「大津中2自殺事件」の投稿をボツにしたさざ波通信は
      共産党の弱点をそのまま内包している。



 「大津中2自殺事件」が、大きな社会問題になっている。しかし共産党はこれに対してまともな対応を行っていない。インターネットでも共産党は沈黙を守っている不可思議だという議論が巻き起こっている。

 その中には、共産党は教師を擁護する立場を最優先し、子どもの自殺を重視していないとか、昔あったコンクリート殺人事件と同じ構図で共産党は動けないとか様々な憶測が渦巻いている。

 私はこの「大津中2自殺事件」は、「一人ひとりを大切にする」という現在までの教育のあり方を考える上でも、あるいは警察権力と教育の自立(自治)という面でも、さらには一般的に事件における被害者の人権と加害者の人権いう問題を考える上でも、さらには、少年法をどう見るのか(今回の場合は刑事責任を問えない13歳の子どももいる。)、あるいはインターネットという無法地帯と人権のかかわりなど多くの問題を内包した問題だと捉えている。

 現在のこの問題をめぐる議論(マスコミの報道)は、被害者の人権を最優先し、加害者側の人権や、少年法上の問題や、裁判制度のあり方などの現在までの国民の中にある議論を、被害者の人権の名の下に扇動し、全て書き換えようとしている。

 この問題で最優先すべき課題は、この事件によって動揺している皇子山中学の子ども達が守られる教育をいまいかにして打ち立てるかである。このことに全く関心を寄せず、「いじめ→自殺」と騒ぎたて、これを梃子に戦後民主教育が打ち立ててきた財産を全て破壊する動きが、今回の騒動の特徴であると共に本質である。

<問題は極めて政治的な問題である>

  私は、現在のマスコミの論調が、加害者側の人権を全く無視し、扇動することにより、戦後教育の民主的側面を破壊する運動になっている現状を危ぐし、「赤旗は「大津中2自殺事件」を全く取り上げていない」「一般紙は連日トップ記事の扱い、この差は何か?」という記事を先週「さざ波通信」に投稿したが、「さざ波通信」は、私に何も断らず「不掲載」にした。私から「不掲載の理由を教えてください」というと、「政治的話題ではありませんし、本サイトの趣旨に合いませんので非掲載としました。ご了承ください。」という回答があった。

  これは共産党と同じで、この問題の重要性がわかっていない。全くの政治音痴な者の発言である。これが政治的な話題かそうでないかを見分ける簡単な指標は、橋下徹がどう言っているか、片山さつきがどう言っているかを見ればすぐに分かる。これらの人物はここで戦えば、選挙で勝てるという動物的感性に優れた政治家(屋)である。

  例えばこの間の事例で言えば、吉本のタレント河本の生活保護費事件の際も、この問題を引提げ、いち早くテレビに顔を出したのは、橋下徹や片山さつきである。片山さつきのofficial blogを見れば、とんでもない美人の片山さつきが表れ(?)、「日本を変える維新の心」というキャッチフレーズを掲げ、7月28日「今日、警察から大津市にいじめ事件について、本庁として調べた結果の報告がありました。」という記事が掲載されている。これがトップ記事である。生活保護のときもトップ記事であった。片山さつきは、芸能記事がよほど好きだとおもう者は政治を全く知らないものである。ここに政治の本質があると考えているから片山さつきは飛びついているのである。(キャッチフレーズの「維新の志」を見ても如何にしたたかな政治家であるかが判る)

  また、インターネットで最もこの問題を詳しく載せているサイトの名前は「正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現」というサイトである。

  日本における右派勢力が「大津中2自殺事件」を契機に戦後民主主教育の破壊を企んでいるときに、これは「政治的課題」でないという共産党やさざ波通信のお人よしな捉え方では、日本の政治戦線の中では生き残れない。

<日本の右派勢力は「大津中2自殺事件」を通じて何を狙っているのか>

 「大津中2自殺事件」はなぜこれだけ大きな問題になっているか、それは戦後の民主主義教育を破壊する最大のチャンスだからである。一般マスコミやインターネットを見ていると、彼らの狙いが良くわかる。以下その狙いを見てみたい。

  • 第一は、教育委員会制度である。教育委員会制度は教育の中立性を守るための制度であり、今これに最も攻撃をかけているのが橋下徹市長であり「クソ教育委員会」などといって攻撃をかけている。大津の事件でも越市長は涙ながらに記者会見し、教育委員会は「いい加減な調査を行った」としゃしゃり出て、自らが権力者だと前面に出ている。(橋下徹市長のクソ教育委員会と同じ発想で政治的パフォーマンズである。)

第二は、教育と警察の関係である。私が学生のころは、東大闘争等があり、警察は最後の最後まで学内に踏み込まなかった。学生はみんな大学の自治を守れと警察の学内突入を反対していた。
 今回皇子山中学への警察の強制介入に際しては、共産党は一切口をつぐんでいる。もはや全ての国民が、警察の介入を歓迎しているような雰囲気ですらある。果たして学校でいじめがあれば、全て警察の介入を促すのが正しいのであろうか。この問題では警察のトップが、「これはあくまで例外であり、基本は学校現場での解決を望むというようなコメント」を出していたが、マスコミでは警察の介入の是非を全く議論されていない。

第三は、皇子山中学は、人権教育の先進校であったと思われる。この人権を大切にする現場の教育をつぶし、警察権力の保護の下に、戦前の教育体制に戻そうという動きである。

 以上の3点が右派勢力の基本的狙いである。

<彼らは狙いを実現するため、いかなる破廉恥な行動を行っているか>

  インターネットでは、明らかに差別(人権侵害)と思われる記述があふれかえっている。いまYAHOOで「大津」と検索すると、「大津 加害者 写真」、「大津市」、「大津市 加害者 写真」、「大津 まとめ」、「大津 中2」、「大津 裕樹」、「大津 被害者」、「大津市地域女性団体連合会」、「大津 加害者 写真 名前」「大津市長」と出る。完全にこの事件の加害者探しになっている。大手マスコミはこの事件を一面トップで扱い、あたかも自らに理があるように振舞っているが、インターネットを見れば、その扇動が結局は「犯人探し」になっており、教育の正常化等に何ら役立っていないことが分かる。

  インターネットの論調は、戦後の民主教育、あるいは人権教育(差別を許さない)が、被差別者をのさばらした。さあ、みんなで反撃しよう、加害者といわれるものをリンチしよう」という動きになっている。(このようなサイトに1日10万から20万人のアクセスがある。・・・異常な事態である。)

  これは戦後の民主主義教育(教育委員会制度や教師集団の努力)に対する重大な挑戦である。今まで子どもの健やかな成長を願い「いじめや、差別をなくし、仲間意識を育て、一人ひとりを大切にする」教育が否定されてしまう。

今これと戦わないと、今後は「いじめ」等があった際、犯人を捜して警察に通報せよというおざなりの教育になってしまう。今までの戦後民主教育を担ってきた者の成果をまったく否定するものである。

<陣地戦を征するものが戦況を有利にする>

  私は、このサイトで常に訴えてきたことは、先ず自分達の陣地を確認しよう、何に支えられ共産党はここまで大きくなったのか。そのことを忘れ、大海の中に大網を投げるような(オール北海道の取組等・・財界とのつながりを評価する)今の共産党の戦い方では、共産党の陣地は拡大できない。

  恐らく1970年代以降の共産党の躍進には、教育関係者の果たした役割は大きなものがあったと思う。やはり戦後の民主教育の内容は、共産党の理念にもつながるところがあり、多くの党支持者が民主的な教育を支え、子ども達の人格形成に大きな影響を与えてきたであろう。日本の教育運動の中で共産党が果たしてきた役割は大きかったと思っている。(私は教育関係者ではなく、正確にその情報を把握していないが、私の経験からもそのことは言える。)

  日本における左派勢力の退潮の中、現在は、その日本の民主教育を否定し、戦前の教育へという復古主義が頭をもたげてきており、「新しい歴史教科書を作る会」などによって、過去の戦争責任など議論を全て覆い隠し、戦後の民主教育そのものを覆す動きが活発になっている。しかしこの運動は必ずしも成功せず、部分的な勝利でしかない。

 そこで、今問題になっている「いじめ」の問題に焦点をあわし、これが民主教育のもたらした結果だという攻撃のほうが、より効果があることを彼らは学び、橋下徹市長や片山さつき議員が攻撃をかけてきているのが現局面である。

  ここで彼らの「企み」と真っ向から戦わず、赤旗が大津市「教育委員会」を攻撃したり、(アンケートを実施した事実すら隠した・・・誤った攻撃:7月20日付)、尾木ママみたいに、「警察の導入賛成」を打ち出していたら、共産党は教育分野でも過去の人になってしまう。(共産党が主導権を握れる数少ない陣地である。これを放棄すれば終わりである。)

<私が先の投稿で投げかけたものは何か>

  マスコミは、教育委員会や校長を攻め立て、あたかも大津の教育が破綻しているようなキャンペーンを図っている。さらには裏でインターネットは、「加害者」といわれる少年や親族の写真を掲げ集団リンチのような状態になっている。(間違った写真や親族情報もあった。)

  私は、マスコミが先頭に立って、犯人探しを扇動し、インターネット上では指名手配のように写真を張り出すような状況は、危険であり、皇子山中学の抱える問題に何ら貢献せず、むしろ無責任なかき回しだと認識し、事件の沈静化を狙い投稿したものである。さらに共産党がここで主導的役割を果たせないと、共産党は教育戦線での足場を失うという思いから、この問題の整理のポイントを提示したつもりである。

 その主要な論点は、

  1. 先ず皇子山中学の事件後の取組を正しく評価すること。
       マスコミは事件後9ヶ月経って騒いでいる。この間の取組を全く触れていない

教育現場への警察権力の介入に抗議を行う。
  確かに現時点では、警察の介入を歓迎する意見が多数だが、これに追随するから、共産党の支持は増えないのである。堂々と正論を述べるべきだ。

裁判中の案件という特殊な状況での発言を捉え攻撃するのは、アンフェアーである。

裁判は大津市だけでなく、3名の少年も訴えられている。
  この段階で、「いじめと自殺の関係を認める発言は出来ない。」三名はいじめを否定している以上、この事実確認は、裁判上で争うべきであって、現状で一方的判断は出来ない。

アンケートは「生徒のケアーを狙った」ものであり、いじめの実証や犯人探しのために行ったものではない。

この問題の基本は、現在は、現在皇子山中学に通う生徒が「やっぱり皇子山中学がすき」と思える教育環境をいかに作り上げて行くかが最大の課題 である。ここから目を離し、教育委員会や校長攻撃に走るのは最大の誤り(赤旗7月20日の記事)

 というような指摘を行った。

  この時点では、同じような主張をしたのは、夜回り先生の水谷さんだけであったが、昨日(27日)のニュースステイションで姜尚中さんも同趣旨の発言をした。またインターネット上では、香山リカさんが「いじめる側の心も追い詰められている」「厳罰化では解決できない」「犯人探しより対策検討を」と主張している。

 この姜尚中さんや香山リカさんの対応がまともであり、共産党はこのような立場から発言すべきである。

  共産党は常に大衆受けを狙い、大多数の一致しているところに議論を持ってくる癖(習性)が身についてしまっているが、少数でも正しいことを言えば輝くのである。一般マスコミに追随せず、日本の民主教育を守る立場から、積極的に議論を展開すべきである。


  この私の投稿に対してさざ波通信は、掲載したが、下記のコメントを載せて妨害した。

さざ波通信管理人コメント

<管理人コメント>本投稿は、エガリテさんの強い希望により、また多様な意見を掲載するという趣旨で掲載しておりますが、当サイトは、彼の議論に与するものではありません。なお、本投稿では、編集部がボツにした投稿の趣旨を再掲載し、共産党は当該事件の警察権力の介入に抗議すべきだとするエガリテさんの意見が、あたかも「夜回り先生」の意見と一致しているかのように書かれておりますが、事実は逆で「夜回り先生」は「なぜ学校側は警察に訴えないのか」と発言しておりますので読者のみなさんは誤解なさらぬようお願いいたします。(参考)http://www.fnn-news
  
  このコメントは私の主張を意識的にゆがめ攻撃すると言う悪質なものである。さざ波通信には抗議済みである。次回以降に顛末を報告する。