森友疑惑は昨日佐川国税庁長官が辞任し、安倍政権に大きな打撃が走った


 平成30(1918)年3月10日


森友疑惑がいよいよ佳境に!共産党の議員団は頑張っているが、しんぶん赤旗はどうか?

 森友問題の解明を進めたのは3月2日付けの朝日新聞のスクープであった。朝日の指摘によると、国有地取引をめぐり近畿財務局が作成した決裁文書である。契約当時の文書と問題発覚後に国会議員に開示された文書とでは、「特例的な内容になる」「価格提示を行う」等の文言が書き換えられた疑惑があると報じた。
 これに対して国側は、否定も肯定もせずに、調査すると言って逃げ回り国会は大混乱している。おそらく財務省は改ざんがあったか否かより、犯人捜しを行い、この原本が公になることがあり得るのか否かを探っていると思われる。
 国会に提出した文書以外に、決裁文書は一切ないと答弁した後に、もし別の決裁文書が見つかれば、内閣総辞職は免れないからである。
 今テレビを見ながら(朝パラ・・関西ローカルで、ハイヒールのリンゴが司会者)書いているが、「安倍内閣の責任でなく、朝日新聞はなぜ原本を出さないのか、こちらの側に問題がある」と主張している。これは右翼的な人たちの主張でもある。(全く事の本質の重大さを認識していない議論である)
 問題の本質は、国家権力が安倍首相夫妻と籠池氏との関りを隠ぺいするため森友疑惑が騒がれだした後に、決裁文書の書き換え(改ざん・偽造)までしたことである。これが事実だとすれば、日本の民主主義三権分立の根幹が崩れ去った事になる。政府は疑いを持たれた以上説明責任があるのである。

この問題は昨日(3月9日)重大な局面を迎えた。

 近畿財務局でこの森友学園側と直接交渉していた職員の自殺が発見され、佐川国税庁長官が辞任したことである。
 戦後の大きな疑獄事件では、必ず関係者の中から自殺事件が発生するというむごたらしい現実がある。今回の森友疑惑ででも、すでに売買された土地のゴミ問題に関連し一人の方が自殺され(遺族は病死と主張されているが)今回は二人目の自殺者になる。
 安倍首相や麻生財務相が主張するように、この疑惑が何の問題も無いのなら、このような自殺者は生まれないはずである。山本太郎は国会の質疑でこ「官僚の皆さん、安倍内閣を守るため嘘をつき通し、結局は自分の命を絶つような愚かなことはしないでください」とすでにこの心配をしていたが、現実のものになってしまった。
 麻生財務相は記者会見で、職員の自殺と佐川氏の辞任の関係を問われ、「大変残念で悲しい話だ。佐川氏の辞任とつながったかは分からない」と答えた。明確に否定しなかったことから、辞任への引き金になった可能性がある。(佐川氏に当たりまえの人間の心が残っておれば、部下を殺してしまった責任は大きい)
 この職員の自殺と佐川氏の辞任は、財務省にとっても大きな打撃であり、今までのように他の決裁文書があるかないかを答えず、時間稼ぎをする戦術ではもう逃げ切れないと観念したと思われる。月曜日の財務省の発表が待たれる。

この財務省の一大汚点(決裁文書の改ざん)追及で共産党議員は頑張った。

 この財務省の疑惑追及で野党議員は団結して追求しているが、テレビを見ている限りでは、共産党の議員が一番クローズアップされているように見える。朝日新聞のスクープで最初に共産党の小池書記局長ががんばり、政府側を相当追い込んだ、その後辰巳議員や宮本議員も活躍している。共産党の存在感を見せつけている。私は共産党の追及力を高く評価している。

赤旗は、財務省の決裁文書改ざん事件をどう伝えたか、まったくの迫力を欠く

 私はいつも毎日新聞と赤旗を比較しているが、この重要な局面で赤旗は全くというほど活躍していない。今日の赤旗は決裁文書書き換え事件の大きな山場だというのに、一面トップは「米朝首脳会談へ」であり、一面左に「佐川長官が辞任」「『適材適所』とかばい続けた首相の責任重大」と書き、さらに「辞めて済む話ではない、証人喚問を」「佐川氏辞任で小池氏主張」という記事を載せている。⇒関連2面と書いているが、15面に「財務職員 自殺か」「『森友』と交渉 幹部の直属部下」という記事を載せながら、これを関連記事と認識していない。これは単純ミスでなく、明らかに赤旗は、これを関連記事として捉えていない。ここに赤旗の最大の弱点がある。(この点については後で述べる)

 次に毎日新聞の記事であるが、毎日は、「佐川国税局長官辞任」「森友文書『国会混乱』安倍政権に打撃」という記事を一面トップに掲げている。「米朝首脳会談は左側に佐川辞任の3分の1程度の扱いである。さらに2面で「麻生氏へ波及与党懸念」「野党追及『しっぽ切』」「悪循環陥った財務省」という記事、さらに5面【社説】さらには、「佐川氏辞任 勢いづく野党」「森友文書問題 国会正常化遠く」さらに30面・31面ぶち抜きで、「内閣総辞職を/真実話す責任」特大見出しで「疑惑 幕引きさせぬ」特大見出しで「ゼロ回答 重ねた末」「佐川氏辞任」「『適材適所』長官陥落」「職離れ ようやく謝罪」という記事を書き、その下に「近畿財務局職員が自殺」「『森友』国有地売却部署」という記事が掲載されている。

私が一番注目しているのは、この「自殺記事」です。毎日新聞と赤旗の違いが浮き彫りになります。


 決裁文書改ざん追及で、赤旗のだらしなさを象徴する記事(職員の自殺について) 細かく見ていきます。
【自殺か否か】
●毎日新聞
  見出しで「職員が自殺」と断定
〇赤旗
  「自殺か」・・・「か=?」を入れています。
  これは赤旗が常に逃げを打っている象徴です。
【状況】
●毎日新聞
  遺書のような書置きが見つかっている
〇赤旗 
  何も伝えず
   インターネット上では、決裁文書原本の全文のコピーと、誰が書き換えを指示したかの記述をした
  書置きがあり、財務省が遺族に公開するなと圧力をかけているという噂まである。
【国有地売買問題との関連】
●毎日
   男性は、近畿財務局で学校法人「森友学園」への国有地売却を担当する部署に所属していたとい
  う。男性の役職は16年当時、近畿財務局の上席国有財産管理局。学校側との交渉にあたっていた統括
  国有財産管理課の部下で同じ職場だった。関係者によると、昨年秋以降、病気を理由に休んでいた。
〇赤旗
   「国有財産売却問題との関連は不明」と書いてから、そのあとに毎日と同じような職歴を書いて
  いる。 
   わざわざ「国有財産売却問題との関連は不明」とかく必要があるのか、毎日新聞は、まず書置き
  あったことを書き、彼の仕事が森友学園の土地交渉の最前線であり、彼が上司に言われ「書き換え
  を行った当時者かも知れない」とにおわせている。
   赤旗は彼を守るためかは分からないが、最初に関連は不明と書き、事件との改ざん事件との関連を
  否定し、「自殺か」と自殺さえも疑う姿勢を保っている。

 先に述べたが、一面の佐川長官が辞任という関連記事の表記からこの記事を外している。(常に安全運転を目指し、紙面に躍動感や面白さが全くない)毎日新聞は、5面で記者会見の麻生財務相との一問一答を載せているが、その質問の中にも「近畿財務局の職員が自殺した」とその関連を追及した記者がいた。これがマスコミの常識であろう。しかも麻生氏は「分からないと」否定はしなかった。
 本来なら、「佐川氏の辞任は自殺以前に決まっており、自殺は関係ない」と答えるべきだろう。あるいは「彼は病気で休んでいたと聞いている。自殺の原因が個人的な悩みか否か分からない段階ではお答えしようがない」と答えるべきである。それを「分からない」と答えたのは、その可能性があると見ていると思われる。(改ざん事件と同じで、否定しない。ここに今回の特色がある。・・・疑わしい。)

最後に、日本は本当に「法治国家か」が問われている。  

      森友疑惑追及で共産党の最大の弱点は籠池夫妻の不当拘留に反対しないこと

 私は昨年12月29日の「森友・加計学園疑惑で安倍首相のアキレス腱はなにか?」という文書を上げています。この中で私は、【森友疑惑】の問題点として次の2点を書いています。
 一つ目は、籠池夫妻の不当拘留を第一番に取り上げるべきですと指摘しています。この不当な拘留がなぜ行われているのか問い続ければ、多くの国民は安倍政権のいかがわしさに気づくと思われる。と書いています。
 二つ目は、価格交渉は行っていないといういう言う財務省の答弁の嘘を徹底的に暴くことが必要です。国と籠池氏の交渉内容をも音声テープが出ており、しっかり書き起こし、その矛盾を突くべきです。すでに東京新聞は相当細かく事実関係を明らかにしている。赤旗は2歩も3歩も遅れていると書いています。

 今回、二つ目の追及は進みましたが、一つ目の籠池夫妻の不当拘留については共産党・もしくは赤旗は全く触れていません。この籠池夫妻の不当拘留こそ安倍政権の本質を現すものです。

 毎日新聞は、月間 持論フォーラムで[安倍政権5年]「『悪くない』評価と本質的疑義」という見出しで森 健というジャーナリストの文書を載せています。
 この文書で森友問題に触れ、安倍政権に対する痛烈な批判を行っています。
 以下引用します。
 「籠池泰典氏は昨年7月末の逮捕からいまなお大阪拘置所に拘留されています。・・・刑事裁判に詳しい元裁判官弁護士は、接見禁止に保釈請求も却下される長期の拘留は疑問と語り、籠池氏の長男もこう懸念を示している。「こんなことが民主主義国家の日本で起こるとは夢にも思いませんでした」
 法治国家らしかぬことが首相絡みで起きているということだ。
 安倍首相は第2次政権発足当初から中国を意識して「法の支配」という言葉を用いてきた。・・・現実の振る舞いは法治国家からかけ離れているようにしか見えない。
 正論である。共産党はなぜこの正論を語れないのか不思議でたまらない。ここが安倍政権の一番のアキレス腱である。