せを追求せず、共産党の幹部が自分たちの利権を追及していた」と日本国民が思っている気分感情に合わした理由で批判しない限り、せっかくの英断が何の利益も生まない、空振りで終わってしまいます。

私のHPの記事
@中国共産党との決別を意識し始めた日本共産党(平成28年9月11日)
A赤旗の中国報道は明らかに変化(平成28年11月7日)
B共産党27回大会決議(案)は、中国問題、自衛隊の扱い、原発問題に注目点がある(平成28年11月23 
 日)
C赤旗の中国報道は明らかに変化(中国批判を強めている。)(平成28年12月26日)
D共産党 10年遅かった「中国は社会主義を目指している国」か否かの判断(令和元年11月10日)


蛇足:「桜を見る会」及び「検察官の定年延長」問題で、官僚たちの答弁を見る機会が増えた。そこで感
   じたのは、東大出の官僚たちが理屈にもならない理屈で答弁する姿をいっぱい見てきた。そこには
   生活感がない絵空事のオンパレードである。
    共産党も同じ過ちを犯しているのでは?国民目線に立った議論をしていない。「アジア政党国際
   会議」(ICAPP)といったら国民は理解してくれると思っている。それは東大出のエリートだから
   承知している案件で、国民の多くはその件に何の興味も持っていない。