「尖閣列島問題」を選挙戦の争点とする共産党のおろかさ  
    大阪選挙区(10区)候補者のビラから                            



はじめに

  来るべき総選挙に向けた共産党のビラを私は今まで4枚受け取った。その特徴は、消費税問題を第一の争点に掲げ、第二に尖閣列島問題をすえて、原発反対問題を全く取り上げていないことだ。4枚のビラの内訳は

  1.    大阪10区の候補者ビラ(後援会向けビラか)
        このビラでは「原発問題に触れているが、メインでは無いし論点も不明確」
             これについては、「なぜ箕面市議会は惨敗したか」で言及

  2.   近畿民報 1号
       これについては、「選挙は争点を描き出した者が勝利する」で言及 

  3.   近畿民報 3号
       「共産党は選挙でなぜ勝てないのか NO.2の(注6)」で触れている

  4.   大阪10区候補の宣伝ビラ 1号
        今回、批判しようとしているのはこのビラである。

<尖閣列島問題を裏面全面使い主張>

 共産党は、選挙戦の争点は、自らが作り出すという自覚も誇りも無いらしい。この間石原都知事は尖閣列島問題で、日本の政治を操り、日本における政治の右旋回を画策している。その背景にはオスプレイの導入に対する援護射撃と、自らの息子を総理大臣にしようという思いがあると思われる。

 3.11の震災後、日本の国論を二分しているのは、「原発反対か、賛成か」である。この争点で来るべき選挙を戦えば、原発推進派が不利なことは目に見えている。そこで石原氏は、強引に尖閣列島を持ち出し、日本の国論を、再軍備して中国と戦う国にするのか、土下座外交をして中国に屈するのかという国論を二分化する争点を意識的に作り出している。

 いま、自民党と民主党の代表選挙が行われているが、自民党の候補者は5名とも尖閣列島問題を最大の課題として訴えている。(これもマスコミの操作でそこだけ編集して報道されているのかも知れないが)それに対して少なくとも、民主党は尖閣列島問題を争点として、戦っているようには見えない。

 日本の保守勢力は、来るべき総選挙で、民主党を蹴倒し、自らが政権に付く野望を持っている。また一般の世論調査でもその可能性が大と報道しているが、その際の最大に主張に尖閣列島問題を位置づけて、原発問題をスルーしようというのが戦術である。

<この自民党の罠に最初に引っかかったのが共産党である>

 保守との共同路線の中に活路を見出そうとする共産党は、お付き合いよろしく、この自民党の尖閣列島問題で選挙戦を戦う路線の追随者に成り下がっている。選挙に向けたビラに原発反対なく、尖閣列島を全面に打ち出したビラを撒いている。共産党をこの間「アホ」「馬鹿」と批判しひんしゅくを買ってきたが(注1)、これほど共産党が馬鹿だとは思わなかった。この戦い方では共産党はまたとない好機にまたも乗り遅れ惨敗するであろう。(注2)本当にこれが、私が若い時期に愛した共産党なのかと目をおおいたくなる。「驕れる者久しからず」というが、国民の声を聞かなくなった共産党は血液を遮断されたようなもの、党内官僚支配の弊害を最も表した結果になってしまった。

注1:実は私は「さざ波通信」にリンクを貼ってくれと頼のんだが、「貴方のサイトは「アホ」「馬鹿」との表現があり、
   日本共産党の応援団とは認定しがたい」と断られました。(中身で判断してほしかった。)

注2:国民の中に原発即時撤退論が5割以上あるという状況下の選挙で、原発反対に最も真剣に戦っている政党
   であれば、追い風になることは間違いない。現にドイツの緑の党は3.11以降の州議会選挙で大躍進した。(2
   倍〜3倍の票を獲得した。)

 共産党の最大の馬鹿なところは、自民党などの保守が尖閣列島で騒ぎ出した状況を捉え、共産党も尖閣列島で打って出ようと考えることである。共産党も尖閣列島は日本のものという他党に負けない見解がある。これを宣伝すれば、票が取れると思っている。

 今日本国民の中で尖閣列島は日本のものだと思っていない人はいない。問題はこのままでは、中国に乗っ取られてしまうのでは、如何にして尖閣列島問題で中国の理不尽な領土拡大主義をやめさせることができるかが最大の焦点になっている。このときに、共産党なら如何にして解決するかを具体的に提案しないと何の効果もない。理を持って話せば(歴史的事実などを)解決するとなど、日本国民は誰も思っていない。この主張では支持は絶対に受けない。

 共産党が尖閣列島問題で国民の支持を得る唯一の方法は、友好関係にある中国共産党とさしで話をして、国際共産主運動の理念の中で解決する。(共産主義者は他国の領土不拡大が原則)と大見得切った時だけである。しかし、中国共産党がこの様な常識を身に着けているとは誰も思っていない。これを説き伏せれば、共産党の人気は一機に高まる。

 しかし、この話は幻想である。中国は東シナ海だけでなく、南シナ海でも同じ戦いを挑んでいる。領土拡大は彼らの国家戦略である。(理を持って話せば解決する)などと思っているのは、お人よしの共産党だけである。

<共産党が今やらなければ成らないこと>

 選挙戦の争点は、尖閣列島でなく、「原発反対か賛成か」だということを、圧倒的世論を動員して、世間的認知を得ることである。尖閣列島問題では、単に「共産党も尖閣列島問題で良い政策を持っているのですよ」見たいな戦い方でなく、尖閣列島を持ち出している自民党などの保守勢力は、選挙の争点ずらし、あるいは、オスプレイ反対などの世論つぶしでやっているという宣伝を行うべきである。

  今日(20日)の朝日放送のモーニングバードでは、尖閣列島で争って誰に利益があるのか、日本にも中国にも利益はない、利益があるのはアメリカだけであるという解説を行っていたが、こんな視点がなぜ共産党からは出てこないのか、共産党は、保守との共同路線を掲げ権力と戦うことを既に放棄したのか、疑わざるを得ないほど、政治的力量が落ちている。(注3)

注3:小沢問題に対する検察の犯罪に共産党はずっと目をつぶってきた。これも「関西ローカルの読売テレビの番
    組、「たかじんのそこまで言って委員会で」、どの政治家が首相にもっともふさわしいかの品評会をやってい
      た。小沢さんの総合点数は低かったが、そこの参加していた維新の会の中田宏氏が、「小沢問題は検察権
      力側の弾圧である。これだけは確認しておかないと」と発言した。それを捉えて勝谷誠彦氏も、「小沢さんは
      最も官僚排除を行った。そこで官僚の中の最強の検察が動いたと発言した。」どちらかというと右翼の政治家
      が、権力の犯罪と主張しているのに、共産党は「政治と金」という倫理の問題だけでこの問題を見ている。

<改めていう自民党などの争点隠しを告発運動が必要>

 尖閣列島問題は仕組まれた騒動である。右翼である石原氏は尖閣列島問題で揺さぶりをかけ、民主党を揺さぶり落とそうとしている。この動きに呼応して尖閣列島のビラを配る共産党の姿は見苦しい。保守との共同ではなく、右翼との共同になってしまう。こんなことをしていたら日本の民主勢力の中に共産党は足場を失ってしまう。

 尖閣列島のビラを出すなら、これが日本の右翼の扇動であり、来るべき総選挙の争点ずらしだと石原氏を始めとした日本の右翼の勢力に対する批判の文書でなければならない。現時点で「尖閣列島は日本の領土」というような主張のビラは何ら効果がない、むしろ右翼の策動に呼応し、共産党も賛成しているように写るだけである。

 戦略・戦術を持たない、共産党のノーテンキさは、結局日本の反動勢力に利用されてしまう。原発問題でも震災直後の最も戦いの重要な局面で「安全優先の原子力政策」を掲げ、原発反対の運動の妨げとなっている。3.11震災以降、原水協の名前を赤旗では一切お目にかかれない。今回の11.11日全国一斉行動の呼びかけ団体の中に久しぶりに日本原水協の名前を見た。おそらく原水協は共産党の「安全優先の原子力政策」を受け、今日まで戦いを全く組織できなかったのだと思われる。

 最近は常に間違った方針を出し、結局は戦う国民への励ましになるのではなく、足を引っ張っているのが共産党の現状である。なぜそうなるのか、それは誰に依拠して戦うのかという根本問題がぐらついているからである。なぜ、共産党の戦いの主要な方針が「保守との共同」なのか、理解に苦しむ。(四中総は再生のバネになりえるか?参照)

 今一度味方と敵の分別をしっかり行い、戦いを組織しなければ、共産党は日本の政治勢力の中で、その影響力を失うであろう。

                                                                                     平成24年9月20日記   

 ★上記記事は20日に書いたものですが、本日21日に新たな重要な情報に接しました。(二件あります。)

 ★22日にまた重大な記事が赤旗一面に載りました。追加記事3件です。

<今日批判したビラは、中央が出したビラのパクリ(しかも重要な改ざんしている)>

 今日茨木市でまかれている共産党中央のビラが手に入った。そのビラを見てビックリした。 高槻市で撒かれたビラは党中央が作成したビラの下4分のT位の情報をちょん切って、総選挙の高槻市(第10区)の選挙候補者のビラにしたものだということがわかった。

 党中央はそんなに馬鹿ではなく、この4分の1の部分に「TPPノーで団結」を「原発稼働を許すな」「原発ゼロへ」、「オスプレイ配備中止を」という記事を載せている。党中央のビラはA3だが、なぜか高槻のびらはB4だ。そこでこれらの記事をバサッと切ったものだ。党中央が作ったビラを何も考えず改ざんして発行しているのだ。馬鹿もほどほどにしてほしいと思う。

 (この事実を見て共産党中央は怒るべきです。・・・勝手に記事の出し入れをしない、もしやる時は中央の了承を取る必要があると)

<21日赤旗1面トップは尖閣列島問題で政府に申し入れ>

 次に本日付赤旗トップ記事は、「尖閣列島の記事である」。党中央はやはり尖閣問題で来るべき小選挙で勝とうとしている。この記事を見て一番違和感があるのは、志位委員長が藤村官房長官に共産党の提言を渡している姿を写真に写してトップ記事にしている点だ。共産党のカン違いは、政府に共産党が申し入れた写真を常に記念写真のように撮り、それを一面トップに出すが、赤旗の読者がこの様な写真を歓迎しているかははなはだ疑問である。こんな共産党の姿を見ても何らうれしくない、むしろ国民大衆が共産党頑張れと励ましている姿の写真のほうがよっぽどうれしいのだ。

  さらにこの提案には問題がある。「政府の取っている「領土問題は存在しない」という立場をあらため、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領土の正当性を堂々と主張し、解決をはかるという立場に立つべきです。」というものであるが、実行支配しているものは、「領土問題は存在しない」という立場に立つのは当然である。韓国しかり、ロシアしかりです。日本は韓国・ロシアに領土問題は存在するという立場に立たすことに苦労している。

 今ここで「領土問題が存在する」と認めれば、中国はさらに攻勢を強めてくるであろう。おそらく実行支配そのものを画策してくると思われる。今回の提案は来るべき選挙で「共産党は中国に利する提案をした」と右翼勢力から叩かれ、共産党が期待した支持は集まらず、尖閣列島にそもそも踏み込むこと事態が誤りであるが、大きな墓穴を掘ってしまった。

<22日赤旗一面、中国大使と会談>

  とうとうやってしまった。志位委員長は21日中国大使と会い、日本の領有の正当性を主張したとしているが、その際、日本国政府が、「領土問題は存在しない」という立場をあらため、領土に関わる紛争問題存在することを正面から認め、冷静で理性的な外交交渉によって、(中略)解決をはかるという立場が大切であることを「提言」では、提起しました」と述べました。と書かれている。

  これは重大な誤りである。共産党がこの立場を日本国内で言うのは確かに自由である。しかし、中国大使にこの主張を行うことは、日本国の利益を害するもので根本的に誤っている。誤った日本国の立場を伝えるものであり、中国の無法行為の援護射撃を行うものである。国民的な大きな批判を食らうであろう。

 共産党が友党としての中国共産党との秘密会談で、日本側が「領土問題は存在しないという立場を放棄した場合、中国は何処まで譲歩できるのか」を聞き出すのであればまだ許せるがが、中国大使に一方的に日本側の原則論を緩めるような主張を行うことは、日本国としての交渉を妨害する行為であって、許されるものではない。

資料1:共産党大阪(10区)の候補者ビラ

資料2:党中央が発行したビラ(10区候補者ビラの原本