北朝鮮と中国・・・日本にとってどちらが脅威か?

   北朝鮮への制裁を異常に求める赤旗

     「核兵器を敵とする人類的立場からの平和運動」を批判してきた

            共産党はどこへいったのか?


                                                  平成25(2013)年2月15日

  赤旗は、北朝鮮の核実験に接して、盛んに北朝鮮に対する制裁を求め、北朝鮮の脅威をあおっている。しかし中国については6中総で一定の批判はしたが、未だ本格的批判を行っていない。日本にとってこの二つの国のどちらが危険なのか見ていきたい。

<赤旗と毎日新聞を比べてみる>

  まず本日(2月14日)赤旗を見ると一面中段に、安保理「強く非難」、「北核実験で報道声明」「新決議へ作業開始」と大きな見出しを掲げ、2面、7面に関連記事ありとしている。

  ところが新聞を見ると、2面、7面だけでなく、4面、13面に北朝鮮の核実験を大きく取り上げている。まさに赤旗全体が北朝鮮批判一色に染まっている。アメリカの意向に沿った完全な偏向報道だ。

  その内容を詳しく見る前に、同日付けの毎日新聞を見てみると、赤旗の異常さがよくわかる。毎日新聞は拉致問題との関連で2面に、5面に社説で「断固たる北朝鮮対応を」7面には、「北朝鮮「成功」に沸く」、「核実験」「国民団結の狙いも」と一定北側の主張も紹介している。

  赤旗は16ページ建てなのに対して毎日新聞は28ページ建てである。にもかかわらず赤旗の記事量は、毎日新聞を上回り、正直北朝鮮の記事ばかりが目につく。毎日新聞は記事量も多く、北朝鮮の記事だけが目立つという印象がなく、さらに北側から見ればこれがどういう意味があるのかという記事も載せバランスを取っている。

<14日付け赤旗は、北朝鮮批判記事一色になっている>

 赤旗の記事内容であるが、1面では安保理で「強く非難」とこれが世界の一致した見解だという主張を前面にだし、2面では、中国外相「核実験強い批判」と中国と北朝鮮の利害が一致していない(アメリカ側に立った)ことを強調し、4面では「北朝鮮核実験に抗議続く」という大きな見出しを掲げ、日本被団協をはじめとする様々な団体の抗議行動を載せている。(8団体)、7面には、「北朝鮮核実験」「各国・機関から非難続く」とEU、仏・独・豪、IEA、ロシヤ、中東各国の声明などを紹介し、世界各国が北朝鮮包囲網を築いていることを紹介している。さらに「北朝鮮対話路線を修正」、「韓国次期政権朴氏目算狂う」と対立をあおっている。さらには13面で、「核開発の放棄迫ろう」、「北朝鮮核実験各団体が抗議」と大きな写真付きで兵庫原水協など7団体の」活動を伝えている。

<赤旗記事には見逃すことができない主張がある>

  共産党は、国連の決議に対する見方を「何時から」「なぜ変えたのか」の説明を行う必要がある。最近の赤旗は、北朝鮮の「ロケット」や「核開発」に対して国連決議を盾に批判している。しかし、2009年の北朝鮮のロケット発射に際して、共産党は国会での批判決議に反対している(注1)

注1:志位委員長が北朝鮮の「ロケット」発射中止を求める声明を発表!
    この「声明」の本当の意図は何か(保守との共同の行き着く先)参照

   以下一部」引用

  <前回共産党のとった態度(声明等)>

        2009年3月27日赤旗は志位委員長の記者会見を伝え「北朝鮮が「ロケット」発射の動きを見せ、日本政
    府が「破壊命令」を出そうとしていることを記者に問われ、日朝平城宣言(2002年9月)の立場に立ち、外交
    的努力で解決することの重要性を強調し、「軍事で身構えるという日本政府の対応は、問題の外交的解決を
    台無しにするものだ。」「わが党は、政府の対応にはくみしない。」と発言しています。

        また、2009年4月8日の赤旗は「制裁強化衆院で決議」「北朝鮮ロケット共産党は反対」という記事を
    載せています。 その理由は、@「ミサイル発射」と断定している。A国連決議に「明確に違反」と断定
    いている。B「独自の制裁を強めるべき」に合意できない。というものでした。

         さらに2009年4月12日赤旗では「北朝鮮ロケット発射問題、共産党はこう考えます」のなかで「Q 世界
    の対応は?」 6カ国協議再開に努力、日本だけが軍事対応で突出」と見出しを掲げ「米国、中国、韓
     国、ロシアは、いずれも北朝鮮のロケット発射に対して批判や懸念を表明しましたが、今後の方策としては六
     カ国協議を通じた外交解決の道をとることで共通しています。経済制裁の強化を決めたのは日本だけで
    す。と解説しています。


 さらに14日付け赤旗で、見逃せないのは、大阪平和委員会の主張の紹介の中で、「人類と共存できない最悪の非人道兵器である核兵器を開発することは、いかなる国でも許されない」と主張していると紹介し、いつの間にか、共産党の核問題に対する誤った方針(二つの基本的原則)をなし崩しにしていることです。

 日本共産党は少なくとも3.11震災による原発のメルトダウンに遭遇するまでは、@「核と人類は共存できない」という立場は取っていない。さらに、A「いかなる国の核実験反対」はまさしく、原水禁と原水協の一番の争点であり、共産党は「いかなる国の核実験反対」の立場を一貫して反対してきた。(注2)


注2:

   (1)まず人類と核の共存については、
      ○共産党の原子力政策は何か(いまだ揺れ動いている)
        「さよなら原発」一千万人署名が原発反対の運動の主導権を握る。(参照)

        2.「核兵器対人類の対立」 

              ★社会主義の防衛的軍事力は、帝国主義の侵略的軍事力に対抗する必要な限り、引きつづき、発展
                 させられなければならない。「核兵器対人類の対立」という現実を理由に、この努力を一切拒否
              することは、現実には平和のとりでとしての社会主義と人類を無防備のままで帝国主義の侵
              略にさらされることを意味している。
                   (1962年「前衛」10月号 二つの平和大会と修正主義理論)

            ★帝国主義を敵とするのではなく「核兵器を敵とする人類的立場からの平和運動」が必要だとか、
            「いかなる国の核実験にも反対」すべきだとか等々のゴッタ煮が、その根底にある帝国主義の
            侵略性に対する信じがたいほどの過小評価ないしは無視から発していることを示している。
                (1063年7月9日、10日 「アカハタ」 核戦争防止と修正主義理論)
       
          参考:上記2点の赤旗の立場から、現状(北の核実験を)をみれば

                   核兵器反対はアメリカの核兵器反対を最大限主張しなければならないアメリカやソ連、中国などの
                大国は核の独占を狙い、その軍事的優位から、世界の覇権を求めている。

                現にアメリカは、石油利権を求めて中東諸国に軍事的介入を行い、フセインやカダフィを暗殺し、
                民主化の名のもとに中東各国への支配を強めている。イランが北朝鮮と同じように核武装化に成
             功すれば、アメリカのこれらの帝国主義的野望が打ち破られる。(つまり、核に反対するのでは
             なく、帝国主義の核を背景にした世界制覇の野望を打ち砕くことが重要だ)・・・これが1960年
             代の共産党の主張だ。(このような主張になるはずだ・・・あくまで参考に)

           (この主張の精神は基本的に正しい。・・・社会主義が崩壊し、帝国主義の核と社会主義の核という
        ような単純な論議はできないが、核一般に反対し、しかももっともおおもとのアメリカの核を批判せ
        ず、北朝鮮の核だけを敵視するのは誤りだ。)

       (2)次に人類と核は共存できない(核の平和利用)については、

            ○「正義の味方 真実の友」・・・これは何の標語か分かりますか?(参照)

                ★最近では:毎日新聞2011.08.25 東京朝刊 11
                       ザ・特集:共産・志位委員長と社民・福島党首、反核の「老舗」対談という記事がある。この対談
                    は共産党の原発政策を知る上で重要な記事である。

 福島― しかし、共産党は核の平和利用について認めてきたんですよね。社民党は、核と人類は共存できな
          い、いかなる国の、いかなる核にも反対、です。核の平和利用はありえない、と訴え、行動してきま
             した。

 志位― 私たちは核エネルギーの平和利用の将来にわたる可能性、その基礎研究までは否定しない。将
          来、2、3世紀後、新しい知見が出るかもしれない。その可能性までふさいでしまうのはいかがか
           との考えなんです。

 福島― 共産党は極めて安全な原発なら推進してもいいんですか?

 志位― そうじゃない。現在の科学と技術の発展段階では、「安全な原発などありえない」と言っています。いま問
            われているのは、原発ゼロの日本にしようということでしょ。

 福島― 安全な原発はないし、核の平和利用と言って原発を肯定するのはおかしいです。

 志位― そこでは意見が違っても原発ゼロでの協力は可能だと考えています。

  この同じ趣旨の発言を、震災後、吉井議員も研修会で発言している。


 共産党の問題点は、自らの主張を変えても過去から一貫していると主張することである。橋下氏はコロコロ変わるが、一貫しているとは言わない。過去の発言の不十分さを認め、変更する。変更することは悪いことではないが、いつの間にか変更するやり方は共産党の姑息さを表している。(国民政党としての要件を欠く)

<尖閣列島をめぐる中国問題をどう見るか>

 共産党は、6中総で初めて中国問題について突っ込んだ方針を出した。これについては各マスコミも注目して報道した。

注3:6中総の問題点
     科学的な総括は行わず、すべては党員の決起の問題に矮小化(参照)
     
   以下一部引用
        尖閣列島問題  朝日新聞 2013年2月9日(土)16:41
      共産、異例の中国名指し批判 尖閣巡り、志位氏「遺憾」
     志位委員長は、尖閣諸島周辺で中国の監視船が領海侵入を繰り返していることについて日本の実効支
    配に力で変更を迫るのは紛争解決の手段として決して許されない。極めて遺憾だ」と述べた。尖閣問題 
    で、同党が中国を直接批判するのは初めて。
      尖閣をめぐる日中の対立について「絶対に避けなければならないのは重大な不測の事態、軍事的衝突
    だ」と指摘。安倍政権に対しても「尖閣諸島への公務員の常駐の検討や、尖閣問題を理由にした軍事力強
    化は戒める必要がある」と注文をつけ、両国に自制的な話し合いによる問題解決を求めた。

 中国問題では、共産党が「極めて遺憾だ」と述べてだけで記事になる。やはりマスコミは、共産党は中国寄りだとみている。

 北朝鮮問題では、14日付けの赤旗と毎日新聞を比較したが、中国問題は14日付け赤旗には「中国石油大手の加企業買収承認」「米政府」という記事だけである。

 毎日新聞は、「日中関係」「打開の道ある」と加藤紘一の日本記者クラブでの記者加権の記事を小さく報道しているだけである。

 しかし、新聞には広告欄があり、週刊文集と週刊新潮が広告を載せているが、その広告はまさに戦争前夜という記事である。たとえば週刊新潮は「中国人の9割は」「事態は冷戦を超えた!」「日本との戦争」「東京空爆」という大見出しが躍っている。週刊文集は「中国からの「宣戦布告」」これが真実だ!という大見出しがやはり踊っている。

<新聞は冷静だが、週刊誌は煽っている>

 私は、週刊誌の方が無責任で金儲け主義かも知れないが、明らかに北朝鮮の危険性より中国の危険性を重視している。私は週刊誌派であり、明らかに日本にとっては中国の方が危険である。

 中国は世界第二の経済大国になり、同時に軍事大国を狙い始めている。アメリカ一国の世界制覇を打ち破り自らの覇権を求めている。海洋大国目指す中国にとって尖閣列島はどうしても必要な位置にあり、共産党のいうような理を尽くして話せば解決するというような問題ではない。必ず奪いに来る。それが数年先か数十年先かは分からないが、必ず奪取しにくる。これはきわめて危険な軍事的摩擦が起こる可能性がある。

 北朝鮮は、拉致問題等未解決問題を抱えているが、彼らの最大の要求は自国の経済の発展であり、アメリカに対等な国家であることを認めさすことである。現状の北朝鮮が直接日本に攻撃をかけてくることはまず考えられない。彼らの目標は、アメリカに核を打ち込める状況をつくりだし、アメリカと対等の交渉権を得て自国を守ろうとしている。当面は日本を攻撃対象に選んでいない。(単純化していえば子どもの「駄々っ子」みたいなものである。)

 それに対して中国は、明らかに過去の戦争の恨み・報復的思想を人民の中に育てている。非常に危険な国だ。社会主義の理念も理想も全くない、帝国主義的発想の論理だ。いまだに20世紀の思想、軍事力で相手(日本やアジア諸国)をねじ伏せようとしている。

 共産党がなぜアメリカの代弁者になって北朝鮮の脅威を騒ぎ立てるのか私にはまったく分からない。北朝鮮は核で脅して自国の救済を訴えており、それなりに応えれば問題は起こらない。隣の国が困っているのだから、少しぐらい援助しても当然だ。

 今、いじめ・体罰問題が起こっているが、北朝鮮問題で大騒ぎする思想は、いじめ・体罰問題に通じる。確かに間違った国家政策で国力は衰退し、このような恫喝というような手法しか取れない北朝鮮は完全に間違っている。しかし、日本はさらに北への経済制裁を行おうとしているが、苦しむのは人民だけである。

 ここは大人の態度でじっくりと彼らの武装解除を援助することが必要である。より一層の経済封鎖などの封じ込め作戦は、窮鼠猫を噛むような形で破れかぶれになることが一番怖いことを知るべきだ。彼らは援助がほしいだけであり、領土的野心は持っていない。ここは中国と違うところだ。日本にとって一番怖いのは中国だ。

最後に

 コンピュータの世界では「ネトウヨ」という人々が論陣を張っている。その一番の攻撃対象は「在日特権」である。論議が過熱化すると、批判する相手を最後は在日だと罵倒する。この人たちの論理はもうひとつ分からないが、ひとつ面白い特色がある。共産党をあまり攻撃しない。共産党が北朝鮮を攻撃する。こうした姿が支持されているのかも知れない?

  ネット上でも「ネトウヨさんたちはどうして日本共産党に対して寛大で優しいのですか。」という質問がなされている。この回答の基本は取るに足りずであるが、愛国的という共通項の指摘もある。