選挙は争点を描き出した者が勝利する。

   「近畿民報」はこれが判らず、相変わらずマヌケな内容になっている。



近畿民報てなに?

 「近畿民報」なるビラを駅頭でもらった。この出所団体は、日本共産党国会議員団近畿ブロック事務所、2012年8月号外 NO.1というものである。おそらく来るべき衆議院議員選挙で比例代表の複数当選を勝ち取るために作られた組織であろう。

  しかし、この内容では選挙に勝てない。大阪府の共産党の方針が間違っているとこの間ずっと批判してきたが、大阪府の癌組織は近畿全体に広がっていることを証明したビラに仕上がっている。


<選挙の争点は自ら作り出す>

  来るべき選挙の争点は何か、それは第一義的には、原発反対である。第二は大阪維新の会との対決である。第三は消費税反対である。しかしこの近畿民報は、4分の3を消費税と社会保障の一体改革に使い、残り4分の1をオスプレイに使っている。

  何回も言うが、選挙には何々選挙と名前が付けられるように、必ず天下分け目の争点がある。この争点を競い買ったものが勝利する。古くは、消費税選挙での土井委員長も「駄目なものはダメ」、近くは小泉氏の「郵政民営化」選挙である。あるいは大阪ダブル選挙の維新が掲げた「既得権益打破」である。しからば今回の選挙のネーミングは何か、「それは原発反対か否か」の選択選挙である。選挙の争点をここにすえることに成功すれば、革新勢力は躍進する。

<共産党は消費税選挙と位置づけている>

  しかし共産党は来るべき選挙の争点を「消費税反対か賛成か」の選挙だと思っている。これが共産党の政治オンチなところである。自民党や財界は、今回の選挙の性質を「原発反対か賛成か」の選挙に絶対にしてはならないと思っている。そこで最近マスコミの報道の中心になってきているのが領土問題である。尖閣列島しかり、竹島しかり、北方4島問題しかりである。日本は四面楚歌の状態に陥り、この韓国や中国といかに戦うかが、国家の役割だと煽っている。

<保守勢力は領土に摩り替えようとしている>

   保守勢力が選挙の争点を「原発」から「領土問題」にすり替えに成功した時、日本における革新勢力は決定的ダメージを受けるであろう。原発という国内問題から、対外的な危機感をあおり、日本における階級間対立から目をそらし、日本の右派勢力は選挙で大勝し、日本国家の再編化が推し進められるであろう。その尖兵に立とうとしているのが、第三極といわれる、石原氏や橋下氏である。

  国家的な右翼再編への策動が行われようとしているとき、それを許さない戦いが「原発」反対という形で芽を吹き始めている時、これに目をつむり、「消費税反対」を全面に掲げて戦おうという共産党の姿はピエロでしかない。

  石原という老(老獪な)政治家は、政治というものを心得ている。原発反対の国民のうねりを如何にしてつぶし、アメリカのいう世界戦略の中に日本を押し留めていくためには、対中国で騒動を起こし、国民を国家主義的思想で組織し、対中国・韓国危機を煽ることによって、原発反対から国民の目をそらし、オスプレイ問題の着地点も見出そうとしている。

<近畿民報は、米代理大使と志位委員長の会談を大きく取り上げている>

  相手が戦略的に物事を捉えているとき、我が共産党は「志位委員長が米代理大使と会談」という記事を載せているが(近畿民報)、国民の戦いによって勝ち取るという視点を忘れ、共産党がアメリカと話し合いをすれば解決するかのような幻想を与える記事は、百害有って一利ナシである。(儀礼的に会ってくれただけであり、この様な方法で解決できるような雰囲気を流すのは、国民運動にとってはマイナスである。)

  何回も同じ事を言う、来るべき衆議院議員選挙は、「原発反対か賛成か」を問う選挙である。この争点を設定できず、中国や韓国といかに戦える国家作りか、彼らに屈服する土下座外交かの争点への変更を許すなら、共産党は惨敗するであろう。

<選挙の争点を領土問題にしてはならない>

  共産党が尖閣列島の問題に割って入り、日本共産党の尖閣列島の主張が一番正しいと主張し始めたら、それは敵の罠にやすやすとはまる、共産党の政治的堕落の証明になるであろう。(その危険性すら、今の共産党にはある。)

  選挙は争点を自ら設定した者だけが勝利できるのである。それをこの間の選挙は教えている。選挙の科学を学ばず、赤旗の部数との関連だけで選挙を追いかけるものは、国民から大きなお灸をすえられるであろう。お灸なら通常は身体に良いが、共産党につける薬はない状況である。

資料:近畿民報(日本共産党国会議員団近畿ブロック事務所、2012年8月号外 NO.1)