政権に近づかんために、批判的精神(視点)を失った共産党(赤旗)


令和2(2020)年5月11日


政権に近づかんために、批判的精神(視点)を失った共産党(赤旗)


 昨日付(5月10日)赤旗「PCR検査 新方針」『37.5℃4日間』を削除」という記事を見てびっくりした。
 赤旗はこの「PCR検査 新方針」の記事で、政府批判を行わず、擁護した記事を掲載した。政府はPCR検査を妨害(4から5日は自宅待機)したことは一切なく、保健所や患者本人が誤って理解したと加藤厚労相は大見えを切った。
 赤旗は、見出しで「PCR検査 新方針」「『37.5度4日間』を削除と書き、中身は「『37.5度』という数字の印象が強く、感染を疑われる人が相談・受診を過度に控えているとの指摘がありました。」と書いています。この言葉は加藤厚労相の言った言い逃れの文言です。つまり4日〜5日待機したのは、受診者(国民)の勘違いであり、政府はそのような指導をしていないという加藤厚労相ウソを擁護しています。
 毎日新聞(5月8日「金」)はどう書いたか「『37.5度4日以上』→『高熱感じたら』」「PCR 目安見直しへ」と見出しを書き、「目安はPCR検査(遺伝子検査)の前提とされ、基準に満たない人が検査を受けられないケースが続出。軽症者の病状が悪化して死亡する事案も起き、政府の専門家などから見直しを求める声が上がっていた。」と書かれている。
 毎日新聞は、国民側が勘違いしたとの立場はとらず、この指針に問題があったという立場から書かれています。さらに具体的にそのため死亡者すら出している、見直しに追い込まれたという視点で書いている。
 また、毎日新聞はこの記事に対する【解説】を加え、その見出しに「幅広く感染者を把握」と書いています。記事は「不安に思った人が医療機関に詰めかけ、院内感染や混乱を避けるため、この時点では『37.5度以上の発熱が4日以上』の基準にも一定効果があった。」(中略)検査を受けられないままに容態が急変、亡くなった後に感染が判明したりするケースが相次いだ」と書かれている。
 この記事は何で当初は検査を絞ったのか(妨害したのか)、この検査方向が破たんしたので指針を変えたことを明確にしている。(責任は政府側にあるという認識)
 赤旗は国民が勘違いして検査に来なかったために、勘違いが起こらない方法に変えたというぐらいの記事。この共産党の間抜けさにはあきれ返る。

勘違いなどではなく、PCR重視派とPCR検査否定派がいることを前提に考えていない。

 昨日チャンネル桜(水島社長)の番組を見ていた。司会が居鳥一平、出席者は有本香、石平氏であった。有本香はバリバリの右翼であり、弁がものすごく立つ。私が見ている感じではチャンネル桜の社長水島総氏は右翼でも安倍総理とは完全に袂を分ったが、有本氏はいまだに安倍べったりの人だと見ている。石平氏は中国出身なので中国情勢に詳しい。
 その有本氏がPCR検査について語った際に、お昼のワイドショー等テレビを批判した。その内容はPCR検査が必要だの合唱になりつつある。あんなもの必要ないのに、テレビは全く論点をずらしている。すでにテレビは必要ではなくなった。このようなときにはNHKと政府広報みたいな局を作って、一日中政府の主張を流せばよいと語っていた。なぜか右翼はPCR検査を極端に嫌がっている。(単に安倍政権の方針がそうだから、それを支持しているようにも見える)。右翼のこの問題に対する動向は、「私のHPも「新型『コロナ』に対する共産党の主張は何か、明確な主張ができていない」でも触れている。
 もう一つ彼女が指摘していたのは、テレビのコメンテータが「韓国に学べ」と言っていることに腹を立てていた。もし外国に学べというのなら、「台湾に学べ」というべきだと主張していた。
 もう一点蛇足だが、毎日新聞が新型コロナウイルス問題の対応で「最も評価している政治家を一人挙げてもらった。」(5月8日付)その結果「『コロナで評価』吉村氏首位」を話題にしていた。有本氏はやはり吉村氏を誉め、西村氏をピントはずれと批判していた。面白かったのは、この動画を流している最中に同じ投票行動を行い、リアルタイムでその結果を報告していた。その結果は驚くべき数字で吉村知事を挙げる者が79%、安倍総理が19.6%、小池都知事を挙げる者は1%しかなかった。有本氏は吉村氏を認めるとともに安倍首相の評価が2割であることを嘆いていた。小池氏の1%は突き放している感じであった。
 ここから分かったのは、右翼は小池百合子知事が嫌いらしい。参考に毎日新聞の結果を付けておく。毎日では吉村知事188票、小池百合子知事59票、安倍晋三首相34票であった。10位まで書かれているが、小池晃書記局長7票で6位、志位和夫委員長が5票で8位を占めている。野党では共産党だけが入っている。(立憲や国民に比べ共産党の評価が高かった。元維新の橋下徹が志位氏と同票8位で入っているが)

PCR検査が進まなかったのは、国民が勘違いしたという主張に辛坊治郎氏が批判を行った。

 これには驚いた。9日放送の日本テレビ系「ウェークアップ!ぷらす」(土曜・前8時)で辛坊治郎キャスターは、新たな相談の目安を発表した際、「国の発表で今までみなさんはそう思っていたのは勘違いですって・・・いや勘違いじゃないだろ・・びっくりしましたけど」と指摘した。
 その上で「こういう時に私、つくづくおもうんですけど『今まで医療崩壊を防ぐため意図的に抑えてきました。本当にみなさんご迷惑をおかけしました。ご協力ありがとうございました』ぐらい言って、『ちょっと余裕が出ましたので範囲を広げます』ぐらい言えばいいのに・・・。なんで言わないんだろう?」と疑問を投げかけ「勘違いって言われたときに椅子から転げ落ちそうになりましたからね。何を言っているんだって話ですが」とコメントした。
 今回の新たな目安について加藤厚生労働大臣が8日、記者会見で「目安ということが、相談とか、あるいは受診の一つの基準のように(とらえられた)我々から見れば誤解でありますが・・・」など発言している。(スポーツ報知より転載)
 安倍さんにべったりの辛坊治郎氏がこのような発言を行い、スポーツ報知がこれを重大なニュースと捉えている時、我が「赤旗」は、加藤厚生労働大臣の話が、「嘘だ」ということすら気が付かない。(気が付いているのに言わないのならもっと深刻である)

最後に植草一秀氏の主張を載せておきます。(本来の「赤旗」が言うべきセリフです。)


 発熱4日持続は誤解と嘯く加藤厚労相は罷免(植草一秀)『知られざれる真実』)

 ウイルス感染を疑い、「帰国者・接触者相談センター」に相談した者の95%が受診すら拒絶され、
96%がPCR検査が受けられなかった。厚労省は「帰国者・接触相談センター」に相談する「目安」、「基準」を明確に定めてきた。(中略)

 「帰国者・接触者相談センター」は基準に当てはまらない患者に対しては「帰国者・接触者外来」での受診紹介を拒絶してきた。このため新型コロナウイルス感染の確認が遅れ、急激に重篤化して死亡する事例が多数発生した。
 志村けんさんも岡江久美子さんも、このような人命無視の取り扱いがなければ命を落とさず済んだと考えられる。(中略)

 誤解ではなく、実際に行政機関において、この「基準」、「目安」に準拠した運用が行われてきたのである。
 OECD加盟国36か国のなかで、日本の人口1000人当たりのPSR実施件数は第35位の1.8人である。OECDの平均値23.1人の10分の1にも届いていない。第1位のアイスランドの135.0人の75分の1だ。
 PCR検査を抑制=妨害する基準を設定してきておいて、「誤解」と主張する人物にコロナ対応の陣頭指揮を委ねることはできない。
 即刻罷免するべきだ。

 この歯切れの良さが共産党にはない。辛坊治郎氏が加藤厚労相の話を聞いて、「椅子から転げ落ちそうになった」と言っているのに、赤旗は加藤厚労相の立場を擁護する立場で記事を書いている。(既にこの感覚が日常化している。悲しいことだ。)