共産党の不思議 「差別論」で勝利し「差別論」で敗北しようとしている。


令和元(2019)年11月12日


 日本共産党の躍進は、京都などの例外を除き、部落解放同盟の蛮行を共産党以外の全ての政党が支持し、共産党が唯一批判したこと(差別化を図った)で大きく躍進した。(京都はこれ以前から地道な活動で共産党の勢力を伸ばしていた)
 この解放同盟との戦いで大阪の共産党は大きく伸びた。その典型的な出来事、は、1971年の大阪府知事選挙に日本社会党と日本共産党の支持を得て黒田了一氏が当選したことである。更に1973年の沓脱タケコ氏の参議院議員補欠選挙で、自民党の森下仁丹を破ったことだった。この時の沓脱タケコ議員の得票は7,000,230票、森下仁丹の票は686,307票であった。また同じく1973年に府下の衛星都市羽曳野市長選挙で共産党の津田一郎氏が当選したことである。(解放同盟が最も強い町であった)
 この共産党の勝利は、大阪府下全体で解放同盟の蛮行が相次ぎ、それに真っ向から対決したのが共産党であったからである。共産党は解放同盟が主張する「差別する者と差別される者」という国民の二分化を図り、差別する側の人間は(差別者)は、差別されて来た側に誤り、自己批判しなければならないという主張を論破し、差別されて来た側に、一般の市民より、手厚い行政を行うべきだと言う主張を「逆差別論」として批判してきた。
 共産党の主張は、多くの市民の共感を得て、大阪の政党間の争いでは共産党の得票数が自民党、公明党と対等に競え合えるところまで成長した。しかし解放同盟の蛮行が市民からも批判される様になり、その影響力が無くなるにつれ共産党の影響力も陰りが見え、直近の2019年の参議院選挙では、1位は維新の梅村みずほ729,818票、2位も維新の東徹660128票と維新が圧倒的強さが目立ち、辰巳コウタロー氏は381,854票であった。この票は維新候補の27.47%でしかありません。昨日今日できた政党の3分の1以下の政党に陥落しています。
 私は現在まで「共産党は何故選挙に勝てないのかNO.1NO.2NO.3」あるいは共産党の13の大罪NO.1NO.2NO.3などの記事をこのHPに載せてきました。その際中国を社会主義国と認定している共産党の誤りを指摘してきました。
 第28回党大会(来年1月)では綱領の一部改正で「中国が社会主義を目指す国」という評価してきた文章を削除すると共産党は発表しています。これは良いことですがこの決定は10年遅かったと批判文書も数日前に上げています。
 共産党は、「中国を社会主義を目指す国」と位置付けたことが、党の前進に大きな障壁になっていることを認め、これからは中国を批判していくと主張しています。しかし共産党への批判は、「中国が社会主義国」だけでなく、中国や韓国の戦時中に日本から受けた蛮行に対する日本への批判に対して、共産党が中国側、あるいは韓国側に立っていることも批判の対象です。

中国や韓国の戦時中の日本の蛮行に対する批判には誇張が無いのか

 ここで私が思うのは、解放同盟が主張した「差別された側の主張」は「差別した側は全面的に認めるべきだ」という主張に反対して戦った所に共産党の躍進のバネがあったのに、中国や韓国の過剰な被害者論に共産党は何も批判せず、その主張を前提に日本国政府に対して、中国や韓国の主張を認めるべきだと追及しています。
 この発想は、「中国が社会主義を目指す国」だと共産党が言った際のその根拠は尋ねた際、共産党の回答は、それは「中国が社会主義を目指す国」だと主張しているから我々はそれを尊重していると主張してきました。
 戦争被害の問題も共産党は、中国や韓国がそう言っていると言うのが原点にあり、彼らが、部落解放同盟が「差別でもない者を差別だ」と主張したことと同じ過ちを犯していないかには全く触れていません。中国や韓国の主張は解放同盟の理論に非常に酷似しており、朴槿恵大統領が第94周年3・1記念日の演説で「加害者と被害者の立場は1000年経っても変わらない」と言った主張は、解放同盟が主張した思想と瓜二つである。その韓国の姿勢を全く批判せず、日本の戦争犯罪をこれでもかと暴き続けています。
 加害者と被害者の問題をどうとらえるかは重要な問題であり、「怨みは一生無くならない」という考え方が果たして健全な考え方か検討してみる必要があります。朴大統領は「一生」ではなくさらに過激に「1000年経っても変わらない」と国民を扇動しました。こうした政治的な利用に対して適切な批判は重要です。
 例えば、オバマ大統領が広島に訪れ、被爆者の森重昭さんを抱きしめる写真は感動を呼びました。多くの日本人は、いろいろな思いをいだきながらも、この写真に感動しました。これが普通の市民の感情ではないでしょうか?
 韓国の作家・柳舜夏氏(ユ・スンハ)氏は、黒田勝弘氏との対談で「朴大統領は就任当初からレームダック(死に体)に陥りました。そのため国民に聞こえの良い発言をしたのですが、それが世界的に拡散し物議を呼んでしまった。あれはとても愚かな行為でした。朴大統領だけではなく、彼女を取り巻く人々も含めてです。」と発言しています。(注1)

注1:黒田勝弘【PROFILE】1941年生まれ。京都大学卒業。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局
  長を経て産経新聞ソウル駐在客員論説委員。著書に『韓国人の歴史観』(文春新書)、『韓国反日感
  情の正体』(角川学芸出版刊)など多数。

 私はこの柳舜夏氏の主張が正しいと思っています。日本では部落解放同盟が長い間この思想を持ち込み、日本の地方行政を相当ゆがめました。差別する者と差別される者に国民を仕分けし、部落の人以外の差別側に立つ人は全て差別者として自己批判されなければならないと強制してきました。
 そして、差別撤廃を目指すのではなく、行政を暴力的な方法で押さえつけ自分たちに有利な方向へ無理やり引っ張っていくと言う大きな過ちを犯しました。
 この差別者被差別者を分ける論理は、旧社会党を始め、社会的には一定支持され、これに真っ向から反対したのは共産党だけでした。
 そうした経験を持ちながら、解放同盟の主張と同じ流れを引く、韓国の思想、日本は侵略者であるから永年(1000年)間、韓国に誤り続けよという韓国側の主張に同調し、朴槿恵氏にも文在寅氏に対しても共産党は批判を行っていません。

被害者側の主張は100%尊重されるべきなのか?

 難しいですが、被害者側の心理という面では、部落問題でも南京大虐殺でも徴用工問題でも共通項があると思います。そこには、悲劇の主人公に自らの立場を置き、恨みや仕返しの論理で、相手を攻撃すると言う弱点が内在します。
 被害者側が言うのだから、我々は理不尽な要求だとは思うが、やはり加害者側は自己の正当性を主張すべきでは無いと思って躊躇すると、被害者側はどんどんエスカレートした要求を出してきます。
 この整理を明確にする必要があります。共産党は部落解放同盟にはやりすぎだと思われるほど、彼らの運動の弱点を攻撃してきました。同時に解放同盟の中から共産党の主張に共鳴する人たちを組織してきました。この人たちは部落差別をなくすための正しい運動を行おうと言う人たちですが、共産党は解放同盟を根絶やしにするため、現在は「部落差別は既に無くなった」主張し、共産党の部落解放にたいする思想に共鳴した人たちの団体も解散させました。

 この経過から見ると、韓国や中国の被害者の発言には、理不尽な面が沢山あります。例えば中国の南京大虐殺は、被害者の数がだんだん膨れ上がり、今では30万人が虐殺されたと主張しますが、その当時の南京の市民は20万人だったといわれてます。被害者側はどうしても自分たちの被害が甚大であったと誇張しがちです。
 右翼の人たちは、南京大虐殺や従軍慰安婦問題、徴用工問題などを歴史的に調べ上げ、これらの事件がでっち上げられたものだと証明しています。これらの証明に効果的な反撃が出来ないまま、中国や韓国の主張を支持する共産党の立場は、国民から遊離していくと思っています。この問題の議論では明らかに右翼側に理論的な前進があります。それに対して反論には理論的な整合性に欠けています。
 部落解放同盟との戦いでそのことは十分学んだはずの共産党が、なぜ事実関係が十分立証されず、「加害者と被害者の立場は1000年経っても変わらない」という解放同盟と瓜二つの考え方を批判しないのか疑問です。

 余談ではありますが、韓国が従軍慰安婦の問題で、日本を徹底的に批判しているが、この批判は、日本にだけ向けられているのではなく、国際的に日本を孤立させる運動を行っているが、一方では、韓国にも同じような負の歴史があり、そのことを韓国国民が触れようとすれば、ものすごいパッシングが行われる。 これはベトナム戦争の際に韓国はアメリカに言われ、支援軍を出している件です。(注2)

注2:韓国はベトナム戦争時、米軍に次ぐ延べ32万人超の兵士を投入し、その間、ベトナム中部のあちこ
  ちで虐殺事件を起こした(韓国軍の派兵は1965年10月〜1973年3月)。虐殺事件の現場は100か所以
  上、被害者数は最大3万人という調査結果もある。
   韓国軍はさらに、現地の婦女を強姦し、あるいは売春婦を妊娠させ、多くの「ライダイハン(韓国
  人男性とベトナム人女性の混血児)」が生まれた。その数は最小1500人(朝日新聞1995年5月2日付)
  から最大3万人(韓国「釜山日報」2004年9月18日付)と推定されている。
    私自身、これまで10年以上にわたり取材を続けているが、未だにその全容は明らかにできていな
   い。(フォトジャーナリストの村山康文氏)

 前に読んだ記事で、記憶が定かではないが、「韓国の記者がこの件を取り上げて記事にしたが、その新聞社(?)は襲われ室内は全て破壊された」という記事を読んだことがあります。

  この韓国の姿勢から分かることは、従軍慰安婦等女性に対する人権侵害に対して反対しているのではなく、日本を貶めるための運動がその主目的と思われる。(これは右翼の人の批判ではあるが、韓国が自らの過ちを認めない以上、この右翼の人たちの主張の方に理があると思われる)

「慰安婦」問題 日韓が合意:志位委員長の談話の問題点

 2015年(平成27年)12月28日「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と表明した。私はこの声明にビックリしたが、29日付け赤旗を読んでもっとびっくりした。朴槿恵大統領は、この問題は「1000年経っても変わらない」と大見えを切ったのに、たった10億円の拠出を持って解決する問題だったのかと驚いた。しかも共産党の志位委員長がこの「合意」に賛成の談話を発表した。
 声明を読んで見ても何の前進もなく、結局は10億円で手打ちした内容である。されに日本は威圧的に、「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と書かれている。完全におさえこんでいる。韓国のいう「1000年経っても変わらない」という極めて重い主張は、たったの10億円で解決するのか、如何にいい加減な国だと思った。この時の私の主張はHPに「慰安婦」問題 日韓が合意:志位委員長の談話の問題点と共産党の立場に批判的な見方を書いています
 

中国や紺国の言っている事の本意を見抜くことは難しい。


 彼らの主張は国内問題と絡め、適当に反日を煽り、自らの政治生命の維持に利用している側面がある。これにまともに付き合えば馬鹿を見る。日本共産党は誠実な政党であるから、中国や韓国の主張に真剣に耳を傾け、相手の要望にこたえなければならないという立場から、従軍慰安婦や徴用工問題に取り組んでいるが、彼らの本当の狙いを見抜けず、その支持を行えば、日本の政党としての存在価値を失う。
 28回大会で中国を「社会主義を目指す国」から外せば、国民の支持が得られると考えているようだが、今の日本の「最大の敵」は韓国である。必要以上に日本国を貶める策動を繰り返し、常識のある国とは思われない。
 ここで共産党が、韓国側が正しいという旗を上げれば、中国問題以上に国民から浮かび上がる事に気付くべきだ。
 共産党には、部落解放同盟と戦った歴史がある、必ずしも社会的弱者、被害者が正しくない場合もある。善意のみでは政治は動かない。国民は賢く、中国や韓国の狙いを読みとっている。共産党が善意で弱者の立場に立とうとするのは偉いが、弱者が必ずしも道徳を守らず、後ろ足で砂をかけるようなこともする。よく見極めないと共産党の躍進は有りえない。