大阪府会議員選挙の選挙戦術について(M議員の選挙戦術から見えてきたもの)


                                                          意見書1

 私は今回の一せい地方選挙で共産党がとった選挙戦術には大きな誤りがあったと見ています。それについて大阪の現場から更には私の居住する選挙区のM氏の取った選挙戦術から見ていきたいと思います。この文書は選挙結果を見て書いたものではなく、この様な結果になることを予想して選挙中に書いたものです。

 逆風の中、M氏は確かに当選しましたが、これはこの選挙区の定数の多さ(5名)が彼に有利に働いています。(前回の獲得票数から22%ほど票を減らしています)大阪全体では10議席から4議席へと大きく後退し、府会議員団長としてのM氏のとった選挙戦術(維新との対決回避・原発の安全点検)に対する責任問題は避けては通れないのではと思っています。

 当初、この文書は大阪府委員会と高槻市委員会に出すことを目的に書いたものですが、M氏の選挙戦術が彼固有のものでなく、党中央の指導方針の誤りからきていることに気付き、中央委員会にも送付するものです。

 毎日発行されるビラや赤旗を見ながら書き足して行ったので長文になり簡潔さに欠けますが、是非読んでいただき私の言わんとするところを把握していただければ幸いです。ただ、私は過去の人間です。私が学んだ共産党の戦い方はこうだったという視点で書いています。(またこれが正しかったと思っています。)共産党がその「後進化発展」し、現在はこの様な戦術が正しいのだといわれれば、それ以上の言うことはありませんが、それは私が愛した共産党ではありません。私は共産党との関係を私なりに終焉したいと考えています。

 

<まず今回の選挙の争点は何か>

1.私はこの選挙は橋下大阪府知事の推し進める「大阪都構想」との戦いだと思っています。

 共産党は震災復興選挙戦の第一の争点に掲げました。(現在の政治の最大の課題は原子力の暴発を阻止し、震災復興行うことですが)私は国の選挙と地方議会の選挙はおのずから課題が違ってくると考えています。(また原発の具体的危機に直面している関東と関西では温度差があります。)果たして大阪府民にとって今最大の課題は震災復興でしょうか。そうではなく大阪都構想こそが大阪府民の生活を破壊し橋下独裁体制を作ろうというものです。この大阪都構想を叩き潰すことが大阪府民の生活と命を守る戦いです。

M氏の選挙公報には大阪都構想には全く触れていません。これはこの選挙の争点隠しを行うものであり、府民に対する裏切りです。(これを争点にすればますます彼らが躍進する。争点を意識的にはずして選挙に勝利する。こんな姑息な手法は間違っています。)例えば社民党の小沢福子議員は選挙公報で大阪都構想は「暮らしの方針が欠けた大阪都構想」と批判しています。・・・これが選挙を戦う者の本来の姿です。


2.M氏の選挙公報は「震災復興」を最大の争点にしています。

 しかし見出しには「原発総点検、自然エネルギーの促進」としています。これは一体何を意味するのですか、「原発総点検」は関西電力のスローガンです。例えば同じ選挙広報の中の社民の小沢福子議員は、「原子力発電はもうやめよう」というスローガンを掲げています。国の原子力促進計画に反対なのか賛成なのか、単に安全管理の問題に矮小化しては、市民感情よりも遅れています。

 いま多くの国民は国の原子力政策の見直しを求めています。国家権力とどう戦うかという視点を曖昧にした「原発総点検」はスローガンとして間違っています。赤旗は「国の原子力エネルギー政策の転換」を求めています。なぜこの立場で選挙広報がかけなかったのでしょうか。「原発総点検」のあとに「自然エネルギーの促進」と書いているから同じと言われるかも知れませんが、全然違います。「国と対決する」という姿勢が全く欠如しています。(原発については共産党に先見性があり国会でも論戦しています。これらの成課を受けたスローガンにすべきでした。)


3.今回のM氏の選挙参謀は何を持って勝ち抜くかという課題で、大きな失敗をしていると私は見ています。

 それはM氏のビラの1号2号を見たとき唖然としました。(1号2号は私が勝手につけた名前で私が見た順番で書いています。) このビラの最大の特徴はM氏の出身大学が京大だということとM氏が若いころ非常に苦労した苦労人だということを最大のアピールにしていました。私は京大出身者や苦労した人物でM氏を売り込む選挙戦術は誤りだと思っています。これでは学歴偏重社会と対決できません。京大を出た者が偉いという思想は共産党の概念と一致しません。M氏が偉いのは府会議員として市民の生活を守ったことにあるのです。なぜ、府民のための政治家であるという宣伝ができないのですか。京大が偉いという思想は差別の思想につながります。例えば同じ選挙公報の「N氏」の広報は「京都大学公共大学院」としています。そうしたらN氏の方が大学院だから偉いのですか。(選挙結果からも明らかです。京大学大学院のN氏が最下位、M氏は当選者の最下位です。京大ブランドは選挙になんら効果はありません。)


  私がなぜこのことにこだわるかといえば、前に赤旗(民主新報かも知れません)に市会議員の立候補予定者が載せてありました。そのとき高槻市の共産党の候補者は学歴欄がありませんでした。同時に載っていた吹田市(?)の候補者には学歴欄がありました。たしか高槻市の候補者には大卒が少なかったと思います。(大卒が少なければ学歴を載せず、大卒が多ければ学歴を載せる。この様な対応にも不信感を抱いています。)

  もっと悪く言えば、府議を5期も努めたのに、「京大卒」しか売りはないのか寂し感じがします。この学歴主義は例えば支持者を書いてくださいというチラシにまで京大卒と書かれていました。

上記が基本的な批判です。@選挙戦の最大の争点を見誤った。震災が最大の争点とされたが、そうではなく、橋下知事が推し進める「大阪都構想」こそが最大の争点。百歩譲って震災を争点と認めても、原発の安全点検では戦いにならない。(これは関西電力のスローガン)A宣伝のポイントが京大卒と苦労人(お涙ちょうだいになっている)基本は現在の国の政治や橋下大阪府政と戦い、いかに府民の生活を守るかという論戦が張られていない。Bまた関西の共産党を大きくしたのは同和問題の取り組みでした。今回の選挙では同和問題は一切触れられていません。このことも大きいと思っています。

 共産党は戦う政党です。戦いをはずして良識的な物分りの良い政党(原発の安全点検・・誰もが反対しないスーガン)になればその値打ちはなくなります。

 以上が基本的批判です。そもそも私がなぜ「意見書」を挙げる気になったのか、まず述べさせていただきます。

  今回の一せい地方選挙をそんなに注目していた訳でもありません。たまたま。赤旗に折り込まれていたM府会議員のビラ(維新の会には全く触れず、苦労人、京大卒)を見て、これはダメだ、M氏は「ボケた」と思ったのがきっかけです。共産党のビラを真剣に見て、弱点を指摘し、選挙戦で効果的な戦いができるよう援助しようと思ったのが、今回の「意見書」を出した動機です。

  そこで、高槻市の共産党委員会のビラや赤旗を丹念に読み始めました。そうして真剣に見ていくとM氏が「ボケた」のではなく、いつの間にか共産党の政策が変っていることに気がつきました。そこで老婆心ながら、問題点を指摘し共産党の政策に少しでも反映していただこうと思って以下のレポートを書きました。

 ビラや赤旗を真剣に読み始めると、問題だらけであることの気がつき始めました。以下日付を追って問題点を書いていきます。

<赤旗や選挙ビラは震災とりわけ原発事故をどう伝えたか>


1.3月26日発行のM氏のビラ

  このビラ(ニュース)で原発問題に言及されています。この内容に、この選挙戦の最大の弱点が出ています。

  「安全最優先の立場で原発の総点検を行うとともに、少しずつ自然エネルギーへの転を進めて行くことが重要です。」と書かれていますが、これが政府の方針とどう違うのか、あるいは関電方針とどう違うのか、これなら政府と同じ方針です。少なくとも赤旗は「国の原子力エネルギー政策の転換」を志位さんが管総理に迫ったと書かれています。

  いま求められているのは、エネルギー政策の根本的な転換であって、「すこしずつ自然エネルギーへの転換」などではありません。こんな話を国民にすれば、共産党は国民から見放されてしまいます。全くの政治オンチな発言だと思います。自民党議員でももう少し前向きの話をすると私は思います。

2.4月7日赤旗

  • まず大阪都構想について、赤旗の一面では「命守る1議席全力で」「大阪・大正区橋下府政と正面対決」という見出しが躍っています。記事内容に弱さもありますが、明確に橋下府政との対決を前面に出しています。
  • 次に原発政策ですが、これも一面トップで「福島原発事故は人災」「警告に耳をかさず初動に遅れ」と書かれています。この見出しこそ共産党にしか書けない見出しです。また5面には「救援に全力・原発政策の転換」と大きな見出しがあります。そして7面(党員向け?)には「原発ストップ 必勝を」という見出しがあります。記事は「松田一志さんを県議会に送って上関原発建設にストップを」と書かれています。これはこの議員を当選させることが政府の原発政策の転換(ストップ)をかけることができると訴えています。

 この段階では、M氏はダメだが共産党はしっかりしているというのが私の評価でした。

3.4月9日「赤旗主張」(投票日前日)・・安全優先の原子力政策への転換を求める

  ところが、4月9日(土)の赤旗を見てビックリしました。赤旗は原子力政策について党の方針を明確に伝えていません。私は党の原子力政策を正確には知りません。しかしこの間の赤旗から学んだのは、共産党は原子力発電の危険性を過去から一貫して追求してきたこと、今回の原発事故に接して共産党はエネルギー政策の根本的変換を求めていることです。(志位委員長が菅首相に申し入れています。)

  今原子力政策でどのような立場を取るかは各政党共にその力量が問われています。

 ◆私は原発に対する方針としては、基本的には以下の立場があると思っています。

    @今回の事故にめげず原子力を国家のエネルギー政策の基本に置く。 

     (その場合現在の原子力の安全の総点検は受け入れる)

    Aエネルギー政策の根本的な変更を求め、新規原発はもう作らない。

       自然エネルギーへの政策転換を行う

    B原発を全てを否定し、早急にエネルギー政策の見直しを行う。

       その際、一定の経済の停滞等があっても、命を守ることを優先する。

 以上のような基本的な方向性があると見ています。このうち共産党はAの方針だと思っていました。社民党や、ドイツの緑の党はBの方針だと思っています。その他自民党、民主党、公明党等は@の方針だと思っています。

 私がM氏の政策を批判しているのは、党の基本方針ではなく@の立場に立っているからです(彼は党の方針を学んでいない)。しかし今日の赤旗の主張は@の方針です。M氏の方針が@である理由がわかりました。党の方針は@とAの間を揺れ動いています。

 まず主張の分析の前に今日の赤旗の記事をみてもそのことは明確にでています。赤旗3面「命を守る議席を」で各候補者の最後の訴えを書いています。その見出しを拾うと@「原発見直して!願いこぞって」A「浜岡原発は停止なんとしても」、B「関電の原発 総点検させよう」、C「“伊予原発は不安”の声託して」、5面にはD「浜岡原発は即時停止を」などがあります。この5つの見出しの打ち、上記Aの政策と思われるのが@ADだと思われます。また上記@の政策がBとCです。

  このBの訴えはM氏と同じ立場です。私は原発総点検は党の政策ではないと理解していました。しかし今日の「赤旗の主張」は、M氏の主張のバックボーン的の考え方が披瀝されています。M氏は「ボケた」(失礼)のではなく、党の政策に忠実だったことが判りました。この赤旗主張では「安全優先の原子力政策への転換を求める日本共産党の立場こそが、国民の不安に応え、願いに沿うことが浮き彫りになっています」と書かれています。(この主張が投票日の前日、赤旗の主張欄に載ったことは重要です。これが共産党の正式な原子力政策です。)

 この主張には基本的な誤りがあります。「安全優先の原子力政策」という物が果たしてあるのか否かが問われているのです。現在の人間の知能で本当に原子力を安全に管理できるのかが問われているのです。今テレビで原子力委員の方か見落としましたが女性の方が「安全確保を前提にと言いながら、原子力を推進したことを申し訳なく思っています。」涙ながらに頭を下げておられる映像が映りました。

  「安全優先の原子力発電」という物が本当に確立できるのか、その確信がない以上、やはり現状ではエネルギー政策の根本的見直しが必要になっているのです。(既に国民の半数はこの立場に立っています。)共産党の安全優先の原子力政策は、結局は政府の原子力政策の後押しをする事になるのです。・・・このことに気づかない共産党の指導部の政治的力量の退化は私には信じられません。

 なぜ東電等は原子力発電にこだわるのでしょうか、それはコストが安いからです。絶対安全な原子力発電がもし技術的に可能だとしても、それを実践したら原発のコストはかえって高くなってしまうのです。ですから他の発電方法よりもコストを抑える原発は常に危険が伴うのです。(これらの点検を抜きに、安全な原発があるような幻想を振りまくのは国民に対する裏切りです。)

 昨日喫茶店で週刊現代(?)を見ました。そこには東電の原子力の設計をしたアメリカ人が登場して、元々この原子力発電は欠陥商品だったと主張しています。そのことに気付き、会社に提案しプロジェクトを作ったが、会社は現在の原発を止めて修理する事は原発が危ないことが公になり、今後の売り上げに影響すると主張し、彼らの提案を受け入れなかったと報告しています。ここに資本主義の本質が描かれています。利益追求は命よりも優先するのです。この様な状況下で「安全最優先の原子力政策への転換を!」は政府を助けることはあっても、国民の命を守ることはできません。

 百歩譲って安全優先の原子力政策」という物があると仮定しても、この実現は「原発反対」あるいは「原子力政策の根本的な見直し」という世論を盛り上げて政府に迫った時にはじめて実現するものであり、共産党が「安全優先の原子力政策の転換を!」をというスローガンを掲げてくれれば、私が政府の役人なら「ほくそ笑む」でしょう。とうとう「共産党」も我々の土俵の中で議論するようになった。この要求には「ハイハイ」と応えておき適当に「すかして」いけばいいのです。現に関電は700億円かけて既に原発の総点検をやるといっています。彼らも生き残るためにはこれは必要経費だと十分理解しています。

4.4月10日赤旗と毎日新聞の比較(どちらが国民の立場か)


(1)まず毎日新聞の社説です。


7面に、震災後 復興と再生で中身だし「原発政策の見直し必至」の中で「電力の3割を海に面する原子力発電に依存している中で安全性をどう考えて行くのか。原発政策は抜本的に見直さなければならない。依存度を徐々に下げていくこと稼動を続ける場合の安全性の再確認と危機対応能力の向上を検討すべきであろう」と書かれています。共産党の主張よりずっと前向きな主張です。  

共産党は「安全転換を言うだけで」具体的な言及が全くない。この主張は「抜本的見直し」と幾ら安全点検をしてもまだ危機は残ることを明確にしている。(危機対応能力の向上)共産党は「安全点検さえすれば原発は安全に使える」という幻想を振りまいています。・・・ここに共産党の犯罪性があります。(平和的利用を狙っています。)

さらに毎日新聞6面にはアメリカでの原発反対の運動を報道しています。共産党は「安全点検」に重点を置いているがゆえに、外国での原発反対の記事を報道する事さえできていません。マスコミとしての使命が果たせていません。もっと幅広い運動を報道すべきだと思います。

(2)次に同日の赤旗ですが、


 残念ながらここでも大きな弱点を有しています。1面のM氏の記事(選挙戦での奮闘している姿をえがいたもの)これは一体誰が書いているのですか、まず維新の会との対決がはじめて出たことは評価されます。しかし原発問題では決定的な弱点が露呈しています。この記事では「原子力発電問題では大阪府として関西電力にきちんとモノをいうべきだと橋下知事に要請し、」と書かれています。

 M選対はこの選挙を震災復興選挙と位置づけ戦いを挑み、原発の安全点検を主要な柱としてきていたはずです。その中身は「関西電力にきちんとモノをいうように橋下知事に要請することだったのか」なんとも馬鹿げています。

 安全点検の中身は「関西電力にモノをいうこと」、しかも「M氏本人がモノ言うのではなく橋下知事に言っとけ」というのがM氏の言う震災復興選挙の中身だとするなら、あきれてものがいえなません。

 共産党が今やることは「原子力政策の抜本的見直し」であり、それは大衆に依拠して戦いを組織して、関電や大阪府に迫ることです。現実政治を動かすことができるのは共産党だけだということを強調すべきです。関電にモノを言うことではなく、原子力政策のあり方を示し(基本は抜本的見直し)、その実現に向けてM氏自身が先頭に立って戦うことです。

 なぜこの様な頓珍漢の記事が出るのか、それはやはり今回の福島原発の深刻さを理解できていなく、安全点検だけを行えばよいという正にノーテンキさが、この様なわけのわからない記事になって現れていると思われます。私がもし共産党の幹部ならこの記事を書いた者は処分ものだと思います。如何に共産党の政策が稚拙かということを公に公表してしまっています。(おそらくこの記事は、赤旗記者が書いたのではなく、M選対提供の記事だと思っています。・・Mの思想的弱点が前面に出た記事になっています。・・・しかもこの記事は、選挙戦終了後もホームページに載せていました。)

 以上選挙戦の最中の赤旗は、まるで原発の恐ろしさや、これに群がる「原発村」の存在を明らかにすることもせず、関西電力に安全点検をするように橋本知事からお願いする。(その要請をM氏が行う)という危機感も責任政党としての自覚も何もないものでした。・・・・これが選挙で負けた原因だと私は思っています。

<M氏の誤りは党中央に忠実が故の誤り・赤旗報道の問題点>


1.赤旗報道の劣化、何を指針にしているのかわからない(大衆迎合路線)

  上記に述べたM氏の選挙戦術の誤りは最近の共産党の特徴を現しています。赤旗を見る限りM氏的な側面もあり、同時に違う側面もあります。M氏は現在の党の方針の誤りを全面的に開花したものになっていると私は思っています。

  最近の赤旗を見ていて気になる事が沢山あります。一つは尖閣列島の記事、二つ目は前原議員の外国人からの献金問題、三つ目は災害の記事、4つめは小沢問題です。

(1)尖閣列島の記事


 私は赤旗の尖閣列島の記事を見て一番違和感を持ったのは、この方針が正しいという実証に「自民党が褒めてくれた」、「財界が褒めてくれた」あるいは「仙石氏と並んだ写真」等を載せ、証明しようとしたことです。何時から共産党の方針の正しさの審判官に自民党や時の権力者がなったのですか。なぜこの方針が正しいと大衆が支持した記事ではないのですか、どうしてもこの手法には納得がいきません。(注1)

注1

 4月9日赤旗4面にも東京都知事選挙の記事を載せ、「与党関係者も”;小池氏が一番まとも”;」という小見出しを入れています。これこそが罠であり共産党を彼らの手の内で踊らせようとする、敵側の作戦だと思いませんか。なぜ彼らが共産党を評価するのか、それはかっての共産党なら、震災後のこの状況下で原発廃止のスローガンを掲げ市民を組織してデモを仕掛けてくる、しかし今回は原発の廃止や見直しを言わず、原発の安全点検に留めてくれている。この方針は我々も飲めるし当然必要なことだと認識しているからです。これが自慢できますか、わたしは嘆かわしいことだと思っています。

(2)前原問題


 私は前原問題で最も彼を厳しく追及したのは共産党だと思っています。いち早く議員辞職すべき問題と指摘しました。また赤旗の見出しには、外国人から違法献金という大見出しに、サブ見出しで暴力団関係者からも献金というような記事が載っていました。

 私は、献金が政治資金規制法に違反するから重罪だとの安直な判断で良いのか疑問に思います。共産党は外国人の選挙権付与を認める立場です。当然外国人の政治活動も認める立場だと思っています。政治活動の中には献金も含まれると思っています。この外国人排斥の政治資金規制法にこそ問題があり、外国人を常に治安対策でしか見てこなかった日本の政府の問題です。

 世界の常識にも反する外国人に対するこの様な態度を改めることこそが大切であり、今回のキャンペーンは「外国人は悪」というイメージを醸成する事とに手を貸しているように私には見えます。

  朝鮮人の3世、4世を外国人と見る見方が正しいのかも問われます。(韓国語も喋れず韓国の文化も継承していないこの人々が果たして外国人なのか、その辺の見方も検討が要ります。帰化するか否かは本人の自由です。帰化をすれば日本人そうでければ外国人という仕分けが本当に正しいのか検討も必要です)

(3)震災報道


赤旗は、一紙で間に合う新聞と宣伝しています。今回の震災報道を見ているとこれではダメだとつくづく思いました。震災報道では震災の悲惨さとその中でも一生懸命生きる人たちの姿を伝えることが大切です。赤旗の弱点は、震災から立ち上がる国民の戦いが描ききれず、市会議員が避難所に行った写真ばかり載せています。この写真は党員欄に限定し、他の紙面は国民の生きる姿のすばらしさを映像でしっかり伝えるべきです。

 私が一番腹がたった写真はオレンジ色のジャケットを着てピンクのすごいマフラーを着て市会議員が腰高の姿勢で慰問している写真です。全くの場違いのこの写真がなぜ赤旗に載ったのか、編集者の常識を疑います。(天皇陛下ご夫妻は必ず被災者と同じ目線の高さで話されています。)また体育間でマイクを持った市会議員の写真もありました。これも後ろに普通の市民が写っていましたが、全くしらけている姿でした。なぜ、市民と一緒に災害復旧に汗を流している姿でないのですか。赤旗の写真班の芸術的センスを疑います。一枚の写真は大きな感動を与えるものです。災害を選挙戦に利用したとき写真は陳腐化します。すばらしい報道をしたときこそ赤旗の権威も上がり、共産党の支持も増えるのです。(安直に市会議員が避難所に慰問に行っているという選挙目当ての写真は、何ら効果がないことを知るべきです)

さらに志位さんが避難所に入った写真がありました。この写真もおかしな写真でした。志位さんの横で聞いている方の表情は、まさに被害にあわれた方の悲しみを感情移入され、悲しみを共有されている様に見えました。しかし、志位さんの目は明らかにほかの事を考えている陰険な目つきです。なぜこの様な写真を載せるのか判りません。明らかに一般紙の写真から遅れをとっています。赤旗は「震災」を写真を通して伝えることに成功していません。  

(4)小沢問題


 小沢問題は複雑です。しかし小沢氏は刑事被告人です。この場合被告人は「犯罪の嫌疑を受けているが、法的には未だ無罪の推定が働いている存在」です。その他「疑わしきは被告人の利益に」とか「罪刑法定主義」とか被告人の人権に配慮したいろいろな規定があります。この前提をまずどう考えるかです。

また、今回の検察審査会の行動の不可解さもあります。何回開催されたのか、議事録はあるのか、平均年齢のおかしさもあります。これらの追求も大切です。

次にこの間起った事件、村木問題でわかった検察の犯罪、更には福島県知事であられた佐藤栄作久知事の失脚の経緯とどう関わりあいがあるのか様々な角度から見ていく必要があります。福島県知事の佐藤栄作久氏が失脚した事件は例の水谷建設からの献金問題です。この件は裁判で水谷の偽証がみとめられています。(この事件にも前田検事は関わっています。)この同じ水谷建設の社長が小沢氏にも1億渡したといっています。この水谷は限りなく怪しいです。さらに小沢の秘書の尋問には、前田検事が行っています。これらの怪しさを疑うことなく、小沢をクロと決め付けることは危険です。

今回の原発事故は更にそのことの警鐘を鳴らしています。原発に反対する佐藤知事を水谷建設社長の偽証証言で有罪にして、原発推進者の知事に代えた可能性があるからです。共産党の今の主張の怖さは、検察は絶対に正しいということを前提に進められていますが、今回の原発事故、更に村木事件、あるいは水谷建設社長の怪しさなど総合的に判断しないと、火傷する可能性があります。注2

  以上赤旗の最近の編集方針には多くの疑問を感じます。私は、前原問題も小沢問題も赤旗の追求姿勢は誤っていると思います。例えばもしあの前原氏への5万円の献金が共産党の議員だったとしたら、赤旗はその正当性を述べてと思います。相手の人物によって主張を変えるのはよくないと思っています。私は大学時代に読んだ本で次のような文書を読んだのを覚えています「私は貴方の主張には反対だ、ただし貴方の主張が弾圧されるような場合は身体を張ってでも守る」これが民主主義者の立場だと学んだことがあります。今の共産党は、前原や小沢を落とせば自分たちに有利になるという思いの中で議論をしているように見えます。5万円の献金は前から前原氏を知っている近所の焼肉屋のおばちゃんが、前原議員の応援のためにした寄付です。この何処に犯罪性があるのですか。

注2:あるテレビの討論番組でマスコミのそれぞれの代表者が来て小沢問題を議論していました。その際郷原さん
      が、一体何の罪ですかと問題提起された際、誰もどの法律に違反しているか答えられませんでした。(小沢は
      悪いと雰囲気で語っているのです。共産党も水谷建設の話を根拠にしていますが、この人物そのもの怪しい
      のです。)

また別の番組で福島県知事の裁判を闘ったヤメ検の宗像紀夫さんという方が,郷原さんから、「貴方は福島県知事の裁判で水谷建設の社長の偽証を明らかにしたではないか」と追求された際、彼はしどろもどろで、いやあの裁判は偽証だったが、今回は本当だと応えました。(何か胡散臭いです)

<選挙戦術の未熟さも敗因の一因>

  1. ポスターの未熟さ
    具体的な選挙の戦い方において、他の陣営に比べて劣る点があります。私は今回の選挙戦を通して共産党は「写真」というものの「価値」が全くわかっていないとつくづく考えています。M氏の選挙戦で使われた写真の多くは、全く駄目な写真であり、選挙ポスターの写真も他の候補者は全て優しさを強調していますが、M氏の写真だけは何を訴えたいのか全くわかりません。あの写真を見て票を入れる人はおそらく一人もいないと思います。他にもビラ等の彼の表情は全く死んだ表情の物が多いです。いま手元にあるのは、3月26日付けの高槻・島本日本共産党講演会ニュースですが、ここでの写真もM氏が一人で募金箱を持っている姿が映っています。府民がM氏に期待するのは、大阪府議会で橋下大阪府政と対決して成果を上げることであり、一人で募金箱を持っている姿ではありません。(人のよさお涙ちょうだい)路線であり、全くナンセンスな方針であると思います。(もし募金風景を載せるなら、沢山の者が募金に参加し、M氏がマイクで訴えている姿だと思います。)
  1. 政策ビラの弱さ
    選挙戦の政策ビラでも、震災に大半を使い、大阪府をどうするのか、府民生活をどう守るのかという視点が弱いものに仕上がっています。また「大阪都構想」という文字は一切現れません。なぜ大阪府民にとって「急ぐべきは東北と日本の復興です」なのかピンと来ません。大阪府会議員選挙は今後4年間の大阪府政のあり方を決める選挙です。他の候補者の選挙公報と比較しても共産党の今回の方針は不可解な方針になっています。
     府民の願いや思いを正確に捉えず、特定の政治課題に全てを流し込む選挙戦術は誤りだと見ています。(なぜ東北の復興が大阪府民の課題なのですか、国の課題・責任です・・・原発政策等)
      最近の共産党のビラ(主張)は発行者を隠せばどの党のビラか全く判らないものに仕上がっています。常に最大公約数的なビラを出して共産党の特徴が出ていません。このビラ(3月26日)でも「急ぐべきは東北と日本の復興です」これは全党が一致するスローガンです。全ての人が賛成するスローガンは確かにみんな支持してくれますが、  このスローガンでは共産党の支持は増えないと思います。(相手の支持者を剥ぎ取るぐらいの気迫がなければダメです。)
     蛇足ながら尖閣列島のビラもそうです。ほぼ90%の人があのビラを支持すると思います。しかしそれは中国という国に対する排外的思想の上で皆が一致しているだけで共産党の支持には結びついていません。(全てが勘違いで終わっています。)


最後にもう一点、高槻市長選挙についての誤りについて


  高槻の市長選挙は全国でも例をあまり見ない、共産党から自民党という主要党派が全て同じ人を応援しています。前回の市長選は3戦目であり、この全党派が応援した候補者は2000票の差で勝ちましたが、実質的には大敗北です。

  今回は候補者を代えていますが、やはり全党派推薦の候補者と前回の対立候補の戦いです。私は今回の候補者は良く知りませんが、現在の市長は良く知っています。なぜ、全党派がこの人物を担ぐのか、それは自らの党派の利益に結びつくからです。なぜ共産党が推薦するのか、その理由がわかりません。(共産党は支持の理由を一般に明らかにしていません。・・・選挙戦のビラ等で)前回の選挙では共産党が推薦しなければ落ちていた候補者です。

共産党が支持する理由は、推定できるのは、相手候補が「統一教会系だから」という事です。しかし、私はこの情報は、自公民の市長選対の大きな罠だと思っています。自公民は「統一教会だから」といって共産党を抱き込み、人気のない候補で選挙戦で勝利しているのです。

Y氏(相手候補)が統一教会の親派だというのが事実だとしましょう。その場合でも思想信条の自由であり、統一教会派の人物を尊敬しているから「彼は悪」だという主張は私は違うと思います。彼自身が統一教会の会員で霊感商法を行い被害者を出しているという具体的事実について攻撃する事はできますが、統一教会の集会に出て挨拶したとか、統一教会系の人を尊敬しているから「彼は悪」だというレッテル貼りは、共産党だとレッテルを貼り社会から追放してきた権力とどう違うのか判りません。理屈は幾らでも付きます「マルクス・レーニン主義を語る共産党は、スターリンや中国共産党と同じだ、彼らは暴力で人民を抑圧するのだ」という攻撃にさらされてきた共産党が同じレッテル貼りで相手候補を攻撃し、選挙戦を有利に導くことは、私は間違っていると思っています。

これは明らかに罠です。共産党を除く各派は自ら手を汚したくないのです。ダーティーな仕事を共産党に回しておけば、自分たちは表で堂々と戦えると見ています。共産党に少し餌を投げ、裏で統一教会の批判をさせておくことが、この選挙戦を有利にすると読んでいるのです。

  現に町の「はまだ氏」のポスターは、石原伸晃や蓮舫とのツーショット写真ばかりで、共産党の写真は全くありません。Y氏の選挙公報にも共産党の支持など触れていません。ところが共産党は高槻民報で支持の論調を張っています。注2

お人よしも程々にと思っています。こんなことをしていたら、本当の共産党支持者を逃がしてしまうと私は考えています。

注2:このビラの主張は何が言いたいのか全く判りません。(高槻民No.11−17)

    まず中見出しで、「安満遺跡でのサッカー場建設に反対 日本共産党 と書いてそのあとに「Y派の市会議員
 は「サッカー場をつくらないのは公約違反」と市長を攻撃」と同じように大きな活字を書いています。Y派の議員が
 行っている攻撃はサッカー場を作れといっているのではなく、前回の選挙でサッカー場を作ると公約して選挙の
 票をかすめとった戦術を批判しているのです。恐らくこの政策を最終版に出さなかった場合、選挙では負けてい
  たと思われます。ガンバ大阪という人気の高いチームを高槻に呼ぶという政策は2000に票を上回る支持があ
 ったと思います。この欺瞞性を追及しているのです。

 この様な相手方の主張を意識的に取り違え攻撃するやり方はフェアーではないと思います。(市長の選挙公約は正に公約違反です。・・・市長を支持した共産党も同じ責任を負うことの自覚がない批判です。)

 

                                                              平成23年4月12日

                               住所

                               名前

  PS:この文書は、大阪府委員会、高槻市委員会にも送付しています。