「さよなら原発」1千万人署名運動・・748万人に到達
             これに対する赤旗報道の姑息さを笑う


<「市民団体」の住所は、総評会館 1階 原水禁気付>

 6月13日付赤旗4面に「さよなら原発署名」「国会に提出」という記事が載っている。これについては、毎日新聞にも、NHKでも報道された。原発反対の戦いは、この「さよなら原発」を主宰する無党派の市民派が完全に主導権を握りつつある。しかもこの署名用紙をみると呼びかけ人は、内橋克人、大江健三郎、落合恵子、鎌田慧、坂本龍一、澤地久枝、瀬戸内寂聴、辻井喬、鶴見俊輔氏と日本の良識を代表する著名人が多くが、名をつらねられている。この呼びかけ団体「さよなら原発」一千万人署名 市民の会の住所は、総評会館1階原水禁気付となっている。原水禁が事実上この事務局を担っていることが判る。

<共通の理念は人類と原発は共存できない>

 この運動団体は無党派の市民の自由な集まりであって、特定のイデオロギーに拘束されていない団体である。しかしその主張の共通の原点は「人間は核と共存できないのです。」(全国署名趣旨)というところにある。

 一方原水協は何をしているのか、私の古い経験では、原水協は原水爆禁止大会等では、常に、大衆の動員能力などで原水禁を圧倒してきた。にもかかわらず、今回の福島原発の崩落(メルトダウン)に際しての反原発の戦いでは、原水協の運動が全く見えない状況が続いている。

 この原因は、共産党の原子力政策に大きく影響している。共産党は原子力の平和利用を根底に宿し、今回の3.11の震災に伴う原発の崩落に伴う危機的状況の中で、原発反対ではなく、「原発の安全点」というスローガンを掲げてしまった。この誤った方針が、原水協を身動きできない状況に追い込んだ元凶である。

 共産党は、「さよなら原発の運動」に近づき、その主導権を握ろうとしていると思うが、それは絶対に不可能である。共産党は「原発ゼロ」宣言を行い、原発反対の立場を表明しているように見えるが、根っこは原子力の平和利用である。この根っこと手を切らない限り共産党は市民運動で主導権を握れない。(「共産党は、人間は核と共存できない」とは絶対に言わない。・・・市民運動に乗り越えられている。)

<毎日新聞は「脱原発署名748万人署名」・・・赤旗は180万人>

 毎日新聞は、さよなら原発派の署名運動を「脱原発748万人署名」、「大江さんら衆院議長に提出」という見出しで伝えているが、赤旗より大きな見出しを打っている。さらに赤旗は、「180万人分を横路衆議院議長に提出した」と報道している。運動論的捉え方は明らかに毎日新聞が優れている。

 事実関係は、748万人分の署名を集めたが、その提出先が、衆議院議長 横路孝弘氏と参議院議長 平田健二氏、さらには内閣総理大臣 野田佳彦氏になっているため(注1)、第一陣として本日は、横路氏に180万人分を持参したというものである。この時点でこれをどう報道するかであるが、実際748万人分の署名が集まったことを評価するか、本日持参分の数字を書くかは、政治的センスの差である。

 恐らく共産党は、自らの影響下にある、原水協が目立った成果を挙げない中で、原水禁系の市民が偉大な成果を挙げたことを素直に喜べず、成果をわざと小さく見せる姑息な手段をとったのであろう。

 共産党の度量の狭さに笑ってしまう。こんなことをすればするほど大衆からは見放される。

注1:赤旗の見出し「国会へ提出」は基本的には正しくなく、提出先は、衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣である。