森友決裁文書の改ざん事件:宮原レポート(府会議員)は大阪ならでの視点で書いている


平成30(2018)年3月17日


宮原レポートは共産党府会議員の政治活動報告ビラ(常に問題があり、発行の都度適宜批判してきた。)

 私は、これまで宮原レポートがいつもポイントを外した議論をしていると批判してきた。今回の「森友学園」関連決裁文書の財務省による改ざん批判は、安倍首相夫妻がかかわっていた事が問題の中心であり、同時に大阪の松井知事が「森友学園」疑惑に大きくかかわっていると批判したことは的を射てる。
 一般のマスコミは、財務省の決裁文書の改ざんに目を奪われ、この問題の出発点である松井知事や大阪維新の関りの重要性を見逃しているきらいがある。
 

大阪府の松井一郎知事(54)が14日、大阪府庁で報道陣の取材に応じた。 =安倍首相夫妻を批??=

 このような状況の中、松井知事は、報道陣に対して「佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問には賛同。」安倍昭恵首相夫人の証人喚問については「公文書偽造に昭恵夫人がかかわっているかと言えば、そうではない」と否定した上で、「ただ世の中には忖度(そんたく)はある。役所だろうと民間だろうと家庭でも。(安倍首相夫妻は)人としての関係があったことは認めるべきだと思う」と述べた。

 松井知事の「安倍首相夫妻にも責任あり」発言は、記者から「森友学園問題は、大阪府の小学校建設の設置認可が改ざんの引き金になったのでは? 森友学園が開設しようとした小学校を巡っては、府が設置許可基準を緩和した経緯がある。」 との質問にいらだち、「そもそも引き金ってどういう意味ですか!」と語気を荒らげた反論の中で語られた。

 松井知事は森友学園問題の責任回避のため、常に国を批判し、大阪維新や自らの関りを否定して来ている。宮原レポートは、松井知事の責任に触れながら、その追及の視点が弱い。
 上記松井知事の発言を聞いて、松井知事は安倍首相夫妻と一線を画し、この決裁文書改ざん事件で国民の側に立っていると思う人もいるかも知れない。こうした彼のずるい立ち回りを逃がしてはならない。この安倍首相夫妻批判発言は、責任逃れのための発言である。

宮原レポートにはいつも根拠が明確でない数字や文言が記載されている。


 「森友学園」をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題は、「14文書300カ所」と一般には報じられているが、宮原レポートでは、「公文書偽造」という言葉が使われ、「290カ所の改ざん」という言葉を使っている。
 国や財務省側は「書き換え」に固執し「改ざん」という文言を排除している。それに対して多くのマスコミや野党は「改ざん」という言葉を対置し、国側に対置している。宮原レポートの「公文書偽造=犯罪」は鋭い追及に見えますが、今回の場合この「改ざん」という言葉が問題の本質を言い当てている言葉なのです。
 なぜならこの改ざんの多くは安倍首相の犯罪を隠すためその関連個所を削除したところにその特徴があります。「原本」あってそれを「書き替えた」その行為を「改ざん」と呼ぶのが正確です。「偽造」という言葉にはは一から立ち上げたニュワンスがあります。
 さらに「改ざん場所は約300カ所」と財務省が報告し、マスコミでも300カ所と報道されていますが、宮原レポートは「290カ所」と書いています。
 どちらの数字が正確かは私にはわかりませんが、違う数字を使う場合その根拠を明らかにしないと、単なる誤りかなと思ってしまいます。
 たとえば大企業の内部留保、「過去最高406兆円」と財務省が公表した際、マスコミは全てこの数字を使っていましたが、赤旗だけは400兆円を使っていました。私はこの点も過去に批判しています。(出所の曖昧な数字を使うべきでないと)

なぜ一般マスコミと違う文言や数字を使うのか?赤旗や宮原レポートの編集方針が分かりません。

 些細な上げ足とりと言われるかも知れませんが、やはり多くの国民に知らせる情報は正確性の確保が重要です。他の一般マスコミとの違いを出したいのであれば、なぜ違う数字や文言を使うのか別途説明が必要と思わます。

 さらにもう一つ苦言を呈すれば、「塚本学園」という言葉が使われています。森友問題を扱っているのになぜ塚本学園が出てくるのか、疑問に思われる方もおられると思います。全ての国民がこの「森友疑惑」に精通しているのではなく、急に「塚本学園」が出ても意味の分からない方もおられます。これらの説明も必要かと思います。たとえば「籠池夫妻が運営する幼稚園(塚本学園)」ではというような表現が必要だと思います。

 読む側に何を伝えるのかを明確にしてビラを作成しないと、「公文書偽造=犯罪」とか「290カ所の改ざん」あるいは「塚本学園」など聞きなれない言葉が出るたびに引っかかります。あれそうだったのかという疑問が沸いてきます。

 小言幸兵衛ですみませんが、今回の宮原レポートは基本的に本質を外していないと評価しながらも、いろんな点でまだ改善点があるように私には見えます。

資料:日本共産党大阪府会議員宮原たけしレポート(2018年3月15日)