赤旗は「大津・中2自殺事件」を全く取り上げていない。
   一般紙は連日トップ記事扱い、この差は何か?


はじめに

 共産党のしんぶん赤旗は「大津・中2自殺事件」について、全くといって良いほど報道していない。7月14日付け赤旗は、学校の説明会の記事は載せているが、7月11日滋賀県警察本部が生徒の通っていた中学校と大津市役所(教育委員会)に強制捜査を行ったことについて全く沈黙を守っている。不可解だ。

 この事件は子どもの命に関わる重要な事件であると共に、人権問題など様々な問題を抱えており、論評が非常に難しいが、警察の強制捜査の翌日に、赤旗に、その件についてコメントが発せられないようでは、「一紙で間に合う赤旗」のキャッチフレーズが嘘になってしまう。

 私はこの状況を見て、赤旗も「おわり」だなと冷めた目で見ていた。

<しかし、果たして一般紙の報道は正しいのか>

 インターネットで、たまたま皇子山中学の学年通信「やっぱり皇中がすき」(7号、8号)を見つけて読んでみて、いや待てよ、この一般紙加熱報道は誤りで、赤旗のほうが正しいのではと思い始めた。

以下具体的に見てみたい。

<この「いじめ:自殺事件」は昨年のことである>

 この大津市皇子山中学校のA君の「自殺事件」は昨年10月11日のことであり、その際にどのような対応が行われたのか見ていく必要がある。この問題の議論を行うのであれば、この9ヶ月間の皇子山中学の取組の評価が最も重要である。(この視点が大手マスコミには全くない。)  

 なぜ、今頃、この問題が蒸し返えされ、大きな騒ぎになっているのか、このマスコミの異常なキャンペーンの胡散臭さについても見てみたい。

 この事件後、学校がどのように動いたかは、皇子山中学校が出している「やっぱり皇中がすき」を読めば良くわかる。インターネット上では7号、8号がUPされており、事件後の学校の取り組みが詳しく分かる。

 大事なことは、学校側が、この事件を「いじめ」の問題と捉え、今後の「いじめ」根絶の取り組みを、教師・生徒・保護者・地域と連携して取り組もうとしていることだ。この2枚のニュース(7号、8号)の学校通信を見る限り、皇子山中学校は、「いじめ」対策に誠実にすばやく対応している姿が見える。

 しかし、今回のテレビでの教育委員会の説明や、学校長の説明を見ていると、この人たちに大切な子どもは任せられないと誰もが感じる対応になっている。

 一体この人たちは教育者かと私もテレビの前でおもった。しかしここに大きなからくりがある。いつの間にか新聞やテレビに乗せられ、アンケートに「いじめの実態を見た」という報告があったのに、教育委員会は、いじめと認識できなかったという対応は、教育者として失格だし、もっと厳しく言えば、人間として失格だと誰もが思うように誘導されている。

<アンケートの目的は、「犯人探し」ではない>

 マスコミは、皇子山中学校が、アンケートを実施し、その中に「いじめ」があったという記述が沢山あるのに、学校側は見逃したと、攻め倒している。しかしアンケートの目的はマスコミが考えるような「犯人探し」でなく、「生徒達の心の安定」を目的にしたものである。

 「やっぱり皇中がすき」(7号)見ると、アンケートの目的について「先ずは、生徒達の心の安定を図りたいと考えています。自分の思いを文章に書き表すことで心のわだかまりを整理し減らしていきたいと思います。教師と話す機会を増やすことにより、少しでも心が軽くなればと願っています。(注1)

 これらのことで、自分の思いを表出する機会をできるだけ増やしていこうと思います。不安や不満、悩みなどが鬱積すると、それがいつか爆発したり、他人を攻撃したりしてしまいます。このような状態も「いじめ」を誘発することにつながります。」と書いている。

  国民は、この間のマスコミ報道(扇動)で、このアンケートが「いじめの立証」と「犯人探し」のために行われたといつの間にか思い込み、なぜ「いじめ」を見たという人から直接事情聴取を行い加害者の特定をしなかったのか、あるいは、7月10日の記者会見で、澤村教育長が「「自殺の練習と言って首を絞める」「葬式ごっこ」という記載があったが、それに気がつかなかった。」というおかしな弁明をしたことが、どうしても納得できなかった。

 学校側は、アンケート実施前から、この事件を「いじめ」が原因と捉えており、そのこと(「いじめの立証」及び「いじめと自殺の因果関係の解明」)に関心があまりなかった(その摘発を主要な課題としていない)といえるのではないか。このアンケートの目的は、あくまで生徒の心の不安を解消させていくための一手段として行われていたのである。

注1:たまたま宮部みゆきの「名もなき毒」という小説を読んでいたら、祖父が無差別殺人で殺された高校生に対し
      て、心を癒すために思いを書いてみるという方法を薦める場面が出てくる。「書いてみるだけでいいんだと思
      います。他人に見せなくてもいいのです。自分の気持ちを言葉で記すだけで、落ち着くものがあると思うので
      す。」

  この学校のアンケートもこのような思いで取り組まれただと思う。新聞やテレビの影響で、何時の間にかみんなが犯人探しをしている。この間の皇子山中学のいじめ撲滅に対する取組を正しく評価せず、「加害者を摘発せよ!」見たいな流れになっている。これは新たないじめを生む。

<なぜ教育委員会はいじめと自殺の関連を認めないのか>

 これも新聞やテレビを見ていると極めておかしく見える。極端に言えば、この人たちに人間の血が通っているのかとも見えてしまう。しかし、ここにも大きな落とし穴がある。学校はすぐにこの事件を「いじめ」と捉え、二度と「いじめ」を生まない解決策を生徒会も巻き込んで相当丁寧に今後の方向性を出している。

★すこし長くなるが「やっぱり皇中がすき」(7号)引用する。(発行日付がないので正確にはわからないが、「先月」
  という書き出しから11月初旬に発行と思われる。)

 先月、2年生の生徒がマンションから転落死するという本校にとって決して忘れることの出来ない大きな事件が起こってしまいました。特に教職員はもちろんのこと生徒達、保護者の皆様、地域の方々に大きな衝撃を与えてしまいました。(なぜ教職員が一番かは疑問だが)

 学校では、このことを深く受け止め、全校生徒を対象にアンケート調査を実施する中で、その背景を明らかにしていこうと考えました。

 その結果、すでに新聞で報道があったように、アンケートに記載されている内容から、友達関係の「あそびや」「じゃれ合い」の中で本人が嫌がること  や不本意な暴力と考えられる行為がありました。

  残念ながら、これらの行為は「一定の人間関係にある者から心理的・物理的攻撃を受けることにより精神的苦痛を感じている」もの、すなわち「いじめ」と判断される状況だと言わざるをえません。このような状況が学校で起こっているにもかかわらず、事前に把握し防止できなかったことにつきましてはその責任を重く受け止め、今後このようなことが二度と起こらないよう手立てを尽くしていきたいと考えています。(中略・・先に引用した)

  次、生徒達の細かな観察や支援が出来るようにしていきたいと思います。教職員の人員増はできませんが、授業意外でも今までの昼食指導や部活動等をとおして、生徒達への声かけや会話を積極的に行っていきたいと思っています。

 また、これらの活動を始める新しい生徒の力を借りたいと思っています。生徒達の視点に立った「いじめ防止」の取り組みをサポートしていきたいと考えています。

  そして、教師の資質や力量の向上です。「いじめ」を見抜けないのは教師の責任です。教師自身が襟を正し、自らの自己研鑽に励みたいと思います。(ここまで引用)

  この内容は非常に誠意ある内容である。ここでは「いじめ」の概念を正しく理解しいじめを「いじめられた子どもの立場にたって」捉えようとしている。また教師の責任も「「いじめ」を見抜けないのは教師の責任です。教師自身が襟を正し、自らの自己研修に励みたいと思います」としている。

 学校はいち早く今回の自殺の原因には、いじめとの因果関係があると認識し、しかも教師がそれを見抜けなかったことを反省し、今後このような事件を起こさないため、いじめ撲滅のプログラムの作成に取り掛かっている。(これが成果を挙げたのか確認のしようが私には無いが)

  なぜこれほど明確に認めた「いじめ」を今回の記者会見では認めなかったのか、これは、この事件が被害者側の両親により訴えられ、裁判案件になっているからである。(2月24日提訴、1回目の口頭弁論5月22日2回目が7月17日である。)

 

<裁判中の事件に対する当事者の発言について>

 裁判中の当事者の発言は極めて制限されており、企業等においても、「裁判中の案件でありますのでここでは詳細を述べることは控えさせていただきます。」というのが一つの常識的発言(常套句)になっている。教育長や校長は記者会見の際、弁護士から指導されていると思われるが、その際、一切不利な発言をするなと恐らく念を押されている。(これは想像ですが)

 7月16日付毎日新聞は。「3少年いじめ否認へ」と大きな見出しをつけている。教育委員会側は、被害者側を守ると共に、加害者といわれる子どもの人権にも配慮した行動を行っているのだ。

 現にインターネット上は、加害者と言われる少年の写真を堂々と張り出し、3人の少年のうち、2名はすでに転校しているにも関わらず、その転向先の学校まで明らかにし、さらには家の写真や親父の会社まで公表している。まさに、無政府状態になっており、集団的リンチ状況である。(この状況下親父の会社は倒産し、子ども達は学校にも行けない状況を作っているという情報も流れている。)日本は法治国家であり、裁かれるとすれば法の下で裁かれるべきであって、マスコミのキャンペーンで私刑・リンチのような行為は慎まなければならない。(この写真入実名報道には、デヴィ婦人も参戦し、誤った人物の写真を張り出し、すでに撤去している)

 明日(17日)口頭弁論だそうだが、加害者と言われる3少年がいじめを否認している状況で、学校側が、「3少年がいじめていた、それが自殺の原因だ」というような発言は口が裂けてもいえない。一般社会でもそうだが教育者として、心証でそう思っていたとしても、何ら確定的な証拠も無い中で、係争中の事件に関して、そのような発言はするべきではない。(アンケートに書いてあったから確定的な証拠だというマスコミの軽率なあおりは、許されない。)

教育者は最後まで、たとえ加害者との疑いがあっても、その子ども達を守ることが使命である。マスコミは、裁判中の案件に対して、法廷外で、「いじめがあった。いじめていたのはこの3人だ、自殺はいじめが原因だ」との言質を引き出そうとしている。このマスコミの態度は常軌を逸している。

 もし、この発言を教師が行えば、学校は崩壊してしまう。教師が子どもを守らず、「こいつが犯人です」と警察に突き出せば、子どもからの信頼は全て失いう。裁判という特殊な状況下(法廷闘争を有利に導くため発言が制約されている)での対応を捉え、教育委員会を攻撃し、インターネット等の無政府主義的な世論を動員するやり方は、マスコミのやるべきことではない。(注2)

 余談ですが、私はいまアメリカのFOXテレビのLaw&Order(法と秩序)という番組を好んで見ているが、裁判ではどんな犯罪者でも無罪を主張する。検察が有罪を主張し、被告及び弁護士は無罪を主張することから裁判は始まる。 

 いまここで教育長や校長が「いじめがあった。自殺はいじめが原因だ」と記者会見すればこの裁判はおわってしまう。

 今回の騒ぎは、恐らく裁判を有利に展開しようとするものが意図的に情報を流し、人民裁判(あるいは魔女狩り裁判)みたいな手法を持ち込んだのだと思もわれる。(あくまで推測だが)このような裁判やり方は正しくない。

注2:卑近な事例で申し訳ないが、私の娘が車で事故を起こしたとき、保険屋に電話した際、「こちらからすぐに行く
      から、相手側とは一言もしゃべるな」と注意された。ここで「すみません私が不注意でした」としゃべると後の交
    渉が難しくなる。これと同じ局面だと理解する必要がある。

<裁判を仕返しの論理で誘導するのは誤り>

 最近の事例では、光母子殺害事件で、橋下徹弁護士は「たかじんのそこまで言って委員会」で「あの弁護団に対して許せないと思うんだったら、一斉に弁護士会に対して懲戒請求をかけてもらいたい」と懲戒請求を行うように視聴者に呼びかけた。これによりTVを見た視聴者から約7558通の懲戒請求が弁護士会に殺到した。

  この裁判でも、橋下徹弁護士のあおりが、判決に全く影響が無かったのか疑問が残る。(少年法で保護されるべき者が死刑判決を受けた。この是非は難しいが、あおり行為で国民を組織し、裁判に影響を与えるやり方には疑問を感じる。)

 今回の事件でも大手マスコミは表で騒ぎ、裏ではインターネットで、加害者を特定し、顔写真を貼り付け、その親や親戚までも洗い出し、様々な攻撃をかけている。(しかもその特定の割り出しに誤りが出ている。加害者といわれる子ども、あるいは警察OBのおじさん)これらの不法行為を大手マスコミは見て見ぬ振りをしている。このような状況になった際、大手マスコミとして、加害者少年の顔出しや、転出先の暴露等が不当なものであることの警告を行うべきである。(これでは「いじめを見逃した」と批判する資格はない。)

  この異常さに気がつくべきだ。我々は「いじめ」がよくないといいながら、いつの間にか加害者を勝手に特定し、そのものたちの存在を抹消する運動に加担している。排除すべき「いじめ」を同じようにしているのだ。この問題をこうした視点で批判するものは少ないが、夜回り先生の水谷さんは、明確にこの視点で批判された。(注3)(尾木ママは最近タレント化しているが、警察の介入を評価する発言まで行っている。マスコミに完全に載せられている。)

注3:19日付毎日新聞は、27面で「大津・中2自殺」「ネットで義憤暴走も」「別人中傷やデモ勧誘」と記事で、「ネッ
      ト上で燃え上がる暴力的な正義感が一番怖い。」と大学教授にしゃべらしている。さらに男子生徒をいじめた
      とされる同級生や教員を中傷する書き込みはやんでいない。と「義憤」などという古めかしい言葉を使い、客
     観的に書いているが、このような状況を作り出した自らの責任について述べていない。これこそ明らかに「いじ
     め」だ。

<皇子中学校の「いじめ」撲滅の取り組みは優れている>

  皇子中学のいじめ対応マニュアルは、被害者と加害者双方に寄り添いこの問題を解決していくことを目指している。その手法は正に教育者だ。以下該当部分を引用する。

 ★皇子中学「いじめ克服マニュアル」(やっぱり皇中がすき8号)

      C 「いじめられる子」「いじめる子」に対する指導の留意点
        ア 両者からの言い分を公平に聞き、正確な事実確認の上に立って、両者の関係回復図り、心の安定に
              努める。

        イ 両者の改善点、指導の問題点を明確にしながら、両者に十分話し合いをさせたり教師とともに奉仕活
             動等の体験活動を実践するなど、両者の相互理解を深める。

        ウ 両者への関わりを継続的に実施し、両者が自己理解を深め、他社理解を深めながら、改善点の克服
             に努めるようにする。

  これが教育者の取る基本的立場である。私は皇子山中学が、今回の事件を真摯に受け止め「いじめ」撲滅に向かって歩みだしていると思う。この取組を評価し応援することが、マスコミの取るべき基本的立場だ。

  現在の大手マスコミの対応はイエローペーパーの次元に陥っている。皇子山中学の事件後の取組を十分取材せず、裁判中という特殊な状況での意見表明を教育委員会の立場と断定し、攻撃するのはアンフェアーだ。大津市教育委員会は、子どもを守る立場から、係争中の事案に対して、一方的な見解を発表することを謹んでいるのだ。これが教育者の取るべき立場である。

 むしろ、事件後9ヶ月も経った時点で、事件後の学校側の取組の評価を全くせず(学校側と生徒の信頼関係がどのように形成されていったのか)、議論を最初から蒸し返して煽り、この間の学校の取組を全て覆すようなマスコミの対応は何を目的としているのか不可解である。(情報7daysで、タケシはこの報道の加熱ぶりを指し、9ヶ月も前の事件を、なぜ今頃騒ぐのか不可解だと論評した)

 ただ私は教育の素人ですので、この皇子山中学のいじめ撲滅マニュアルが本当に正しいのか評価しきれないし、疑問もある。それは、原則論過ぎて、「本当にそんなことが出来ているのか」という思いがある。事件後すぐに、マニュアル化した手法は評価するが、今現在このマニュアルが実践的効果を挙げているのかは分からない。(是非それが知りたいものだ。)

  わたしは、「いじめ」を発見した場合、第一義的には両者を先ず離す。そして加害者側と思われる者に対しては、良く聞き取り調査を行い、厳重注意することが必要ではと思っている。

 もし皇子山中学がこのマニュアルで成功しているならすばらしいし、是非実践報告を行うべきだと思う。

  マスコミはこれら皇子山中学の真摯な取り組みを見ることなく、裁判中の事件に対して、人民裁判的手法で世論をあおり追い詰めていくことは、法治国家である民主主義制度になじまず、あだ討ち・仕返し、私刑・リンチ的発想である。(映画で言えばダーティハリー的発想である)さらに皇子山中学が人権教育に力をいれておられる状況を無視し、反人権的策動を大新聞が行うことは、不見識であり、マスコミ全体の堕落でもある。

  共産党の赤旗がこれら不当なあおり行為に組せず、冷静さを保っているのは、良いことであるが、警察権力が学校に入った段階で、その見解を述べることは必要なことであったと思われる。

<警察が中学校に介入・・・拍手喝采・・これっておかしくないですか?>

  警察は、被害少年の父親からの被害届を3回断っている。にもかかわらず、マスコミで大きく取り上げられると、何か重大な疑獄事件の家宅捜査のような派手な出で立ちで乗り込み、パフォーマンスを演じている。

  学校現場にあのような形で警察官が大量に乗り込む、この行為に対してマスコミは何も触れない。むしろ拍手喝采している。中学校という教育現場で起こった事案に対して、警察が乗り込んで解決する姿が正しいのか、それらの落ち着いた議論が出来ない異常な状況を演出している、極めて危険な状況である。

  赤旗は沈黙を守るのでなく、ここで戦わないと値打ちがなくなってしまう。皇子山中学の取り組みを正しく評価し、学校と生徒の信頼関係壊すような一般マスコミのあおりに対して、共産党としての教育論を語るべきである。ここで発言できないようでは共産党の値打ちはない。

 しかし赤旗の現状は「沈黙から一般マスコミへ追随」に移行し始めている。常に多数におもねるのではなく、少数でも正論を唱え、「キラリ」と輝くところを見せるべきである。こんなことを今の共産党に期待しても無理なのであろうか?

PS:この記事は19日には書き上げていたが、20日の赤旗がはじめて、「大津中2自殺」を取り上げた。見出しは
    「見逃されたいじめ」「因果関係否定していた市」という記事を書いた。しかし、この記事は、私が危ぐした一
   般紙の後追いでしかない。さらに、この間の赤旗のズルさは、様々な事件に対して、共産党としての見解を述
   べるのではなく、「誰かがこういっていた」と逃げて報道する姿勢である。今回は、NPO法人ジェントルハートプ
   ロジェクト理事の大貫隆志さんの話 として「馬鹿げた論評を載せ」共産党の主張が正しいかのような体裁を
   つくろっている。
    この大貫 隆志なる人物がいかなる人物か私は全く知らないが、この事件について発言するのなら、基本
     的な情報収集後発言すべきである。彼の話の見出しは「事実を隠すと解決しない」であり、中味は「問題は「ア
    ンケートの実施自体を学校が隠そうとしたことです。」学校や市教委が事実を隠すことによって、遺族  
    は非常に傷つけられています。これ以上傷つけないでほしい。」と書いています。
     これは全く事実関係を知らないものの意見である。アンケートは10月17日に実施され、11月1日に公表さ
      れている。
        (@「11月1日(火)6校時に、今回の件についての全校集会を開催いたしました。アンケート調査から分か
             ってきた内容の報告と、これからの生徒一人ひとりの生活を考える話をしました。
         A「11月1日(火)夜に今回のアンケート調査に関する保護者説明会を実施しました。緊急開催したにもか
            かわらず、480名以上の保護者の皆様にご参加頂きました。」)
    ・・・「やっぱり皇中がすきや」7号から)
        アンケートを実施したことさえ隠蔽したという彼(大貫隆志)の発言は、全くの妄想であり、全校生徒800名以
    上がこのアンケートに参加しているのに、実施したことの隠蔽は不可能である。事実赤旗のこの記事の中に
     「17日にアンケートを実施し、その内容をA君の父親に報告し、再調査を依頼された。そこで11月1日2回目の
    アンケートを実施。」とこの間の経過を書いている。赤旗自身の記事にアンケートの実施とその公表経過を書
    きながら、「アンケートを実施したことを隠蔽した」なんでこんな間抜けた記事(コメント)が素通りしてしまうの
    か、赤旗の知的水準を疑う。(この問題を真剣に取材していないことがまる分かりである。・・購読料を返せと叫
    びたくなる。)

       本来、この事件に関わって赤旗が発言すべきことは、教育現場への警察が入ったことへの評価、「いじめ撲
    滅」についてこの間の皇子山中学の取組の評価である。確かに事件が起こったことについての教師の責任は
    当然拭い切れないが、事件後どのように取り組んだか、教師の取り組み等を正確に評価していかないと、教育
    問題での共産党の発言権はなくなるであろう。(インターネットの世界では共産党は「被害者よりも教師の労働
    条件」と揶揄されているが)、今回、学校現場の取り組みに全く触れず、一般マスコミと同じ視点で記事が書か
    れていることには失望する。(犯人探し的思考だけでは前進しない。)

       被害者家族への対応を最優先するのは当然としても、すでに提訴され裁判になっている以上、現場は、子ど
    も達の不安を取り除き「やっぱり皇中がすき」といわれる皇子山中学つくりに、教師・生徒・保護者・地域が一
    体として取り組み、一人ひとりの、命が輝く学校へと成長を遂げていく上での課題について共産党として、積極
    的に言及すべきだ。

       さらに、現在の一般マスコミが煽り、そのあおりに呼応し、犯人探しと、人権侵害があからさまに行われてい
    るこの異常さに、警鐘を鳴らすべきだ。面白おかしく犯人探しをする姿(本人の写真の貼り付けや、転向先の
    公表、親の事業や人権団体とのかかわりなど一方的に公表)からは何も生まれない、更なる荒廃を生み出す
    だけである。

参考資料:「やっぱり皇中がすき」(7号・8号)