森友・加計学園疑惑で安倍首相のアキレス腱は何か?


平成29(2017)年12月29日

赤旗12月29日号の共産党副委員長・参議院議員田村智子氏の「加計」疑惑発言に問題あり


 赤旗12月29日号は「加計」疑惑という大きな見出しで「焦点は?」「国会論戦を振り返る」という記事を載せている。共産党の副委員長で参議院議員の田村智子副委員長(以下「田村氏」という)に聞くと言う形式で記事は構成されている。
 中見出しは@「4条件」を審査対象外にA「『加計』幹部と首相秘書官」「官邸で面接か」B「事業者決定前の15年8月」内閣府、加計訪問C行政ゆがめる「戦略特区」”私物化”の仕組みD「反響読んだ共産党の質問」「野党連携強めて」となっているが、読んでみて「違うだろう!」という疑問が沸く。

森友・加計疑惑は、「安倍夫妻における疑獄事件だ」と暴くことが大切。

 この二つの疑惑は、安倍夫妻が非常に大きくかかわっており、そのことを暴くことが最大の課題である。国会で安倍首相は「私も妻もこの件には一切かかわっておらず、もしかかわっていたら総理も国会議員もやめる」と啖呵を切ったことによりこの問題が大きくクローズアップされた。
 赤旗の記事は、行政側の手続き論を問題にしているだけで、「安倍夫妻の関わりを暴露する」ことや、加計学園のあやしさを追及することを全く行っていない。この間赤旗を読んでいて最大の問題は、常に問題の核心に触れず、安倍首相を追い込む記事が書かれていないことである。追及しているように見せながら、相手が痛くも痒くもない記事を書いている。この実態は何なのか正に赤旗まで「忖度」しているのかと思われる。

籠池夫妻が拘留5か月・・この事態が安倍政権の独裁化を示している。

 昨日の夕方4時58分の6チャンネル「キャスト」という番組でコメンテイターの大谷昭宏さんが、籠池氏の不当拘留に触れ、「時の権力者に逆らったものが監獄にぶち込まれる」このような権力者の意のままに国民を監獄にぶち込むような事を行っているのはアジアでは中国と北朝鮮と日本だけだと主張しました。
 この問題は自由党の山本太郎議員が12月5日参議院内閣委員会で取り上げています。以下その内容を引用します。
 「私は、森友学園の教育理念には賛同しませんが、籠池夫妻の長期勾留には反対です。憲法違反ですし、「日本は中世の国」という海外からの評価をさらに強めてしまうからです。保釈したら、マスコミに対して要らぬことをべらべら喋り、テレビ・新聞・週刊誌がその話題で持ちきりになり、安倍内閣の内閣支持率が凋落することは確実ですが、だからといって、不都合な人物を物理的に社会から隔離し、くたばるのをひたすら待つようなやり方は言語道断です。現在の日本は、悪魔という名の権力者に支配されているのでしょうか?警察・検察関係者は罪悪感を感じているのでしょうか?」
 この追及こそが今必要であり、安倍内閣の最大のアキレス腱です。籠池氏の長期拘留には何ら法的根拠がなく、安倍首相の意向が働いているのか、「忖度」が働いているのか、きわめて異常なことが行われています。
 なぜ共産党はこれを追及しないのか、共産党系の弁護士がなぜ声を上げないのか私は不思議でたまりません。
 赤旗の一貫した立場は、籠池氏を詐欺師として認定し、籠池批判の記事を書き続け、詐欺をした人(悪人)が長期拘留されるのは仕方がないことだと捉えているのだと思います。しかし赤旗は民主主義・人権ということに無関心であり、民主主義は誰に対しても平等でなければなりません。山本太郎議員が言った「私は、森友学園の教育理念には賛同しませんが、籠池夫妻の長期勾留には反対です。憲法違反ですし、『日本は中世の国』という海外からの評価をさらに強めてしまうからです。」という発言こそが民主主義を守るものの立場です。  
 いくら敵対する相手であっても、法に反し弾圧があればそれと戦うことが必要です。
 学生時代に読んだ話で詳しくは覚えていませんが、「私は君の主張には反対だ、しかし君がその主張によって弾圧された場合、私は命を懸けて君を守る」というような考えを読んだとき、これが民主主義者という人の立ち位置だと感心した覚えが有ります。
 安倍政権の最大のアキレス腱は、籠池夫妻を5か月間も不当に拘留していることです。これは、籠池夫妻の爆発的な発言力に怯えているからです。彼らの言うことが全くの嘘であったら、安倍首相は恐れる必要はありません。籠池氏の発言の中には安倍夫妻の犯罪立証に関わる重要な証言が含まれているのです。
 今共産党がやることは、籠池氏の不当拘留を大々的に取り上げ、日本の民主主義が「中世レベル」にまで後退していることを訴えることが、この問題の本質をあぶりだすのに最も有効な戦いであることを共産党は気づくべきです。

田村氏の発言不可解であり、安倍首相弁護になっている。

 結論を先の書いてしまいましたが、田村智子副委員長の発言の誤りを丁寧に拾っていきたいと思います。
 まず@の「『巧妙』”加計隠し”」という記事ですが、「何を言っているのか良く分かりません」。全くの余談ですが、この言葉は漫才のサンドイッチマンの「ギャグ」らしいです。昨日初めて知りました。私もこの言葉をよく使うのでビックリしました。
 田村氏の主張は、石破4条件を審査の対象外として審査されたと主張し、大学設置・学校法人審議会(以下「審議会」という)は、この申請が加計学園だと知らされず審査した。と述べています。
 長くなりますが、田村氏の主張を引用します。
「加計学園が事業者として応募したのは今年1月です。事業者が決まっていないのに4条件をクリアしたとされたことで、加計学園の獣医学部構想が4条件に合致しているかどうかの審査は必要ないとされたのです。
 4条件に関係なく、大学設置基準法の最低ラインさえ超えていれば新設できるという本当に巧妙な加計隠しでした。」と書いています。注1

注1:「加計隠し」という言葉は、一般的に以下のような文脈で使われています。
    安倍首相の"腹心の友"が理事長を務める加計学園の獣医学部新設をめぐる問題 8月末 に「認可
   保留」を下したが、開学に向けて今治市のキャンパス建設は着々と進行 森友 学園や加計学園問題
   を追及されたくないのか臨時国会での冒頭解散に打って出る.
    つまり、かけ学園疑惑がが安倍首相に繋がることを防ぐ策動が「加計隠し」という言葉で表され
   ています。
 
 加計学園問題で、今までこのような「加計隠し」議論を聞いたのは初めてです。問題の本質は安倍氏と加計孝太郎の関係です。安倍氏が自分の身内を優遇したか否かが問われているのであり、手続き論に矮小化して「加計隠し」の議論するこの立場は容認できません。
 田村氏の主張は「審議会は今年の1月まで審議されている学校が加計学園だということを知らなかった。」その状態で審議していた。と読めます。(これは安倍首相が加計学園が事業主体を知ったのは今年の1月だと言う発言と見事に附合しています。)
 審議会が審議している案件が加計学園だと知らなかった(田村氏の主張)が事実であれば審議会に安倍首相の意向は働いていなかったということを証明する発言です。しかしこれは事実でしょうか?
 田村氏は、審議会のメンバーが議論している案件が、加計学園であることを知らなかったことを如何にして立証されたのか、明らかにするべきです。

矛盾する田村氏の主張(審議会は加計学園と知らなかった。)

 田村氏の発言は矛盾しています。記事の見出しBの事業者決定前の15年8月では、「これまで加計学園幹部が、15年6月に開かれた国家戦略特区ワーキンググループ(総理が本部長、民間人10人有識者として参加)に出席して発言していたのに、議事要旨から隠されていたことが明らかになっています。」「今回はそれに加えて内閣府幹部と加計学園の接触が明らかになりました」と書いています。( )内の濃い文字は私が加筆した。
 つまり今回の獣医学部が加計学園問題だという認識は、15年6月以降はみんなが共有していた事なのです。(安倍首相も当然そうです。)安倍首相が「私が知ったのは1月です」と答えたのはその間ゴルフを加計孝太郎氏と頻繁に行い、食事も重ねたので、贈収賄疑惑が出ることを恐れ、1月に初めて知ったと答弁したにすぎません。
 この1月発言に波長を合わす田村氏の発言、(審議会は審議している内容が加計学園だと知らなかった。・・「加計隠し」だった。)は理解に苦しみます。

記事の「D反響を呼んだ共産党の質問」は本当か?

 森友・加計学園問題を系統的に見ている人にとっては、通常国会での共産党の指摘は何ら新しい指摘は無く、すでに明らかになっていた事実を改めて取り上げただけである。共産党の指摘の一番弱い所はそれぞれの核心をついていないことである。以下突くべき核心を書いてみる。
【森友疑惑】
 この問題では、籠池氏の不法拘留を第一番目に取り上げるべきです。この不当な拘留がなぜ行われているのか問い続ければ、多くの国民は安倍政権のいかがわしさに気づくと思われる。
 第二は、価格交渉は行っていないと言う財務省の答弁の嘘を徹底的に暴くことが必要です。国と籠池氏の交渉内容も音声テープも出ており、しっかり書き起こし、その矛盾を突くべきである。すでに東京新聞(12月20日付け)は相当細かく事実関係を明らかにしている。赤旗は2歩も3歩も遅れている。

【かけ学園疑惑】
 加計孝太郎氏の交付金詐欺問題を徹底的に洗い出すべきである。すでに市民団体が取り組んでおり、裁判も始まっています。籠池氏は交付金詐欺で不当に長期間拘留され、それよりも莫大な交付金詐欺を計画していると思われる加計孝太郎をこのまま逃がしてしまえば、安倍首相はセーフになる。
 公の前に一度も顔を出さない加計孝太郎が「正義の人」でないことは明らかである。彼は学校を次々建て交付金詐欺で延命している。正に自転車操業である。
 最近新たに発覚したスパコン詐欺「ページ社」関連企業の巨額詐欺事件(国から100億円超の金を受け取っていると言われている)も同じである。この間の怪しげな事件は全て安倍お友達の関連事件である。
 面白いことにこのスパコン詐欺に、なんとあの元TBSの記者山口敬之氏が絡んでいるという。(逮捕されたスパコン社長の会社「日本シンギュラリティ財団」の事務所は登記上、山口敬之氏の実父の家屋である、)この男は、強姦事件で逮捕寸前に、安倍人脈で逮捕を逃れている。この強姦事件は不起訴になったが、民事訴訟が行われいるが、裁判当日にスパコン詐欺の主犯が東京地検特捜部に逮捕され、公判には出席しんなかった。(逃亡した。)
 余談であるがこの山口という男は「総理」という本を出版し、東京の大手書店でベストセラーだと言う。しかしその大半は安倍首相自身が買い占めているとおまけ付きの話もある。(1千万円で買いあさっていると言う)
 このように問題山積の男を、権力から引きづり落とすことが必要なときに、行政の手続き論に瑕疵があったみたいなことを最大の問題として加計疑惑を語る間抜けさにあきれかえる。