共産党のコロナ対策はコロコロ変わるが、誤りを認めず、ひそかに変更!



令和2(2020)年10月6日


 共産党は幹部会委員長志位和夫の名前で安倍首相に対するコロナ対「策緊急申し入れ」を7月28日におこなった。しかしこの緊急声明にはいくつかの弱点が含まれていた。
 何が弱点かは、中国のような国家権力を使ったコロナ平定作戦なるものを打ち出した。
その特徴は
 @この対策は治療のためではなく「防疫」を目的としたものであると言い切った。
(7月28日記者会見で)

 A人権感覚が全く欠如した政策になっていた。その典型が、「陽性者を見つけ出し隔離する」とい
  うことを大々的に語った。この共産党の主張は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に
  関する法律」の(前文)の趣旨に反する思想を持ち込んだ。
   見つけ出し」「隔離」、「防疫」のためであり治療は行わない、あるいは感染者の多い地域の
  発表を求める等(これは隔離という思考から生まれている)感染者の多い地域をことさら宣伝するこ
  との意義を強調した。これは、その地域の住民に不利益をもたらす可能性がある。(配慮が必要であ
  る。)
 BPCR検査の拡大と言いながら、「全国民に行うことは不可能」という言葉を使ったり、「ただや
  みくもに検査を広げても解決できません」とも主張した。しかもこの言葉の見出しは、緊急事
  態宣言回避のために」であって、「国民の命を守るために」が前面に出ていない。
 Cさらに一番ばかげていたのが、最大の課題は、感染者でありながら無症状の者が、感染拡大して
  いる。その無症状者の中には「感染力が強い者」と「弱い者」がいるので、その「感染力の強
  い者」を見つけ出し隔離することが最大の課題だといいきった。
   この主張のおかしさは、無症状者の中の感染力が強い者をいかにして選び出すことができるの
  かについては全く触れておらず、何ら感染予防に役立たない議論になっている。さらにはこの論理も
  国民を選別して管理するという個人の行動に対する制限を平気で抑え込むことが前提になって
  いる。防疫」だけで治療」という考えが全く出てこない論理構成になっている。)
 上記のような弱点をこの間赤旗の記事から引用し批判を重ねてきたが、10月3日の赤旗に「新型コロナ危機から、命とくらしを守り、経済を立て直すための緊急申し入れ」2020年10月2日「日本共産党」という文書が載っています。
 7月28日の「緊急申し入れ」日本共産党幹部会委員長志位和夫でしたが、今回の「声明」(10月2
日付)は「日本共産党」になっています。この違いが何を指すのかよく分かりません。

10月2日「日本共産党」の「声明」は「志位声明」とどこが違うのか?


 志位委員長名の「声明」と今回の「声明」とは、中味に違いがあります。その主要な柱は、私が指摘した社会主義国の国家論的な側面をすべて切り取っています。以下に違いを書いてみます。
 今回の「声明」は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(「以下感染予防法」という)の(前文)踏まえた対応になっています。
 志位委員長の「声明」は、PCR検査の拡大を訴えていたが、その目的が「診察目的でなく防疫目的
であること、すなわち無症状者を含めて『感染力』のある人を見つけ出して隔離・保護」し、感染拡大を抑止し、安全・安心の社会基盤を作ることにあることを明確にして取り組む」と書かれていましたが、この発想はまさに全体主義国家の発想であって、国民主権を明確にした国の思想ではない。
 
 今回の声明では、「無症状の感染者を把握・保護することも含めた積極的検査を行うことも含めた接触的検査を行うという戦力的転換が必要です。」と書かれています。
 何が違うのか、「見つけ出し、隔離・保護「把握・保護」という主張に代わっています。さらに重要なことは「志位声明の根幹」であった前提条件がすべて排除されています。PCR検査は@「治療でなく、防疫のため」という文言がなくなりました。さらにA「全国民に行うことは不可能」という言葉や、B「ただやみくもに検査を広げても解決できません」も消えました。さらに重要なのは「緊急事態宣言回避のために」という前提条件も消えました。最後にC「無症状者の『感染者』の中で『感染力の強い人』を探し出し『隔離』する。これが感染拡大を抑える『カギ』だ」と主張してきましたがこれもなくなっています。
 志位声明の根幹がほぼすべて姿を消しています。志位声明の内容をこれだけ否定した日本共産党の声明」はこの違いに一切ふれず、知らん顔をして政策転換を図っています。「志位声明」のおかしさをすべてつぶしたことにより、10月2日」の「日本共産党の声明」は、一応読めるコロナ対策に仕上げってきました。

再度「志位声明」のおかしさを「感染予防法」の「前文」との関連で確認しておきます。


 感染予防法の「前文」の精神は、@過去においてハンセン病患者等に対するいわれない差別や偏見存在したと事実を重く受け止めこれを教訓として今後に生かすことが必要である。
 A感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者」等の人権に尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ的確に対応することが求められている。
 ここに、このような視点に立って、これまでの感染症の予防に関する施策を根本的に見直し、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する総合的な施策の推進を図るために、この法律を制定する。

 「感染予防法前」の前文で、過去のハンセン病者に対する隔離政策等の反省の上に立って感染予防を行うと明確に書かれているが、志位「声明」は、「感染予防法」の精神を踏みにじり、感染者の摘発を行う、そして隔離しようと堂々と描かれている。その目的は感染者保護のためではなく、「安全・安心の社会基盤をつくることにある」と言い切っている。
 コロナについては、最初は中国で猛威を振るった。しかし中国は感染者8万台でピタと止まり感染拡大を防いだ。欧米や日本は感染者の拡大が抑制できずアメリカでは741万人に達し死亡者は20万人に到達している。なぜ中国は成功したのか、それは日本共産党が言うような感染者を見つけ出し、すべて隔離したからである。赤旗はこの手法を真似しようとしているが、日本は過去におけるハンセン病患者に対する隔離政策の反省の上に、感染者の人権擁護を基本において感染防止に当たろうとしている。
 志位委員長が言った「『PCR検査』を行い、無症状の感染者の中で『感染能力の高い人』を見つけ出し『隔離・保護』を行う」というのが国民の人権を無視した手法である。
 この主張には、「『感染者の人権を守る』『質の高い医療を提供する』という「感染予防法」の「前文」の「個人の人権を尊重した思想」ではなく、「安全・安心の社会基盤をつくる」が目的となっている。守るべき主語に人(感染者)がおらず守るものは「社会的基盤」だという堕落した社会主義的な発想です。
 そのことを言い切ったのが、PCR検査の目的は個々の診断ではなく「防疫」を目的としたものと言い切り、発見した感染者に対しては隔離することに重点が置かれ、これらの感染者に対する良質な治療の提供などは、まったく気にかけていない文書になっています。

 共産党はこの「志位委員長声明」のまずさを批判され(注1)、徐々に「防疫が目的」「隔離」するなどの言葉が使われなくなっています。10月2日付「『日本共産党』の『声明』」では「発見・保護」あるいは把握・保護という言葉を使っています。私は本来は、「保護・治療」と書くべきだと思っています。

注1:私も共産党のコロナ対策については、批判し続けている。私が批判した項目が共産党
   の新しい政策には生かされているのが見える。以下参考に私が批判した文書をリンクを貼ります。
   (このHPでは、緑色で書かれた文書は該当(文書)にリンクが張られています。
  1.「コロナ問題での共産党の間抜けさを暴露した赤旗日曜版(8月2日号)」8月2日 
  2.「『新型コロナ対策にかんする緊急申し入れ』志位委員長に漂う共産党の弱点を暴く」
                                  8月7日UP
  3.「メッキが剥げた共産党『緊急申し入れ』日本共産党幹部会委員長志位 和夫」
                                  8月8日UP 
  4.「志位委員長記者会見」今までの主張をコッソリ修正する姑息さが見える!」
                                  8月28日UP
  5.「人権感覚が全くない共産党の『新型コロナ対策』幹部会委員長志位氏の声明
                                  9月18日UP
  

田村憲久厚労大臣はコロナ対策で自民党の第一人者、さすが感染予防法に詳しい。


 菅内閣が誕生し、厚生労働省担当大臣に田村憲久氏がなりました。彼は石破派ですが、コロナ問題の解決等については彼が自民党内では第一人者です。菅内閣の「国民のために働く内閣」というキャッチフレーズを成功さすため彼を登用しています。
 その田村大臣が9月17日のモーニングショーに出演し、コロナ対策について持論を語りました。アナウンサーが、「感染予防法」の改正が必要ではないかと突っ込みを入れた際に彼は、「感染予防法」は優れた法律であり、その精神は、(前文)に書かれている。という話を行った。私はこの前文を知らなかったので早速読んだが、極めて優れた前文であり、感染予防に対しては指針になりえる法律だということが分かった。田村大臣は、感染者のことを隔離する等の言葉を一切使わず、むしろ「療養」していただくと答えた。さすがは自民党の代一人者だと思った。
 共産党は早く解決したいという思いが先行し、中国型の解決方法を想定している。それはどこで言えるかであるが、感染者を見つけ出し、「隔離・保護」するという主張の中にそれを見る。志位委員長の「声明」では「隔離・保護」であったのが10月2日の日本共産党「声明」では「発見・保護になっているが、この保護されて人に十分な医療が提供されるか否かには関心がない。患者数が増えることで医療崩壊や労働条件には気を使っているが、感染者の「命を守る」ということは前面に出てこない。感染予防法の「前文」では「良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染者に迅速かつ適切に対応することが求められる」に対して関心を示さない。人より「社会的基盤」に関心を持っている。
 昔民主党の鳩山総理が言った「コンクリートから人へ」という標語の反対を行っている。