森友問題、共産党大阪府委員会はどう見ているか?


平成29(2017)年5月3日


森友問題は「大阪の特殊事情」か?、維新の利権あさりか?

 森友問題については、すでに赤旗の記事を中心に見ながら共産党の腰が定まらない点について9回にわたって批判してきた。最近書いた第9弾では、「大阪維新が果たした役割」を中心に書いたが、大阪維新をいつも批判している大阪府委員会はどのような主張を行っているのか見てみたい。

 実は「森友問題」については、さすが「大阪問題」と言われているだけあって、大阪の方が進んでいる面もある。私がいつも批判している宮原レポートも今回は割と核心をついたビラになっている。

 赤旗が、9億5千万円の土地を8億円ダンピングされて、1億3千万円で購入したと報道していたことに対して批判していたが、宮原レポートはただ同然で払い下げたという言葉をつかっていた。この表現が私は正しいと思っている。(赤旗は紳士的で、国民の不満を組織する点で弱い。)

森友問題の追及は赤旗より大阪民主新報の方が鋭かった。

 森友問題がマスコミから姿が消し始めたときに、大阪民主新報は4月23日(日)版で裏一面を使い「ウヤムヤ解決許さへん!」「森友疑惑」で特集を組んでいる。その見出しを列挙すると「首相夫人の証人喚問を」「松井知事は責任果たせ」「女性ら200人デモ」「加担した府の責任追及」「共産党・石川府議があいさつ」さらにはデモ隊の大きな写真があり、横断幕には「森友問題のウヤムヤ解決ゆるさへん!」と書かれています。赤旗本誌に「首相夫人の証人喚問を」というような大きな見出しが載ったことはないと思う。

 記事内容は「真相究明のため百条委の設置を」や教育勅語で結ばれた首相と森友などを取り上げ批判しています。

 この時期赤旗は、森友学園の詐欺的商法を批判(例えば三種類の建設費や工事費を払っていない事等)から見れば、大阪民主新報の方が物事の本質をとらえた報道を行っています。

 今回は、大阪民主新報に期待していたのですが、高槻・島本のメーデー実行委員会のビラを見てずっこけました。やはり大阪はダメだと思いました。

高槻市委員会のメーデ参加の呼びかけのビラを見て驚いた。

 高槻・島本地域メーデ実行委員会のビラには、今年のメーデの課題が書かれています、このビラは図案化されて簡潔に表現されていますが、経済要求が三つと政治要求三つ書かれています。(別紙資料参照)

 【経済要求】は

   @最低賃金を1500円に
   A大幅賃上げで景気の回復を
   B軍事費削って社会保障に

 【政治要求】は

   @原発再稼働反対!
   A共謀罪創設反対!
   B憲法9条守ろう!

 このスローガンの中に「森友疑惑追及」が無いことに違和感を持ちました。安倍内閣打倒が政治目標に掲げておらず、安倍内閣を倒す戦いでは、森友疑惑追及が現時点では最も効果的であるのに、その課題がない。

 大阪も「森友疑惑追及の政治的価値が把握されていないのだな〜」と思いました。私も実践から長く遠ざかっているので、共産党はすでにメーデで内閣打倒などをスローガンから外したのかと思い、赤旗のメーデスローガンを見てみました。

 さすがに赤旗は政権打倒は外していませんでした。その部分を以下に引用します。

スローがんは9つありますが最後に
  ☆ 森友疑惑徹底解明。南スーダンの「日報」隠ぺい許すな。
     安倍暴走政権打倒!野党と市民の共闘をさらに発展させ、野党連合をつくろう。
     都議選に勝利し、総選挙で新しい日本への道を切り開く確かな力=日本共産党の躍進を。

   ただ南スーダンの「日報」隠しと、森友問題を隠ぺいというキーワードで結んでいることには違和
  感があります。

 ちなみに最初☆マークは、安保法制=戦争法案廃止!立憲主義の回復を。であり政治的課題を一番に持ってきています。この辺はさすが赤旗です。

 この赤旗と高槻のメーデスローガンを比較して思うのは、赤旗は「戦争できる国づくり反対」の中に、共謀罪や憲法改悪反対を盛り込み体系化を図っている。さらには「軍事費削って社会保障に」という昔のスローガンをつかわず、三番目の☆マークの税の民主的な徴収や使い方の問題の中で、「税金の使い方を社会保障・若者・子育て優先に改め、軍事費削れ」という表現を使っている。(政権獲得を意識したスローガンに変えている。

高槻・島本地区のメーデビラに見る大阪の共産党の政治的劣化

 話は少しずれるが、高槻市のビラで私が一番嫌うのは、「大幅賃上げで景気の回復を」というスローガンである。景気回復のために大幅賃上げを行うのではない。財界に媚びたような賃金要求には大反対である。労働者の生活改善のために賃金要求は行うものであり、その結果として景気が回復するかもしれないが、最初から「景気回復のために賃上げを」という主張は馬鹿げている。(このスローガンでは、労働者の生活実態から学ぶという思想は生まれない。)

 例えば景気回復のためであれば、全ての労働者の賃上げを行わないで、大企業の賃上げを行えば景気が回復するかも分からない。労働者の生きる権利としての賃上げなら、生活できる最低限の賃金が基本になり、全ての労働者がその成果を享受できる。例えばアメリカは格差社会の典型であるが、景気は結構よい。中国も躍進しているが、その恩恵に与かっているのは一部の人だけであり、多くの人民は相当困難な生活をしている。

 賃上げと景気回復との関連を前面にだす共産党の賃上げ論には違和感を禁じ得ない。

 次に高槻市のメーデスローガンには、「安倍内閣打倒」もないし、「戦争できる国づくり反対」というスローガンがない。「共謀罪反対」、「憲法9条守ろう」、「軍事費削って社会保障」には全て戦争できる国づくり反対の観点から書かれていると思われるが、これを今一番推し進めているのが安倍首相であり、その危険性が森友学園問題を通してさらに浮かび上がってきた。国民が今一番関心のある問題を通して「安倍内閣打倒」を掲げるのが最も効果的だと思われるときにそれを外すセンスが分からない。

 さらには細かいことを言えば、先に政策委員長が自衛隊の予算に対し、「人殺し予算の削減を」と発言し、保守政党から総反撃を食らい、政策委員長を更迭し、共産党は海外侵略に伴う予算は反対だが、通常の自衛隊予算には反対していないと釈明した経過からして、社会保障と軍事費を対比して批判する姿は過去の物であり、不必要な軍拡予算は認めないが、軍事費全体を否定するものでないという立場性から批判を行う必要がある。

 政権を担うのであれば、国を守るという姿勢が必要であり、必要な軍事費というものも認める必要がある。単純に軍事費を削れば社会保障が充実するという立場は「正義」のように見えるが、国際関係が緊張している現状では必ずも国民から支持を受ける議論ではない。

森友問題で大阪維新の果たした役割を解明できず、戦いを組織できていない。

 話を元に戻すが、赤旗も大阪民主新報も森友問題でよい記事も書くが、時事通信などの記事(籠池批判)を無批判に流し、安倍内閣に協力していることに気が付いていない。その不十分さがメーデースローガンからも伺われる。

 私は、森友事件第9弾で「大阪の特殊事情」に対して一定の解明を行ったが、大阪の共産党は「維新が問題を起こしたら徹底して暴く」この姿勢を貫かない限り、いつまでたっても維新を打ち負かすことはできない。

 例えば森友事件での松井知事の役割や大阪府職員とりわけ私学審をミスリードした私学課課長の責任の追及や、籠池氏の顧問弁護士であった酒井弁護士の不可解な行動に維新がかかわっているのではないか等まだまだ解明が求められていることはたくさんある。

 籠池氏はこの弁護士に10日間ほど身を隠せ(財務省からの命令だ)と言われ、身を隠していたという。その後も「小学校の認可申請も取り下げろ」と指示され取り下げてしまった。担当弁護士として極めて不可解な行為をとっている。(籠池氏よりも維新を守ったのではないか? 疑問が残る。)

 さらに維新を除名された上西小百合氏の森友問題は「大阪維新の問題だ」という主張の吟味もしっかり行う必要がある。この話が真実であれば「森友疑惑」の本質は大きく変わる。この検証は重要だと思われる。