無内容な日本共産党高槻市会議団市政資料
平成23年9月20日
共産党の「市政資料」が赤旗に折り込まれ我が家に入って来ました。それを読んでみて改めてその無内容さに驚きを禁じ得ません。共産党は政党としての基本要件をすでに失ってしまっていると思われます。
そもそも政党の機関紙やビラにはどのような役割があるのでしょうか。
1.その政党の政策を広く国民に正しく伝える(まず一般論)
2.国民の生活をまもる上で、何がもっとも重要かを明らかにする。
国家と国民の利害関係がもっとも対立しているものは何かを描き出す。
3.それらを実現するために、どのような戦いが必要かを明らかにし、広く国民に訴える
4.他党派との違いを明確にし、自らの党の政策の優位性を訴え、国民を組織する。
以上のような役割があると思われます。
今回の「市政資料」(以下「ビラ」という。)に限って言えば、高槻市の市政運営が市民本位に運営されているかを点検し、その問題点を明らかにするとともに、共産党が議会の中で市民の「護民官」として如何に戦ったかを報告することが重要だと考えられます。
しかし、今手元にあるビラはこれらの要件を全く満たしておらず、共産党の政策すら理解していないものになっています。
このビラの問題は何か、いろいろありますが、共産党の主張(政策)を全く理解せず、評論家(あるいは世間話)見たいな形で構成されています。問題点はもう少し整理して説明しますが、どうしても見逃せない、とんでもない誤りをまず指摘します。
このビラは、一面で高槻市の財政状況について触れています。その内容は市当局の説明内容を要約した形になっています。次に段落ちさせ、「家計をあたためることが必要」という見出しがあります。ここからが共産党の主張だと思われます。しかしこの文書には、取り返しのつかない重要な弱点があります。以下具体的に見ていきます。
まずこの文書の主語は、「税収の増、自治体の財政の安定のためには」という主語からこの文書は始まります。共産党はいつから財務省と同じ発想になったのですか、主語は「国民(市民)の生活を守るために」であるべきです。つぎに「働く人の収入を増やし、国内の消費を温める必要があります。」と書かれています。そしてこれを受けて、そうすれば、(中略)「税収の安定的な確保につながります」と締めています。
見出しは「家計をあたためることが必要」になっていますが、中身は国民を働かせ、そこから収奪すれば、財政の安定化をはかれるという文書になっています。卑近なたとえになりますが、「国民を豚のように太らせれば、それだけ沢山搾取できる」という搾取の指南書みたいな文書になっています。
この国の財政の健全化の議論を行う場合、大企業優先の政策や、金持ち優先の政策、さらには特権官僚による「不正な収奪」等、様々な矛盾を暴くことなく、「国民を太らせて」、そこから収奪をすることがよいという主張は、共産党の政策を全く理解せず、「家計をあたためることが必要」、そうすれば結果として増収にもつながるという一面だけを取り上げ、しかも主語を取り違え「増収のために」、「家計をあたためる」という主張にしてしまっています。
この主張(税収確保のために働け)という主張をみて、誰が共産党を支持するでしょうか。いま「大阪維新の会」が多くの府民の支持を得ています。(そのことはいっせい地方選挙の結果からも明らかです)その最大の主張は「行政の無駄撲滅」です。府民はこの主張に共感を抱いているのです。この不況下で失業は増え、賃金は下がり、生活の破綻が進む中で、府民の視点は、行政の無駄に鋭い眼差しを寄せています。(確かに、自分の生活が破綻したのに、公務員だけは安定している、公務員も賃下げすべきという主張は間違っていますが、そこまで追い込まれているのです)その気分感情を理解せず、徹底した行政改革を行いますという主張を行わず、「みんなを働かせそこから税金を取る」こんな主張をしている限り、共産党は「維新の会」には勝てないし、それどころか吹っ飛ばされると私は思っています。
この内容がこのビラ最大の弱点ですが、それ以外にも問題だらけです。すくなくとも、政党の「宣伝工作」(古い表現ですが)という意味では全く無内容なビラになっています。このビラを見て共産党を支持しようという人はおそらく一人もいないと思います。むしろ私のような共産党のオールドフアンが、「共産党もここまで衰退したのか、もうだめだな」と念押しのようなビラになっています。
前回も指摘しましたが共産党が出すビラ党の宣伝媒体は、市の広報誌と違うのだから、共産党の政策を明確に打ち出す。その際、他党派との違いを明確にし、その優位性を前面に打ち出すことが重要です。
<今回のビラはどのような内容にすべきであったか>
・・・市民の期待している内容は
市民は共産党が支持したあたらしい市長が本当に市民本意の政策を打ち出してくれるのか注目しています。
議会で共産党が何を主張し、市長がどう答えたのか、私たちが一票を入れたことが本当に役に立ったのか
をみんなは知りたがっています。
=このビラは、この点について全く触れていません。=
次に、震災復興がどうなっているかの報告です。
共産党はいっせい地方選挙を「震災復興」を最大の課題に位置づけ戦いました。(この点については、私は 誤りと批判してきました)ところが、前回の市政報告もそうでしたが、震災復興への取り組みが今回も全く報 告されていません。
これでは「震災復興」選挙戦のスローガンであって、震災を利用しただけで本心はそこになかったことが丸わかりです。(前回も共産党の公約は、はがせばしまいの「膏薬か」と批判しました。)
この2点の報告のないビラ(市政報告は)、市民にとって全く魅力のないものになっています。
<このビラの問題点はなにか>
ビラとしての構成等が全く練られず、適当に思いついたことを書いている。
主語、述語等の構成があいまいで、市の主張か共産党の主張か分からない。
9月議会で共産党は何を獲得目標にすえて望んだのか、どのような成果を挙げたのか全く分からない。
行政の主張、市民の願い、他党派の主張、共産党の主張など整理整頓が全くできていない。
結論としては、単なるメモみたいなもので、「主張」をする政党の宣伝媒体に全く仕上がっていない代物と断定せざるを得ない水準である。
◆以下もう少し具体的に見ていきます
1.ビラとしての構成等の未熟さ
このビラは、市政報告と、府政報告を兼ねています。
どこかでその違いを明確にしないと、読んでいる者には分かりにくい。(表が市政報告で裏が府政報告かと思ったが、その後に、9月議会云々は、又市政報告になっている。)書き手から見れば、これは市議会のことは当たり前という意識があるのだろうが、長いこと市役所にいた私でもこれは市議会、府議会と疑問に思う。
以下同じだが、すべて思い込みの世界で文書を書いている。
たとえば表面の「9月議会の主な提案」これって一体だれが提案したのですか、市側ですか、共産党ですか、全く分かりません。内容を読んでも、良く分かりません。もし市側の提案であったら「市側の提案」と書くべきですし、共産党側でしたら「共産党の主張」と書くべきだと思います。さらに市側の提案でしたら、どこまでが市側の意見で、それに対して共産党が何を主張したか、明確に分かるようにしなければいけません。そうでないとさっぱり分かりません。たとえば、京大農場についての文書について
どこまでが市の提案ですか。「土地を購入することは必要です」これは誰の判断ですか。市の判断、共産党の判断か分かりません。共産党の判断とすれば、なぜ必要なのですか、そのことを市民に伝える必要があります。
次に大見出しに戻ります。
市税が落ち込み、生活保護も増加
高槻市の財政は28年間連続黒字
この見出しは、何が言いたいのですか、市の主張をそのまま代弁しているのですか、それともこの見出しの共
産党の主張がこめられているのですか。
◆その後の中身だし
・給与所得が大幅に減少
企業は輸出頼みで不安定
・市の財政も先行き不透明
・家計をあたためることが必要
これらの見出しも、またその中身も、市の主張の紹介ですか(前回も言いましたがいつから市の広報になった
のですか)
この中で唯一共産党の主張と思われるのが「家計をあたためることが必要」だけが共産党の主張だと思われ
ますが、残念ながら中の文書は増税の手法という点に視点から書かれている。
ここで書かれなければならないことは、なぜ生活が破壊されているのかその原因に触れることと、高槻市の財
政が28年間も黒字の中で、市は市民の生活破壊から守るための必要な施策を本当に打ってきたのかです。行
政は何もしなければ黒字になります。この点検抜きで、市の宣伝をそのまま党の宣伝媒体に載せることの異常さ
を感じます。(共産党の主張は無いのですか、共産党は無色の政党になったのですか)
2.主語、述語等の構成があいまいで、市の主張か共産党の主張か分からない
これはすでに述べているが、再度具体的に指摘したい。
(1)京大農場の記事
◆市の提案内容
予算の内容は26年間の債務負担行為で金額は138億3000万円です。市は「100万人の劇場公園」として大きな施設を建設する方向を打ち出しています。
◆共産党の主張
土地を購入することは必要です(なぜ必要か述べることは重要)しかし、市の財政負担、周辺住民への説明もなく、施設建設を議論(注1)するのは問題と指摘しました。
◆議会の判断
総務・消防常任委員会で、継続審議となりました。
注1:サッカースタジアムを建設して、ガンバ大阪を誘致する団体の動きもあります。
3.9月議会で共産党は何を獲得目標にすえて望んだのか、どのような成果を挙げたのか全く分からない。
(1)共産党議員団は先のいっせい地方選挙でお約束したことの実現に向けて奮闘しました。という記事がない。
(2)しつこいですが、災害復旧支援についていかなる提案をしたかは必須項目。これをはずせば、「あの選挙は何
だったのか」になる。
(3)9月議会、日本共産党が議員運営委員会に提案した意見書案
これも、議会日程等に習熟していない限り、何のことかさっぱり分からない。提案して取り上げられたのか、議会で可決されたのか、可決された場合どのような効果があるのか、全く分からない。不親切な記事だ。
4.行政の主張、市民の願い、他党派の主張、共産党の主張など整理整頓が全くできていない。
(1)市税が落ち込み、生活保護も増加、高槻市の財政は28年間連続黒字
この主張の中に、党の主張はあるのですか、「行政は市税が落ち込み、生活保護も増加、高槻市の財政は
28年間連続黒字という見出しは「どんなもんじゃ!」(亀田興毅の言葉)と自慢して語っているのです。われわ
れの手腕だと。共産党も同じ立場ですか。この黒字は、高槻市の財政運営が本当に公明正大で、市民の生活
を守ることに徹する中で勝ち取られたものですか、それとも、弱者の生活をいじめることによって勝ち取られたも
のか、その分析を抜きに、行政の主張を一面トップの見出しに使うあなた方の神経が分かりません。
(2)同じことの繰り返しになりますが、このビラの紙面から共産党の主張はこれっぽっちも浮かび上がって来ませ
ん。まず「国民生活が第一」(民主党の政策ですが)を明らかにし、その視点からすべて切り込んで行く必要が
あります。浜田市政は、その立場を堅持しているのか否かの共産党の評価をみんな待っているのです。その
上で今後とも市政を見て(評価)いこうと考えているのです。
さらには、浜田市政が本当に住民本位の市政にと定着させる上での共産党の役割や、他党派が逆に反動
的な巻き返しを如何に行っているかを暴露するのが政党の機関紙(ビラ)の役割です。
たとえば、総務・消防常任委員会で継続審議になったのは、どの党がどのような主張でどのような役割を果
たしたかをリアルに宣伝していくことが重要です。
5.結論としては、単なるメモみたいなもので、「主張」をする政党の宣伝媒体に全く仕上がっていない代物と断
定せざるを得ない水準である。
以上、私は共産党中央委員会に対して、「直訴」という形で訴えているのです。共産党の危機は赤旗の部数が落ちていることでは無く、政党としての基本的要件、自らの政治的主張を広く大衆に訴えて行くことができなくなっているのです。この知的な部分での「退廃・堕落」をこのまま放置して、政治戦線での勝利は勝ち得ません。その危機をこのビラを読んでも中央委員会は感じ取られませんか、本当にいま赤旗拡大を行えば、この政治的危機は乗り越えられますか。
私は行政内部からこの共産党の知的「退廃・堕落」を見てきました。行政の幹部は共産党の力の無さをみな気づいています。行政に取って共産党はなんら敵でなく、適当に対応しておけばよいお客さんになっています。
是非再考をお願いします。
資料:共産党「市政資料」1−6−3