和泉市選挙結果について


  なぜ和泉市の市会議員選挙は惨敗したか(得票率12.03%から9.86%ヘ)

     選挙を科学としない共産党幹部の古ぼけた思考の結果である


 9月9日投開票された和泉市議会選挙で、共産党は、改選前の3議席は維持したが(前回は4名立候補し、3名当選、今回は立候補3名)、得票総数は8463票から6709票となり1754票減らし、得票率は12.03%から、9.86%に落とした。

 赤旗は、この結果を一面で「いわき市で4氏全員当選」、「大阪・和泉市で3名全員当選」と伝えている。(いわき市に便乗して、あたかも勝利したように伝えている。)しかし和泉市の市会議員は、前々回は4名当選し、前回1名落選、今回は最初から3名の立候補と手堅い戦術を取ったに過ぎない。得票数では1754票減らし、前回比約2割の票数を逃がしている。深刻な事態である。

  この和泉市の政治状況は、未だに政党化が進まず(自民党・民主党の候補者が全くない状況)で、政党は公明党と共産党だけになっている。(大阪維新の会の候補者がいないのも異例である)公明党と共産党の力関係は、議員数は公明党5名、共産党3名であるが、獲得票数は、公明党15100票に対して、共産党は6709票(公明党比44%)であり、公明党が圧倒的優位な状況にある。(公明党と共産党の比率は大阪ではだいたい2対1である。その平均を下回っている。・・下記参考資料高槻市・枚方市参照)

ただ、今回の選挙の、1位当選者が、4年前(2008.5.25)に飲酒運転で人身事故を起こして、市役所を首(?)になった前歴があり問題のある候補者であった。またその政策は、橋下・「維新の会」的なスローガン(市役所に民間経営ノウハウを積極的に導入や議員定数・議員報酬削減)を掲げて当選している。2位の当選者が覆面レスラー(何かと噂のある?)であったことは、特異な選挙結果を示している。

  さらに今回の選挙は1位から5位までに、新人が4人もおり、3位は、現職、4位は公明党新人だが、5位は解放同盟の役員であった。

また前回選挙では、民主党議員が3名当選していたが、今回は民主党を名乗らず無所属(政党隠しで)2名出馬したが落選している。(民主党はゼロに)全体として、少し特異な選挙戦になっている。

この状況を捉え、赤旗は、「参院で「ノー」を突きつけられた消費税増税談合3党への強い批判のなか、民主党名を名乗らず立候補した2人の現職候補が得票を大きく後退させ落選、議席を失いました。また自民党推薦候補も得票を減らしました。」書いているが、公明党は前回得票数を上回っており、必ずしも三党合意が否定されたといえない。票が減っているのは自民・民主だけでなく、共産党も減っているこのことを真剣に捉えるべきである。

やはり橋下・「維新の会」の政治的影響を受け、既成政党に対する不信が広がっている。この不信の対象は共産党にも及んでいることをしっかり分析・把握しておかないと、この渦の中で完全に埋没する。

この選挙結果の特徴は、上位5名の内4名は新人であった。また政党では公明党のみがこの5名の中に当選者がいる。既存政党(自民・民主)は、候補者すら立てられなかった。公明党と共産党は立候補したが、公明党は前回票を上回り、共産党は2割落としたところにある。

これらの結果は地元の特殊事情によるものと思われるが、私はこの地域の政治状況は全く把握できていない。あくまで選挙結果と新聞やインターネットの等の状況から判断している。

大阪全体を見れば、橋下・「維新の会」による、既成政党タタキは、自民・民主だけでなく共産党にも及んでおり、他地域での維新候補者が立候補した事例を見る限りでは、共産党がそのあおりを一番受けている。

共産党は橋下・「維新の会」と戦うと口では言っているが、有効な戦いを全く組織できておらず、どんどん追い込まれているのが現状である。(共産党の政党としての性格は、最も改革派であるべきなのに、現状の共産党の政策は改革のイメージが無く、「安定志向」に満ち溢れている。橋下・「維新の会」は名前からして「革命・改革」の党のイメージである。)

※国語辞書を引くと<「詩経」大雅の文王から。「維(こ)れ新(あらたなり)の意」>1.すべてが改まって新しくなるこ
と。特に政治や社会の変革。 2.明治維新のこと。御一新。

  和泉市議選党派別開票結果                             (表1)

 

得票数・率

当選数(立候補)

 

今回

前回

今回

前回

 日本共産党

6709

9.86%

8463

12.03%

3 (3)

3 (4)

 公明党

15100

22.19%

14998

        21.32%

0

0

 民主党

0

0

6938

9.86%

0

3(3)

 無所属

46243

67.95%

39953

56.79%

16(21)

13(20)

 合  計

68052

100.00%

70352

100.00%

24(29)

24 (32)


※ この票は「ザ選挙」から引用した数字で作成。

 上記結果から何が読み取れるのか                           (表2)
 

 

得票数

前回との差

 

今回 20012年

前回 2008年

票数

 日本共産党

6709

8463

-1754

79.27%

 公明党

15100

14998

102

100.68%

 民主党

0

6938

−6938


 無所属

46243

39953



 合  計

68052

70352

-2300

96.73%

この結果を見れば明らかなように、今回の選挙で共産党の獲得した票数は、前回の79.27%であり、約2割の票を逃がしたことになる。(箕面市では3割減であった。これは維新候補がいたからである。)これに対して公明党は前回比100.68%を獲得しており、総得票数が−2300票の中で、得票数を伸ばし、議席数に変動が無く勝利をおさめている。(立派というほか無い。)

 この約2割の票の減少の原因はいろいろあると思うが、底流には、大阪全体の衰退と同じ理由があるように思われるが、ただ、維新候補の立候補が無い中で、2割減は深刻である。

 ただ和泉市の共産党の政治的水準は、高槻市に比べ相当高い水準を維持している。市会議員のホームページを見ても、選挙用の政策を見ても高槻市とは雲泥の差がある。

 何が優れているか。

1.市政をチェック
  ○同和行政の完全凍結
  ○議会のチェック機能強化、議会改革の推進

 2.国にハッキリいいます
  ○消費税の実施を阻止
  ○原発再稼動反対、原発ゼロをめざす
  ○憲法9条の改悪許さず
     世界に誇れる平和憲法を守る。

 と共産党の立場の主張ができている。この中で注目すべきは、議会の中での共産党の役割を主張し、更には憲法を守る、原発再稼動反対など、死語になりつつある共産党の政策をしっかり主張している。(高槻市の共産党は完全与党化している。)大阪ダブル選挙の政策や、大阪民主新報を見ていて、大阪全体がピンボケになったと思っていたが、大阪府の南西部で、まだしっかりした政策を掲げている党があったことには驚きを覚えた。(高槻市は京都にも近く、政治面では先進都市だと思っていたが、そうでないことがわかった。)

参考1:和泉市と同日に戦われた「いわき市の選挙結果」

 いわき市の選挙結果(赤旗1面:いわき市で4名全員当選

                                                           (表1)

 

得票数・率

当選数(立候補)

 

今回

前回

今回

前回

 日本共産党

13986

10.35%

14197

8.72%

4(4)

4(4)

 自民党

53634

39.67%

71330

43.80%

16(17)

20(21)

 公明党

17405

12.87%

16836

10.34%

4(4)

3(3)

 民主党

7862

5.82%

13894

8.53%

2(3)

2(2)

 社民党

6204

4.59%

8475

5.20%

2(2)

2(2)

 無所属

36098

26.70%

38106

23.40%

9(11)

8(12)

 合  計

135189

100.00%

162838

100.00%

37(41)

39(44)

 和泉市と比較すると政党化が進んでおり、しかも自民党が圧倒的議席占有率を有している。議員定数減の中、議席を増やしたのは、公明と無所属、減らしたのは自民党である。政権党である民主党の勢力は小さく、社民党と同議席数でしかない。

 

 上記結果から何が読み取れるのか 

前回選挙との得票数の推移      (表2)

 

得票数

前回との差

 

今回 20012年

前回 2008年

票数

日本共産党

13986

14197

-211

1.63%

自民党

53634

71330

-17696 

-4.13%

公明党

17405

16836

569

2.54%

民主党

7862

13894

-6032

-2.72%

社民

6204

8475

-2271

-0.62%

無所属

36098

38106

-2008

-3.30%

合   計

135189

162838

-27649

-16.98%

 全体の得票数が前回の83.02%の中、共産党はほぼ同数を得ており、得票率では1.63%増やしている。公明党はここでも強く唯一得票数を延ばしている。共産党との比率では、1.25倍の力を有している(大阪での2倍から見れば、その差は小さい)。

 民主党は共産党の約56%しか獲得しておらず、社民党にいたっては共産党の約44%しかない。(しかし、全国的な衰退の中健闘している方である。) 民主党は壊滅的打撃を食らっているように思われる。 

 全体としては、大阪でのこの間の選挙と違い、明らかに共産党は善戦している。これは、3.11の震災で原発がメルトダウンし、生命の危機にさらされている状況下の選挙で、震災後の共産党の活動が評価されているのだと思う。(おそらく大阪のような「安全・安心・やさしさの・・・」のようなピンボケのスローガンで戦っていないと思われる。)

参考2:(箕面市の選挙総括に載せた他市の動向)

  以下参考に一切地方選挙で敗北した高槻市と枚方市のデータを添付する。これらの分析の上戦うべきであった。

1.高槻市議会選挙(5議席から3議席へ)                      (表1)

 

得票数

前回との差

 

今回 20011年

前回 2007年

票数

 日本共産党

12452

14495

-2043

85.91%

 維新の会

14231

 

;

 自民党

14069

22042

-7973

63.83%

 公明党

26273

26756

-483

98.19%

 民主党

16697

14034

2663

118.98%

 諸派・無所属

60803

61000

-197

99.68%

  合   計

144525

138327

6198

104.48%

 この選挙結果の特徴は、維新の風が吹いても鉄壁なのは公明党である。前回選挙比98.19%の票を獲得している。ところがこの風に一番吹き飛ばされたのは共産党である。前回選挙比85.91%である。

 

 2.枚方市議会選挙(6議席から3議席へ)                      (表2)

 

得票数

前回との差

 

今回 20011年

前回 2007年

票数

 日本共産党

15769

18788

-3019

83.93%

 維新の会

8915

 


 自民党

17379

13359

4020

130.09%

 公明党

31416

32956

-1540

95.33%

 民主党

40648

35828

4820

113.45%

 諸派・無所属

31275

46066

-14791

67.89%

  合  計

145402

146997

-1595

98.91%

 この高槻市の選挙結果と枚方の選挙結果はほぼ似通っており、これが現在の共産党の置かれた立場である。私は公明党との対比の中で共産党を見ていくことが、共産党の今後を見ていく上で大いに役立つと見ている。

 この選挙結果から分かることは、公明党はここ30年ぐらいの間に共産党の2倍の国民の支持を得られる政党に躍進した。

3.箕面市の選挙結果

     箕面市議選党派別開票結果                             (表3)

 

得票数・率

当選数(立候補)

 

今回

前回

今回

前回

 日本共産党

4102

9.64%

5645

11.34%

2(4)

4(4)

 維新の会

7743

18.20%

4(4)

 

 自民党

2745

6.45%

2192

4.41%

2(2)

1(1)

 公明党

5631

13.24%

6218

12.50%

3(3)

3(3)

 民主党

2639

6.20%

6288

12.64%

2(2)

3(3)

 諸派・無所属

19676

46.26%

29416

59.12%

10(18)

14(21)

  合   計

42536

100.00%

49759

100.00%

23(33)

25(32)

   前回選挙と今回の票数の推移                                 (表4)

 

得票数

前回との差

 

今回 20012年

前回 2008年

票 数

 日本共産党

4102

5645

-1543

72.67%

 維新の会

7743

0

7743


 自民党

2745

2192

553

125.23%

 公明党

5631

6218

-587

90.56%

 民主党

2639

6288

-3649

41.97%

 諸派・無所属

19676

29416

-9740

66.89%

  合  計

42536

49759

-7223

85.48%

※詳しくは、「なぜ箕面市の市会議員選挙は惨敗したのか」参照