日本共産党第26回大会決議案批判(第5回)


平成25(2013)年12月2日



  第5章は、躍進を支える質量ともに強大な党建設であるが、この党建設がうまくいかない。選挙は時々躍進することがあるが、党建設は完全に長期低落傾向にある。それは党建設の課題設定や取り組みに根本的弱点があるからである。以下具体的に見ていきたい。

党建設と財政問題を切り離さない限り、強大な党建設はできない

 
  党建設と財政再建が一体の課題としてあり、財政再建の為には党建設は不可欠の課題になっている。赤旗を増やさない限りこの党は持たないというシステムを築き上げてしまった為に、党員は年がら年中赤旗拡大に追い回される。
  今回のような26回大会に向けた赤旗拡大の特月刊「大運動」が設定され、毎日日報(成果報告)を挙げることが義務付けられ、ブラック企業以上の「労働強化」の中で働かされる。これら大運動は一定成功した装いを見せるが、おそらく26回大会終了と同時に、大幅な減紙が舞い込み元の木阿弥になる。この繰り返しを行いながら党は疲弊し、だんだん「大運動」だと党中央が笛吹けど踊らずの状況になっている。

拡大運動がマンネリ化し、党員自身が悪のりしている(うまくかわしている)

  このとんでもない世界を悠々と泳いでいける者と、真剣に取り組み、行き詰まり精神的にもおかしくなる者が発生し、党を去って行く者もいる。それらの者の中には、その後も党の支持を続ける者もいるが、党に対して自らの人生が破壊されたという思いで、共産党攻撃に走る者も少なからずいる。共産党の悲劇はここにあると思っている。現在社会の矛盾に目を向け、社会変革に燃えて立ち上がった人々に、その展望を示し切れず、ただ赤旗拡大をすれば世の中が変わると信じて拡大に全勢力を費やすが、自分が10部や20部赤旗拡大を行っても、社会全体の構図は全く変わらず、その展望が見えない。だんだん元気が失われていくのが現状と思われる。
  私はこの共産党の姿は、大手生保会社が生保レディーを大量に雇い、当初は親戚縁者を生保に加入させるが、その後は行き詰まり止めていく姿になぞらえて批判している。共産党は党員拡大を行いながら、それ以上の党員を失って行っている。(注1)
  2012年5月に9万人の党員を除籍したという発表があったが、その比率は全党の22%にあたる。これだけ大量の党員が未結集になるには、党活動そのものに欠陥があると捉えるのが、組織を束ねる者の役割であろう。党員を消耗品のように捉え、大運動で2万人の党員を拡大したら、その人たちが友達や親戚縁者を赤旗拡大してくれ、強大な党建設ができるという考えかたは、生命保険会社と同じ手口である。このような一人一人の党員を大切にしない党建設をいくらやっても強大な党建設はできない。
  共産党に入ると言うことは、自分の生き方を変えると言うことである。これからはどんな迫害があろうとも、世のため人のため生きる決意をして入ってくるのである。その人たちに責任を持たず、簡単に除籍していく。こんな運営では組織は育たない。一人の脱落者も生まないそれぐらいの決意で組織は運営されるべきである。この気概が全く感じられない。

注1:全国活動者会議(2012年5月)で、党員の大量除籍について以下のように報告があった。「2中総決定が提起
     した『実態のない党員』・・全国的に9万人を超える離党措置がとられ、党員現勢は5月1日現在、31万8千人と
     なりました。(2012年5月24日 「全活」幹部会・志位報告)

党勢拡大運動期間の乗り切り方(A君から教えてもらったこと)

 私は、党員拡大は得意であったが、赤旗拡大は得意でなかった。いつも会議である人(仮にAとする)に、自分は赤旗をこれだけ拡大したが貴方はどれだけ拡大したかと攻め続けられていた。私は一人一人の支持者を日常的にその意識を変えて行き、党員へと導いていた。赤旗拡大は党中央が設定した期間内に拡大しなければならない、地道に支持者を育てている(暖めている)のに、党の都合に合わせて拡大なんかできないと反発していた。
 そんな私にAは、いつも赤旗拡大で自分が勝っていると迫ってきていたが、私がやめてから1年後ぐらい後にAも離党した。Aは、私に話があると近づいてきた。その時のAの話を聞いて私はびっくりした。Aの話は「赤旗拡大などしても世の中は変わらない。赤旗拡大は党の中で出世するために必要であった。しかもあの拡大はみんなウソであった」と告白した。Aが言うのは「3人ぐらいお得意さんを持っていて、拡大月刊になれば取ってもらう、その後すぐに切ってもらってまた拡大月刊に拡大する。自分はその繰り返しを行っていただけである」「党内にいたときは君の主張は間違っていると指摘していたが、本当は君の主張が正しい」とAは言ったのである。この話を聞いて、私は赤旗拡大が思うように行かず、常に悩んでいたことの馬鹿らしさを感じた。このような人たちが党の中枢を締めているのだと思い愕然とした。
 この私の小さな経験は、党内に蔓延している思想であると思われる。拡大月刊では数あわせで躍進し、その後は減紙の山になる。私に事実を話してくれたAが特異な人でなく、多くの党員がこの手法を続け、党中央をある意味ではだましている。(どうしても拡大が迫られる為に、入れたり出したりしてノルマをやりきる、あるいは自腹で1〜2ヶ月乗り切るこんなことがおそらく蔓延していると思われる。)こんなことをしていても何も得るものは無い。党に対してウソをつくことが、日常の活動形態になってしまったら、革命政党としての値打ちは全くない。


共産党の資金難は、役に立たない中央委員の人件費が大きすぎる?

  正直共産党はお金で行き詰まっていると思われる。中央委員や名誉中央委員などが大量にいて、その人たちに現役で地区幹部としてがんばっている人よりたくさんお金をもらっているらしい。あの大勢の中央委員は一体何をしているのかよく分からない。(最近名誉役員等を相当減らしたと聞いたが)他の政党に比べて、自分でお金を稼がない幹部が非常に多い。(中央委員が197人+名誉役員が53名(25回大会選出)いるが、それぞれ何をしているのかは特定の者以外は公表されていない。)この非効率さが共産党の財政を困難にしている。(日本の他の政党と比較しても人件費の大きさは比較にならない。)
  私は政党助成金をもらい、お金と党建設を切り離し、もっと地道に党建設を行った方がよっぽど党の躍進につながると思っている。

共産党が躍進できないのは政治的力量のなさからきている。

 赤旗拡大が進まないからではなく、赤旗拡大が進まないのも政治的未熟さに原因がある。


  強大な党建設の議論を行うと、いつも「卵が先か鶏が先かの議論にぶつかる」党中央は、党建設は独自の課題であって、特定の期間集中的に取り組まない限り成功しないという。私は、党は大衆運動を組織し、大衆とともに闘う中で党の裾野は広がると思っている。大衆運動がまず先だと思っている。事前に市場拡大あるいは畑を耕しておかないと、収穫物は得ることができないと言う主張を一貫して言ってきたが、党の「官僚」達は、赤旗拡大が先だ、赤旗が増えれば選挙で勝てると主張する。赤旗1部で選挙の票が何部になり、これは統計的に示されており、まず、最初に赤旗拡大だという。しかし、この特別月刊方式は、最初は成功したが、すでに機能しなくなった事は明白な事実である。(注2)
 
注2:先の衆議院選挙前に共産党は特別月刊を1年以上続けたが、赤旗の拡大は進まなかった。さらに参議院選
    挙では久しぶりに躍進したが赤旗拡大は依然として進まない。9中総では、前大会比で日刊紙86.5%、日曜版
     84.1%であり成果支部は33.1%と報告している。また党員では2万人の拡大目標(8中総)に対して1952人目標
    比で9.8%でしかない。

地区党組織は大衆運動を指導する力量を持たず、赤旗拡大みを追いかけている。

私は全くうがった見方をしているが、この赤旗拡大が事のはじめだという人達は、運動論を全く持たず、大衆を組織することのできない人が、「拡大をすれば世の中が変わる」という極めて簡単なフレーズで革命を語っていると捉えている。(地区党組織の幹部はその程度でしかない)総じてどうしようもない人がバカの一つ覚えのように赤旗拡大を唱え続けている。この馬鹿げた党建設論が党を弱体化させている。
この私の指摘に対して、「反共攻撃だ!」あるいは「侮辱している」と怒るだろうが、私がこの間地区党組織と対話してきた率直な感想である。(注3)

注3:私が「原発政策」について地区党に誤っていると問題提起していたが、地区党は全く答えられず、5月1日メー
     デー会場で志位委員長が、「原発ゼロ」を主張したが、高槻市の共産党の地域ビラは5月15日付けで発行さ
     れているにもかかわらず、「安全優先の原子力政策」と書いていた。私はこのビラを見て抗議の電話(「あなた
     方は赤旗拡大が最大の武器だと言いながら赤旗を読んでいないのか」と追求した)を入れたが、後日その問
     題を再度追求した際、私の抗議電話は4月中の電話だったと強弁した。
       しかし地区党の間抜けさは、私が抗議した際、次のビラは原発ゼロを書いていると弁明し、そのビラをファ
     ックスで送ってきている。そのファックスに自動的に送付日付(5/15)が入っている。

  地区党組織に政治的力量がない実態を党中央に挙げる任務を持っている地方の幹部は、それをすべて握りつぶし、赤旗拡大の方針が出たら、大賛成ですとみんな声を上げる。しかし現実には進まない。それでも党中央から赤旗拡大の指令が出るたびに、まさしく党中央は情勢あったすばらしい方針を打ち出した。我々はこれに呼応し全力を挙げてやり抜こうと、末端の党員に呼びかけ、締め上げる指導を行っている。
  その結果が全く出ないと言うことは、赤旗に商品としての魅力が無いのか(注4)、あるいは拡大方針(方法)に誤りがあるのではと言うのが普通の感覚であるが、共産党は中央委員会の方針に誤りがあるという論理はあり得ず、幹部は正しい方針を出したが、末端の党員がその重要性が認識できず成果が上げられなかったと総括されてしまう。
 問題は常に末端の党員の責任になる。こんな総括を繰り返していて、本当に党員が理解し、今以上の躍進が得られると思っているのかその常識が疑われる。

注4:赤旗は全くおもしろく無くなっている。赤旗記者の政治的力量を疑う。例えば、石破紙のデモは「テロ」発言を
    赤旗と毎日の記事を比較してみれば明らかに毎日新聞が優れている。赤旗は、「石破氏暴言繰り返す」「市民
    運動「テロ」呼ばわり」という記事を書いているが、毎日は、「石破発言「自民が馬脚」」各地で反対集会・デモ
    という記事を掲載している。赤旗の記事は客観的報道であるが、毎日の報道は運動の観点から見ている。し
    かもこの活字の大きさが全く違う赤旗は14ポイントぐらいの活字だが、毎日は28ポイントぐらいの活字である。
    今テレビで知ったが、東京新聞は一面トップ記事である。(すべての記事は、12月2日朝刊)
        また、モーニングバードアイを見ていたら、ジャーナリストの青木理さんが、秘密保護法の中のテロの定義は
   「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要し、又(また)は社会に不安若しくは
   恐怖を与える目的で人を殺傷し」となっているが、これでは政府の政策に反対することまでテロに含まれてしま
   う危険性がある。石破氏はこの立場から発言していると批判し、法案は「『又は』でなく『かつ』とすべき」と主張
   していた。(こうした視点が赤旗には全くない。)

このサイトはこうした共産党の実態に危機感を感じて立てて立ち上げた。

 私は3.11の震災以降の一斉地方選挙や、大坂ダブル選挙で共産党の一挙手一投足をウオッチングし、その問題点をこのサイトに書き連ねてきたが(大阪府委員会のバカ10連発、高槻市委員会のバカ10連発:参照)、共産党が躍進できない理由は赤旗拡大が進まないからではなく、政治組織としての未熟さにあると思っている。もっと悪く言えばカルト集団のような組織形態になっていることが、支持拡大できない理由になっている。
 何がカルトかは、共産党の幹部の言うことはすべて正しく、世間一般の常識は「反共攻撃だ」という主張で跳ね返し、他者から学ぶ姿勢が全く見られない党の体質である。
 政治戦線で、政党が勝利するカギは何か、共産党以外の政党は「機関誌の拡大」と位置付けていないのに、共産党に取ってはこれが真実だと思い込むところにすでにカルト化している。
 政治的な勝利は政治的な力量で決まる。共産党は赤旗拡大に全勢力を使い、個々の党員の政治的力量や、市会議員の政治的力量には全く無関心である。私は行政内部からそれぞれの政党の力量を見ていたが、革新無所属が最も力があり、次に公明党に力がある。党として最も力が無いのが共産党である。(お粗末この上ない)

世代継承が行われていないのは、民主集中制という組織原則の弊害

(26)全力をあげて世代継承のとりくみに力をそそごう
 民主集中制の組織原則は、各地区党委員会は何も考える必要が無い組織である。すべての方針は、党中央委員会で発表され、地区委員会はその方針に基づいた点検が主要な任務である。選挙戦でもビラは中央から送られてきたビラを撒き、地域で自主的にビラを作る必要が無い。市会議員選挙でも、中央のビラや、地区のビラが優先し、個々の候補者のビラというものにお目にかかれない。ポスターの図柄まで皆同じ、つまり地方の地区機関や市会議員は何も考える事を必要としていない。(昔批判されたCMに「私作る人、貴方食べる人」と言うのがあったが、党中央は考える人、他の党員は実践する人と使い分けているところに共産党の発展が無い。私は現役時代にも党中央に意見書を出した事があるが一切回答を得られず、地区の事務所に『取扱注意』と朱書きされ無造作に放置されているのを見たことがある」)
 極端な話をすれば、市会議員は地区党財政の確立に欠かせない人物でしかない。第4章の「とんでもない議員が現れたが、彼は大きな問題を引き出した」
で述べた、上納金300万円を拒否した議員に対して「党の議員としえの役割を果たしてほしい」はまさにこれを指しており、この収入抜きには党運営ができないのが実態だと思われる。
 「世代継承の取り組み」こんな事を党中央が言わないとできないところに、それぞれの県(府)委員会や、地区委員会の力量のなさがうかがわれる。自らの組織に何が求められているかを見る目があれば、当然そのことに取り組みが行われる。
 1970年代、大阪の衛生都市は高度経済成長にあわせ、人口が急激に増え、役所にも多くの大学卒が採用され、すくなからずの党員が毎年採用されるという現象があった。  
 役所も党もこれら大卒をどう扱うかの課題があったが、役所では、村役場時代に採用された古い感覚の人たちが上層部を構成し、行政課題としては、都会化して新たな課題が多く発生していたが、それに対応できずにいた。ところがその役所より古い感覚を持っていたのが党組織であった。赤旗の拡大だけを追求する組織であれば誰でもつとまり、一般的能力水準の低い者が地区党幹部を引き続き占有してきた。
 高度成長期に相当数の大卒の党員が市役所や教員に採用されながらも、地区党委員会はそれらを吸収して発展していく党作りを怠った。ここに共産党の政治水準の低さがあると私は見ている。
 私は役所に勤めていたが、役所はこうした大卒の力を遅ればせながら次第に吸収し、近代化を図ったが、党はこれらの者を全く吸収せずに終わった。
 この私の経験は特殊な経験かも知れないが、多くのところで同じような事があるのではと思っている。組織の近代化が全くできていない。結局は、党中央の方針に何も疑問を感じない人で構成した組織は一見強そうに見えるが、何も考えない人からは、創造的な発想は出てこないし、おもしろくも何もない。ここに党の衰退がある。

中央集権で育った幹部は批判にさらされた事がなく、人間として成長していない。

(27)党機関の指導の改善・強化、体制の強化について
党は資本主義社会の常識から学ばなければならない。オリンピックのプレゼンテーションで「お・も・て・な・し」と言うのが宣伝され、流行語大賞の候補にもなっている。党に果たしてこの感覚があるであろうか?この日本人の特性である「おもてなし」の思想は、観光業界でも注目されており、海外からの旅行者を招く上でも大きなセールスポイントになると言われている。
 私は、共産党の各級機関に3.11以降15通の「意見書」を出したが、全く反応せず(党中央は1回だけ「受け取った後日対応する」というメールをくれたが、それ以降は何も言ってこなくなった)
 府会議員は大学時代の友達であったから、執拗にメールを入れ、受け取ったぐらいの返事をするのは、当然の儀礼であろうと追求してきたが、その本人から手紙をもらったが、書き出しは「私は貴方が思っているような暇人ではありません」でした。これが共産党の対応です。最低限「いろいろ提案していただいてありがとう、現在は選挙中であり、回答はできないが、選挙後しかるべき回答を行う」というような回答ができないのかと思う。
 私は15通の「意見書」を出して初めて共産党の実態がつかめたと思っている。この政党は国民の為の政党では無いと思っている。一国民がこれだけ真剣に政党に対してものをいているのに、それを全く無視できる人たちを私は信頼できない。この人達は政治家失格だと思っている。(注5)

注5:共産党員の多くは私のこの指摘に、党中央がそんな事をするはずが無い、私が言いがかりをつけていると判
     断されていると思います。そこで「さざ波通信」に載った最近の事例を二件紹介します
   1件目、
     ◇支持者:2013年七月参院選で当選した新議員をホームページに反映させ てください。(2ヶ月間更新されて
          いないと指摘)
   ◆党の受付:係に伝えます
   ◇支持者:あなた自身も確認してください
   ◆党の受付:確認しません
   この押し問答が延々と続いたと報告しています。 (A氏50歳 2013年10月19日投稿)
  
   2件目
     立候補予定者が見解を公開する。言葉の間違いなどを指摘すると、私の常識では、「ありがとうございまし
    た」の返事と訂正とがあるはずです。この政党にはありません。複数回経験しています。政策が公開される。
    不適当、不適切、認識違いだと私が思うところをメールすると、返事がないか、または、あった時に、それで
    も間違いを正当化するから、再反論すると、以降、反応がなくなる、ect。(B氏70歳 2013年10月22日投稿)

 これが共産党の実態です。共産党はこれらの対応が誤っていたという調査・回答をする度量が無い限り日本の政党としては成功しないと思っている。そのため私は残された人生は短いが、共産党に対して、この主張を徹底的に突きつけていく。
 共産党は信用しないと思うが、共産党の再生の為に私はこの戦いを挑んでいる。(こういう簡単な所からほころびは始まっていく、その思いでやっている)

以下第6回に続く