赤旗拡大の体験談
      「もういい加減にしてくれ」という内容


 私は30年以上前、赤旗の拡大にあたっての地区委員から「セールスポイント」を聞いたとき、共産党ももう終わりだなと思ったことがある。その際の「セールスポイント」は、「料理の記事が他の一般紙より優れている」というものであった。これを説明すれば、赤旗は増えると。

 その際、市会議員の奥さんが手を上げ、赤旗を一般紙に変えて取ってもらうには「折り込み広告が入っていない」から難しいと主張された。その発言にもビックリしたが、公明新聞も同じ悩みを持っていることが後で分かった。

 市の広報を一般紙に「折込配布」されていたが、それでは一般紙を取っていないものには行き渡らない、独自の配達網を作れと公明党が市に要望した。(これはその意見を受け入れ、個別配布になった。)

 昨日(7月22日付)赤旗は、「知り合いの中小企業社長を訪ねて」という記事を載せているが、この拡大が成功した経験談が「飼っている犬の種類が同じで、それがきっかけで社長と親しくなったのよ」というものになっている。

 これだけ反原発の機運が高まり、大きなデモが行われているのに、この戦いの中で成果が上がったという記事がなく、「犬の種類が同じ」というような共通点からでも拡大できるのだと叱咤激励する共産党の異常さは「一体、なんだ!」と叫びたくなる。これらの経験は極めてまれな事例であり、基本は戦いの渦の中に巻き込んで拡大していくという王道を歩まない限り、必ず衰退する。

 共産党は大衆運動と赤旗の拡大の連動を求める者を日和見主義と批判する。赤旗拡大は独自の課題として追及する。これこそが革命的行為と褒め称えるが、この間の赤旗拡大(笛吹けど踊らず)の状況は、この独自に赤旗拡大を行う路線の敗北を示している。

 日常的な運動のつながりを大切にせず、「犬の種類が同じ」というような方向の中から、日本社会の変革の芽は生み出すことは出来ない。