共産党の足し算

 自分に都合の良いように数字ををいじっても何も生まれない



 共産党は昔から、「足し算の公式」を使った選挙戦術が得意でした。革新自治体が全国的林立するという情勢下で、共産党は社会党との共闘を捉え、「1+1=3〜4」という公式を使って革新統一戦線の有効性を訴えてきました。この数式の正しさは、実際の選挙戦で(知事選等で)連戦連勝し事実でもって証明されてきました。

 しかし最近の共産党の足し算は苦し紛れのものばかりであり、言い訳にしか聞こえません。大阪ダブル選挙で、共産党は最終版に独自候補であった「わたし候補」を降ろし、(11月6日赤旗・・13日告示日)平松氏に「抱きつく選挙戦術」を取りました。

 選挙結果は、平松氏が522641万票、得票率で41.04%を獲得しましたが、敗北という結果になりました。この結果を捉えて共産党は、この数値をあたかも共産党に対する支持、あるいは民主的な人々の数値として描き出し(「反独占」の一点での府民、市民の共同が大きく広がり)、橋下陣営と対等に戦ったように宣伝しています。(大阪府知事選・市長選の結果について・・2011年11月28日 日本共産党大阪府常任委員会)

 しかしこの52万票の多くは、平松陣営(自民や民主等の既得権益派)が獲得してきた数値であり、共産党自身10月25日赤旗1面で、「橋下知事も平松市長も同じ」、「梅田・わたし両候補で転換」という記事が載せられていました。(この10日後にわたし候補を降ろしています。)常識的に見れば52万票数の核は「平松陣営が固めた数字であり、共産党の上積みは10数万あればよいほうです。

 ところが選挙が終わるやいなや、共産党はこの52万票は、これを我々が勝ち取ったように宣伝を始めました。(府知事選挙の得票数には一切触れず、ダブル選挙の総括は市長選挙だけを浮かび上がらせ、52万票を前面に出して、対等に戦えたかのような演出をしています。

 2012年3月前半M議員レポートでも、橋下市長:有権者比35.6%(平松氏は同24.8%)、松井知事:有権者比28.5%(倉田・梅田両候補22.1%)と記載し、その後に「選挙で勝ったら何をしても良いのですか?」と抗議文(そんなに差が無いやないか)を載せています。

 この記載にも「足し算にもトリック」があり、倉田候補と梅田候補は反維新で協定を結んだわけでも何でも無く、その倉田氏の得票を梅田氏に足しこみ、あたかも対等に戦った演出を行っています。(ちなみに昭和54年黒田氏が3期目を目指した選挙戦は、共産党単独支持でも167万を獲得しており、48%獲得している。)この黒田票から見れば梅田票は2割にしかならず、数字のマジックでごまかさずに現実をしっかり見るべきです。

 またこの間に茨木市の市長選挙においても、共産党は反維新派の候補を押さず、非維新派の候補を推薦しました。(この候補は反維新を一切言わなかった)しかし選挙後の共産党の総括は、この非維新系候補と反維新派の候補の票を足して、反維新が多数を占めたと宣伝しています。「非維新+反維新=反維新」という自らに都合のいい公式で足し算を行い、あたかも常に自分達が多数派であるような宣伝を行っています。

 ここに共産党の醜さと堕落があります。多数を取るに越したことは無いが、共産党はたとえ少数派でも、国民の側の立場に立って戦えばよいのです。結果は負けても、誇りと必ず覆すという確信を持てばよいのです。

 このような姑息なごまかしで、見方の陣営に説明する姿は、百害あって一利なしです。惨め以外の何物でもありません。