日本共産党 最近おかしくないですか

共産党は橋下(都構想)と本当に戦うのか?


平成26(2014)年12月31日


都構想をめぐる情勢

 都構想を巡っては、橋下維新と公明党が不可解な動きを示している。衆議院選挙前あれだけ反発し合っていた公明党と橋下維新が裏取引し、橋下維新は公明党の候補者が立候補する選挙区に、維新は出馬せず、公明党躍進に手を貸した。その見返りは都構想推進へ公明党を抱き込み、公明党は自民・公明・民主・共産の反都構想共闘関係から抜け出し、維新と共闘し、橋下維新の課題である都構想実現に手を貸そうとしている。
 こんな国民を無視した政党間の野合は、前代未聞の暴挙であり、公明党という政党の謀略的な性質を浮かび上がらせた事件である。

毎日新聞はこの自体をどう捉え報道したか

 12月31日付毎日新聞29面【社会】は、「都構想法定協 維新ペース」「公明『寝返り』再始動」という大きな見出しを縦と横に配置し、真ん中にさらに縦見出しで「協定書反対 採決は賛成」―党本部主導という見出しを掲げている。
 さらに、記事で重要な指摘を書いている。この公明党の裏切りを主導したのは安倍政権であり、具体的には、「維新関係者が『今回の絵を書いたのは菅義偉官房長官と松井幹事長。憲法改正を見据え、菅氏は維新を離したくないのだろう』と話した。」「公明党関係者によると、菅氏は学会幹部と『維新が衆院選で一定の議席を取れば、改めて話し合う』と合意し、衆議院選後に維新への協力を働きかけ、自公連携を維持したい公明党側も受け入れた」という。
 この毎日新聞の記事は重要である。今回の選挙戦の意義を「憲法改正」にあると見ている点である。(共産党にはこの視点がない、少なくとも都構想と憲法改正が関連あるなど夢にも思っていない。)
 次に、毎日新聞は公明党創価学会に首根っこを抑えられ、公明党創価学会の批判は行なえないと揶揄されてきたが、今回のこの重要な決定を公明党では無く、創価学会の幹部が菅官義偉房長官と話し合って決めたことを暴露している。(菅氏と創価学会幹部の「密約」を公明党側も受け入れた。)
 この記事の見出しの「公明『寝返り』という見出し」も強烈である。まさに赤旗の見出しのようである。(赤旗こそが書かなければならない「見出しで」ある)

赤旗はこの記事をどのように伝えたのか

 赤旗(12月29日付)の見出しには躍動感が全くない。「『大阪都』構想 事態急変」「公明が協力に転換」「同党内から反発の声」というものである。毎日新聞は「寝返り」と指弾したにも関わらず、赤旗は「協力に転換」である。縦見出しも、毎日新聞は「都構想法定協 維新ペース」と書いているが、赤旗は「『大阪都』構想 事態急変」と書いている。毎日新聞は、維新の暴走が始まると警鐘を打ち鳴らしているが、赤旗は、客観的事実を伝える立場性を取っている。いつの間に赤旗は自己の主張を行わない一般紙になり下がったのか、赤旗拡大の為に自らの主張を抑えるのであれば、その新聞がいくら増えても政治状況は変わらない。赤旗は何かを勘違いしている。臆病になっている。
 見出しだけでなく、この記事を見比べれば赤旗の記事の幼稚さが浮き彫りになる。毎日新聞はこの問題の本質、背景を伝えている。その際創価学会と公明党の関係を描き出し、創価学会が如何に公明党に影響力があるかを暴露している。

事の本質は、安倍首相は「海外で戦争できる国」作りを狙っている

 全てが、安倍首相が狙っている「憲法改悪」をして「海外で戦争できる国」づくりを狙っている。都構想の実現だけでよかったら、自らの政党である自民党府議団・市議団が賛成に回れば済む話である。安倍内閣が狙っているのは、公明党や維新の力を借りて「憲法改悪」を狙っている。維新や公明党を上手くコントロールするために都構想利用している。彼らにとっては「都構想」など、どうでも良い課題である。それよりも憲法改悪に賛成する勢力の団結こそが重要であり、「都構想」という課題で「密約」を行い、維新や公明党が今後裏切れない、政治的仕組みを作っているのだ。
 

赤旗は自己の主張をすることに臆病になっている?

 毎日新聞は(暗に)このような指摘を行っている。赤旗は「都構想」だけを切り離し、「同党内からも反発の声」という見出しを掲げ、共産党の主張を前面に出すのでは無く、「誰かがこういっている」だから「共産党の主張は正しい」という何時もながらの主張を行っているに過ぎない。この赤旗記事の最後の締めを見てもそのことが良くわかる。
 「他会派からは『維新と密約があったといわれても仕方がない」との声も上がっています。』というのが赤旗の締めくくりの言葉である。この言葉は「密約」という指摘を「他会派から」、「いわれても仕方がない」とか、「声も上がっています」二重、三重に逃げの言葉を打って書いている。(主体性の全くない、逃げ一手の記事です。)
 これでは赤旗のスローガン「正義の見方・真実の友」が泣いています。

毎日新聞は公明は「寝返り」と書いた、「赤旗は中央本部の指導を受け」と書いた。
 上記毎日新聞と赤旗の記事比較は毎日新聞が12月31日付であり赤旗が28日付であることから不公平との指摘も出ると思われるので、最後に赤旗31日付の記事も紹介しておきたい。31日付赤旗は。「『大阪都』構想」「5月住民投票狙う」「橋下市長 否決の案 再提出」という見出しを掲げ、小さな小さな見出しで、「“『結論ありき』」”共産党が批判」と書いている。記事の内容は客観的な報道であり、宮原府議団長の「真摯に議論を重ねて否決されたという事実の重みを、きちんと受け止めるべきだ」と強調しました。で締めくくっていますが、この発言は至極当然な発言であり、自民党の議員でも言える発言です。
 ただ、その横に「暴走ストップに力尽くす」共産党大阪府委員会柳副委員長談話が載っています。しかしこの声明文も公明党に対する批判が極めて優しいものになっています。毎日新聞は「公明『寝返り』」と書きました。更には創価学会が菅義偉官房長官と協議し、憲法改悪を狙う意図の下に密約した。公明党は創価学会のそうした合意を受け入れた。と書いている。
 これに対した共産党の談話は公明党が中央本部の意向を受け「協定書の内容は反対するが、住民投票までは賛成する」などという態度に転換したことによるものです。となっている。これでは何ら批判になっていない。政党ですから、中央党本部の意向にそって方針変更することは一般的にありえることです。共産党も有名な須藤五郎参議院議員が部分的核実験禁止条約に賛成した際、当時の宮本委員長は役者が「役者がセリフを間違った」という発言がある。当中央の決定が全てに上回るのはどこの政党も同じです。
 さらに「この談話」は、「橋下市長や『維新の会』が公明党中央とのあいだでどのようなとりひきをしたかなど真相は隠されたままですが、両議会が否決した『協定書』を党利党略のかけひきで、そのままよみがえらせ、住民投票にかけるなど、到底許される手法ではありません。」と話していますが、府議団長の話もこの談話も至極まともなことを言っていますが、橋下維新や公明党と戦うという意思が全く伝わってきません。ここまでの話なら、読売新聞でも、産経新聞でもかける話です。

共産党は維新や公明党に対して、毎日新聞に比べて一歩も二歩も腰が引けている!

 共産党は最低限毎日新聞の立場(「密約あり」)で戦うべきです。一般紙が切り開いている水準に大きく遅れを取っていては赤旗の役割は全く果たせません。一般紙よりも高いお金を払って赤旗を読んでいるのは、一般紙に無い視点を期待するからです。
 安倍首相の危険な企みに、真っ向から戦わないのであれば、赤旗の値打ちは全くありません。「密約」という言葉すら使えない、臆病な赤旗には魅力がありません。なぜ戦わないのか政治記者の力量の低下か、それとも共産党も「密約」政治の仲間いりをしようとしているのか、分からなくなってきました。