箕面市の市長選・市議会選挙の結果、大阪維新がますます増殖しているのが分かる


令和2(2020)年8月26日


 大阪府箕面市長・市議選は23日投開票されました。しんぶん赤旗は、この結果をどう伝えたかを評価してみたい。以下赤旗記事の引用。
 まず「箕面市議選で全員当選」大阪「得票伸ばし、3氏喜び」「市長選では、住谷氏健闘」と書き、市長候補であった住谷氏や市会議員に当選した3人を含む勝利を祝う万歳の写真が掲載されている。
 記事は、「市長選挙は、日本共産党推薦の「みどりとくらしをまもるみんなの革新箕面をつくる会」代表委員会の住谷昇氏(73)=無新=が健闘しましたが及ばず、当選は大阪維新の会元府議の上島一彦氏(62)。市議選は、定数23人に28人が立候補する大激戦のなか、日本共産党の神田隆生(65)、名手宏樹(59)、村川真実(47)の現職が現有議席を守りました。」
 「日本共産党茨木豊能地区委員会と箕面市委員会は24日、声明を発表。市長選では住谷氏勝利できずに残念だったもののコロナ禍での新しい市政への展望を示して健闘し、市議選では合計得票を伸ばして3人全員当選が果たせたとし、党員や後援会員、支持者の支援・奮闘に感謝を表明しています。」
 「市長選ではコロナ対策最優先、地域要求実現を掲げた党の政策・公約は市民の切実な願いと響き合うものとなったとし、市民との共同のさらなる前進・発展、掲げた公約の実現へ全力を掲げると表明しています。
 選挙結果を力に『大阪都』構想ストップ・住民投票勝利、総選挙、来年の茨木市議選、能勢町議選の勝利に全力を尽くすとしています。

 この記事を素直に読めば、共産党は箕面市で選挙戦に勝利し、大阪維新との力関係を覆す戦いに勝利したように見える。しかし本当の結果は、箕面市で大阪維新が市長を獲得した。大阪の市町村のトップはますます大阪維新に乗っ取られていく現象をいかに止めるかの課題解決が全く見えてこない。
 負けた選挙でも勝ったと総括することが許されるのなら、誰も責任を取らない無責任社会が形成される。このことの怖さを共産党は理解していない。現在の社会主義社会の怖さを共有している。正しい情報を流さず、常に自国だけが成果を上げ、人民の為の政治を行っていると宣伝するが、その実態が暴露されると、一気に権力構造がつぶれる。

箕面の選挙結果は本当に勝利したのか、客観的に評価してみたい。


 正しい評価をするために、平成20年からの歴史をさかのぼり総括したい。まず市長選挙であるが、この間、平成20年、24年、28年、令和2年(今回)行われてきた。このうち24年は無投票で倉田 哲郎氏が当選したため、平成20年、28年、令和2年の共産党支持候補の得票数、得票率の動きを確認していきたい。(以下に結果を記載する)

市長選挙



 この結果を見れば、平成20年度は、無所属で共産党支持候補は10,283票、得票率20.64%を獲得しているが、28年度では9,327票、得票率18.99%に減少し、令和2年では8,468票得票率では16.40%まで減少し、陣地がだんだん失われて行っている。
 大阪維新と一番対決している経過から見れば、大阪維新は、平成20年度には影も形もなかったのが、今回選挙では41,180票得票率79.74%獲得しており共産党の獲得票数の4.86倍の票を獲得している。これは完璧な敗北であって、大阪維新はなぜこれだけ市民の心を掴むのか、学ぶ必要がある。
 どこの新聞を見ても箕面市の市長選挙・市議会選挙で共産党が躍進あるいは奮闘したと書いていないのに共産党だけが、躍進したという記事を書くこと、そのこと自体がおかしいと思わないのは、既に思考がカルト集団に陥っているということになります。真剣に考えてください。

 次に市議会選挙ですが、これも平成20年、24年、28年、令和2年の選挙結果から箕面市の政治情勢の変化を探っていきたいと思います。(以下に選挙結果を記します。)



 最大の変化は平成20年には大阪維新は「0」であったのに、令和2年の選挙結果は大阪維新が19,732票、獲得得票率37.09%獲り、既に箕面市は大阪維新に制圧されているのが、現在の政治状況です。そのすごさは、当選者の1位から6位まで大阪維新の議員が独占し圧倒的な力を示しています。共産党は5110票、獲得比率9.60%であり大阪維新と比較すると3.86倍の差があります。
 その選挙結果が「安倍政治と維新政治の『二重の逆流』を打ち破る確かな力だ」と強調した。と赤旗には書かれているが、本当にそんなことを思っているとしたら、相当な重症である。もしそんなことを全く実感せず、国民をだますためにこのような記事を書いているのであれば、それは革命を掲げながら政治的良心を失った人だと思われる。
 少なくとも今回の選挙で維新との力関係の変化を勝ち取ったら、その言葉もはけるが、4年前の選挙では大阪維新は14,575票、獲得率は29.56%であったのが、今回は19,732票、獲得率37.09%になっている。これは維新の力はこの4年間で1.35倍になっている。共産党は平成28年度4930票、獲得率10.00%である。これに対して今回は5110票、獲得得票率9.60%である。前回比では前回の96%である。維新は1.35倍しているのに共産党は0.96倍であるということは維新との比較に負けただけでなく、市民の評価も下がっているとみるのが正しい総括である。
 「勝った・勝った、また勝った式の総括」はたくましく見えるが、非科学的な総括をしていたら何時かは破綻する。その怖さを共産党は知るべきである。