しんぶん赤旗は、その役割を果たせていない。存亡の危機にある。


平成30(2018)年3月31日


報道機関の二極化が進む。御用マスコミと健全なマスコミの対立(しんぶん赤旗の報道姿勢の落ちこぼれぶりが目立つ) 

 森友問題をめぐる国会の論戦は佳境を迎え、与野党間の攻防が激しくなっている。野党側の追及では共産党の追及が目立ち、共産党の優位さが浮き彫りになっているが、しんぶん赤旗はその優位性を十分に伝えられず、間の抜けた記事になっている。
 今回の森友問題ではマスコミ側の対応が報道各社によって違い、安倍政権支持派(読売・産経・NHK)と安倍政権批判派(朝日・毎日・東京・赤旗・日刊ゲンダイ+週刊誌等)がある。

安倍支持派と批判派の報道姿勢の違い(分岐点は)は何か?

 そこで支持派と批判派の論調はどこが分岐点になっているかを見ていきたい。言葉の用語の使い方、記事の構成の仕方から、マスコミ側の安倍政権に対する「忖度度」がうかがわれる。
 私は通常は毎日新聞と赤旗を購読し、ネットで日刊ゲンダイを読んでいるが、報道各社の違いを調べるため、13日(財務省が公文書の改ざんを認め翌日)と27日(佐川氏の証人喚問の翌日)に朝日と読売を購入した。これらの新聞記事の比較をしてみたい。

財務省の公文書改ざん事件を、「書き換え」と表現するか「改ざん」と指摘するか

 まず、新聞が安倍批判派か擁護派かどちらの態度をとっているかの分水嶺は、財務省の公文書改ざん事件をどう報道するかである。
 安倍内閣はこの事件を公文書の「書き換え事件」と位置づけしている。これを「忖度」して「書き換え事件」と報道していたのは、NHK・読売・産経である。これらの報道機関はジャーナリズムというより、政府の御用機関に成り下がっている。
 ところが産経新聞がいち早く佐川証人の喚問前に「改ざん」に切り替えた。さらに国会の集中審議(3/26)民進党の白真勲氏の質問「安倍首相がなぜ『書き換え』」と呼ぶか」と追及され、書き換えを守りながら「『「改ざん』という指摘を受けても、私はやむを得ないのではと思っている。」と答弁した。
 この安倍首相の発言を受け、その翌日からNHK・読売新聞は「書き換え」を「改ざん」に切り替えた。マスコミとしての自主性を持たず、安倍内閣の主張を「忖度」して今まで報道してきたことが丸わかりである。(注1)
 なお産経は一歩早く「改ざん」に切り替えたが、この点については、テレビ朝日のニュースでコメンテーターの近藤さんが、この理由を「『「改ざん』と呼ぶことで佐川氏に責任を全部かぶせる狙いをもってこの事件の呼び方を変えた」と説明された。もちろん官邸筋との相談を経たうえでの新聞紙面での「書き換え」を「改ざん」に表記変更したものである。(産経が抜け駆け的に一歩先行した。・・・これはより官邸に近いことを現している。)
注1:読売新聞の27日1面トップ記事は、「森友文書」「財務省 政治関与を否定」「首相」「『改ざん
  指摘やむなし』という大見出しを上げている。記事でも「学校法人『森友学園』への決裁文書の
  『改ざん』問題で」・・・と「改ざん」という記述に書き換えている。
   この文書の中ほどで「首相は26日の参院予算委員会で文書の「書き換え」と説明している今回の問
   題について『改ざんという指摘を受けてもやむを得ない」と認めた。と書いている。佐川証人の発言
   内容を如何に伝えるか大事な記事を自らの失態(「書き換え」としていた)事の釈明を1面トップで
   書いている。
     NHKも27日同日行われた佐川氏の証人喚問のニュースを報じる中で「改ざんと」表現することを
  発表。日経も同じ「27日」から「改ざん」に改めました。同じ日に三社が「書き換え」から「改ざ
  ん」に変える姿は、報道各社の自主性のなさをさらけ出しました。

第二の分水嶺、改ざんされた文書の数を「14件」と表記するか「14文書300カ所」と表現するかである。


 朝日・毎日・東京・日刊ゲンダイ等はは「14文書300カ所」の改ざんと伝えていますが、読売新聞は13日(財務省が公文書改ざんを認めた翌日)一面で「14件」の改ざんと伝えている。さらに興味深いのはしんぶん赤旗も14件と記載し(3月25日3面【総合】「14件の改ざん前文書を提出」)、14件300カ所の改ざんをできるだけ表面に出さないようにしている。(注2)
 「14文書300カ所」の代表選手である朝日新聞は、3月13日1面トップで「財務省、森友文書改ざん」と大見出しを掲げ、詳しく報道し、12面13面ぶち抜きで14文書の改ざん内容を記載している。(300カ所という表現は使っていないが全てを網羅して書き出している。)凄い力の入れようである。
 毎日新聞は13日、財務省が「14文書300カ所」の改ざんをを認めたという記事を書いている。
 私は毎日新聞を読んでいるため、「14文書300カ所の改ざん」が共通認識だと思っていたが、共産党府会議員の「宮原レポート」で290カ所の改ざんという文書に接し、なぜこんな簡単なことを間違うのかと思い、赤旗をひっくり返してみたが、赤旗はほとんど14件の改ざんを使い、300カ所を現すことを避けている。(確かに【主張】には14文書300カ所の改ざんという文書もあるが)一方では大阪民主新報(3/25)では「14の文書で数十カ所の改ざんを行っていた」と書いている。
 赤旗しか読んでいない人は、「14文書約300カ所の改ざん」というこの事件の概要があまり頭の中に入っていない。この府会議員のレポートは15日版と24日版があるが24日版では一定修正されているのに「290カ所」は修正されていない。大阪の党内ではこれを誤りと気づいた者がいない。28日の朝にも駅頭でこのビラがまかれていた。

注2:財務省公文書改ざん事件を伝える赤旗記事の不思議(事件の概要を正確に書かない)

なぜ赤旗は、読売と同じ(忖度)派に堕落しているのか、

 読売新聞を見るまで全然わからなかったが、読売新聞を読んで初めて分かった。おそらく赤旗は自らで記事を書く力が無く、時事通信など配信記事をそのまま使い記事構成を行っているものだと思われる。その為改ざん文書が少なかったように見せる14文書を14件と表記し、そのあとの300件をつけず、改ざんカ所が少なかったような印象操作に巻き込まれているのである。情けない限りである。
 私の疑問は国会では最先端で戦いながら、赤旗ではなぜこのようなミスを行うのか、国会議員は赤旗に対して注意を行わないのか不思議でたまらない。

第三番目の分水嶺は、国会答弁等をどう報道するかである。 

 3月29日麻生太郎財務相は、参院財政金融委員会で「森友の方が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)より重大だと考えているのが日本の新聞のレベル」と述べ、マスコミ報道をを批判した。この際彼はその証拠として、「日本の新聞にはTPPの記事が1行も載っていなかった」と主張した。
 この問題を29日夜テレビは、報道ステーション(6チャンネル)やNEWS23(4チャンネル)は大きく伝えたが、翌日の新聞、毎日や赤旗はベタ記事であった。毎日新聞は麻生発言を客観的に伝え、批判を全く行っていない。赤旗は「改ざん問題の麻生発言」「重大性を全く理解していない」志位委員長が批判という記事を載せているが、この2面【政治】の紙面では、「6野党院内集会」小池書記局長のあいさつの方が記事の大きさ、見出し文字の大きさが全く違い目立たない記事になっている。
 一方テレビはどう伝えたか、麻生氏の発言が事実に基づかない思い付きの発言であり、とんでもない発言だと言うことを視聴者に見せた。
 まず森友問題とTPPの記事の分量であるが、朝日新聞は1面と3面(?)の違いはあるが大きく報道している。日経でも3面と批判したが、日経は1面に載せていた。各紙ともTPPの報道を大々的に報道している事を画面で見せた。
 さらに、麻生氏はTPPの「締結」といったが「署名」の誤りや、開催地を「ペルー」といったが「チリ」だったなど、発言自体が誤りだらけであったことを指摘している。

31日朝刊、毎日・赤旗共にこの記事を再度取り上げたが・・・・・

 テレビに比べ新聞はこの報道で後れを取ったが、毎日、赤旗ともにこの記事の重要性に気づき、再度整理して報道している。しかし毎日新聞に比べ赤旗はその姿勢が完全に負けている。
毎日新聞
 見出し「麻生失言 『火に油』「『森友問題よりTPP重要』」、中見出しで「『1行もない』は誤り」と書き批判した。さらに麻生氏の発言を書き起こし載せている。記事の締めくくりは、自民党の鴨下一郎元環境相の「弁解の余地はない」発言や、公明党の批判、さらには立憲民主の枝野氏の発言「『もうやる気がないのではないか。それならさっさと地位を引かれるべきだ』と麻生氏の辞任を求めた」で締めくくった。

赤旗
 「報道批判発言」「麻生財務省『反省』というが・・・」「参院委で大門氏追及」、「改ざん問題の責任語らず」という見出しの文書を書いている。がその締めくくりは、「自分の責任を認める姿勢は示しませんでした。」で締めくくっています。
 この赤旗記事と毎日新聞を比較すれば、月とすっぽんのような違いがあります。赤旗の見出しは「『反省』というが・・・」と書いていますが、これを素直に読めば「反省」していないと主張しているように見えますが、麻生氏が「反省」しているか「反省」していないかは、すでに国民は見抜いています。「反省」していないことの「犯罪性」明らかにすることこそが大切なのです。
 結びの言葉が、「自らの責任を認める姿勢は示しませんでした」これも全く馬鹿な指摘です。彼が自ら認めることはありません。それを前提にして如何に追い込むかを書くべきなのです。
 毎日新聞は政党ではないので自ら麻生氏を退陣に追い込むとは言えないので直接その言葉を出していませんが、麻生氏発言「火に油」と書くことによって、佐川証人喚問によって終わらせようとする安倍政権に対して、「火に油」ということは、より国民は怒っている。さらに国会議員の発言をカバ−しながら「自民党も公明党も態度を変えつつある、さらに野党は辞任しかない追い詰めている」と締めくくっています。
 赤旗がほぼ同じ記事を書いているように見えますが、その追及の姿勢が全く違います。これが赤旗の能力の無さか「忖度」か現状では私は判断することが出来ませんが不可思議でたまりません。

共産党のポスターには戦う気概が全く見られない。(この項は蛇足であるが)


 3月25日、市民団体「未来公共」等の呼びかけで、公文書改ざん事件の真相究明を求める大街頭宣伝が東京・新宿伊勢丹前で行われました。市民や学者、各党の代表が「安倍政権は責任を取るべきです。私たちが声をあげて政治をかえようと」などと訴え。参加した8000人が「公文書改ざんするな」とコールしました。
 この公文書改ざん事件で安倍政権を倒せるか否かは、この国民の戦いが発展するか否かにかかっていると思っています。安倍首相も「後は、国民がどう判断するか」といっています。
 しかし赤旗は、これらの運動をあまり重視していません。大手マスコミはこの国民の戦いを過小評価して大々的に取り上げていません。これを積極的に取り上げているのはユーチュブです。わたしもユーユーブでこの街頭大行動を見ましたがスゴイ盛り上がりで素晴らしい戦いです。志位委員長も挨拶に立ちましたが、一番良かったのは社民連の八王子市の20歳代(?)の女性市議の演説でした。素晴らしい内容でした。この報道にもっと力を入れるべきです。
 共産党は国会では頑張っています。ニュース番組で取り上げているのも共産党の議員が多いように見えます。共産党の辰巳孝太郎氏もよく頑張っています。
 しかし私は共産党の事務所の前を通りながらいつも共産党が何を訴えているかポスターを見ます。この間の戦いの盛り上がりのポスターがあるかと見ましたが、戦いの盛りあがりを現すポスターは無く、辰巳孝太郎議員の芸能人のようなポスターが張られていました。次の大きな議会選挙は参議院選挙です。それを狙って辰巳孝太郎議員のポスターを張るのは当然ですが、なぜ新宿伊勢丹前での国民の決起集会の中での辰巳氏のポスターにしないのですか、最低限国会での質問で政府を追い詰めているポスターにしないのですか。芸能人のようなスター気取りのポスターこそが一番効果があると判断する共産党幹部の堕落を感じます。(参考画面参照)
 私は新宿伊勢丹前の社民党の市会議員の演説に心が打たれました。こうした展開を軸に共産党を育てないと、ジャニーズ事務所のような感覚で大衆を組織しても一時的には成功しても長期的には堕落していくだけだと思います。

参考画像:辰巳孝太郎のポスター