歴史の皮肉・・・・ 牙を抜かれて共産党に魅力はない。



  共産党は革命政党である。(現在はそのことをほとんど語らないが。)40数年前自民党等は共産党は暴力革命を企んでいると攻撃してきた。その際の共産党の回答は基本的には平和革命を目指しているが「敵の出方」によっては暴力革命もありえるというものであった。しかしこれも揚げ足を取られ、やはり暴力で権力を奪取しようとしている執拗に攻撃が繰り返され、共産党は完全に暴力での革命を放棄し、「議会を通じて(民主連合政府を樹立し)まず資本主義国内での秩序ある社会の実現を通して最終的には国民の同意の下社会主義社会へ踏み出す」というのが現在の路線だと思われる。
  そこで共産党は、暴力革命のイメージを払拭するためさまざまな努力を行った。例えばポスターを富士山にするとか、正月版の朝まで生テレビでも穀田議員だけ着物で参加しているのもその一貫である。そして選挙のスローガンも今回の大阪知事選の様に「安全・安心の街づくり」とまさに警察の標語みたいなスローガンを掲げ、我々は絶対に大衆を組織して国会を包囲するようなことは無いと、国家権力にこびている。

  しかし、共産党は大きな勘違いをしている。国民が共産党に求めているのは、国家権力と戦うことであり、労働者や農民などの生産者の立場に立った戦いを組織することである。

  現在アメリカを始めとした国民は富が特定の人に集中し99%の人間が貧困にあえいでいると戦いを始めている。日本では久しくこうした大衆の決起が見られなくなっていたが今回の原発事故で初めて、大きな大衆的な行動が始まった。

  小泉や橋下徹の登場で、日本国民は総中流意識で戦うエネルギーがないという評価が誤りであることが判った。小泉と橋下徹は同じフレーズを使っているそれは「ぶっ壊す」である。こんなことを共産党が言えばまた暴力革命と言われると思い共産党は「安全・安心の街づくり」とまさに安全パイのスローガンを掲げている間に革命的なスローガンはむしろ、右翼的な政治家に奪われてしまった。しかもこの「ぶっ壊す」という無政府主義的スローガンが国民の心を捉えつつある現状をどう評価するかは極めて重要である。

  これは、日本社会が急速に格差社会に突入し、国民の不満のマグマが充満していることのあらわれである。こうした国民の感情の変化をいち早く察知し、それを組織していくのが政治家である。なぜ小泉や橋下徹が成功したのか、裏を返せばそれらの人達の思いを共産党が組織できなかったからである。

  共産党は議会を通じて革命を行う、決して大衆の蜂起など組織しませんと躍起になって権力側に説明しまわったため、大衆の気分感情が判らなくなり、地道に赤旗の拡大、選挙の票読み、誰が見ても文句の付け所のないスローガンで日夜奮闘しているが成果が上がらない悪循環に陥っている。

 「安全・安心の街づくり」このスローガンでは国民は絶対に組織できない。共産党の最大の誤りは全ての人が一致できるスローガンを掲げることである。共産党は革命政党である。共産党は階級政党である。基本的には階級的利害関係のあるスローガンを掲げない限り絶対に大衆は組織できない。

  この間で言えば、一せい地方選挙の原発に対する方針「安全点検」は全てが一致できるが戦いにならない。原発廃止、原発ゼロを掲げて初めて戦いになる。共産党は原子力の安全点検を掲げて選挙で敗北した。世田谷区長選挙で保坂氏が脱原発を掲げて勝利したことに慄いた。「戦わないものは負ける」これほど明確に証明された事例はない。共産党は原発ゼロに舵は切ったが、大阪知事選では未だに腰が定まらない。「独裁ノー」の声明を出しながら、一方では未だに「安全・安心の街づくり」で宣伝している。政治が判らなくなった共産党は、単なる新聞屋さんだ。