衆議院選挙の争点は何か

   志位氏は「日本共産党は総選挙で日本の政治の『五つの転換』を訴えてたたかう」


平成26(2014)年11月24日




共産党の主張する日本の政治の「五つの変換」とは何か?


 昨日(23日深夜・・upの日付は24日)、元共産党員B氏の投稿に対して、私は、街頭で配られている共産党のビラから判断して共産党の「選挙戦の争点が定まらない共産党」と「討論の広場」書きましたが、赤旗の主張11月22日、23日を見て共産党の選挙戦の争点が『五つの転換』であることが分かりました。
 さらに遡れば、安倍晋三首相の衆院解散表明を受けて、志位和夫委員長が19日に東京・新宿駅西口で日本共産党の躍進を訴えた演説内容のなかにこの五つの転換点が語らえています。


◎共産党の主張する『五つの転換』の転換とは、

 @消費税10%への増税中止、「消費税に頼らない別の道」への転換、
 A格差拡大の「アベノミクス」ストップ、暮らし第一で経済をたてなおす政治への転換、
 B「海外で戦争する国」づくりを許さず、憲法9条の精神にたった外交戦略で平和と安定を築く
 C原発再稼働ストップ、「原発ゼロの日本」への転換、
 D沖縄の米軍新基地建設を中止し、基地のない平和な沖縄への転換

 参考に、先の参議院選挙で掲げた争点は何かを調べましたが、「五つの大争点」(2013年6月7日(金)赤旗)では、
  (1)アベノミクス
  (2)原発
  (3)環太平洋連携協定(TPP)・米軍基地
  (4)憲法
  (5)歴史問題
 を端的に示し、これにたいする日本共産党の「改革提言」を提示しました。とされています。

「五つの大争点」(参議院選)と「五つの転換点」の違い

 ここで気がつくのは、今回の衆議院選挙では、参議院選挙で掲げた(3)環太平洋連携協定(TPP)・米軍基地(TPPは外れたが、米軍基地については、今回はD沖縄問題で触れている)(5)番目の「歴史問題」が削除され、安倍氏の消費税増税延期に波長を合わせ、@消費税増税中止が一番に躍り出、さらに翁長氏の知事選挙での圧倒的勝利を受け「D沖縄の米軍新基地建設を中止し、基地のない平和な沖縄への転換」を入れたことです。
 その代わりに参議院選の「(5)歴史問題が」争点から消えさりました。
 この点については、昨日の投稿欄で「選挙戦の争点は定まらず」で、この違い(参議院選挙の「五つの大争点」)に気づいてはいなかったのですが、衆議院選挙の争点に「歴史問題」がないのはおかしいとすでに批判していました。(討論の広場参照)

 この参議院選挙の「五つの大争点」と今回衆議院選挙の「五つの転換点」を見れば、共産党が、今回の選挙で「消費税問題」を最大の争点に据えていることがわかります。さらにこのことをうかがわせるのが、選挙戦開始にあたってしんぶん赤旗に22日、23日と連続してあげた【主張】の中身をみればわかります。
 この22日の【主張】と23日の【主張】は微妙に違い、おそらく22日の【主張】の弱点が内外から指摘され、23日に改めて【主張】を出したと思われます。

11月22日の【主張】と23日の【主張】はどこが違うのか


◎22日の【主張】は、
 「国民の声に耳を貸さず暴走を重ねる第2次安倍晋三政権と国民との矛盾が広がるなかの解散です。安倍政権が解散に踏み切ったのは、世論と運動に追い詰められた結果です。政治を変える絶好のチャンスです。」と書いています。
 この表現は、安倍首相の今回の選挙戦の狙いが暴露しきれていない。追い詰められたから解散というのは、共産党が戦い追い詰めたと主張するのは、非常にカッコは良いが、楽観主義であり。安倍首相の真の狙いが暴露されていない。
 さらに
 「安倍政権が総選挙に打って出たのは、「増税不況」の深刻化とともに、民意に背く安倍政権への批判が大きく広がるなかで、いまを逃せば選挙に勝てないという打算でしかありません。」と書いている。
 これもそのとおりですが、「戦争できる国へと『国体』を変えていく」という企みの下に行われている(打算だ・・・打算の目的を明らかにする)と言う主張を行わない限り、単なる安倍首相の個人的延命の次元の問題と捉えられてしまう。
 さらに、
 「安倍首相は解散の大義を語れません。消費税10%への再増税を来年10月実施から1年半先送りするとしたこと自体、増税路線と経済政策『アベノミクス』の破綻を証明するものです。安倍首相は今年4月に強行した8%増税と『アベノミクス』が暮らしと日本経済を破壊したことに無反省です。それどころか首相は2017年4月からの増税を『絶対にやる』と明言し、『アベノミクス』についても『ほかに手段があるのか』と開き直り、破綻を加速させる姿勢です。安倍政権に経済のかじ取りは任せられません」
 延々と「消費税」や「アベノミクス」について語り、安倍首相の「アベノミクス」が争点という主張に波長を合わせた赤旗の主張になっている。

◎これに対して23日の主張は

 「解散・総選挙を延ばせば延ばすほど不利になると踏み切った安倍政権に国民が審判を下す機会です。消費税再増税、「アベノミクス」の推進、「海外で戦争する国」づくり、原発再稼働、沖縄での新基地建設…あらゆる分野での安倍政権の暴走とその加速を許さない、国民の審判が求められます。」と書いています。

◎22日と主張とは違い、

「明らかに安倍首相の解散の狙いを、「五つの転換」で切り結び書いている。そこには「海外で戦争する国」作りに狙いがあり、これに対する国民の審判が求められているとしている。
 さらに、
 「第1次政権以来、「戦後レジーム(体制)からの脱却」が持論の安倍首相は、就任直後から改憲に執念を燃やし、憲法9条改定のため、まず改憲手続きを定めた96条を改定し、発議要件を緩和しようとしました。しかし、これは改憲への賛否を超えて「立憲主義」を破壊するという猛反対を招き、挫折に追い込まれました。 昨年末の靖国神社参拝も、アメリカを含む内外からの批判を招いています。」

 「安倍首相は昨年の参院選後、政府が『安全保障』に関わると判断すれば一方的に『特定秘密』と指定し、国民の目も口もふさぐ秘密保護法を持ち出し、昨年末、自民、公明とみんなの党の賛成で成立させました。国家安全保障会議(日本版NSC)を設置し、国家安全保障戦略を決め、武器輸出三原則を撤廃するなど、「戦争する国づくり」の策動を重ねています。」
 「安倍首相がねらってきた集団的自衛権の行使容認のため、政府の憲法解釈の変更を今年7月、一片の閣議決定で決めてしまったのは、『海外で戦争する国』づくりの最悪の暴走です。閣議決定による憲法解釈の変更には、『憲法破壊のクーデター』だと国民からのごうごうたる非難があがっています。」
 と書いています。明らかに前日(22日)のこの選挙戦の意義とニュアンスが違う。安倍内閣の危険性の本質を語り、それと対決していくことが、今回の選挙の意義だと主張している。
(ただ、この文書で物足りないのは、「『憲法破壊のクーデター』だと国民から非難が上がっている」と逃げたことです。ここでは堂々と「共産党はそう思っているし、今回この主張で戦う」と主張すべきです。)

 この主張の混乱、「あやふやさ」は、現場ではよく分からず、「消費税10%反対」を国民は最も期待していると捉え、「消費税10%反対」のだけのビラをまく可能性がある。現に、前回の参議院選挙でも、大阪10区では、尖閣列島のビラばかりまいていた。

 23日の主張の立場に立った、具体的ビラのあり方を中央は示さないと、地方はより簡単な消費税反対のビラ(主張)に偏向した戦いになってしまう恐れがある。
党中央の22日と23日の【主張】にすら揺れがある。

 ここで一般紙はこの解散をどう捉えているかを少しだけ見ておく。


 11月24日毎日新聞主張は、「安倍政治を問う」「集団的自衛権」という見出しを掲げ、中央に大きく「真正面から論戦深めよ」という見出しを掲げている。
 その内容は、文書は相前後するが、最後の方で「衆院解散・総選挙に踏み切った首相には、長期政権を確かにし、安定した政治基盤ののもとで憲法改正に取り組みたい狙いがあると見られる」とこの選挙戦を仕掛けた安倍首相の意図を明確に描き出しえいる。
 さらに書き出しは、「安倍政権は政権発足から2年間、戦後の日本の進路を転換するような安全保障政策を次々と実行に移してきた。共通するのは、中国の脅威に対抗するため日米同盟を強化するという結論ありきで、議論が極めて不十分だったことだ。その典型が集団的自衛権の行使を容認するため憲法9条の解釈を変更した7月の閣議決定といえる」
 「安倍晋三首相は、衆院選の最大の争点を消費税の先送りとアベノミックスの継承の是非と位置づけているが、集団的自衛権をはじめとする安全保障政策についても国民に説明し、数々の疑問に答える責任がある。」と書いている。
 これは、書き始めのほんの一部だけの引用だが、赤旗よりよっぽど政治の世界の情勢を的確に把握している。
 赤旗の22日の主張は、毎日新聞が指摘する「『消費税』や『アベノミクス』が真の争点ではない。『戦争できる国づくり』こそが、本当の争点だ」が全く理解できていない、政治的音痴の主張になっている。(23日で相当巻き返しを図っているが、まだまだ弱さを持っている。)


参考:討論の広場 11月24日付け「選挙の争点が定まらない共産党」 エガリテ