東京・東久留米市議補選の大勝利の教訓は何か



平成29(2017)年12月30日


画期的な当選!獲得得票率36.22%は共産党としてはスゴイ数字!

 
 以下この当選を伝えた赤旗記事を引用する。
 東京都東久留米市で24日市長選挙と市議補選選挙が投開票されました。市長選では、「新しい市政を創る会」の桜木善生(67)=無新、日本共産党・社民党・自由党推薦=が立憲民主党の国会議員らの応援を受け、市民と野党の共同候補として大健闘し、1万6507票(得票率46.69%)を獲得しました。2340票の僅差の借敗でした。当選は、現職の並木克巳氏(48)=自民・公明推薦でした。
 市議補選(定数2、立候補3人)では、日本共産党の北村りゅうた氏(30)=新=が1万2487票(得票率36.22%、2位)を獲得して、当選しました。
 市議補選は、北村氏と自民党推薦の細川雅代氏(47)が当選。都民ファーストの応援をを受けた引間太一氏(33)は落選しました。
 北村氏の得票は総選挙の共産党の比例票6938票の1.8倍。総選挙後の市議補選では埼玉県上尾市に続く勝利です。

共産党の得票率が36.22%これは画期的な数字、なぜこれだけ獲得できたのか!!


 だいぶ前に私は共産党に対しては国民には忌避意識があり、どんなに逆立ちしても選挙で20%の壁は破れないと主張しました。ついでに公明党には30%の壁がある。この二つの政党はどのような組み合わせの選挙を行っても、この壁を打ち破れていない。つまり国民には大きな忌避意識があると述べました。
 例えば自民党と共産党が一騎打ちの選挙になっても共産党は20%の壁は打ち破れないが民進党は50%以上獲得し勝利することもある。この結果から共産党には国民からの大きな忌避意識が立ち向かっている。この忌避意識を如何に克服するかが課題であるという主張をこのHPの中で述べたことがあります。

残念ながら共産党はこの選挙結果を分析し、今後の戦いに行かすことが出来ない。

 共産党は今回の選挙でなぜ、総選挙の1.8倍の得票数を勝ち取ることが出来たのか、科学的な分析を行うことが大切です。この戦いの教訓から学ばなければ、共産党の20%の壁はぶち破ることはできません。
 共産党は選挙で共産党の票を支えているのは赤旗だと一貫して主張しています。赤旗部数と選挙の得票数の数字を示し、その関連を一貫して協調しています。最近は無くなりましたが一時期、選挙結果の報道には必ずこの選挙戦で赤旗が何部増えたのかが記載されていました。敗北の原因は、現場の党員が赤旗拡大に積極的でなかったそれが原因だと主張していました。
 私は赤旗部数と選挙結果はほぼ100%関係ないと見ています。共産党がこの間違った呪縛から抜け出さない限り躍進はできないと思っています。
 選挙に勝つためには様々な課題があり、他党派が何を重視しているかから十分学ぶ必要があります。大阪では私が若いころは公明党と共産党はほぼ同じ勢力を持ち、どちらかといえば共産党の方に力がありました。黒田革新知事を生み出し、沓脱タケコ氏が自民党の森下仁丹社長に勝つと言う画期的な時期がありました。その共産党が今や公明党の2分の1以下の政党になっています。この40年間の戦いで共産党は完全に埋没していきました。
 いろいろ原因はあると思いますが、選挙戦で勝つためのノウハウを全く学ばず、赤旗が増えれば共産党が勝つと言う馬鹿の一つ覚えのような選挙戦を行ってきたことのツケが出ているのです。しかし貴乃花ではないですが共産党の頑固さはゆるぎなく、相変わらず同じ方針を取り続けています。

総選挙総括の共産党の三中総は何を重視しているか

 共産党は総選挙で比例区で440万票しか獲得できず大敗北しました。この敗因には様々な要因があると思えますが、それらを具体的に探ることはせずに、「私たちの力が足りなかった」という抽象的な総括を行っています。この総括から生まれてくる今後の方針は「強大な党建設」であることは自明の理であり、方針はまさに強大な党建設です。
 しかし今回の選挙で一番躍進した立憲民主党は、党員などほとんどいない状況で、また政党の機関紙も持たず1100票を獲得しています。希望の党もあれだけ批判されながらも970万票近く取っています。ほぼ小池氏一人でかき集めた票だと思います。
 政党の党員数や、機関紙の部数と全く関係がない所で選挙の勝敗が決まっていることは明らかであるのに、それを認めず(正しく分析して学ぶことをしていない)選挙活動を党員のノルマ(赤旗拡大)に変えてしまう選挙活動方針は、党員を疲弊させるばかりで、展望は全く生まれません。
 三中総では、強大な党の建設と共に、「綱領を語り、日本の未来を語り合う集い」を開くことを訴えています。これそのものが誤りです。このような活動で選挙戦は勝てるのではないのです。選挙で一番勝った政党は自民党ですが、自民党に投票した人は、自民党の綱領を読んだ人でしょうか?おそらく90%以上の人が自民党の綱領など読んでいません。躍進した立憲民主党や希望の党に綱領があるのでしょうか、こんなところに選挙戦で勝利するカギはないのです。

選挙戦の戦い方は他党派の教訓から学ぶべき

 自民党は如何にして票を出しているのでしょうか、それは個人後援会の力が大きいと思われます。つまり人物の売り込みに大きな力を割いているのです。昔から選挙は「党」で入れるか「人」で入れるかという議論があります。この場合答えはほぼ半々で「党」と「人」に分かれると思います。共産党はこの「人物本位」という選択基準に全く関心を持っていないことに最大の弱点があります。
 具体的には議員個人の後援会が無く、後援会は共産党後援会でしかないのです。選挙戦の候補者という身分がないのです。他党は候補者中心に年がら年中選挙準備をしていますが、共産党は選挙前に候補者が決まり、選挙が終われば次回選挙の候補者でなくなり、選挙活動の連続性が担保されていないのです。(辻元清美などは、どんな小さな集まりでも顔を出します。)
 ある候補者を市会議員に立候補させ、市長選挙に立候補させ、国会議員に立候補させるためには、個人後援会成立できず、共産党の後援会にしておく方が便利が良いのですが、これでは候補者が成長しません。この人物軽視が共産党の選挙戦を苦しくしています。 

東久留米の選挙戦で総選挙の1.8倍、得票率36.22%、2位になった原因は

 赤旗の拡大が成功したのでは絶対にありません。何か他の要素があるはずです。しかし党の公式見解は選挙の勝利は赤旗の部数との関りで評価するですから、他の勝利原因を見出すことを拒否してしまい。三中総を学びその実践を行ったから勝利したでお茶を濁してしまい、この選挙戦の中で大きな教訓があるにも関わらず、それをみんな切り捨ててしまうのです。馬鹿げた話です。選挙戦の中に宝があるのにこの宝を全て葬り去り、党中央の指示のもとに戦ったから勝利したと総括してしまいます。
 この「党風」は、中国や北朝鮮となんら変わりません。党中央の判断と違う新たな教訓をつかんだと言うような話は絶対に出てきません。私は東久留米の36.22%にものすごく注目します。何をやったらこのような数字が出たのか、ここに大きな宝があると。共産党の目標は全国で10数パーセント獲得することです。(これは正確に把握していません)
 共産党が全国で15%の票数を獲得したら、政治は大きく変わります。(民進党の1100万票は約20%弱です)東久留米市の選挙結果は共産党が36%も取れる可能性があることを示したのです。これは画期的な勝利であり、ここから学ぶことは絶対的に重要な課題です。
 少なくとも私が予言した共産党の20%壁を大きく打ち破った原動力は何か、現地調査したいぐらい興味があります。共産党の真摯な総括を期待します。

★参考:東京都議会選挙の党派別得票数(得票率)
     自民党・公明党・日本共産党・都民ファースト比較
 【票の見方】
   共産党には20%の壁、公明党には30%の壁があると書いたがその検証のために都議会選挙の結果を
  載せた。ただ私は大阪から問題を見ていたので、この表を記載して見て、大阪と東京は違うことが分
  かった。大阪では共産党は公明党の2分の1の政党に成り下がったが、東京では公明党(13.13%)と
  共産党(13.83%)がほぼ同じ力を持ち、共産党の健闘が見える。(20%越がいくつかある)
   色を付けているが、得票率が20%を超えるものは、黄色、30%を超えるものを黄土色、50%を超え
  るものを赤色にしている。
   共産党は、文京区・荒川区、日野市、北多摩第四で20%を超えているが、30%越えはない。公明党
  は、北多摩第一の武蔵村山市のみ30%越えを果たしている。全体としては都民ファーストが圧倒的に
  強い