東京都議会議員、大阪府会議員オウンゴール連発


平成26(2014)年7月3日


東京都議会議員、大阪府会議員オウンゴール連発

 これを見逃せば共産党への信頼は失われる


★まずは、東京都議会

  私のHPは、共産党に対する批判を「馬鹿」という言葉を使うから「品位」がないと批判されているが、「馬鹿」という表現以外に言ようのない失態が続いている。
  東京都議会については、すでに「東京都議会議員の人権侵害ヤジについて」で取り上げたがその主な主張は、自民党の女性に対する人権侵害ヤジが行われたのに、その場で異議を唱えず、自民党の居直りに手を貸した。(議場では、全ての会派が誰もその場で異議を挟まなかった)。
 その後マスコミが騒ぎ出し、この問題が社会問題になると、赤旗もこの問題を取り上げるが、最初は人権侵害と捉えず、セクハラヤジの次元で捉え、「都議会の適正な運営の問題」として提案していた。しかもその際に、今までにもっとひどいやじもあった(放射能を浴びた方がいい)という大山とも子幹事長の談話を発表し、都議会においてはそのようなやじが常習化しており、今まで黙認してきたことを認めるような発言を行った。(この発言は今回のやじを免罪するものである)
 最終段階に始めて、やじを飛ばした議員の辞任要求を行っているが、最初からこの問題提起を行うべきであった。

★大阪府会議員のビラ(集団的自衛権)はさらに問題

  7月1日閣議決定に合わして、府会議員の宮原たけしレポートというビラが赤旗に織り込む形で1日の朝、我が家に配布された。その内容を見てびっくりした。このビラは閣議決定に反対してその抗議のために発表されたものと思われるが、内容は安倍首相の主張を盛り込み、集団的自衛権支援ビラに成り下がっている。

景気回復のために賃上げを!(宮原レポートはこれまでも問題だらけ)

 私はここ1〜2年この宮原レポートの問題点を何度となく取り上げてきた。つい最近の宮原レポートは大阪の経済をよくするためには、賃上げが必要と書き、そのためには大企業の労働者の賃上げ、164万人、さらには最低賃金の時間給1000円以上を行えば250万人の賃金が上がると書かれていた。この164万人と250万人を足すとほぼ大阪の労働人口に匹敵し、これで経済がよくなるという主張である。このビラの誤りは、賃上げは、景気回復のために行うのでなく、労働者が人間らしい生活を行うためにその権利として獲得するものである。この原則を放棄している点が気になるが、さらに最低賃金以下の労働者が大阪に250万人いるといウソの数字の取り上げる「デタラメさ」である。私の計算では最低賃金が時給1000円になった場合、その恩恵にあずかるのは大阪では約46万人である。そうすると共産党の賃金政策は残り約200万人対しては何も語っていないことが、自ずと明らかになる。この点については、「大阪府会議員団長宮原たけし氏の馬鹿げた主張」を参照してください。

「中国の軍事挑発」にどう対応するか(宮原レポート)


 今回は、集団的自衛権の問題です。このビラの最大の問題点は、集団的自衛権に反対の立場から出したビラであるのにもかかわらず、安倍さんの主張をそのまま擁護した主張を行っている点である。具体的に何を言っているのか、それは「中国の軍事的挑発には世界と協力した外交で」という見出しを掲げたことである。
  集団的自衛権がなぜ必要か、安倍内閣が主張しているのは、「中国の軍事的脅威から日本国民を守るため」である。この主張と同じ「中国の軍事的挑発」という文言(主張)を共産党の発行するビラで主張する「馬鹿な奴」がどこにいるのか?私は大いに疑問に思う

「中国脅威論」はアメリカも日本政府も共産党も同じ立場?

  共産党はいつから「中国脅威論」=「中国の軍事的挑発」という情勢分析を行っているのか?共産党は本当にこのような政治的立場に立っているのか?私はそのように理解していない。(私の認識不足かもしれないが)もし、共産党がそのような立場に立つのなら、安倍内閣ともアメリカとも情勢認識は共有することになる。
現にこの見出しの中で宮原府会議員が語っているのは、「アメリカも『日中対立は話し合で』と中立的立場です。」とあたかもアメリカが平和を愛する国のように描いている。そうではなく、アメリカは尖閣列島問題で中国と日本が争い、その戦争に巻き込まれることが自国の利益にならないと見ているだけである。
  尖閣列島における中国との緊張関係を、一方的に中国が悪いと決め付けることには問題があり、しかもそれを「中国の軍事的挑発」という視点で語ることはさらに問題がある。中国自身も日本で言うところの海上保安庁という次元での示威行動でしかない。(相手の行動が現時点でどの程度なのか正確な議論が必要である。)
 あるいは、防空識別圏(以下、ADIZ)を指して、「中国の軍事的挑発」という言葉を使っているなら、これも的外れである。このADIZは、1945年の敗戦と共に、米軍が日本全国にレーダーサイトを設置し、1959年に米軍から空自に移管されたものである。このAZIZの設定自体は、どの国も一方的に設定を行っており、中国が今回これを設定したから軍事的挑発だというのは全く筋違いの議論である。
 ただ中国が後から設定し、しかも日本側の設定している範囲とかぶさっていることが軍事的緊張を高めていますが、これはお互いに話し合い、一定のルールの確立が必要ですが、一方的に中国が悪いという性格の問題ではありません。中国側から見れば日本のAZIZの設定そのものが軍事的脅威であり、やっと中国もそれに対抗するAZIZの設定を行い、自国の防空識別圏を守る体制が出来たという感触でしかないと思われる。
  日本側の主張は、戦後の一方的に設定した軍事的既得権の「死守」を宣言しているだけでしかなく、中国が台頭してきた現在の状況に相応しい、AZIZの確立に取り組むべきです。
この事態を捉えて、「中国の軍事的挑発」という位置づけ「中国脅威論」の扇動を行えば、安倍政権の目指している戦争できる国へと国家の有り様の根本を変える策動に手を貸す、極めて危険な論議である。集団的自衛権反対に立ち上がっている多くの国民を裏切るものである。

「中国脅威論」と「中国は社会主義を目指している国」は並立できず論理矛盾

  私は、共産党は、ここでいう「中国の軍事的挑発」という言葉は未だ公式には発言していないと思っている。さらには「中国脅威論」もアメリカや安倍内閣が作り出した虚構であるというのが共産党の基本的立場だと理解している。民主党政権も「中国脅威論」は取っていなかった理解している。
  もし、共産党が、「中国脅威論」の立場に立ち、「中国が軍事的に挑発」しているという立場に立つのであれば、共産党は、「中国は社会主義を目指している国」という規定そのものの撤回をしないと、論理矛盾に陥る。資本主義に対する社会主義の優位性は全くなくなり、中国も侵略国家ということになってしまう。他国への侵略は帝国主義国の本質だと説明してきた論理は崩壊し、資本主義国も社会主義国も、他国への侵略の野心は同じことになってしまう。
  社会主義の優位性をすべて投げ出し、その上で社会主義への国民の理解を求めてもそんなものは徒労に終わり、絶対に成功はしない。
  共産党は、「中国脅威論にたって、中国の軍事的挑発と闘う」ことを党の方針として何時決定したのかそれを明確にするべきである。その際、中国はそれでも社会主義を目指している国だという根拠示すべきです。私はこの二つの論理は共存できないと考えている。
  もしそうではなく、この府会議員が誤って理解し、安倍首相の中国脅威論をいつのまにか信じ込んでこのような発言を行ったものであれば、私は来年度の府会議員選挙の候補者から外すべきだと思っている。
  党の方針を理解せず、安倍首相の主張を党の主張であるようにビラで国民に配布するというのは明らかに党に対する背信であり、国民に説明がつくものではない。集団的自衛権が閣議決定されるという一番重要な日(歴史的に残る重大な日に)「中国の軍事的挑発」という安倍内閣に主張を共産党のビラで宣伝したことは重大な問題と思うが、いまの共産党ではなんでもありの世界ですか?
  私はこれを見逃せば、党への信頼はますます失うと思っている。これに対する共産党の対応を注視していきます。
 

PS:私はこれまで、「中国は本当に社会主義を目指す国か」という視点から中国の社会主義とは
   相容れない蛮行(自由と民主主義や民族問題など国内問題だけでなく、他国に対する大国
   主義的対応については批判してきた。)しかし「中国の軍事的挑発」という言葉は使ったこと
   が無い。この発想は安倍内閣の中国脅威論に屈服し、アメリカに屈服した共産党の惨めな
   姿である。
     私は一方的に中国を批判しているのではなく、このHPでも「程永華・中日大使の寄稿  を支持する。」との文書も載せている。宮原レポートの「中国の軍事的挑発」とは明らかに一
  線を画す。