相変わらず本質を外す共産党の加計学園疑惑追及(しんぶん赤旗)


平成29(2017)年8月26日

次々と出る「森友・加計学園疑惑」の証拠物件

 森友・加計学園疑惑についてはこの間新たな証拠がいくつか見つかり、安倍政権にとっては大きな打撃になっている。この状態に慌てた安倍政権は新聞やテレビなどに対する締め付けを強化しているという噂がある。
  現に、この間新聞もテレビも森友・加計学園疑惑報道が相当減ってきたように見える。赤旗も何か載せているかと毎日赤旗を見ているが、せっかくいろんな事実が暴露されているのに知らん顔をしている。
 この間の重要な事実の暴露は、森友学園問題では、籠池夫婦と近畿財務局の交渉経過の録音音声が公開された。この録音記録の重要性は、佐川財務局長が、「私どもは金額の交渉を一切したことがないし、法に基づき適正に処理してきた」と国会で答弁してきたことが全くの嘘だということを暴いている。佐川氏はこの「ウソ」をつき続けたことが評価され、国税局所長に栄転したが、この録音テープが公表され、通常国税局長官に任命された際に行われる所信表明が行われないまま推移している。(記者会見を行えば追及されることを恐れている)
  さらには、安倍昭恵氏付の秘書であった谷氏のイタリア日本大使館の1等書記官に赴任した問題も、「情報隠し」「逃亡」だと批判されている。
 加計学園問題では、加計学園の設計図がマスコミ等に持ち込まれ、加計学園建設のインチキが立証されつつある。もう安倍政権は断末魔である。
 この加計学園の設計図は、「今治加計獣医学部問題を考える会」(以下「考える会」と呼ぶ)共同代表の黒川敦彦氏が入手して、マスコミにこのニュースを流すように頼みに回ったが今日まで日の目を見なかった。
 「考える会」の共同代表の黒川氏の説明によると、この資料を入手したのは、7月24日頃であり、その後NHKと接触し、NHKは独占スクープにしたいので、この話を他のマスコミには内緒にしてほしいと頼まれたが、NHKは確かに図面が公にでたとの放送はしたが、設計図を下に特別番組作りながら放送せず没にしてしまった。(担当部長がこれを流せば首になるといったとの噂がある)このことで設計図の公開は遅れたが8月23日には黒川氏は一般に公開している(52枚の資料)
 すでにこの間、この図面のニュースはちらほらあったが、共産党は一切取り上げなかった。8月23日民進党加計学園疑惑解明チームに「考える会」の黒川氏が出席し、加計学園の図面を公表し問題点を明らかにした。

★以下民主党のHPから引用
  党加計学園疑惑調査チーム(共同座長=桜井充参院議員、今井雅人衆院議員)は23日午後、国会内で会合を開催。学校法人加計学園の獣医学部新設を認可するかどうかを審査している文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)の審査基準や、加計学園の建築図面などについて政府の見解をただした。
  会合には「考える会」共同代表の黒川敦彦氏も出席。黒川氏は建築関係者からの内部告発により明らかになった加計学園の建築図面について、専門家からの意見を踏まえ(1)建築費の水増しとそれによる今治市からの補助金を詐取しようとしているのではないか(2)バイオセーフティ偽装=現在計画されている施設・設備は高度なウィルス研究を行うために十分な機能を有しておらずバイオハザードのリスクがある(3)獣医学研究棟の7階にはワインセラーが設置されたパーティールームが建設される予定であり、ワインセラーに関しても今治市に補助金請求がなされようとしている――の3点を指摘。建築費の水増しなどこれまで指摘してきた事項について、「図面が公表されたことでより疑惑が深まった」と述べた。
  この民主党の取り組みはユーチューブでも見られるが、これによりすべてのマスコミはこれを取り上げざるを得なくなった。

加計学園の設計図が明らかになって、加計学園疑惑は一層深まった

 赤旗記者はこの民主党のユーチューブを見たのか、あるいはHPの記載を見たのか明らかではないが、「考える会」の黒川氏の論理明確な説明を全く理解せず、格調を落とした三流週刊誌の記事仕立てにして25日の赤旗に載せた。

赤旗の設計図発覚記事の見出しは「ワインセラーなぜ?

 赤旗はこの記事の最大の見出しを「ワインセラーなぜ」とした。「なぜ」こんな見出しにしたのかこちらが聞きたい。黒川氏は上記民進党のHPからも明らかなように、3点の問題点を指摘した。再度復習のために載せる。
 (1)建築費の水増しとそれによる今治市からの補助金を詐取しようとしているのではないか
 (2)バイオセーフティ偽装=現在計画されている施設・設備は高度なウィルス研究を行うために十分な機能を有
    しておらずバイオハザードのリスクがある
 (3)獣医学研究棟の7階にはワインセラーが設置されたパーティールームが建設される予定であり、ワインセラ
   ーに関しても今治市に補助金請求がなされようとしている。
 
  この三点で重要な点はどれか、それは(1)(2)が最も重要であり、(3)は週刊誌ネタである。加計学園が如何に腐りきっているかの宣伝には最も効果的に利用できる効果はある。
  もう少しこの三点の意味を見ていきたい。
  第一点目の指摘は、この図面が公表されたことにより、加計学園は補助金を不正に詐取しようとしていることが暴露された。(証拠書類が出た)この図面を鑑定してもらったら、この建物は倉庫に毛が生えたような建物であり、実際の費用は坪60万円から100万円以内だと複数の専門家が証言している。加計学園は坪150万円の見積もりを出し、192億円かかると説明し、その半額の96万円を愛媛県及び今治市に請求している。この請求は3月31日に行われ、今治市は同日了解を報告している。(96億円の内訳は愛媛県32億、今治市64億)
 しかし今日まで設計図は公開されず、今治市の市会議員は誰一人この設計図を見た者がおらず、96億円の補助金が正しいのか否かの判断を行うすべを持たない中で決定している。
 この件は森友学園以上の100億円規模(土地代金も含めて)の詐欺事件の可能性がある。

 第二点目の指摘「バイオハザードのリスクがある」

  これは極めて重要な指摘であり、加計学園は一般の獣医学部ではなく、加計学園は石破4条件をクリヤする「世界に冠たる先端ライフサイエンス研究」を行うとしていたが、これらが全てウソだということが発覚した。
 加計学園が獣医学部の目玉としているにが、バイオセーフティレベル3(BSL3)の研究施設だ。狂犬病や結核菌、鳥インフルエンザなど。人体に感染したら重篤化の恐れのある病原体を扱う実験室で、WHOの指針によると「実験室は、建物内の交通が制約されていない区域と切り離されなければならない」と定められている。
 ところがこの設計図面では、学生や教職員が行き来する同一フロア内にBSL3施設が置かれ、危険区域として区別されていません。通常なら実験室内部は病原体の外部飛散を防ぐため「陰圧構造」になっているが、それも確認できないという。このまま研究を始めたら《一週間で感染者が出る》と図面を見た国立研究所の安全管理専門部門委員の一人が私的しているという。
 この大学は住民の居住地にも近く、住民に被害がおこる可能性もある。市民に対する説明会では、市民側からこの危険性が指摘されたが、加計学園側はそれらにたいして全く無関心であった。

  第三点目の指摘が、ワインセラーである。これは加計孝太郎氏のまさに「男たちの悪たくみ」であって遊び心から出たものであり、この学園の重要性が全く分からず自分の趣味を優先させたものである。確かに加計学園がいかにいいかげんかを示す事例ではあるが、この加計学園疑惑の本質を表すものではない。テレビのワイドショ―で取り上げるにはいい問題であるが、この問題の本質から外れた問題であり、加計学園側にとっても、この指摘が国民の指摘であれば、頭を下げてワインセラーを廃止すればよい。学校完成後に新たに購入すれば済む話である。
  加計学園がわもこれはやりすぎと思い、テレビでの報道の後すぐに撤回した。この指摘が彼らには一番痛くもかゆくもない指摘である。

ワインセラーを最大の見出しにした共産党は物事の本質が分かっていない。なんとも悲しい赤旗の報道である。

 今治市の「考える会」の黒川敦彦氏の歯切れの良さから学ぶべきである。圧倒的に彼らがリードしている。ユーチューブで共産党の議員の質問が流されえていたが原稿の秒読みである、相手の心に響かない。この青年たちは生き生きと自らの主張を行っている。
  共産党愛媛県のHPも今治市のHPも見たが、この問題の取り組みがほとんど書かれていない。今治市で7月26日と28日の両日、市議会議員による報告会が開かれた。市内の2つの公民館が会場となった。そのうちの一つの会場で列席していた市会議員15人に対して市民の側から「この中(「市会議員の中で」)で加計学園か菅良二市長から『わいろを貰っていない人』立ってください」と呼びかけたが、二人しか立たなかった。この状況を捉え「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川氏以外の共同代表の一人が、加計孝太郎理事長、菅良二市長、市議会議員13名を松山地検に告発した。
  その中に共産党の市議がおり、共産党はそのことに腹を立てて、「今治加計獣医学部問題を考える会」と決別しているように見えるが、そんな対応では市民から見放される。もっと大人の対応が必要である。(注1)
  いまの共産党の力量では「考える会」の黒川氏等に競い勝つことはできない。圧倒的な力量差を感じる。

注1:共産党の主張は、共産党の市会議員は受付を担当しており、他の議員と離れたところにいた。その場で立っ
     たが、それが認識されず、確かめもせずに告発されたことに怒っている。
    共産党の抗議声明を読むと市民の発言は「市長は(加計学園から)賄賂を受け取っている。市議ももらって
    いるという噂がある」と指摘、「受け取っていないと断言できる議員はこの場で立ってみろ」と発言したと書
   かれている。
    私はこの会議は、「今治市議会主催の議会報告会」であり、その場で人民裁判のような発言が行われ、これ
    を静止できなかった議員の力量に問題がある。中国の紅衛兵のやってきた活動を想起する。この市民の対応
    が異常であり、市会議員の中にはこの発言に応えて立つことが正しいのか迷った人が大半だと思う。立たなか
    ったからすぐに賄賂を貰った人という断定は、健全な市民運動とは思われない。
    立たなかった13人は賄賂を貰った人と認定するこのやり方の危うさを感じる。共産党の声明を見れば、病気
     で欠席していた議員まで、「起立しなかった議員」に加えている。
    共産党のとるべき立場は、共産党議員が告訴の対象になっていることを抗議するのは当然であるが、市民
     運動の在り方を徹底的に討論し、このようなやり方は市民運動としてはまずいことを理解してもらう必要があ
     る。現状では全くこの市民運動と決別してしまったように読み取れる。それは市民にとってマイナスである。