森友学園事件に加計学園事件が加わり、安倍政権はますます窮地へ           


平成29(2017)年5月20日

赤旗の記事は安倍政権と真っ向から戦えず腰抜けになっている。


加計学園問題は安倍首相の腹心の友に対する便宜供与(およそ133億円)

 この間森友学園事件、さらには「第二の森友疑惑」と言われる「加計学園」学部新設に「総理のご意向」があったことが朝日新聞のスクープで暴露され、安倍内閣は新事実噴出で追い込まれている。

 まず最初に出たのが5月16日の森友学園の籠池泰典前理事長の発言、「地下3メートル以深には廃棄物は無かった」という証言である。この発言は財務省理財局長の佐川氏の国会での答弁が全てうそであったことを暴露している。彼は根拠を示さず、「法令に基づき適正に処理してきた」と言い続けてきたが、8億円のダンピングの根拠が全てなくなってしまった。今後彼がどのような詭弁を使い言い逃れしていくか注目される。

 次に出たのは、第二の森友学園問題ではと言われてきた安倍首相の腹心の友が経営する加計学園設立が、安倍首相の意向を踏まえたものであることを、朝日新聞のスクープ(5月17日)で暴露したことで、森友疑惑以上の一大疑獄事件として注目されている。

 この加計事件の疑惑のスケールの大きさから、前日(16日)の森友疑惑に対する籠池氏の重大な証言が、マスコミの注目を浴びず、闇に葬られようとしている。それぞれ重要な問題として取り上げるべきである。

 加計事件は安倍昭恵氏も相変わらず関りを持っているが(昭恵氏は15年6月から、学園が神戸市で運営する認可外保育施設「御影インターナショナルこども園」の名誉園長を務めている。)、なんといっても主役は安倍首相本人である。この事件は極めて単純な事件であり、安倍首相の腹心の友に便宜供与(37億:土地代+23年までの学園の総事業費192億円の半分の96億円を愛媛県と今治市で負担)する事件であり、朴 槿恵氏のやったことと同じ次元の犯罪である。

赤旗は籠池氏の暴露「地下3メートル以深にゴミなし」発言をどう伝えたのか

 森友学園疑惑は、背景が複雑で、誰が主犯で何を目的としていたのか、解明が必要な事件である。政治的事件としてはこの解明の方がよっぽど重要であり、日本の針路をゆがめるような、きわめて重要な事件である、この事件の中で籠池氏の果たした役割を正確に解明し、これを陰で操っていた主役をあぶりだすことが重要である。

 まず森友学園疑惑であるが、赤旗は一貫して籠池主犯説である。籠池が如何に詐欺師であるかを暴露することにその主眼を置いている。確かに時々優れた記事も書くが、どうしても籠池の詐欺師的役割に目を奪われてしまう。以下具体的に見ていきたい。

 赤旗5月17日15面【社会】に前日の籠池発言を受けた記事があるが、その見出しを拾うと「業者、森友側にメール」「3メートル以深ゴミなし」「従来説明と食い違い」「辰巳議員が指摘」という記事を書き、そのすぐ下に「大阪府が籠池氏告訴へ」「補助金受給詐欺の疑い」という記事を載せている。

 この赤旗の立場は、籠池氏の記者会見で真相は深まったが、籠池氏がますます怪しい人物だという印象操作を行っている。

籠池氏の新たな資料公開は何を目的としてなされたのか(籠池氏の声を聴くことが重要)

 籠池氏は何の目的をもってこの記者会見を行ったのか、「この森友疑惑の主役は私ではなく大阪の松井知事を中心とした利権集団と安倍首相や教育再生会議が神道を基本とした学校建設をもくろんでおり、私は利用されたに過ぎない」という主張のために彼は新たな資料の公開を行っている。この森友疑惑の核心は何かを彼は我々に教えてくれているのである。

 確かに籠池氏は自己保身を図っている、「トカゲのしっぽ切はやめてください」とかれは叫んでいる。日刊ゲンダイだったと思うが「死なばもりとも」という表現が最も適切で「トカゲのしっぽ切は許さない」「この事件の真相を明らかにする」というのが現在の彼の立ち位置である。

 菅野完氏が言うように、籠池氏には問題もたくさんあるが、現状では彼は「トカゲのしっぽ切はやめてください」と権力側と戦おうとしている。籠池氏から見れば権力側に利用され、私だけが逮捕される、それを許さない決意で戦っている。

菅野完氏が言う「阿部と籠池」では籠池、「籠池と保護者」では保護者の立場に立つ

 籠池を利用することによってこの事件の真相が明らかになるチャンスが生まれている。(彼は未だ明らかにしていない資料を持っていると思われる。一番重要と思われるのは2015年9月4日の近畿財務局9階での4者会談の録音テープと安倍昭恵氏の100万円を渡した際の映像か音声記録)安倍首相は籠池氏が今後どのようなことを発言するか怯えているはずである。だから大阪維新と共謀し何とか籠池氏を犯罪者として立証し、逮捕することで、自分に迫りくる危機を防ごうとしている。

 ところが赤旗はこれらのからくりが見抜けず、赤旗の主張は一貫して「籠池氏は詐欺師である」ことを立証しようとしている。16日の籠池氏の重要な証言を全てぬりつぶし、その記事のすぐ後ろに、「大阪府が籠池氏告訴へ」「補助金受給詐欺の疑い」という記事を張り付けている。おそらく読売新聞や産経新聞と同じような記事割である。

 毎日新聞は籠池氏の新たな事実の公表を案外小さな記事で載せている。文字数は毎日新聞の方が多いかもかもしれないが、見出しの文字サイズは毎日新聞の方が小さい。毎日新聞の見出しを拾うと「3メートル以深ごみなし」「民進に籠池氏、取得交渉メール公開」という見出しを掲げている。 

 赤旗との違いは、赤旗は「何か籠池氏は胡散臭い」というイメージを膨らませる見出しを掲げているが、毎日は客観的に書いている。赤旗のように「大阪府が籠池氏告訴」という記事もかぶせていない。

 何よりも決定的なのは、この日(16日)籠池氏の提出したこの間の財務局や業者あるいは担当弁護士のメールのコピーの一覧で、一番注目をあびた財務局のメール内容を毎日新聞は取り上げているが、赤旗は取り上げていない。

「小学校開校に向けてご協力いただきありがとうございます」(財務局からのメール)

 今回の籠池氏が明らかにしたメール一覧で一番重要な内容は、財務省が上記見出しの文言を書き出しの頭に使ったことである。この文書は、財務省側がこの小学校の建設に安倍首相の意向が働いており、その実現は自分達の仕事だと思っていたことが明確に表されている。毎日新聞は「学園側の立場に立った書き出しだった。」と書いている。なぜ赤旗はこれを取り上げなかったのか、きわめて不可思議である。

 この間の国会答弁で財務省理財局長は、「私どもは、バックに誰が付いているというようなことには全く関心が無く、あくまで法令に基づき適正に処理したものです」と啖呵を切ってきた。つまり我々は「忖度」などとは全く無縁であり、粛々と法令に基づき適正に処理してきた。「『忖度』があったのでは?」という質問に対しては、我々公務員を愚弄するなという意気込みが感じられた。

 これらの発言が全く嘘であったことが、今回の籠池氏の関係書類(メール)公開で明らかにされた。

籠池氏が公表したメールのコピーは森友問題の本質を解明する上だ重要な書類だ!

 籠池氏の公表した資料(発言)には重要な物がいっぱい含まれている。例えば、「8億円値引きにつながった新たなゴミは私は確認してなかった」(籠池発言)とか「ゴミが無かったのがばれるから、柱状図(ボーリング調査結果)の提出はどうしましょうか」・・設計事務所と弁護士のメールのやり取りなどの解明により、設計事務所や藤原工業、松井氏や維新の会の果たした役割と籠池氏の役割は何であったのかの究明こそが事件の核心につながる。大阪グループでは。籠池氏のみが反乱している。・・・解明につながる可能性がある。

 赤旗は、この解明に全く消極的であり、籠池氏の詐欺事件としてだけでこの事件をとらえようとしている。

森友・加計疑惑に対して大阪民主新報は、どのような対応を行っているか

 ついでに、大阪民主新報であるが、一時期赤旗よりいい記事を書いていたが、5月21日(日曜日)付け大阪民主新報は、籠池氏の新情報の公開や、加計学園問題の急速な展開について全く触れていない。大阪民主新報は記事の締め切りがよほど早く、16日(火曜日)森友事件、17日(水曜日)の加計学園問題について何も語れない。記事の柔軟性が全くない。

 これは余談であるが現在週刊新潮と週刊文春の戦いが報じられているが、週刊新潮の中刷り広告を見て、文春側が記事を差し替え、週刊新潮側の特ダネをつぶしたと新潮が訴えているが、この素早さに驚く。中づり広告を見て、記事にするまで何時間あるのか知らないがそれぐらい迅速に記事を書く力がある。これを見習うべきである。

 新聞の記事割をどのように考えているのか、森友、加計学園とも大きく事件として疑惑が広まった段階で、これらに全く触れられないようでは、新聞としての役割は死んでしまう。情けない限りだ。(小池晃書記局長の街頭演説が掲載され、その中に森友問題に言及した行はあるが、16日(森友疑惑)、17日(加計疑惑)の新たな展開には全く触れていない。)

赤旗5月20日(本日付)の森友学園記事に相変わらず怪しげさが残る記事構成

 赤旗14面【社会・総合】で「松井知事は責任をとれ」「森友問題 市民ら府庁を包囲」という赤旗らしい記事が出たが、その下に相変わらずパターン化した記事構成で「大阪市籠池氏を告訴」という記事を載せている。(森友記事には必ず籠池批判とセットで出す。)

 確かに本日の記事は、松井氏追及がメインで、籠池氏に対する記事は客観的に書かれているが、記事の最後に「森友学園をめぐる問題で、行政機関が刑事告訴するのは初めて。」と載せている。この言うところの意味が分からないが、「大阪府が異常だと皮肉っているのならセーフだが、大阪府が一番頑張っているという意味なら、お馬鹿さんである」なぜこの言葉を入れたのかの説明がないから疑心暗鬼に陥る。

 私なら、「松井氏(維新)は、自らに市民の目が向くことを恐れ、籠池氏を告訴して、逃げ切りを図ろうとしています。」と書きます。そうすれば上の記事との一体感が生まれ、市民の松井批判の行動の記事が生きてきます。

加計学園は分かりやすい、主犯は安倍首相そのものである。

 安倍首相は加計学園の加計さんとは40年来の友達で腹心の友だという。私がその人とゴルフやお酒を飲んで何が悪いかと居直っているが、例えば市町村長等が地元の業者と酒を飲んでも追及される。例えば、三木市で、市内入札業者と2次会で同席となり飲み会を継続(市長・副市長・部長連中)ということが追及され議員のブログで追及され、朝日新聞も「兵庫県三木市の藪本(やぶもと)吉秀市長(58)は15日、市と利害関係のある民間業者と飲食した問題にからみ、約1年半にわたって虚偽の説明をしていたことを市議会本会議で明らかにし、辞職届を提出した。」という記事を載せている。朝日デジタル2017年5月16日00時10分

 政治家であれば利害関係人と飲食を共にすることは慎まなければならない。しかし安倍首相側は、安倍昭恵氏が自らのフェイスブックで「男たちの悪巧み」という見出しを付けて安倍首相と加計学園の加計孝太郎、三井住友銀行副頭取 高橋誠一郎氏氏と鉄鋼ビルディング専務 増岡聡一郎氏の4名がお酒を飲んでくつろいでいる写真を公表している。(2015年12月24日に昭恵夫人がSNSに投稿した写真)

 安倍一強と言われる情勢の下、政治家としての基本的モラルすら守られていない。この問題を最初に追及した社民党の福島瑞穂氏に完全に恫喝を行っている。慢心と言うほかない。安倍首相の退陣が求められている。