市議会選挙の結果から見えてくるものは何か?共産党の未来を心配する。



平成31(2019)年度4月25日

大阪ダブル選挙は、松井氏の思惑通り大阪維新が完全に制圧した


 高槻市の府会議員選挙と市会議員の選挙の特徴はいくつかあるが、第一に言えることは大阪維新の会が市民の約半数を支持者として組織したと思われる。
 府会議員選挙では、大阪維新は2名の候補者を出し、その得票数は81806票であり総得票数166305票のおよそ半数(49.19%)を占めており、驚くべき票数である。(島本町を含む)
 市会議員の結果はどうであったのか、市会議員での大阪維新の票数は33480票であり、府議会選挙に比べ総得票率の25.26%であり、必ずしも維新の天下では無いようにも見えるが、私は大阪維新の底力は49.19%獲得したほうが本当の力だと思っている。
 その理由は、市会議員での維新の立候補者は名であり、いずれも上位を占めている。もっと多くの候補者を出して戦えば、さらに多くの票を掘り起こしたと思っている。

これまでの常識に反し、府会議員の投票率が市会議員の投票率を上回った


 さらに今回の選挙は前回の選挙に比較し、意外な投票率になっている。今回大阪府会議員選挙の投票率は52.52%であるが、市会議員の投票率は45.75%でしかない。これは前回の結果と全く違う投票率である。前回は府会議員選挙の投票率は45.42%であり、市会議員の投票率は48%である。
 これは一般的に府会議員より身近な市会議員の投票率が上回るのが常識であるが、今回は府会議員の投票率が6.77%も上回った。投票数に換算すると19,480票も多く投票された。この19,480票は隠れ維新であり、大阪維新がダブル選挙で掘り起こした数字と思われる。
 積極的な大阪維支持ではないが、大阪維新の主張する、府市の一体化や、大阪万博、カジノ構想に期待する市民だと思われる。

橋下氏が去った後、無き大阪維新は衰退どころか新たな局面を迎えつつある。


 大阪維新が如何に偉大かは、高槻市の前回の市議選の選挙結果と今回の結果を見ればよく分かる。前回選挙では大阪維新の会の公認ではない者が、高槻維新の会という名前を付けて、選挙公報では大阪維新に見えるように細工して立候補した者が2月名いたが、1位が本物の大阪維新で13077票、2位、3位が偽物の大阪維新の候補者で、2位が7476票、3位が5716票獲得している。前回は本物の大阪維新は候補者を1名しか用意できず、偽物が2位、3位を占め1〜3位までが維新の勝利に見えた。
 今回の選挙で大阪維新は自前の候補者を6名出し、それぞれ高位で当選している。そして惨めだったのは前回2位、3位だった候補者は、維新の肩書を外され立候補したが、今回はこの2名はいずれも落選した。
 この結果から見れば、大阪維新という看板が如何に偉大かが分かる。ちなみに計算すれば前回2位の候補が前回7476票、今回1882票、その差5,592票が維新という看板のおかげと思われる。
 3位の者は、前回5716票、今回は782票その差は4934票である。最下位当選者が2400票ぐらいであるので、大阪維新の看板を貰えれば誰でもが当選するという恐ろしい現象が起きている。「大阪維新」恐るべしである。

自民党は大きく後退、大阪維新に食い荒らされている。


 その他、簡単に高槻市選挙区の特徴を見れば、大阪維新という怪物が現れ、政党政治が混乱し、立候補者の政党乗り換えが多くみられる。先の話の延長線上で語れば、前回選挙の最下位当選者の自民党の候補は、大阪維新に鞍替えし、3位で当選している。前回2369票、今回5175票である。自民党員も大阪維新への転身を図り、高位当選を確保している。自民党の衰退が伺われる。自民党は5人の市会議員がいたが、今回大阪維新から出た者が1名、無所属から1名おり、自民党は当選者も5名から3名に減らした。最下位当選者も自民党であった。(しかもこの議員は元々社会党の市会議員で有った。)
 さらに、先の府会議員選挙に市議会から鞍替えして出た者もいるが落選してしまった。自民党は崩壊現象である。

 民主党も崩壊現象であるが、府会議員選挙では立憲民主の新人が当選した。


 前回民主党で当選した者は5名いたが、今回は、2名が立憲民主で出馬したが、2名は無所属で、もう1名は引退した。(立憲民主は1人の新人を当選させており、立憲民主としては3人の議席を獲得した。
 また府会議員選挙に高槻市議では無所属であった女性議員が、立憲民主で出馬し見事に当選した。(府会議員選挙では、維新が2名当選し、立憲民主、公明党が当選し、老舗の政党である自民党と共産党が議席を失った。)

赤旗は共産党が勝利したような紙面を作っているが、共産党は前進したのか後退したのか?


 高槻市における共産党が力をつけたのか否かを私は公明党との関係で常に評価している。そしてその力は公明党が上回り、2:1の力関係だと見ている。今回の市会議員の選挙結果でも、公明党22,793票:当選者8名、共産党11,303票:当選者4名である。
 また府会議員選挙と市会議員選挙が前半戦、後半戦と戦われた場合、公明党は府会議員選挙よりも市会議員選挙の方が得票数が多いが、共産党は府会議員の獲得票数が多い傾向にある。具体的には前回選挙で公明党は府会議員選挙21,609票、市会議員選挙23,840票獲得している。(市会議員選挙で2,231票増やしている。)
 共産党は府会議員選挙19,388票、市会議員選挙12,456票6,932票失っている。これは府会議員選挙では社民党が立候補していないからその票もあるのかもしれないが、市民とのつながりが弱いことを表している。
 ついでに今回の選挙も見ておきたい。公明党は府会議員選挙で21,454票、市会議員選挙で22,793票獲得している。(1,339票増やしている。)共産党は府会議員14,296票、市会議員11,303票である。(減らした数2,993票・・・一人当選できる投票数である。)
 ここに公明党と共産党の地力の差がある。共産党は府議選で共産党と入れてくれた人を市議選では3千人近く引きはがされているのである。公明党は逆に市議選では1,300人ほど他党派の人を引きはがしてくる力がある。
 さらに公明党は見事に地域割りを行いながら、全員当選を図るため、票の調整を行っている。見事に落ちこぼれを出さない、選挙技術を持っている。それは当選者の順位を見ればよく分かる。公明党の当選者は順位で並ぶ場合が多い。例えば前回選挙では、公明党の候補者の当落の順位は、17位から20位まで並んでいる。さらには、25位・26位一つ飛んで27位も公明党である。今回の選挙でも19位・20位、二つ飛んで23位・24位・25位が公明党である。こんな選挙戦は公明党にしかできない神業である。

公明党の選挙の戦の得票数を読む芸当は、他のどの政党もできない。


 例えば今回の選挙で自民党は5名立候補させ、2名落としている。当選者は10位、13位、34位(最下位当選)であり、落選した二人は次点39位、と41位である。個人個人が自らの実力で戦い、党執行部にはそれを調整する機能も力を有しないと思われる。そういう意味では前近代的政党である。
今回の選挙で各党派の力はどうなったのか?
 議席数では公明党は現有勢力を維持し、8名を確保、次に維新が6名であるが、維新の獲得票数は33,480票獲得しており、公明党の22,793票1.47倍獲得しており公明党の8議席から考えれば、11名から12名当選する実力がある。
 次に共産党が4名、自民党、立憲民主が3名、社民党が1名、諸派が1名、無所属が8名、全体で34名である。
 この選挙から各政党間の力関係はどうなったのかを見ていきたい。


今回の選挙の基本資料
府会議員選挙の結果(前回との比較)



府会議員選挙と市会議員選挙の比較



 この票から見ると、府会選挙と市議会選挙の得票差で一番大きいのは大阪維新会であるが、これには特殊事情があり、後段で詳しく説明する。
 次に大きく票を減らしたのは、立憲民主党であるが、これは府会議員に当選した女性議員の個人票が大きかった事が影響していると思われる。次に減らしたのが自民党であるが、有力議員が維新へ鞍替えするなど組織そのものが維新に侵食されている。
 その次に票を失ったのが共産党である。共産党は府会議員選挙で前回比5,092票失っており、さらに市会議員票で約3,000票減らしている。
 次に市会選挙で票を増やしたのは公明党だけあり、公明党は府会選挙を1,339票増やしている。候補者の数が大きければ票が増えるという当たり前の結果になっている。
 共産党は、候補者個人が票を開拓していないので組織票は他候補に引きはがされてしまう。ここに共産党と公明党の地力差がある。

前回市会議員選挙と今回市会議員選挙比較



 今回選挙で一番後退したのは、自民党である。自民党は知事選挙でも報道機関の調査では約5割は維新に投票するという傾向の中で市会議員選挙でも獲得票数で「―36.55%」と惨敗した。議員も5人から3名に減った。
 2番目は民主党である。民主党は解答し、立憲民主と国民民主党に分かれたが、高槻市では立憲民主党だけが立候補した。前回の5名の議員は、立憲民主から府会議員になった者が1名、無所属に1名、引退が1名おり、新人を含めて3名が当選したが、獲得票数は約28%減らし、議員も2名減らし、3名となった。

 3番目に減らしたのが社民党である。‐14.45%減らした。議員は変わらず1名である。全国的に社民党が壊滅状況の中で奮闘している。 
 4番目に減らしたのは共産党である。前回比「―9.26%」であり、1割の陣地を失った。議席数は前回同様4議席を確保した。公明党は若干数減らしたにとどまる、議席数も8議席を確保し、市議会第一党である。
 増えたのは大阪維新である。27.45%増やした。候補者は全て上位当選している。この影響で他の大政党はことごとく敗北した。

ここからが本題であるが、共産党の実力をどう評価するべきか詳しく見ていきたい。


前回票数率今回票数率票差前回得票率




 複雑な表であるが、この票の狙いを述べたい。この表はまず府会議員選挙の結果を確認している。その際、前回選挙と今回の選挙の比較を行い各政党の票の伸縮を見ている。例えば共産党は前回に比べて「−5092票」であることを示している。
今回の選挙は投票率が45.2%だったのに対して今回は維新旋風で52.52%あった。7.2%投票率が上がった。という事は共産党の後退は「‐5092票」と捉えるのは誤りであり、前回得票率*今回の得票数をかけた数字が共産党の獲得票数が前回並みの戦いの成果と推測される。その数字が23093票である。この数字から今回の得票数を引いた数字「−8797票」が共産党の今回失った数字「陣地である」。
 このように見ていくと、自民党が一番敗北し「‐9706」票、次が共産党、さらには公明党も「‐4285」票減らしているのである。勝者は大阪維新の会と立憲民主党である。(府会議員選挙では)
 なぜ、共産党や、公明党が敗北しているのか、それはこの2党は、ほぼすべての支持者が投票しており、投票率が増えた場合、その支持率が減ってしまうという弱点を有しているからである。
それに比べ投票率の上昇に載った大阪維新や立憲民主党は、風が吹けば大きく獲得できる性格を持っている。そのことを表した数字である。
 それなら自民党はなぜ票を減らしたのか、それは松波ケンタ氏も池下卓氏も元々自民党の政治家である。池下氏は親父も祖父も自民党の市会議員で有る。松波ケンタ氏は自民党の国会議員で有った。勝ち馬に乗る政治家が多数現れ、自民党そのものの存在基盤が崩れつつある。それがこの表から読み取れる。
さらに大阪維新は今回府会議員選挙で75064票(49.37%)を獲得した。この表は何処から生まれたのか、それはまず前回票47874票から27190票上積した。この数字をどこから持ってきたか、全くの推測であるが、以下のように考えている。
 まず共産党から5092票、自民党から5181票公明党から155票のマイナス分を立憲が7660票奪い取ったと仮定し残り2768票と今回投票率が増えたことによる新たな票数24422票を足せば、27190票が大阪維新に流れたと見て取れる。
 

維新が前回選挙から27190票増やした数字の根魚(計算メモ)


 @今回選挙で失った数         ●大阪維新の票数
  政党名票数               前回府議選   47,874
 〇共産党-5,092              今回府議選   75,064
 〇自民党-5,181              今回増やした数 27,190
 〇公明党-155
   計-10,428

 A今回選挙で増やした数
  政党名票数
 〇立憲7,660
                       前回投票数 127,607
 @とAの差票                今回得票数  152,029 
    2,768                       24,422今回増えた投票数

          2768? + 24422  27,190


 以上今回の選挙は完全の大阪維新の完勝であり、敗れた自民党や共産党は立て直しが求められているが、共産党は抜本的な改革が必要だが、常に膿を出さない総括を行っている以上改善は期待できない。
 蛇足ではあるが共産党がなぜ敗北したかの最大の理由は、大阪維新と戦わず、大阪維新を過小評価してきたからである。
 それらについては、前回上げた「選挙戦で政治的な切り結びを避けた者は敗北する」で書いたので是非読んでほしい。また府会議員の立候補者のまいたビラに対する批判も読んでいただければ、幸いである。