日本共産党 最近おかしくないですか

共産党は志位委員長を降格させ池内沙織議員を委員長にすることを提案する


平成27年(2015)2月1日


 

「イスラム国」の「人質殺害警告」の対応で共産党は大きな誤りを犯している。


「イスラム国」の「人質殺害警告事件」が発生したが、この重要な問題の解決にあたって、共産党は大きな誤りを犯している。共産党は安倍首相が行ったエジプトでの発言(17日)、『ISIL(イスラム国)がもたらす脅威を少しでも食い止めるため』や『ISILと闘う周辺各国に』支援を約束する」と従来の中東政策から大きく逸脱し、「イスラム国」を敵視した発言が今回の事件の発端であるにも関わらず、これを不問にし、人質救済が最大の課題であり、政府批判を一切しないという態度を取っている。国民に責任を持つ政党としてなんと馬鹿げたふるまいか。
 私はこの共産党の態度(赤旗の主張)を一貫して批判していたが、共産党は他のマスコミに比べて即応性がなく、十分に対応できていないが、いつか安倍首相に対する体系的な厳しい批判が行われることを期待していた。

池内沙織衆議院議員が安倍首相を批判、(さすが「共産党はロック」だと言う議員)

 共産党の新人議員である池内沙織衆院議員が「イスラム国」により日本人1人が殺害されたとする画像がインターネットで公開され、菅官房長官や安倍首相のコメントを聞き、ツイッターで「国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権、安倍政権の存続こそ言語道断」などと政府批判を展開した。(注1)共産党もやっと主張し始めたと歓迎した。
 しかし、この発言を受け、共産党の志位和夫委員長は26日午前の記者会見で、「政府が全力を挙げて取り組んでいる最中だ。今あのような形で発信することは不適切だ」と池内議員を批判した。志位氏は「残虐非道な蛮行を強く非難する」と述べ、イスラム国に拘束された後藤健二さんの早期解放を要求。政府には「人命最優先であらゆる可能性を追求し、解放のために全力を挙げてほしい」と語った。
 私はこの志位委員長が池内議員のツイタ―を削除させたという記事に接し「政府が人質解放に向けて全力で(?)取り組んでいるさなかに、人質事件を招いた責任を問う政府批判をするのは不適切だというのが、日本共産党の公式見解だと理解した。
 これまでの赤旗の沈黙は確信犯だったことが分かった。この志位委員長の発言は、共産党は共産党たる大義を完全に失った。(共産党は安倍首相と同じく、有志連合支持派であることが分かった。)

注1:菅義偉官房長官は2015年1月25日深夜に緊急記者会見を開き、「このよう
  な行為は言語道断の許し難い暴挙であり、強く非難する」との声明を出し
  た。安倍首相も同様のコメントを残した。
    池内議員が、これにかみついた。声明発表後にツイッターで「こんなにも
  許せないと心の底から思った政権はない」と怒りをあらわにし、こう続け
  た。
  「『ゴンゴドウダン』」などと、壊れたテープレコーダーの様に繰り返し、
  国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権。安倍政権の存続こそ、言語道断。
  本当に悲しく、やりきれない夜。眠れない」

なぜ、共産党は安倍首相批判を行わないのか?

 これは先の衆議院選挙で勝ったからである。共産党はなぜ選挙でなぜ勝てたのか、それは安倍政権が押し進める「海外で戦争できる国」づくりを批判せず、「消費税反対」をメインにして選挙戦を戦い勝利したからである。共産党が衆議院選挙で学んだことは「安倍政権と戦わなければ勝てる」という教訓である。
 なぜそうなのか、共産党の3中総は、「反共主義」と戦って、これを打ち破り勝利したと書かれているが、まさにここにポイントがあり、共産党の選挙戦での戦いは「反共主義」との戦いであり、これを打ち破なければ勝利できない。
 私は共産党には25%の壁があり、どんな政党間の組み合わせ(例えば自・共一騎打ちでも)共産党は25%の壁は打ち破れないと批判してきた。ところが先の衆議院選挙で、大阪小選挙区で公・共一騎打ちの選挙で共産党は40%を超える得票を取った選挙区が二つあった。戦い方いかんでは、共産党も自・公と対等に戦える芽が出てきたのである。
 この最大の保証は、自民党が共産党を敵視せず、むしろ「自・共対決」だと、共産党を戦いのリングに招き入れてくれることにある。共産党はこの位置の座り心地の良さに酔っている。「安倍政権の本質と戦わない」先の衆議院選挙で共産党が学んだ最大の教訓である。
 志位氏は、自らが共産党の幹部になってから選挙に勝ったことがない。なんとかこの不名誉な記録を塗り替えたい、共産党の巻き返しを図り自分が一流の政治家であることを国の内外に示したいという要求を常に持っていた。
 そのために「反共攻撃」と戦ってそれを乗り越えていくことが最大の課題であるが、それは味方の戦力(力量)を考えたら難しい、(ジリ貧である)そこで彼が考えたのは、共産党が政府自民党に取って敵ではないという立場を明確にすれば、敵は反共攻撃をしない、むしろ「自・共対決」だと持ち上げてくれる。この作戦が成功したのが前回の衆議院選挙である。(注2)

注2:日本共産党だけが正面から自民党と対決し、国民の立場で対案を持ってい
  る。ことを浮き彫りにする発言(共産党の亀山市議団のホームページ)
   自民党の谷垣禎一幹事長は9日、京都市左京区で演説し、民主党は「相当
  弱っている」とのべ、野党について「彼らが国民のために何をしようとし
  ているのかわかりません」と苦言。そのうえで「どの政党が国民のために
  しっかり自分たちのやりたいことを示せるか。一つ示せる党があります。
  それは共産党です」と語り、「しかし、私たちが共産党と一緒にやるわけ
  にまいりません」と述べました。
   谷垣氏はこの同趣旨の発言を自民党の当選1回の議員たちとの意見交換会
  でもしている。

 選挙戦の最中共産党はこの発言に飛びつき、日本共産党だけが正面から自民党と対決し、国民の立場で対案を持っていることを自民党も認めていると赤旗紙上などで盛んに宣伝してきた。(元々赤旗は共産党の主張の正しさを「保守が認めてくれたから正しい」という論理を使っている。最近では野中広務や加藤紘一などを使っている。)

自民党は共産党を補完勢力と利用できると見ている。

 今回「イスラム国」問題は、安倍政権が「海外で戦争できる国」づくりの第一歩だと考えているにも関わらず(?)、これを批判せず、人命救済が最大の課題だと主張し、安倍政権に擦り寄っている。(安倍政権の本音は、人命優先が最大だとは思っていない・・・週刊誌にはこの事件を聞いて安倍首相は「イスラム国の『テロ』でツイている」と笑ったという記事すらある。)(注3)

注3:週刊ポスト2015年2月6日号
   安倍首相は、1月17日〜21日にかけて中東歴訪を行なったが、出発前の1月7
  日にフランスで週刊紙銃撃テロ事件が起きると、外務省内から今回の首相の
  中東訪問は「タイミングが悪い」という声が上がった。
   ところが、安倍首相の反応は逆だった。官邸関係者がこんな重大証言をし
  た。
   「総理は『フランスのテロ事件でイスラム国がクローズアップされている
  時に、ちょうど中東に行けるのだからオレはツイている』とうれしそうに
  語っていた。『世界が安倍を頼りにしているということじゃないか』とも
  いっていた」
    周囲はその言葉を聞いてさすがに異様に感じたという。

 この共産党の大政翼賛会的発想は、安倍首相から見れば今回の事件の思ってもみない副産物である。共産党はいざというときには反対しないという感触(保証)を得たと思っているであろう。
 共産党が最も「バカだな」と思う事は、もし政府が人質解放に最大限の努力を行っていると評価した場合でも、そのための課題は何か、独立した政党であれば自らの主張を行わなければならない。現在の志位委員長の発言は、単に「黙って見守る」と言うのである。これでは国民の意見を代表する政党として失格である。
 共産党が主張すべきは、安倍首相が行ったエジプトでの発言、「従来の中東政策から大きく逸脱し、『イスラム国』を敵視した発言」の撤回を求めることである。
 

この事件を通じて安倍首相は何を勝ち取ろうとしているのか

 最大の狙いは「テロ」に弱い日本ではなく、「テロ」に強い日本国をアピールし、日本も有志連合に参加したいのである。これは安倍首相自身からも日曜日のNHKの番組で、今回の事件の教訓として、自衛隊の派遣を考えていると主張していることからも明らかである。(注4)もし人質の解放が最優先であるなら、さらに中東情勢の混乱を招く自衛隊の海外派兵の可能性について言及しないであろう。
 安倍首相は国会答弁でも今回のような事件の際、自衛隊の派遣を行いたい旨発言している。(注5)

注4:人質殺害を口実に…安倍首相がNHKで「自衛隊派遣」を示唆
                      日刊ゲンダイ 2015年1月26日
   「最悪の事態」がとうとう現実となった。過激組織「イスラム国」による
  日本人人質殺害事件。こうなったのも、安倍首相が外遊先のカイロで、能
  天気ヅラして「イスラム国対策にカネを出す」と“宣戦布告”したのが原
  因だ。安倍首相は、イスラム国側から「アベ、おまえがハルナ殺した」と
  名指しされ、さぞ自責の念に駆られているのだろうと思ったら違った。
  「反省」どころか、今回のテロ殺害事件を安全保障や集団的自衛権の法改
  正問題と結び付けて“政治利用”しようとしているから許し難い。
  「この(テロ殺害事件)ように海外で邦人が危害に遭ったとき、自衛隊が
  救出できるための法整備をしっかりする」――。
   25日、NHKの日曜討論に出演した安倍首相。26日開会の通常国会
  で、安全保障と集団的自衛権の関連法案の成立に向けた意気込みを問われ
  た際、こう強調していた。聞き手の島田敏男・解説委員が気心の知れた
  「寿司仲間」のために気が緩んだのだろうが、これは衝撃発言だ。

注5:赤旗30日付2面 「邦人救出」武器使用も 日本人人質事件口実に首相が
  言及

   安倍首相は29日の衆院予算委員会で、過激組織「イスラム国」による日本
  人人質事件を踏まえ、「邦人救出」を口実に、自衛隊の海外派兵と武器使用
  を可能にする意欲を表明しました。安倍政権は今国会に、集団的自衛権の
  行使を可能にした昨年7月の「閣議決定」を具体化する意欲を示しています。   
   民主党の小川淳也氏が「今回(イスラム国による日本人人質事件)も検
  討対象になるのか」と質問したのに対し、首相は「領域国の受け入れ同意
  がある場合は、自衛隊の持てる能力を生かし、救出に対応できなくなるよ
  うにするのは国の責任だ」と答弁しました。

志位氏の頭の中は、「選挙で勝つこと」「自らの名声を得ること」が最大の課題

 安倍首相の意図がこれだけ明らかであるのに、志位委員長はオールジャパンで人質救済に向かわなければならない。今、安倍首相を批判すべきでないと騒いでいる。
 中東で如何に多くの人たちが欧米の利権あさりのため、人命や人間らしい生活が犯されているのに全く考慮されず、欧米の論理(テロに屈しない、テロと戦う)だけで人質解放を求めている。
 人質解放には欧米の視点から離れ、安倍首相がエジプトでの「イスラム国」敵視発言を取り消し、2億ドルが本当に中東の難民など人命救助に使われることを保障することが最も有効な交渉手段である。
 政府の「テロ」には一切妥協しないという方針を全面的に支持する共産党は、かつての「万国の労働者 被抑圧民族は団結せよ」の立場を全く放棄してしまったと思われる。政党としての自らの主張・立場を全て封印してしまうのは、政党としての自殺行為である。

「政府と戦わななければ勝利できる」・・こんなことはありえない。 

 志位氏は大きな勘違いをしている。「政府と戦わなければ」反共攻撃は行われないし、自・共対決と持ち上げてもくれる。そして選挙にも勝てる。こんないいことは無いと思っていると思われるが、これは麻薬と同じである。確かに一時的には躍進するであろう。しかしこの躍進は虚構であり、いつの間にか内部崩壊が起こり、結局は破滅に導かれてしまう。
 政党が大きくなるには、情勢を分析し、自らの主張を明確にして、その方針で組織していくことが重要である。今の共産党の組織の仕方は、消費税増税反対の国民が多数いる。そこに迎合して指示を得るというやり方である。安倍政権の「海外で戦争できる国」づくりに真っ向から戦わずして共産党の躍進はありえない。今回の「イスラム国」問題で共産党は戦わないことを天下に公表してしまった。このつけは必ず共産党に跳ね返ってくる。
 赤旗は1月24日の新聞に「イスラム国」問題に対する民主団体の主張を載せた、その内容は基本的に了解できるものであった。私は、共産党としては急なことで見解はまとめきれないが、これら団体の主張は支持できるので載せたと理解していた。 (1月25日私のHPで「国内世論と共産党」を書いたが)その際、共産党も安倍首相を批判する覚悟があるように見えると書いたが見事に期待は裏切られた。
 今回の事件で、安倍政権の狙いは先に書いたが、共産党は今回の事件を通して「安倍政権に売り込むチャンスと捉えている」その内容は、「共産党は国家の利益を守る戦いは、自民党とともに戦います」と擦り寄っている。
 この路線はすでに労働組合は大企業と戦わず、大企業の内部留保金を一部(1%)分けてもらうという形で労働組合の路線ではすでに確定している。・・・安倍首相もこの路線を受け入れ、経団連等に賃金値上げの要請行動を行っている。労働組合の最高のボスは安倍首相に成り代わっている現状がある。)
 このお返しは、選挙戦で反共攻撃を行わない、責任野党として共産党が一番しっかりしていると宣伝してもらうことである。
 なぜ自民党は共産党を褒めてくれるのか、その最大の理由は、自民党の現在の議席数は、公明党と共産党によって支えられているからである。公明党は全選挙区に2万票の固定票があるという。これを自民党に(投票)回している。一方、共産党は1万5千票ぐらい持っていると思われる。これを自民党の対立候補から剥ぎ取ってくれる。この二つの政党のおかげで、現在の自民党の圧倒的多数の議席が維持されている。
 この間の知事選挙では自・公は連敗を続けている。必ずしも自民党は強くない。しかし共産党に頑張ってもらって、反自民の票を抑えてもらうことが自民党に有利に働くことを、当然自民党は計算に入れている。 

この志位氏の方針は安倍政権頼みであり、必ず破綻する。

 今回「イスラム国」の対応で、志位氏の誤り(本質)がこれほど明らかになった段階で、志位氏の委員長交代を求める。この安倍政権に対して怒りを顕にした池内議員こそ、共産党の党首の資格がある。(他の幹部は誰も安倍政権の批判をしない、借りてきた猫の集まりのような集団に成り下がった。)
 共産党という政党が成り立つためには「万国の労働者、被抑圧民族は団結せよ!」である。この根底を裏切れば、名前は「共産党」でも実態は共産党ではない。「海外で戦争できる国」づくりに反対しない共産党には何ら魅力はない。(いくら従軍慰安婦問題で戦争反対を訴えても、現実に進行しつつある危機「集団的自衛権」の具体的現れに対して何ら発言を行わないのであれば、何の効果もない。)
今回の事件で分かったことは、中央集権組織をとっている政党の怖さである。多くの共産党員は、安倍首相の中東での発言・行動には問題があったと捉えていると思う。しかし志位委員長が「安倍政権を批判するな」と言えば全ての党員がそれを受け入れて黙ってしまう。この政党の恐ろしさをまざまざと見た。
 左翼と見られていた政党が一夜にして右翼にスライドできるこの政党の仕組みに恐ろしさを感じる。これを打ち破れるのは、池内沙織議員のような「共産党はロックだぜ」というような新しい感覚の持ち主が共産党を担うほうが、志位氏のような手垢の汚れた者よりよっぽど良いと思う。
 安倍首相の押し進める「海外で戦争できる国」づくりの具体的第一歩に、全く感性が動かない人間は、共産党のトップとしては失格である。


追記
 今朝5時頃後藤謙次氏殺害のビデオが「イスラム国」によって流された。
これに対して、安倍首相は1日午前6時40分ごろ、「政府として全力で対応してきたが、誠に痛恨の極みだ。非道、卑劣きわまりないテロに強い怒りを覚える」と述べ、犯行グループに強い非難を表明した。さらに「テロリストたちを決して許さない。罪を償わせるために国際社会と連携する。日本がテロに屈することは決してない」と訴えた。
 安倍首相は「誠に痛恨の極みだ」と言った。前回イラクで拘束された香田証生氏の際は自己責任だと言って突き放した。この違いはなんだろう。今回の事件は政治的に利用できるという判断が働いているのでないか? 
 現在新報道2001を見ているが、すでに自衛隊の海外派兵が議論されている。彼らは本当に救出に全力を上げていたのか疑問に思われる。この事件の政治的利用に力を入れているように見える。