しんぶん赤旗と日曜版の紙面の違いに驚く、日曜版の方が政治的に鋭い(第3弾)



令和2(2020)年6月20日


 私は、6月12日に「しんぶん赤旗と日曜版の紙面の違いに驚く、日曜版の方が政治的に鋭い(第2弾)」という記事を書いた。※緑の字体で書いた分は他ページにリンクしています。
 今回はその第三弾である。6月21日版赤旗日曜版の9面「東京都知事選」「7月5日投票」「宇都宮けんじさん」という記事が載っている。この記事はしんぶん赤旗6月14日付に載った宇都宮健児氏へのインタビュー記事と出典は同じだが、記者によって内容が全く違う記事になっている。
 まさにしんぶん赤旗の記事は問題のいっぱいある記事であったが、日曜版の記者は上手くまとめている。別のインタビュー記事の様に見える。一瞬そう思ったが、日曜版の結びの言葉が、「地べたで苦しんでいる人に手を差し伸べるのが行政であり政治だと思います。」と言う言葉を見て同じインタビューを、書く人によってこんなにも違う形に出来上がるのか、ある意味恐ろしくなった。
 実は私は日曜版のこの記事を見て驚き、赤旗本紙の記事を探したが、既に捨てられてしまっていて照合ができなかった。そこで共産党中央委員会にアクセスすれば赤旗記事は読めると思って、中央委員会の赤旗記事を検索してびっくりした。しんぶん赤旗電子版は、日曜版の記事に波長を移した記事に塗り替えられている。そこで私はしんぶん赤旗紙面に載った6月14日の記事をインターネット上で探し回って、ついに共産党東京都委員会に原本に近い記事が載っていることを発見した。しかし、この記事も違っている。私が新聞赤旗の記事を一番批判した点は「『腎臓売れ!』脅し抗し」「高金利被害者救済に奔走」という見出しである。しかし、この問題の見出しは、赤旗に日曜版にはない。記事の中に「暴力的、脅迫的な取り立てに会うわけです。」と書いているだけです。ところが東京都の共産党委員会の記事は「1980年後半からサラ金の広告が出回ります。商工ローンの「『腎臓売れ!肝臓売れ!目ん玉売れ!』という取り立てにたまりかねた保証人が音声を録音し、宇都宮さんの法律事務所に駆け込んできました。」と言う記事になっています。(注1)

注1:共産党東京都委員会は、赤旗本紙が修正していることに気が付かず、未だに「商工ローンの「『腎
  臓売れ!肝臓売れ!目ん玉売れ!』という取り立て」と言う記事を載せている。大阪府委員会は間
  抜けと批判してきましたが東京都委員会もこの記事がおかしいことに気が付いていない。(6月20
  日0時20分現在)

 おそらくこのインタビュー記事をまとめた記者は、東京都の共産党委員会の記事通り『腎臓売れ!肝臓売れ!目ん玉売れ!』とも書いていて、途中で批判があり、『腎臓売れ!』に変更され、さらにまずいと感じ、赤旗電子版では「暴力的脅迫的取り立てにあうわけです。」に変更しています。
 私は、赤旗の記事の見出しを二点批判しました。一点目『腎臓売れ!』二点目は「毎日『地べたで苦しむ人』に手を差し伸べるのが政治だ」です。この二つの見出しの視点、最下層の人の立場から政治を見て立て直すという理念は立派ですが、選挙は東京都民全体に対する訴えでなければならないと考えています。しんぶん赤旗は、「貧困 格差を なくそう」「生存権がかかった選挙」(注2)と宣伝していますが、これでは都民の共感は得られません。「普通の都民=一般庶民」が今求めている事は何か、そこに照準を合わせて訴えていく事が大切だと主張してきました。
 
注1:「生存権がかかった選挙」という捉え方は、宇都宮さんが弁護士として考えられている事ですから
   これは重要な柱として位置付けることには賛成ですが、弱者に目を向けようという「視点」にこだ
   わりすぎれば選挙は勝てませんと言うのが私の忠告です。赤旗日曜版の記事を見て私と同じセンス
   だということに気づき嬉しく思っています。

 もう少し、何が違うのかを押さえておきたいのですが、まずいつも見出しから入ります。赤旗日曜版は、「苦しむ人に手を差し伸べる」「コロナ危機で悲痛な声次つぎ」という見方と(前半)後半は「自公のさやに納まった現知事」と言う見出しを掲げています。すべて政治的に物事を見ようとしています。
 これに対してしんぶん赤旗は「貧困 格差 なくそう」「『腎臓売れ!』脅しに抗し」「高利被害者救済に奔走」「反貧困ネット・派遣村・・・」「当事者に寄り添い続けて」「コロナ危機では、電話相談・基金成立」「毎日、地べたで苦しい人に手を差し伸べるのが政治だ」だと弱者の視点で、あるいは立場でと特定の立場を強調しすぎています。
 都知事選挙ですべての都民に訴える姿勢としては極めて弱いものになっていまます。私は先に書いた「都事選挙に向けた宇都宮健児さんの応援記事がやばすぎる(とち狂った赤旗)という記事を書きましたが、その際前回選挙の鳥越氏の失敗に学んでいないと批判しました。その内容は鳥越氏は最大の政策は「がん検診100%」というフリップを出しました。これを見た時これはダメだと思いました。(都民の願い・要求を吸い上げていない。)
 今回の宇都宮氏「格差・弱者」という視点だけで都民の願いや要求を前面に出していないことが私にはものすごく気になります。(負ける選挙のパターンです。)

日曜版と新聞赤旗の違いは、日曜版は「格差・弱者」だけにこだわらず政治的視点を入れている。

 しんぶん赤旗は、東京都政をどのようにして都民ファースト(小池氏の言葉であるが)に立て直すかという決意が無く、自分がいかに弱者の立場に立っているかを延々と語っている。弱者の立場から物事見るのは私が一番だという主張にどのような効果・価値があるのかが疑わしい。
 全くの蛇足ではあるが、それは宇都宮氏が弁護士だったからその視点からものを見ることが要求されたが、都知事は、必ずしも弱者の視点からだけ見ていては務まらない。その切り替えが必要である。
知事選は、東京という日本の最大の都市を任せるのに相応しいか人物か否かが問われています。小池知事が「コロナ対策と、稼げる東京」という表明をしていますが、東京を生き生きした街にどう育てていくかという視点がない限り、選挙には勝てません。
 私は大阪に居住し、黒田革新市政の実現に向けて奮闘した者の一人ですが、有権者と話していて、大阪府政を府民の生活を守る砦にしたいというような訴えが府民の心を捉えられたと思っています。ところが黒田府政が倒れた後は、共産党の推薦候補は泡沫候補ぐらいしか票が取れなくなりました。その最大の理由はどのような大阪府を府民にためにどう作って行くかのビジョンの欠如が最大の敗因だと思っています。
 例えば最近では、大阪維新は都構想というビジョンを出しています。これは全くの無内容ですが、大阪で万博を開催するとか未来を語っている姿を見せます。これが彼らの勝因だと思っています。都知事選挙も東京都の未来図をしっかり書かないと当選できないと見ています。
 しんぶん赤旗は、裏表紙一面を使って訴えたことは、宇都宮候補は弱者の見方で正義の人だということを訴えただけです。その訴え方にも偏りがあり赤旗は、「『腎臓売れ!肝臓売れ!目ん玉売れ!というような言葉を使っています。
 これに対して日曜版は、同じように弱者の立場から書いていますが、その内容は「コロナ危機で悲痛な声次つぎ」と現在の政治の課題からせめています。さらにはこの悪政は、「自公のさやに納まった現知事」と政治問題の中で、現在の貧困問題を捉えようとしています。同じ話でも聞くものに力があれば違った内容に編集ができます。
 赤旗の記事に点数をつけるとすれば、日曜版が80点とすれば、しんぶん赤旗は30点ぐらいの記事を書いている。政治的センスが全くなく宇都宮氏の「自慢話=ヤクザでも屈しない」という内容をどうさばくかという思考なしに、紙面の中心に据えてしまっている。宇都宮氏の人柄からウソをついているとは思えないが、このような品のない言葉で持ち上げても違和感はある。全く失礼な話ですが、「それがどうした、弁護士なら当然だろう」という受け止め方もあり、むしろ「東京を愛している。」「東京の未来に希望を持っている」その手助けをしたいと思っている。というまとめ方が必要であったと思っている。
 赤旗もこの弱点に気づきだから最初の記事からどんどん変えて日曜版の記事になったものと思われる。しんぶん赤旗記事の検索をしても日曜版と同じような記事になっている。赤旗の原本を見たい人は東京都委員会のHP入れば見られる。これが赤旗の力量である。

参考:日本共産党東京都委員会・・・「共産党東京都委員会 宇都宮さんインタビュー」で検索す
   れば見れる。