参議院選挙結果についての共産党中央委員会常任幹部会の声明がだされた。



令和4(2022)年7月13日


参議院選挙の結果について
  2022年7月11日日本共産党中央委員会常任幹部会

 相変わらず共産党の選挙戦の総括は間違っている。


1.選挙戦の総括は「勝ち負けを」しっかり見極める必要がある。
   今回の選挙の場合歴史的な大敗北である。
2.なぜ負けたのかその原因を科学的検証の上発表すべきである。
3.どうすれば巻き返せるのか今後の展望を語るべきである。
4.党幹部は敗北の責任を取り辞職すべきである。

 現在思いつくままに書いたが、他の政党はこれくらいの事は当たり前にしている。共産党だけが負けた選挙でも、いろいろ理屈をつけ、あたかも勝ったような分析を行い、選挙戦術の変更をおこなわない。
 この悪循環を繰り返している限り共産党に未来はない。

 共産党の選挙戦術は何が間違っているのか?その最大の弱点は、選挙戦の勝利を勝ち取る保証は赤旗拡大にあるという誤った定義にある。言葉を換えれば、赤旗拡大路線が選挙戦の戦いをダメにしている最大の癌である。そのことに気付かない限り、共産党の選挙戦での勝利はない。

選挙戦は勝ち負けを明確にし、その理由をしっかり分析を行わなければならない


1.今回の選挙は歴史的な大敗北である。その理由は以下に述べる。

 (1)選挙戦の獲得目標は何であったのか?
   目標は650万票、10%代の得票率を獲得することであった。しかし結果は、361万8342票、得票率6.8%であ
  る。目標の650万票の55.66%である。得票率10%を獲得できたのは京都12.0%、高知14%の2府県だけであ
  り、5%に満たない府県が16府県もある。これらの県の幹部は本当に10%獲得できると思って対応していたのだ
  ろうか?目標と結果がこんなに違っていたのでは、選挙後の活力が湧いてこない。
 (2)何故、負けたのか?その最大の癌は選挙戦を赤旗拡大運動にしているからである。
     共産党の幹部はよっぽど頭が悪いのか、選挙戦での勝利の保証は、国民の「要求は、何か」を適切に把握
   し、それらを政策化して戦うことである。さらには国民から見て信頼できるという候補者を立てることである。党
   のロボット的な候補者には票は入らない。
    それぞれの候補者に魅力が無ければならない。今回の選挙では、政策論争で完全に敗北した。

 @共産党は歌を忘れたカナリアになってしまっている。
    戦うべき敵は何なのかを語らなくなってしまった。先の衆議院選挙戦で明確になった4つのチャレンジとい
   う政策(これが共産党の堕落を決定的にした)4つのチェンジに掲げた政策は、「@新自由主義の転換」、
   「A気候変動打開の政治」、「Bジェンダー平等の日本」、「C9条に基づく平和外交」を選挙戦の争点に掲
   げました。
    この4つのチャレンジの特徴は、敵を明確にすることを避けています。この時点で共産党は敗北している
   のです。
  参議院選挙に向けた辰巳コウタローの宣伝ポスターにも、政策は「@9条生かす外交へ」、「A気候危機とめる」、「Bジェンダー平等」、「C消費税下げる」、「カジノストップ」です。この政策が如何に間違っているかは、公明党のビラと比較すればすぐにわかります。公明党は「@経済を再生し、賃金アップと雇用拡大」、「A全世帯を守る社会保障の構築を!」「3平和と安全保障に全力」という三本柱を掲げています。
 この共産党の政策と公明党の政策を見れば、公明党の方が優れています。共産党は経済問題を「新自由主義の転換」と書いています。公明党は「賃金アップと雇用拡大」と書いています。共産党の政策は、東大出の社会経験のない学力バカが書いた政策です。「新自由主義の転換」と言われて、何を言いたいのか分かる人は5割以下だと思います。「賃金アップと雇用拡大」は誰にも分る言葉です。自分の書いた方が正しいと共産党は思っていると思いますが、労働者階級の党であるはずの共産党が評論家になってしまい、公明党の方が労働者の気持ちを代表しています。

本日付け(赤旗1面)を見て共産党の「バカ丸出し」の記事が載っています。


 一面トップ「国民は改憲に"信任"与えず」という記事が載っています。そこの有権者が最も重視した政策という図表を載せています。「@景気・雇用拡大30.2%、A年金・介護・医療15.7%、B子育て・少子化対策11.1%、C物価対策7.4%、D外交・安保5.8%、E改憲4.7%、F財政再建3.6%、Gコロナ対策3.5%、Hその他18.2%」という図表を出し、この選挙で改憲を望んで投票した者は4.7%過ぎないという記事を書いています。
 しかし、より重要な事は有権者が最も重視したことと、共産党が掲げた政策が全くマッチしていなかった事が暴露された。(自ら暴露した)共産党が重視した「気候危機打開」や「ジェンダー平等」は国民の要望にカスリもしていない。国民は@景気雇用対策、A年金・介護・医療、B子育て・少子化対策であった。

  A参議院に相応しい候補者を育てていない、あるいは打ち出し方が出来ていない。
前回の参議院選挙で、比例区の獲得票数と当選した候補者の票数比較を行ったがやはり当選者は個人票を持っている。
前回第25回選挙(2019年7月28日)
 氏   名  選挙区  得票数   比例区   倍率 比例区の上乗せ
吉良 よし子
 東京    706,532      651,338   1.338倍  当選
倉林 明子  京都    246,436      167,302   1.473倍  当選
辰巳コウタロー  大阪    381,854      334,452   1.142倍  落選:個人票が少ない

今回第26回選挙(2022年7月10日)
 氏    名 選挙区   得票数   比例区   倍率  比例 前回比
山添 拓  東京    685,421   589,421  1.163倍        90.49%
武山 彩子  京都   130,260   123,993  1.050倍       75.00%
辰巳 コウタロー  大阪    337,467   265,986  1.269倍       79.53%
 ※参考




福山 哲郎  京都   275,140  128,874   2.152倍      92.12%

※当選者は山添 拓一人、辰巳孝太郎は前回より健闘しているが、基礎票の減数に引っ張られている。
  参考に京都の福山氏の事例を挙げたが、福山氏は私が主張する「選挙の票は政党票半分、個人票半分から成り立っている」の典型例である。彼は京都の立憲票の減少(前回比 92.12%)にも拘わらず個人票で当選している。それに対して共産党の武山彩子氏は、個人票が殆どなく比例票の上澄みが出来ず敗北している。
  共産党は国会での議員を増やしたいのであれば、それにふさわしい人物の開拓が必要。
 赤旗拡大からは、絶対に未来は切り開かれない。

最後に共産党の「参議院選挙の結果について」批判しておきます。


1.「この後退を常任幹部会として、こうした結果になったことに対しては、責任を深く痛感しています。」と書いてい
  ますがどのように責任を取るのか明らかにしていません。
2.原因は結局、常任幹部会が情勢を見余ったとか、掲げた政策に誤りがあったとか、戦い方に不十分なことが
  有ったとかは具体的に話されず。結局は「赤旗の拡大が目標に達していなかった。私たち幹部は適正な呼びか
  けをしたが、末端の党員がその通り動かなかった。」といつもの総括を行い、捲土重来の為に、赤旗拡大を行お
  うという叱咤激励のみの繰り返しを行っている。
3.何が問題かを見つめないで、いつも同じ総括をして、本当に共産党は国民に信頼される党になりえるのでしょう
  か?私はもう共産党は抜本的改革をしない限りじり貧を免れないと思っています。
4.共産党の復活は、国家権力との戦いを明確にし、その要望を実現する戦いの先頭に立たな い限り信頼回復は
   できません。国民に寄り添い、政治に対する要望は何かを見極め、実現に向かって戦わない限り国民の信頼は
   取り戻せません。
    権力にすり寄り、政権の一角を狙って、当たり前の普通の党を目指していけば、共産党には何も魅力があり
  ません。

   れいわ新選組は消費税「ゼロ」を求めています。チャンネル桜に集まってくる右翼の人びとも消費税「ゼロ」を
  叫んでいます。なぜ共産党は消費税「5%」なのですか、魅力・迫力が全く見えません。労働者の戦いはどうなっ
  たのですか?賃金闘争の支援すら行わないのですか?内部留保の1%を譲ってくださいという共産党の姿は惨
  めです。労働者の権利としての賃金闘争を支援してください。公明党の政策に賃金値上げがあるのに、共産党
  の政策に賃金闘争支援がなぜないのですか?この姿勢が見破られています。硬い支持層が離れて行っていま
  す。今回の選挙で支持率10%を目指しながら6.8%ですよ!屋台骨が完全に破滅しています。まだ気づきませ
  んか?赤旗拡大で党を大きくするやり方は既に破綻しているのです。
   この路線が破たんすることは確実です。世間全般として新聞と言うものが時代遅れになっています。今の若者
  の情報源はSNSです。時代に取り残された新聞によりそって党勢拡大を行うことは不可能です。
   さらに世間一般では、〜みんなちがって,みんないい〜「金子みすゞ」の詩が世間に受け入れられつつありま
  す。共産党のような上意下達の組織形態は、軍隊でしか見られない思想です。共産党の成長を妨げているの 
  は、この組織形態にあります。民主主義は反対派の少数意見も受け入れることを基本としています。上からの
  命令にみんな従うという組織は、すでに民主主義社会で育った者には受けいえがたい組織形態です。この組織
  形態をやめ少数意見でも尊重される党活動を認めた時に共産党は再度咲かすことは可能であっても、選挙で
  いくら負けても勝っていると強弁し、赤旗拡大しか方向性が見いだせない組織に魅力はありません。
   今回の参議院選挙の結果は、当分巻き戻しが出来ないほどの大敗北です。比例区での6.82%という数字は、
  大阪で見れば第6回参議院選挙(1962年)の東中 光雄の140,658票(6,96%)に類似する水準です。60年前の
  成績に陥りました。1962年から60年かけて気付きあげて来た共産党の陣地を、ほぼ崩壊させました。この深刻
  さが分からず「大阪維新にさよなら」というような標語を立てて戦っていますが、現状では選挙のたびに後退し、
  大阪維新の強大な牙城が築かれつつあります。
    今回の選挙で大阪維新が取った票は、大阪では38.8%(前回は35.1%)彼らは確実に前進しています。どの
  選挙でも前進し、後退はありません。これに手を付けない限り共産党の発展はありません。

5.共産党が絶対に勝てない理由、非科学的な根性論で引っ張っている。(カルト集団のように見える場合がある)
   共産党5中総 志位委員長が結語 (2022年6月4日(土))カルト集団丸出しの結語(以下に引用)
  「参議院選挙必勝大作戦」で、組織活動でテンポを7倍にしようと提起したことが衝撃的に受け止められている
  と指摘。「ここまで来たからにはテンポを7倍にアップして、やろうじゃないか」という決意として返ってきているとし
  て、「大逆流を押し返してきた流れを飛躍させて、組織活動の7倍も本当にやり切る決意を固めたい」と述べまし
  た。
    このような発言の危うさに気付いていない。まさにマインドコントロールでありカルト集団の手口だ。私は今ま
   でに何回も書いたが、学生時代寺前巌氏が京都2区に立候補し、あと一息ですと党幹部が演説を続け、皆の
   尻をひっぱたいて、疲れている皆を引っ張りまわした。ところが選挙の蓋を開けてみたら、圧倒的な1位当選だ
   った。その際私の後輩は立命館大学に泊まり込一生懸命選挙活動を行っていた。この後輩が、この勝利を喜
   ぶと思ったが、この彼は喜ばなかった。指導者の無責任な言葉に振り回されたことに裏切られたという感情が
   湧いた。彼の喪失した姿は今でも覚えている。無責任な指導、「はっぱをかける」ことの危険性をその時学ん
   だ。
    共産党に言いたい。この時7倍ガンバルと言った者は、本当にガンバッテ成果を上げたのか。一人のバカ
   の発言か、それとも仕込んだのか?疑問に残る。選挙結果を見ても大敗北である。このような手法を意識的
   に持ち込んだとすれば、これは共産党の世紀末を表している。
    強固な党の建設は、こんな方法でやるべきでない。危険な表れである。それに志位委員長が絡んでいる点
   も気になる。人間の力量には限界があり、7倍も頑張れるはずがない。これを発言した者をいさめるのが常識
   ある態度である。
参考記事
1.参議院選挙総括 大阪編: 令和元年8月2日
2.参議院選挙総括 資料編: 令和元年8月2日
3.共産党は総選挙の総括が出来ていない(敗北が認められない)歴史的検証が必要: 令和4年1月2日
4.間の抜けた共産党の参院選挙政策(公明党と比較すればすぐにわかる): 令和4年6月20日