アメリカを平和的と捉え、北朝鮮を一方的に批判する共産党のビラに違和感を禁じ得ない


平成29(2017)年8月18日


志位声明「危機打開のために米朝は無条件で直接対話を」(12日)の要約ビラ

 日本共産党高槻・島本民報(以下「高槻民報」と呼ぶ)が本日(8月18日)しんぶん赤旗に折り込まれ我が家に入ってきた。(別紙参照)このビラは、志位委員長の「危機打開のため米朝は無条件で直接対話を」12日付声明(別紙参照)を要約して作成されたものである。
 高槻民報は志位委員長の声明文を要約し配布したほうが、国民には分かりやすいと判断し、要約版を配布したと思われるが、要約者の思想性が入ってしまい、逆に志位委員長の言いたかったことが正確に国民に知らされない危険性を自覚すべきである。今回の場合も裏面に志位委員長の声明文全文を記載して配布すべきである。

高槻民報は志位声明をどのように改ざんしたか?

 志位声明の基本的姿勢は、アメリカ、北朝鮮両方に自重を求め、直接対話による解決を求めている。しかし高槻民報は、アメリカは平和を求め、北朝鮮側が基本的にガンであるという主張になっている。
 その問題点の第一は、声明の全文を省略し、「関係諸国に対して、次の諸点を緊急に要請する」とした3項目に限った要約を載せたことにある・
 第二は、声明の要約以外にわざわざ、2つの解説文書を載せたことである。

 具体的に何が問題か見ていきたい。
 @赤旗の要約版では、平和を求めた動きが、トランプ側のみにある主張になっている。その文書は三項目の課題の二項目目「米・朝両国は無条件で直接対話をの要約で、「直接対話に踏み出すなかで、核・ミサイル問題を解決する可能性を追求すべきである。この点で、トランプ大統領が、北朝鮮との交渉に関して、『オバマ(前政権)は話すらしたがらなかったが、私は話す。誰かがやらなければならない』(10日)と述べていることに注目している。」というトランプ側の話し合い路線の紹介を行い、トランプの危険性を隠したことである。
 志位声明は前文で「一方、米国のトランプ大統領は、『北朝鮮がこれ以上アメリカを脅すのであれば、炎と激しい怒りに直面することになるだろう』(8日)、『「グアムに何かしたら、誰も見たことのないようなことが北朝鮮で起こる』(10日)などと発言している。」とトランプの危険性を告発している。この前文を省略したことにより、トランプの方が話し合い解決を求めているように浮かび上がらせた。
 A高槻民報独自の見解を「志位声明」にかぶせたことである。二つ文書を解説的に載せた。
 ★一つ目は、アメリカ国内で高まる交渉の世論
    ティラーソン国務長官、下院の民主党議員64人などが、北朝鮮との直接対話を求めています。
 ★二つ目は、金正恩氏も本音は交渉を望んでいる?
   6月21日、北朝鮮の駐インド大使は、テレビのインタビューで、米国との直接交渉に臨む準備がで
  きている―と語っています。金正恩氏も自分の身の安全は守りたいはずです。

 という文書を「高槻民報」独自で、悪意の加筆をしています。この二つの文書は「志位声明」の持っていた「公平・対等」の立場を放棄し、明らかにアメリカは平和を愛し、北朝鮮は危険な国であることの「印象操作」を行っています。
 「アメリカ国内で高まる交渉の世論」これそのものは正しいのですが、前文の中にある、トランプの異常な発言を省略し、この状況だけを伝えるのは間違った報道です。一方で北朝鮮における「交渉への動き」を紹介した点はフェアーに見えますが、その意図は金正恩の命乞い「身の安全は守りたい」だという断定は、週刊誌的発想であり、下品なものの言い方です。
 さらに。アメリカ側は「高まる世論」としていますが北朝鮮の「交渉を望んでいる?」は「?」が付いています。ここにも明らかに「高槻民報」の「印象操作」偏見があります。
 これは蛇足ですが、北朝鮮の記事には「準備が出来ている―と語っています。」と書き「―」を入れています。これは誤植だと思いますが「若者言葉でおちょくっているようにも見えます。」

いつものことですが、毎日新聞はどのような評価をしているかを見てみましたが

毎日新聞2017年8月15日 21時53分(最終更新 8月16日 00時40分)
★【アメリカの評価は】
 激化の一途をたどってきた米朝対立に、沈静化の兆しが見えている。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、米国との緊張緩和に言及。トランプ米大統領も15日の安倍晋三首相との電話協議では「過激な発言はなく、理路整然と(対北政策を)語った」

★【北朝鮮の評価は】  朝鮮中央通信は15日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は14日に朝鮮人民軍戦略軍が発表したグアム包囲射撃作戦案について報告を受け、「(実行するかどうか)米国の行動や態度をしばらく見守る」と表明したと報じた。21日に始まる米韓合同軍事演習の動きを注視するものとみられる。

 とそれぞれの国の対応を冷静に対等に評価している。金正恩の政治的力量をキチット評価し、「命乞いでやっている」ような下劣な評価は行っていない。
 いつものことですが政治の視点が定まらない高槻民報は猛省すべきだと思います。

資料1:高槻民報
資料2:志位声明