日本共産党 最近おかしくないですか

大衆団体から見放された志位「声明」



平成27(2015)年2月19日


 この文書は投稿欄で弥生さんから投稿していただいた内容に対するコメントとして書きました。


 今回の「イスラム国」の解体「声明」は、共産党がルビコン川を渡った感じがします。赤旗を見ていてもとんでもない記事もあれば、まともな記事もあります。一体どれが共産党の主張か分かりません。
 しかし志位「声明」は致命的欠陥を持っていると見ています。「イスラム国」の解体を唱えている日本の政党は、共産党だけだと思っています。「包囲して解体する」これを軍事行動以外で可能になる方向性があるのか、共産党は明らかにすべきです。安倍首相や有志連合の主張とどこが違うのか明らかにすべきです。

志位氏の代表質問はやはりイスラム国の武装解除と解体を主張

 あなたが言われるように衆院本会議の志位員長の代表質問の最初の質問は、「『イスラム国』の武装解除と解体」を取り上げ安倍首相に迫っています。その際、国連を出してあたかも中立を装っていますが。国連の決議がアメリカ主導で行われていることを隠しています。
 この質問は明らかに有志連合の一員として日本も頑張れと安倍首相にエールを行っています。志位氏が安倍首相に聞くべきは、「いつから有志連合の一員となったのか、国会に図らず日本の外交路線の根本的変更を行うことはおかしい」と追求・批判を行うべきです。
 今一番危険なのは、安倍首相の幼児的思考で戦争ごっこを始めてしまう危険性です。彼は軍隊をもって「イスラム国」と戦い、アメリカと肩を並べて大国の首相という位置を獲得したがっています。イラク戦争開戦時にアーミテージ氏が言った「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」(陸上自衛隊の派遣を求めたと思われる)という発言がトラウマのように彼にのしかかっているのです。
 そのことを一番表しているのが、「ホルムズ海峡掃海で集団的自衛権行使」という安倍首相の発言です。この発言が政府内部で十分意思統一されているというよりも、安倍首相の個人的思いで話されている気がします。(殿ご乱心で誰も止められない。元々閣議決定の中身で公明党との協議でのこの話は否定されています。一時期封印していましていましたが、最近またこの主張を始めています。)(注1)

注1:2015年2月16日20時24分 朝日新聞デジタル
 安倍晋三首相は16日の衆院本会議で、中東・ペルシャ湾のホルムズ海峡に機雷がまかれた場合を挙げ、「我が国が武力攻撃を受けた場合と同様に深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況にあたりうる」と述べて、集団的自衛権行使の具体例になるとの認識を明言した。一方、公明党はこうした首相の解釈に難色を示しており、安全保障関連法案をめぐる与党協議の焦点となる。

志位氏の「イスラム国」解体に政府はどのような役割を果たすのかとの追求は、安倍政権にとっては、「待っていました」というような質問です。どう考えても「イスラム国」の解体は、アメリカ中心の有志連合の武力によると考えるのが常識です。共産党が主張すべきは、「イスラム国」解体を口実に自衛隊を派遣することは一切許されない。中東問題の解決に、平和的手段を用いて貢献すべきだと政府迫ることを国民は求めています。

安倍氏の幼児性と志位氏の東大での官僚意識がタッグを組んでいる信じられない政治状況

安倍氏が「イスラム国」問題を利用し、平和憲法を持つ日本を海外で戦争できる国へ、大きく変貌させようとしている。本来共産党はその対極に位置する政党でなければならない。しかし共産党は「イスラム国」の「解体」を代表質問の最初に掲げ、この問題に前のめりである。正に安倍・志位のタッグが組まれている状態である。
このような事がなぜ起こるのか、安倍氏の戦争好きは、幼児性と安倍氏の祖先である岸元首相の名誉回復の思いが大きく支配しているように思われる。昔小沢氏が自民党幹事長時代に「担ぐ御輿は軽くてパーがいい」と発言したが(それ以前に、田中派が中曽根康弘を支持した際発言したらしいが)安倍氏はこれと同じ発想で誰かがマインドコントロールして操っているように見える。かれのあの強さ(猪突猛進は)バカだからできる感じがする。全く言い方は悪いがバカにも活用方法がある見本のようなきがする。(何かが乗り移っている姿に見える。)

自民党はもう少し常識を備えた政党であったが

ただ自民党と言う政党は、自分党でもあって、それぞれが、自由に物が言える所に良さがあり、国民はその点で安心して見ていたと思われるが、最近の自民党は党内議論(異論)が全く聞こえず、共産党と同じく民主集中制になったかの様相を示している。反対の声は政界を引退した元大物の政治家、野中広務氏や古賀誠氏や加藤紘一氏らの声ばかりである。なぜ自民党はここまで変質したのか、それは小選挙区制とそれに伴う大量議席の獲得が、そのことを可能にしてしまったと思われる。おそらく自民党内にも安倍氏の進める「海外で戦争できる国」づくりには反対する議員も相当数いるものと思われるが声が出せない現状である。

共産党も何かおかしい。志位氏の暴走をなぜ止められないのか?

一方の共産党も、平和を愛する政党であったものが、なぜ「イスラム国」の解体を目指すのか不可思議でたまらない。これに党内から全く異論が聞こえてき来ないので共産党の志位委員長の主張を全党が受け入れているのか分からない。ここではなぜ志位氏がそのような判断を行ったのかの推測でしかありえないが、共産党も強引に自らの党の政策を変更しようとしている。
1.正義とは何かの価値観を変えようとしている。
昔は、世界はアメリカ帝国主義と社会主義との2代勢力があり、一方は悪の親玉であり、もう一方は正義の見方との理論ですべてが処理されてきた。今回の事例で言うならば、「イスラム国」は社会主義陣営内の一勢力であり、正義の側の勢力である。
これに対してアメリカ帝国主義をはじめとする有志連合は、他民族抑圧の勢力(部隊)であり、まさに世界の労働者や被抑圧民族の敵である。
具体的にはアメリカが一方的にイラク侵略を行い、何十万人という国民を殺害し、それに抗議して立ち上がった人民は英雄である。(ベトナム戦争当時はそうであった。)この思考を封印し、アメリカ帝国主義の侵略は不問にし、その反撃に立ち上がった勢力が「野蛮」であることだけを捉え、アメリカ帝国主義の味方であることを宣言し、「イスラム国」の解体を主張するまでに至った。

2.革新の統一戦線こそが革命の実行部隊(成否を分けるもの)であったが、すでにその文言はなく、一点共闘という言葉を使い、保守との共闘に主眼を置き始めた。(この一点共闘もおかしな論議で、それなら一番近い社民党との共闘が考えられるが、社民党にはイチャ門を突きつけ共闘せず、保守との共闘を狙っている・・・一点共闘は言葉を変えて言えば保守との共闘である。)
 赤旗を飾っているのは、革新の統一戦線の話ではなく、保守との共闘が如何に進んだかという話ばかりである。さらに昔の自民党の幹部などを盛んに赤旗に登場させ、保守層との連携が如何に大切かを宣伝のメインに置いている。

3.外交面では中国を未だに社会主義をめざす国と言いながら、一方では尖閣列島問題では中国敵視の安倍内閣と同じ姿をとり、ナショナリズムの高揚に加担している。
 北朝鮮は社会主義をめざす国と認めず、例えば人工衛星を北朝鮮が上げたと言ってもそれを攻撃している。(それぞれの国は平等であるべきなのに、核開発はアメリカが認めた国だけが行えるというアメリカの主張を受け入れている。)

4.国内では、革命における労働者階級の役割を完全に否定し、賃上げ闘争でストライキなどを組織することに否定的見解をとっているように見て取れる。賃上げ闘争は、大企業の儲けの内部留保金の1%を労働者に回してくれと懇願し、その役割を安倍首相に頼み、安倍首相は経団連等に、賃上げ要請を行っている。(共産党から安倍首相に頼み、安倍首相が経団連等にお願いする賃金闘争が定着しつつある。)

これらはすべて、選挙で如何にたくさんの票をとるかということを念頭においた戦術変更であると思われるが、一時的に成功しても、この方針転換は必ず敗北すると思われる。
なぜなら共産党の基本的理念をすべて否定し、大衆迎合路線になっているからである。

志位さんの弱点は、想像力が働かない東大脳(官僚と同じ)

 話は全く変わるが、ウクライナでは、「停戦合意がおおむね守られているもようだが、激戦地となっている東部の町では15日、迫撃砲などによる砲撃の音が鳴り響いた。」とテレビで放映され、戦火の絶えぬウクライナで、街はガレキの山が映し出され、シワだらけの老婆が涙を流しながら言ったのは「平和がほしい・・・」でした。
 私はこの時、おそらく志位氏にはこの老婆の言葉が届かないのだろうと思いました。東大でのエリートで社会人としての経験がなく、30代の半ばで共産党の幹部に大抜擢された志位氏の思考には、政府側にいる東大での官僚と同じ弱点を持っているのではと思いました。なぜ「イスラム国」の解体なのか、これを有志連合が本当に着手すれば、何十万人の命が奪われるという想像力が彼には浮かばないのではと思っています。志位氏がいかに世間知らずで重大な誤りを犯したかは、他の世界の支配者の言葉と比較すれば、明らかに志位氏が最も非人間的発言を行っています。

アメリカ帝国主義のオババ大統領は、後藤健二氏殺害を聞き声明を発表

 このオバマ氏の発言と志位氏の発言を比較すれば、志位氏がいかに人間性にかけるかよくわかります。
 オバマ氏はその声明の最初に後藤氏の功績をたたえています。
 「米国はISIL(イラク・レバントのイスラム国)による日本国民でジャーナリストの後藤健二氏の許し難い殺害を非難する。後藤氏は報道を通じ、勇気を持ってシリアの人々の窮状を外部の世界に伝えようとした。われわれの心は後藤氏の家族や彼を愛する人々と共にあり、米国は今日、こうした野蛮な行為を糾弾することで、安倍首相や日本の人々と連帯する。中東地域の紛争で被害を受けた罪のない人々への寛大な支援など、中東と世界で平和と繁栄を前進させるための日本の揺るぎない貢献を称賛する。米国は同盟国やパートナー諸国との広範な連合と団結し、ISILを弱体化させ、最終的に壊滅させるために引き続き断固たる措置を取り続ける」

 このオバマ氏の声明は、「勇気を持ってシリアの人々の窮状を外部の世界に伝えようとした」と後藤さんを湛え、さらに家族に哀悼の意を述べています。

これに対して志位「声明」は

一、湯川遥菜さんに続き、ジャーナリストの後藤健二さんが、過激武装組織「イスラム国」によって殺害されたとする映像が明らかになった。いかなる口実をもってしても許されない残虐非道な蛮行であり、深い憤りを感じる。無法なテロ行為を、怒りを込めて断固として糾弾する。ご家族・関係者のみなさんに心からのお見舞いを申し上げる。

一、いま求められているのは、国際社会が結束して、過激武装組織「イスラム国」に対処し、国連安保理決議2170(2014年8月)が求めているように、外国人戦闘員の参加を阻止し、資金源を断つなど、孤立させ、追いつめ、武装解除と解体に追い込んでいくことである。 日本政府の外交も、こうした方向に資するものとなるべきである。

一、こうした悲劇を繰り返さないためにも、この間の日本政府の対応について、冷静な検証が必要である。政府は、2人の日本人が拘束されてから今日にいたるまで、政府がとってきた対応について、検証にとって必要不可欠な情報を、公表すべきである。

一、安倍首相は、今回の事件にかかわって、米軍などによる「イスラム国」への空爆などへの自衛隊の支援が「憲法上は可能」とのべ、「邦人救出」を名目にした自衛隊の海外派兵のいっそうの拡大の検討を表明している。テロ集団による蛮行を機に、「海外で戦争する国」づくりを推進するという動きは、断じて認められない。

 この声明は、まさに政府の官僚が書いたような文書であり、暖かさが全く伝わってきません。政府は、後藤氏に対して出国を思いとどまるように3回も説得したと主張し、後藤さんの自己責任のような態度をとっています。これに対抗するためにも、後藤さんの業績を共産党は正しく評価する必要があったのです。そのことに触れず全く無機質な声明になってしまっています。

安倍氏は」「償わせる」の中身を修正したが、志位氏は「解体」の中身を説明していない。
 安倍首相はイチビッテ「償わせる」と政府声明を出しましたが(これは官僚の書いた案に安倍さんが付け加えたと言われていますが)批判され、償わせるは、報復でなく、「捕まえて法的に裁く」とはっきりと軌道修正しています。
 これに対して無謬性を誇る共産党には間違いという言葉はなく、志位「声明」の「イスラム国」解体は有志連合による軍事行動とどう違うのかの説明が一切なされていない。

共産党の関連民主団体も志位「声明」の「イスラム国」解体方針に戸惑っている。

 インターネットで共産党関連の思われる主な組織を検索してみたが、全労連や民医連、原水協、9条の会、共産党大阪府委員会、大阪民主新報社、民主青年同盟等の検索を行ったが、志位「声明」を全く取り扱っていない。唯一見つかったのは新婦人の会の【談話】だけである。それぐらい志位「声明」を大衆団体等の課題にするのは難しい。これら全ての団体は平和を求めており、平和の視点から「イスラム国」問題を取り上げ、「イスラム国」問題を利用した、安倍首相の戦前回帰路線に反対する戦いは組織できるが、「イスラム国」解体を運動方針として取り扱うことはできない。
 すでに共産党はこうした大衆運動の高揚よりも、政治的に未熟な一般層にポイントを絞っている。そのためには安倍首相と同じように「イスラム国」残虐非道さを宣伝し、「イスラム国」の解体を叫ぶことにより、政治的に目覚めていない層を獲得しようとしている。なんと愚かな方針か、大衆運動の幹部も困っていると思われる。
 唯一この「イスラム国」問題に取り組んでいる新婦人の会であるが、志位「声明」の一部(国連を中心に国際法に基づいて過激武装組織への外国人参加と資金源や武器のもとを断ち、孤立させ、解体へと追いこむことです。)は取り入れているが、その文脈はまるで違う。
 以下全文を引用するので、志位「声明」との違いを見出してほしい。この談話すぐれた文書になっている。

【談話】 断じて許せない「イスラム国」の蛮行
                 後藤さんの遺志、憲法9条を守る誓い新た
                                                       2015年2月3日
新日本婦人の会 会長 笠井貴美代

フリージャーナリストの後藤健二さんが2月1日、過激武装組織「イスラム国」によって、湯川遥菜さんに続いて殺害されたとの報せに強い衝撃を受けています。人の命をもてあそぶ残忍非道な蛮行は断じて許されません。怒りをこめて糾弾します。ご家族の悲しみはいかばかりでしょう。心よりお悔やみ申し上げます。

後藤さんが命がけで伝えようとしたのは、紛争で犠牲となる女性や子どもたちの姿であり、戦争のない社会を願うメッセージでした。安倍首相が、この機に乗じて、「邦人救出」の名で自衛隊の海外派兵の拡大をねらい、米軍などによる空爆への参加まで合憲と発言し、集団的自衛権行使のための戦争法の制定など「海外で戦争する国」づくりへとつきすすむことは絶対に許されません。こうした軍事に走る対応は、憎悪をさらにひろげ、戦後70年にわたって憲法9条が築き上げてきた日本への中東や世界の信頼を一挙に壊して、日本人をテロの恐怖にさらす、危険きわまりない道です。

今すべきことは、国連を中心に国際法に基づいて過激武装組織への外国人参加と資金源や武器のもとを断ち、孤立させ、解体へと追いこむことです。また、日本政府が2人の拘束情報を早くからつかみながら最悪の事態を招いた経緯、国際原則に照らしての「人道支援」の内容、殺害警告の口実とされたカイロでの首相演説と中東軍事外交の問題など、この間の対応を徹底して検証し、国民に明らかにすることが必要です。

新日本婦人の会は、憲法9条に基づく日本の役割の発揮こそが、テロも戦争もない世界、異なる宗教や文明の平和的な共存、貧困と格差のない世界の実現への道になると深く確信し、決意あらたに草の根からいっそう運動をひろげていきます。

 志位「声明」を完全に否定できる立場でないので、その弱点を有しているが、まず文書が無機質な文書から温かみのある文書に変わっている。カイロでの首相演説と中東軍事外交の問題等を文面に入れ、安倍首相の責任をしっかり追求している。さらには「憲法9条に基づく日本の役割の発揮こそが」と志位「声明」には無い、如何にして戦うかが明確にされている。
 共産党の官僚組織の馬鹿さ加減を完全に克服した文書になっている。志位「声明」をこの立場で修正しない限り、国民は安倍政権との癒着を見抜き、共産党への不信感を現わにするであろう。