赤旗を見ると驚く記事ばかり!

    これって本当に共産党の機関紙?


 大阪民主新報の記事の間抜けさは、もはやどうしようも無いところまで来ている。(注1)それでは赤旗本紙はどうか、やはりもはや救いがたいところまで堕落している。

<6月19日付赤旗1面>

 「閉塞打開へ 対話と共同」、「「オール北海道」と共産党」、「各地で共闘 23カ所1万人」

 という記事を載せている。立派なホテルの大広間に経済界や自治体関係者など300団体、(正装した紳士・淑女)400人が参加している写真が掲載されている。

 赤旗の読者がこの写真を見て、「ヤッター」と思うのであろうか、私は赤旗の読者は、労働者や農民や市民がのぼり旗やゼッケンを付け立ち上がっている姿を求めていると思っている。しかもこの記事はすでの赤旗6月10日でも一面トップで扱われている。

 この姿こそが共産党が四中総で指摘した、「保守との共同」の具体化であり、この分野での健闘が閉塞感を打開し、未来への展望を築くものとして赤旗は報道している。この共産党の姿こそ、堕落への階段を転げ落ちる共産党の姿であり国民はこんな共産党を支持しない。共産党の大いなる勘違いの姿である。

注1:前回投稿分:共産党の原子力政策は何か(いまだ揺れ動いている)参照

<なぜこれが堕落か>

 赤旗6月10日号が見事に語っている。この会議の参加者の発言を通して、共産党の本音が語られている。
「道議会の無所属会派「フロンティア」に所属するH道議が懇談会を知り自ら参加。「(「提言」は)将来ビジョンが明確だし、我々の責任でやるんだという思いも伝わりました。「大企業を敵視しない」ということもわかった。これなら国民に受け入れられると思うし安心して(政権を)任せることができる」と話しました。」という記事を載せている。

 このH道議の言葉を借りて、共産党はこの経済懇談会の目的を明確に語らせている。その内容は、「共産党は、「大企業を敵視したりしないから、政権運営に参加させてください」と北海道の権力を掌握している人たちに懇願している。」姿そのものである。

<共産党は「大企業敵視」を何時やめたのか>

 私はほぼ30年間共産党の活動に参加せず、消極的共産党支持者であったため、その動きを正確に把握できていないが、共産党の基本は、1961年綱領で「日本を基本的に支配しているのは、アメリカ帝国主義と、それに従属的に同盟している日本の独占資本である」と規定していた。これが「二つの敵」論と言われ、「綱領」の核心であると理解してきた。

 それが2004年1月共産党23回大会で変更されたらしい。2004年1月15日付赤旗は、不破哲三中央委員会議長の綱領改定についての報告を載せている。そこで不破氏はつぎのように語っている。

 「現行の綱領では、大企業・財界の経済的支配も、すべて「日本独占資本の支配」という言葉で表現されてきました。つまり「日本独占資本」という用語は、日本の経済的支配者と政治的支配者を一まとめに表現したものになっていました。そこから、日米安保条約を結んだり、海外派兵や、日米共同作戦の体制を強化するなどの日本政府の政治行動が、すべて「日本独占資本」の行動とされるなどの表現の単純化が出ていました。」

 これだけ、読むとなるほど判りやすくしたのかと納得してしまいそうになります。しかしこれは大違いであり、不破さんの狙いは、「独占資本主義」=「大企業・財界」という言葉に置き換え、さらには「大企業・財界」を今度は分離していつの間にか「財界」という言葉に置き換えることにより、日本共産党は「大企業を敵視」していないと宣言するに至ったのです。(上記6月10日赤旗)

 これは政治を冒涜する大きな犯罪であり、国民の期待を裏切るものです。

<四中総では共産党は、何と言っているか>・・2011年12月3日赤旗

 共産党は61年綱領で「二つの敵」=「アメリカ帝国主義・日本独占資本主義」と規定しましたが、4中総ではこれを「二つの害悪」という言葉で表現している。(敵ではありません。)そして、「普天間問題、TPP問題は、異常な対米従の政治に文字通り直結しています。」と対米従属という規定は残していますが、「アメリカ帝国主義」という言葉は消し去っています。

 さらに「米国と財界中心の政治の異常な歪み、その深刻な行き詰まりにこそ、その原因があるきと」といつの間にか、「大企業・財界」という言葉を「財界」に置き換えています。(注2)

注2:例えば、2012年5月26日 全国活動者会議 志位委員長の幹部会報告

   「「財界中心の政治」を断ち切るとどういう展望が開かれるか」という見出しで語っている。

 これを捉え、北海道の道議は「大企業を敵視しない日本共産党の政治姿勢がわかったと」評価しています。またこの発言を赤旗一面で取り上げる以上、共産党はこの評価を認知しています。(良いこと言ってくれたとこの発言を一面トップに載せています。)

 「敵=アメリカ帝国主義に従属的に同盟している日本独占資本主義」がいつの間にか「害悪=財界」という言葉に置き換わっている。これが国民にわかりやすい言葉使いという不破氏の説明では全く納得ができない。正に詐欺的手法である。

<この言葉のすり替えはいかにして行われたのか>

 もう少し経過を見るため、遡って検証すると

1.25回大会(2010年1月)では「決議案第2章(「過渡的な情勢」のもとでの日本共産党の任務)について」
  で日本共産党の「三つの任務」

    第一に、国民要求にこたえて現実政治を前に動かすこと

    第二に、「二つの異常」−「異常な対米従属」「財界・大企業の横暴な支配」をただし、党綱領が示す「国
            民が主人公」の新しい日本への改革をめざす国民的合意をつくること

    第三に、日本の政治の反動的逆行を許さないこと

を具体的に提起しています。

その後開かれた二中総(20010年9月27日赤旗)、三中総(2011年7月5日赤旗)では、「ルールなき資本主義」という言葉を使い、「二つの異常」=「異常な対米従属」、「大企業・財界の横暴な支配」という言葉を使っている。(注2)

注2:25回大会、2中総、3中総では、「二つの異常」という言葉が使われ、4中総では「二つの害悪」になっている。
     どうも4中総以降は「二つの害悪」を使用。例えば2012年4月22日赤旗「「二つの害悪」断ち切る大改革を 志
     位委員長 日本改革のビジョンを示す」という記事がある。

 共産党は言葉の入れ替えをいろいろ策して、自らの階級政党としての立場を打ち消そうとしている。「独占資本主義」と「大企業」とでは概念が全く違う。また「財界」という言葉も非階級的概念である。

 されに「異常」とか「害悪」という言葉も全く非階級的概念であり、「二つの敵」=日本の支配層・権力を指す言葉を、これらの「異常」とか「害悪」に言い換えるのは、全くナンセンスな」行為である。

2.第24回大会(2006年1月)決議文

   (3)アメリカいいなり政治の異常をただし、独立・平和の日本をきずく改革を

        第二は、異常なアメリカいいなり政治をただし、独立・平和の日本をきずく改革である。

   (4)極端な大企業中心主義の異常をただす、経済的民主主義の改革

        第三は、「ルールなき資本主義」――極端な大企業中心主義の異常をただす、経済的民主主義の改革で
                   ある。

  となっている。

<21回大会(1997年9月)3中総(1998年9月)・・原点が残っている>

  4中総の前の3中総はどんな方針だと思って検索したら、21回大会の3中総(1998年9月)が検索されてきた。余談になるが、この内容が結構面白い。これは参議院選挙後に開かれており、共産党が自信にあふれた総括をおこなっている。この第18回参議院選挙で共産党は比例区で8,195,078票、選挙区で8,758,759票獲得しており、第三党の得票数である。二位の民主党の得票率が16.20%、共産党が15,66%から見ても共産党の大健闘がうかがわれる。

  総括文には「わが党は、得票でも、獲得した議席数でも、第三党となりました。野党では第二党であります。国民の支持で第三党というのは、さまざまな世論調査の上でも定着しつつある位置となっています。」と書かれている。

  しかしこの中央委員会報告には、「勝って兜の緒を締めろ」という思想は無く、政権に近づいたという思いが前面にあふれ、以下に示すような現実主義への変貌を画策し始めている。

  「党に対する国民の期待も、二つの側面があります。一方では「筋をまげないでがんばってほしい」、こういう期待が当然強くあります。もう一方で、「現実政治を実際に動かしてほしい、そのためには思い切って柔軟な対応もやってほしい」こういう期待もあります。この両面での期待にこたえることがいま大事です。原則をゆるがせにしない、同時に、現実政治を動かすために思い切って弾力的な対応をはかる、そうしてこそ、いまひろがりつつある期待にこたえ、党がいっそうの前進の道をきりひらくことができます。」と報告しています。

  この「現実政治を動かすために思い切って弾力的対応をはかる」という思想が、22回大会の規則改正、23回大会の綱領改正につながったと思われる。

  綱領改正前の中央委員会報告はどんなものであったのか、そのさわりを少し取り上げておきます。

 「第一の柱となるのが、経済民主主義の実現(中略)さまざまな分野での大企業の横暴を、政治と行政の力でおさえ、国民の暮らしまもるルールを作ることが、私たちのめざす経済民主主義の第一の大きな内容です。」さらには、「アメリカ覇権主義の横暴とのたたかい」で「つぎに、アメリカ覇権主義の横暴のたたかいについてのべます。アメリカの軍事的・経済的な覇権主義の横暴とたたかうことは、アジアと世界の平和と安全、諸国民の生活と権利にとって、極めて重要な課題であります。」

 このような主張が完全に抜け落ちているのが、現在の共産党の主張です。

<共産党は政治力学というものを知らない>

  共産党は、1961年綱領で、アメリカ帝国主義とそれに従属的に同盟する日本独占資本主義という二つの敵を定め、地道な大衆運動や、国政選挙でも戦ってきた。その頂点を示したのが第18回参議院選挙結果であった。ここでさらに「敵」を追い込んでいくことが必要であったにも関わらず、共産党は、「何でも反対共産党」という批判に負け、物分りの良い大人の政党への脱皮をはかり、見事に失敗した。その姿は権力の亡霊に取り付かれた他党派の多くの政治家と同じで、共産党の馬鹿さ加減を表している。震災後の一斉地方選挙がその典型であった。  

 震災に伴う原発のメルトダウンで、国民は「人類は原発と共存できない」事を肌感覚で身につけた。しかし共産党にはそうした感性は無かった。「原発の安全点検」という全く馬鹿げたスローガンを掲げ選挙戦に突入し、見事に敗北した。

  私は、共産党の「安全点検」路線に驚き、その支持が得られなかった確認した上で、後半戦の戦いでも原発の是非論が最大の争点になると思い、共産党中央委員会に「意見書1」、「意見書2」を上げたが完全に無視された。(共産党は、後半戦も「安全点検」で戦い、またもや敗北した。)(注3)

注3:私は一斉地方選挙や大阪ダブル選挙の共産党のとった選挙戦術は間違っていると15通の意見書を共産党
     中央はじめ各級期間に送ったが無視された。

  この間の選挙(小泉や橋下)を見て、最大の勝因は「敵を明確にしたこと」言葉を変えて言えば「敵をでっち上げたこと」が選挙戦で勝利の最大の要因になっている。この閉塞感がある日本で、いかにして未来を切り開いていくかの展望が切り開けないなかで、自分達の生活が苦しいのは、不正なあるいは不当な利益をむさぼっているものがいる。それを倒したいという気分感情に生まれ、それが組織されてしまった。

  この最大の戦犯は共産党である。共産党は、現在まで「敵」を明確にしてきたから頭打ちになっていると勝手に思い込み、「敵」が誰かを明確にしない選挙戦術を採用した。(「原発の安全点検」や「安全・安心・やさしい大阪」などを選挙の柱にした。)本来共産党は前衛政党であり、国民の生活が苦しいとき、その諸悪の根源がどこにあるかを指し示し、国民の中にその考え方を広め組織していくことがその主要な任務である。この間の共産党の戦い方は、原則を忘れ、「自分達は大企業とも敵対していない安全パイですよ、だから我々を支持してください」という権力側に媚びる選挙戦術を採用した。

  その典型が、「原発の安全点検」という間抜けなスローガンになってしまった。共産党は日本の支配者達が、原発を絶対に必要とすることを知っており、「脱原発」を掲げることは、日本独占資本主義と真っ向から戦うことになるから、敢えて争点からはずしたと思われる。(それほど今の共産党は政権病にかかっている。)その証拠が、赤旗1面の「オール北海道一同に」という記事(6月10日赤旗一面トップ)にある。

  現在の共産党は、原発反対よりも、財界との懇談会の記事を優先する。上記記事では、「経済懇談会 志位委員長大いに語る」を前面に出し、大飯原発再稼働に対する「「安全神話」と恫喝による再稼働方針を撤回せよ」はトップ落ちである。6月19日にも同じ記事(「オール北海道」と共産党)を一面トップに掲載し、「消費税密室合意に怒り」という記事はトップ落ちである。

  財界との懇談ができた。そこで志位委員長がしゃべり、みんなが納得した。この記事を見ていると、北朝鮮の金正日委員長が、どこかの現場で指導して、その後生産が向上したという記事と非常に似通っており、違和感を覚える。

  私は赤旗に警告する。来るべき選挙があった際の総括で、必ずこの財界との懇談会が選挙に有利に働いたのかの総括をおこなうべきだ。それをほっかむりして、また赤旗が増えなかったから、敗北したと総括されるなら、国民を全く馬鹿にした報道になる。

<選挙で勝つ最大の保障は何か>

  選挙で勝つ最大の保障は、陣地を固め、拡大していくであり、全ての国民が味方だから、みんなに納得してもらう政策を出すのではない。(安全・安心・やさしい大阪など。)「敵」を隠すのではなく、対立軸を明確に設定し切り込むことが選挙の勝利の最大の保障である。3.11の震災以降の今日の情勢で言えば、「原発」問題が最大の争点である。ここで戦わない限り、ここで主導権が握れない限り、選挙戦での勝利はありえない。

  今民主党の分裂がささやかれているが、小沢さんが新党を作った場合の最大の争点は「脱原発・反消費税」だと聞いている。財界から支援を受けている小沢さんや、橋下市長でさえ、選挙戦の争点は「原発」だと捉えている。

  共産党は、「財界との懇談会が成功した」を前面に掲げているが、この姿勢こそが多くの国民から反発を食らうことが共産党にはなぜ判らないのか、私には全く理解できない。(財界に認めてもらったことがそんなにうれしいのか?・・馬鹿げている)

  共産等は、極端なことを言えば、自らが政権を取るまで、財界との懇談会など一切持つ必要はない。原発問題でも、大飯原発の稼動は財界の圧力に橋下市長が屈したと読売新聞が報道していたが、このような時点で財界とあう必要など全くない。

  それよりも共産党は、自らの原発政策を今一度練り直し、全ての国民に訴えていくべきである。もし共産党が独自に原発反対の署名を「さよなら原発1千万署名」のように成功させるなら、これこそが選挙での躍進の最大の保障になる。(注4)

 注4:私は共産党の原発政策は一貫していないと、この間追求(「意見書2」、「意見書8」、「意見書12」、「意見  
        書14」)していますが、共産党の方針の中からもそれが見えてきます。2012年5月26日全国活動者会議の
        志位委員長の発言「「財界中心の政治」を打ち切るとどのような展望が開かれるか」という見出しの中で「原
        発問題」−「原発ゼロの日本」の政治決断こそ展望が開ける」というセンテンスを起こしていますが、共産党
        の戦いの記録は2012年の5月13日の福井での記者会見から始まっている。それ以前の戦い、取り分け選
        挙戦での「安全優先の原子力政策」について全く触れていない。(今となってはあまりにも馬鹿げていて語れ
        ない。)

 PS:実はこの記事は先週投稿しようと思って書いていたが、いろいろ手違いで送りきれなかった。今日6月30日
       の「再稼働抗議「20万人」」「官邸前ネットで集合」(毎日新聞)を見て、そのすごさに驚くと共に、私のこの記
       事が時代遅れになったかと悩んだが、基本は変わっていないと思ってそのまま投稿した。   
          私は、今の政治的課題「消費税」と「原発問題」では、日本の針路を決める重大な争点は「原発」だと認識
        している。(これまでも原発中心に書いている)しかし、赤旗は、どちらかと言えば、消費税をメインに捉えて
        いた。今回の20万人デモは、「原発」が「決戦場」だと我々に教えてくれた。   
           しかし、この面(運動)では、共産党はすでに市民運動の後塵を拝している。時の権力者と国民の政治決
       戦で、共産党が主導権を握れないということは、来るべき選挙で躍進できないということだ。選挙での躍進の
       カギはこうした運動を引っ張って行き、国民から信頼されることだ。(増えもしない赤旗拡大を全党一丸となっ
       て取り組むことではない・・・全くの徒労である。)