大運動」は成功しているのか
  指導者は引き際を見極めることが大切



 赤旗6月19日号は一面トップで「オール北海道」と共産党という記事を載せている。(この記事の問題点は別に詳しく述べる予定である。・・・すでに書いているが、さざ波通信に投稿してから資料室に保管しようと思っている)

<ほんとうのことが知りたい・・・求められているのは、貴方ですよ!>

 一面にもう一つ問題の記事がある。「ほんとうのことが知りたい」、「赤旗に注目」、「マスコミは大政翼賛会」という記事がある。ここで赤旗は「大新聞やテレビが国民に伝えない本当のことが知りたい」と申し込む事例が増えています。と書いています。

 しかし党員や支持者は、この記事を見て大きな疑問を持ったと思います。記事は「今月に入って日本共産党本部への「赤旗」購読の申し込みは18日までに62部となりました。前月の1ヶ月の82部を上回るペース。」と書いています。

 大運動で本当に赤旗は増えているのですか、500円の値上げで赤旗の赤字は解消されたのですか?・・・本当のことが知りたい。

 ついでに、原発問題では、共産党は「人類と核とは共存できない」という立場を認められたのですか?あるいは核の平和利用は今も捨てきれていないのですか?・・・ほんとうのことが知りたい。

 確か、波田陽区の漫談に「ギター侍」というのがあり、最後に「批判されているのは貴方ですよ!」、「残念!」というようなものがありました。共産党もそうです「本当のことを知りたい」という目が向けられているのは「貴方(共産党)」ですよ!」、正に「残念!」です。

 現在の共産党を見ていると、「他人には厳しく自分には甘い」、困った人の典型みたいな活動スタイルになっている。(注1)

 注1:スカイマークと共産党 参照

<「大運動」とは何か、それは成果が上がっているのか?>

  2012年5月26日付赤旗:全国活動者会議 志位委員長の幹部会報告で「昨年7月の第三回中央委員会以来、10ヶ月にわたって取り組んできた「党創立90周年をめざす党勢拡大運動」の目標を総達成するための固い意思統一をはかることにあります。」と書かれているので、この運動が10ヶ月間取り組まれていたことがわかります。さらに総選挙勝利を目指し「「大運動」目標達成の特別機関」を呼びかける。」としてその期間を5月26日から7月31日までに設定しています。つまり1年間ずっと拡大運動をおこなうというものです。

  問題は、成果は上がっているのかですが、報告では、党員拡大では、入党承認で7700人、目標の5万人に対して達成率は15%です。「しんぶん赤旗」の読者拡大は3500人マイナス、日曜版読者1万4千人がマイナスと報告されています。公式には残は党員で4万3千人、日刊紙で5万3千人、日曜版で18万4千人です。

 さらにこの報告では党員の拡大は成功しているようにみえますが、この間に9万人を超える離党処理が取られており、全党的には党員数は大幅に減少しています。(これは幽霊党員の整理であり、これ自体は正しいが、この間のマイナスをこれに流し込み、党員は無理矢理プラスを演出しているのは問題です。)

  10ヶ月全党を挙げて取り組んだが、実質後退した。この現実をどう受け止めるかは、幹部にとっては極めて重要な課題です。しかし、共産党は未だに引くなと進軍ラッパを鳴らしています。この姿は、負け戦で最後の一兵まで戦えという姿と似ています。(全党の力を10ヶ月かけても、何ら前進しない、企業なら必ず撤退です。この間にどれだけの資材が投入されたかという意識が全く無い。人件費はタダですから。)

<時代に合わなくなった戦術を何時までも固執頭の頑固さ>

  赤旗を増やして支持者を増やし、選挙で勝利する。もはや、このやり方では大衆を組織することはできないのです。今の共産党を見ていると、社会主義体制が崩壊して、西側から東ドイツに入ってみたら、車のボンネットがダンボールだったという事象に似ています。この間の資本主義の発展から全く取り残され、何時までも過去の戦術に固執して歴史の遺物になろうとしています。

  その一つが、核の問題です。社会主義の核は平和の手段、資本主義の核は戦争の手段というような単純な区分けでは語れない複雑な情勢になっています。 

 過去における上田耕一郎氏の平和運動論は、その時点では正しかったが、現状では「人類と核は共存できない」という主張が正しいと思っています。この思想こそが平和運動の中心に据えるべきです。(注2)

注2:共産党の原子力政策(いまだに揺れ動いている)参照

<機関紙(赤旗)中心の活動は正しいか?>

 話は少しそれましたが、機関紙中心の党活動も今日の時点では、全く時代にあっていません。赤旗だけが後退しているのではなく、一般紙全ても後退し、経営が苦しいのです。この状況の中で赤旗だけが部数が伸びることはありえません。

 国民がニュースをどのようにして手に入れているか、若者は完全に新聞離れしています。みんな携帯で情報を得ています。(あるいはパソコンで)このことに気付くべきです。よく、大新聞は世論調査を行いますが、同じ調査をパソコンを通してやった場合、全く逆の場合が多くあります。お年寄りと若者ではすでに全く違う文化圏を持っているのです。

 共産党は未来の党ですから、こうした若者への情報発信を重要視せず、相変わらず赤旗に頼っていれば、必ず時代から取り残されます。橋下市長や小泉元総理、石原都知事など全てマスコミ戦略を持っています。この巧みさがなく、マスコミが取り上げるから橋下市長は支持されるなどと嘆いてみてもそれは犬の遠吠えでしかありません。

 負けた理屈をいくら言っても何にもなりません、勝負事は勝つことが要求されているのです。30年も40年も同じ方針で大衆の気分感情が捉えられると思っている共産党の時代感覚に驚くばかりです。(おそらく隔離社会で生活され、時代に全く付いていけてないのだと思います。)

<共産党はメディア戦略を持っていない>

  橋下市長はツイッターを使ってほえまくっています。ユーチューブでも橋下市長とMBSのアナウンサーの丁々発止のやり取りが、30万回以上もアクセスされています。このような情報通信機器を利用した情報のやりとりが主流になる中、未だに機関紙(赤旗)にこだわる共産党のセンスの悪さにはあきれ返ります。

  共産党が新しいメディアに無関心なのは時代の変化を捉えきれない、後進性と赤旗が唯一の稼ぎ手ということもあります。しかしこの赤旗という金づるの商品がもう売れない(10ヶ月全党で頑張ってもダメだった)この現実を直視すべきです。最新の電子機器である「スマホ」は、2011年の出荷台数は2340万台です。魅力のある商品が売れる。これが資本主義です。この現実を捉えきれない者に、指導者としての資格はありません。

<共産党は旧東ドイツの車の状態>

 このことを私が痛感したのが、「15通の意見書」です。共産党は全て無視しました。ここに共産党の驕りと傲慢さがあると私は思っていますが、ひょっとしたらパソコンでメールすることさえできないのではという疑いを持っています。

  私は、意見書を中央委員会、大阪府委員会、M府会議員、高槻市委員会にメールで送付しました。その際、「回答は遅れても良いが、受け取ったというメールをくれないか」と懇願しましたが、メールをくれたのは中央委員会の一回だけでした。(「受け取った」と)他の機関は受け取ったというメールも出しませんでした。ただし高槻市委員会は電話と期限を付けた最終通告には訪問してくれました。(回答は何も持参していませんが)M府会議員は原稿用紙10枚ぐらいの手紙をくれました。(大学時代の友人であったので)

  ここで感じたのですが、市委員会はメールアドレスも公開していません。議員のホームページアドレスがあるのみです。府会議員のホームページはありますが、メールボタンを押してもなんら反応しません。ホームページの内部に入ればメールできますが、メールを出しにくくしています。そして作文用の400字詰め原稿用紙を使い、個人的に返事をよこしてきました。内容は公開するなと言われているので公開できませんが、誠意あふれるものでしたが、私の質問には何ら答えていません。(「命の電話」みたいな手紙でした。・・私は精一杯働いている。わずらわしいメールなど送らないでくれというような趣旨でした。)

  この手紙を見て、個人的には彼を攻撃するのは止めようというようなものでした。(彼は彼なりに精一杯頑張っているのだ、かわいそうで追求できない。)

<本当のことが知りたい!>

  何が言いたいのか、「行き詰っているのでは?・・・本当のことが知りたい!」というのが私の思いです。「大運動」があたかも成功しているかのような記事を書き続け、党員を叱咤激励し、馬車馬のように働かせている。こんなことをすれば党はますます疲弊し未結集党員を生み出し、どんどん流出していく。(もう終わりにしましょう)再度、原点意戻り、大衆運動を基本とした党活動と赤旗に頼らないメディア戦略を打ち立てるべきだ。

 まず、原発問題の方針をわかりやすくして真剣に取り組む、ここから党の再生が図られるのではと思っています。党はまだまだ他党派に比べれば力を持っています。その「資力」を有効に使うなら反転攻勢はできます。

 現在の党の方針「保守との共同」=「財界との懇談会」や「大運動」=「拡大」では反転攻勢はできません。共産党の力は大衆と共に歩む中で生まれるのです。