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 大津・中2自殺事件余話(第7弾)


                                                                                           平成24(2012)11月23日

 久しぶりに大津・中2自殺事件の記事が新聞をにぎわしている。それらを拾い読みしてみたい。

 最初に目についたのが、赤旗11月22日(木曜日)15面の「無関係男性中傷容疑の男を送検」「大津いじめで」という記事である。内容は、滋賀県警捜査2課などは21日、名誉棄損容疑で兵庫県西脇市の男を書類送検しました。というものである。さらにこの記事からわかったことは、すでに同様に関係のない女性をネットで中傷したとして、東京都目黒区の男も書類送検されていることが分かった。

 同日の毎日新聞朝刊を探したが、この内容を伝えた記事はなかった。大津・中2自殺事件については毎日新聞が一番積極的報道を行い、それにあおられ、インターネットで「こいつが犯人だ」というような中傷合戦が行われた。この中にはデヴィ婦人や片山さつき議員などもいた。

 この事態を捉え毎日新聞は、ネット等では「義憤に走る者も」と勇み足も発生しているという記事を載せたが、自らの責任(大手マスコミの煽り)には触れなかった。その後澤村教育長が暴漢に襲撃される事件が起こって、初めてジャーナリストの大谷氏を登場させ、「一線を越えた」という談話を載せ、「メディアも含め、冷静に事態を解明していくよう訴えていく必要がある」と主張した。しかし、この事件に絡んで無関係の男性や女性を中傷した人物が書類送検された記事は目をつぶっている。フェアーでない態度だ。久しぶりの赤旗のヒット記事だ。(毎日新聞以外は把握できていない。)

 第二に目についたのが、11月22日毎日新聞の夕刊の記事「大津教育長退任へ」「来月、市長、再任はせず」という記事である。(読売新聞は同日朝刊に出ていた。)この記事は、越直美市長が「市教委改革に新たな責任者が必要」として再任しない方針を固めた。とされている。かれの人物を伝えるために「8月には教育長室に侵入したさいたまの私立大生にハンマーで襲撃され、重傷を負って入院、約1カ月半公務を休んでいた。」と書かれている。

 再任されなかったということは「殴られ損」の感じがする。毎日の記事も「重傷を負って1カ月半入院していた。」で締めくくればいいものを、わざわざ「入院、約1カ月半公務を休んでいた。」と彼に対する「いやみ」丸出しの記事である。(毎日新聞は彼の批判キャンペーンを行っていた。)

 第三に目についたのが、毎日新聞11月23日の「なるほどドリ」である。見出しは、「いじめ認知どうして増えた?」「大津・中2自殺で高い関心」「「仲間はずれ」「嫌がらせ」も問題視」という記事である。ここではいじめの定義の変更がいじめの件数の増加につながっていると書かれている。(同日の毎日新聞一面トップ記事は「いじめ半年で14万件」「全国小中高」「昨年度の1年の倍」)とりわけ大津事件以降、「仲間はずれ」や「嫌がらせ」もいじめと見直すなど捉え方が変わったことが理由とされている。

 難しい問題であるが、自殺にまで至った事例の検証をしっかり行い、何が最も子どもの心を傷付けているのかを把握しないと、単なるじゃれあいの延長(子どもの遊びの延長せん上の問題)まで深刻に捉えると、何に対処してよいのかわからなくなる。大切なのは自殺に至るようないじめは、必ず子供から何らかのサインを発しているはずだ。これを見逃さない感性が必要だ。大津中2自殺事件も、教師だけでなく両親は子供のサインに気付かなかったのか疑問に残る。  

 本日の毎日一面記事のように、いじめの数の大きさだけを強調するのはおかしいのではと思っている。このうち自殺まで走るのは年間十数件以内と思もわれる。必要以上の定義の厳格化が、逆に子供たちの人間関係をゆがめ、自主性を奪うものとして心配する。

追記

  ここまでで文章は完結しているが、何かパンチ不足の気がして、毎日新聞の二つの記事をもう少し突っ込んで批判したくなった。

<本人がいじめと感じればいじめは成立するのか?>

 一つ目の記事であるが、おそらく澤村教育長の頭の中には、大津・中2自殺事件についてはマスコミの無責任な扇動で教育現場が踏みにじられたと思っているだろう。(私はこの立場をとっている。)しかもその批判を自分は一身に受けとめ、大津市の教育を守ろうとしたのに、市長は無責任にも、マスコミの扇動に乗って教育委員会を批判し始めた。(当事者能力・意識のない人だと)

 結局あの無責任な騒ぎが終わったのは、私が暴漢に襲われ、初めてみんなが目が覚めたからではないか。大津市の教育の功労者に対して再任用拒否とはあまりにも無責任だと思っていると推測する。

 さらに毎日新聞が「8月には教育長室に侵入したさいたまの私立大生にハンマーで襲撃され、重傷を負って入院、約1カ月半公務を休んでいた。」という記事に対して腸が煮えくりかえるほど怒っていると思う。「当たり前体操」ではないが、重傷を負って入院していれば、仕事を休むのは当たり前だろう。毎日新聞のこの表現は不適切である。この表現では1カ月半も休んでいた。それでも教育委員会が、回っているのだから、彼は必要ないと語っているように思われる。

 毎日新聞の記事を見れば、いじめの概念規定は、「仲間外れ」や、「嫌がらせ」も入るとされた。さらに、それは当事者がそう感じたら、いじめだと認定するとしていた。(注1)

 それなら澤村教育委員長が、例えば「橋下徹市長が公務を休んで(あるいは公務中に)選挙運動している」という表現は正しいが、「重傷を負って入院、約1カ月半公務を休んでいた」という表現はおかしい、「重傷を負って、1カ月半入院していた。」これで十分だろう。この表現は、「私が無能だという「レッテル貼り」を意識的にしている悪意の文書だ」と澤村教育長が指摘すれば、毎日新聞は、誤るのか。そこが聞きたい。

 彼らは必ず言い訳を行うはずである。しかし、「本人がそう感じたらいじめだ」と主張するのであれば弁解の余地はない。毎日新聞は、自分に向けられて初めて、この理論のおかしさが分かるであろう。

<鹿児島県のいじめ把握件数3万件、これを異常と感じないのか?>

  二つ目の記事であるが、「いじめ半年で14万件」、「全国小中高」「昨年度1年の倍」という記事を載せている。この記事は3面にも引き継ぎ詳しく書いている。ところがこの件数はいい加減な物であり、県によって全く判断が違う。鹿児島県では30977件としており、全体の21%を占めている。(1000人当たりでは、鹿児島は159.5人、福岡は1人、埼玉で1.7人である)

 毎日新聞はこの鹿児島を評価し、鹿児島県教委義務教育課は「児童一人一人の思いが把握できるように配慮したので、回答しやすかったのではないか。軽微と思われることでも積極的に把握し、一件でも多く発見し解決する学校こそが信頼されるという認識で徹底した結果」と紹介し、この話を、専門家が出てきて評価するという形をとっている。(注2)

  私は、子どもの世界で、「仲間外れや」、「嫌がらせ」があっても、それを子ども同士の遊びの中であるいは付き合いの中で克服していくことも重要だと考えている。鹿児島の3万件のいじめの把握が正しいとすれば、教師は勉強どころか年中いじめ問題の対策に追いまわされる。 

 例えば「鬼ごっこ」をしているのを見たら、鬼は民主的に話し合って決めたのだろうか、いじめではないであろうかと常に考えていなければならない。異常な学校現場になる。

  同和教育全盛期、差別撤廃の立場から、徒競争を否定した学校があった。運動会では棒を持たせ一斉に走らせ順位を決めなかった。1等、2等、3等を決めることは差別だと。いじめが鹿児島で3万件というのは、これの再来が起こるのでないかと心配する。何事でもバランス感覚を忘れた行き過ぎは、副作用が出る。

注1:なるほどドリでは、「いじめ認知どうして増えた?」でいじめの定義を語っている。
   いじめ調査は、1985年から始まりました。件数は年々減少しましたが、94年に愛知県で発生した事件をき
     っかけに、文部省がいじめの定義を見直しました。いじめられた子供の立場で調べるようにした結果、94
    年には93年度から2.6倍に増えました。この後、件数はまた減少しますが、2006年度にまた事件
    があり、文部省はまた定義を改め、「継続的な攻撃」や「深刻な苦痛」を外しました。その結果05年度
    は2万143件だったのに対して06年度は12万4898件と急増しています。現在は「一定の人間関係
    にあるものから心理的、物理的な攻撃を受けたことにより精神的な苦痛を感じているもの」が定義で
    す。

 今回の調査で件数が急増したのは、大津市の事件を受け、これまで問題としなかった「仲間はずれ」や「嫌がらせ」もいじめとみなすなど捉え方が変わったのが理由と考えられます。(なるほどドリの趣旨を引用)

注2:毎日3面の記事、専門家「対応見直しの契機」と専門家の意見を載せている。
   「いじめとは何か」の著書、森田洋司・前大阪樟蔭女子大学長は、鹿児島県などでいじめの認知件数が増大
     したことを「評価すべきだ」という。「認知件数を上げるのは、いじめに対する積極的な姿勢の表れ。むしろ件
     数を問題視することが、いじめを隠すことにつながる」と警鐘を鳴らす。

     国立教育政策研究官の滝充・総括研究官も「鹿児島の3万件は驚かない。全国で30万から40万件でもお
     かしくない」。小中高校は全国に約3万7千校あるからだ。「調査は学校が対応を見直すきっかけになる」と評
     価する。

       (この30万から40万の議論はおかしい。鹿児島県の人口は170万人ぐらいであり、鹿児島のいじめ3万件が
     正しとすれば、全国では220万人ぐらいになる。・・・この件数は幾ら何でも異常でしょ?)