共産党批判をやめ、現時点で、
      「反ハッシズム統一戦線の構築を!」求めることは正しいのか。



 この板の投稿の中で、「共産党に対する批判をやめ、反ハッシズム統一戦線の構築を」という論調がある。次の総選挙で橋下・「維新の会」が300人立候補し200人の当選を目指すと週刊誌等で騒がれている現状で、こうした危機感が現れるのは当然である。

  上記趣旨の投稿の中で、「橋下氏を持ち上げる議論があるがそれは間違いである」と批判があるが、それが誰の投稿か特定されていないのでわからないが、何か私の投稿が批判されているように思えるので(被害妄想かも知れないが)、一定の弁明と、共産党批判が今なぜ必要かについて述べてみたい。

<橋下氏は、日本の民主主義にとって最も危険な政治家です>

  まず、私は橋下氏を無条件で評価していない。まさに橋下氏は日本の将来を危うくする危険な政治家である。私は一斉地方選挙に際してそのことを共産党に言い続けてきた。(できれば私のブログ(egalite65)を見てほしい。15通の「意見書」を共産党中央にだしている。)これに対して共産党は一切無視し続け、橋下氏との戦いを「安全・安心・やさしさの大阪」という間の抜けたスローガンで戦った。共産党が橋下氏を「独裁者」と呼んだのは、告示日前日の志位演説が最初である。(注1)

 注1:共産党大阪府委員会は10月30日付けで「橋下・「維新の会」による独裁政治「ノー」の審判を」を呼びかけ
       たが、同日の大阪民主新報の大見出しは「暴走政治との対決」であった。これに対して、平松陣営は10月
    21日に「独裁なんておおさかに似合いません」(毎日新聞)と「独裁反対」を主張していた。(これについても
    赤旗や一般紙などの見出しを通じて時系列に私のブログで実証している。)

<共産党は橋下・「維新の会」と戦ってきたか>

  一斉地方選挙の共産党の府会議員候補者の選挙公報、ポスターに、どこにも「反橋下」は書かれていない。ダブル選挙の梅田氏のポスターも「安全・安心・やさしさの大阪」は書かれているが、「反橋下(独裁)」は書かれていない。これが共産党の実態である。

  もう一点共産党は、一斉地方選挙で原発問題で致命的な誤りを犯した。それは原発反対ではなく、「安全優先の原子力政策」というわけの分からない政策で戦った。

  これらの政策的誤りが、大阪ダブル選挙で惨めな結果をもたらしたと私は思っている。(梅田氏の得票数は共産党の基礎票も下回った。)

<なぜ共産党が衰退しつつあるか・・内なる問題から目を背けるのは危険>

 反ハッシズム統一戦線の主張者は、橋下氏の躍進を、「マスコミ等が一方的に持ち上げ宣伝したことが大きかった。橋下氏は、国家的戦略に乗った単なるピエロだ」と主張したいのだと思うが、この主張は危険である。今回の選挙で共産党が負けたのはそうした面も大きいが、共産党自身の戦略・戦術に大きな誤りがあったことを検証し、その克服を通じて、反ハッシズム統一戦線の構築をしない限り砂上の楼閣である。

<共産党は反ハッシズム統一戦線を呼びかけているか> 

  反ハッシズム統一戦線を主張する人たちに問いたい。共産党は、現在の橋下・「維新の会」との戦いを、いかにして戦おうとしているのか、共産党は本当に「統一戦線」を求めているのか、あるいは最大の課題に据えているのか。(注2)

注2:大阪民主新報に大阪府会議員団長の橋下・「維新の会」との戦いの決意表明と教育基本条例に対決する論
     文が掲載されている。その内容は35人以下のクラスの実現を訴えている。(これでどうして橋下徹と対決して
     いるの?という記事がある。これも私のブログに載せているので是非見てほしい。)

  四中総で一番目立ったのは、「保守との共同である」、京都市長選挙が大健闘した際の市田書記局長の第一声は「保守との共同が進んだことが、この結果を生んだ」と述べた。これが今の共産党の姿である。

  私が、橋下氏を評価しているのは「反面教師」として橋下氏から学ぶものが大きいということである。その限りにおいて評価している。つまり共産党の政治のやり方「赤旗を増やして世の中を変える」あるいは「多くの市民の意識が一致している課題にすりより政策を発表し支持を得る。」(注3)この路線は大衆迎合であり、保守化せざるを得ないという批判を続けてきたが、橋下氏の登場によって、共産党的政治活動が全く敗北したことによって、私は共産党が原点に変える契機を与えてくれたという意味で橋下氏を評価している。

 注3:この間の共産党の誤りは、「尖閣列島問題の政策の発表」、「原発政策の誤り」、さらには「北朝鮮の「ロケッ
        ト」に対する声明」これらはすべて、国民の多数を味方にする政策ではあるが、共産党の基本的姿勢を放
       棄しているため、むしろ今までの共産党の支持者を逃がしている。
      さらには財界の人たちとの懇談会が毎日のように赤旗の一面トップを飾り、保守との「共同」の広がりを強
       調しているが、これが本当に共産党支持者に歓迎されているのであろうか、疑問に思っている。   

<橋下の「発信力」は政治を動かしている>

 橋下の「発信力」は政治を動かしている。これに目をつぶり、共産党の誤りに気がつかない者は、マスコミが悪いという負け惜しみの議論になる。(こんな議論をしていても政治は変わらない、慰めあいにすぎない。)共産党の選挙総括がいつもそうである。「反共攻撃」が行われたから負けた。(政府と対抗する限り、反共攻撃がなくなるはずが無い。だから「反共攻撃」を受けないように政府に擦り寄る・・全くばかげている)

  今日(3/11)の毎日新聞の25面の見出し「橋下市長「停電も覚悟」」これが橋下氏のすごいところである。共産党にこのスローガンは口が裂けてもいえない。だから共産党は支持されないのだ。この橋下氏の言葉(政策)こそが政治家としての勇気と決断である。

 この「停電も覚悟」は半数の国民を敵に回す方針である。さらには財界を当然敵に回す方針でもある。つまり5割を敵に回しても、この言葉には「原発反対」の方針の決意の程が伺える。「原発より命」だと思っている人には大きな励ましとなる言葉(決断)だ。

  これに対して共産党は「原発ゼロ」までは言ったが、その後の決意が伝わってこない。それどころか、志位委員長や吉井議員が、核そのものの平和利用や、研究が必要と、財界に対する配慮も忘れていない。これでは国民は共産党の原発反対の決意が本当か否か判断できず、結局共産党は、原発推進勢力とみなされてしまう。
  共産党の姿はイソップ物語の「こうもり」と同じである。常にどちらにも良い顔をする、どっちつかずの姿勢である。(政治の決断が全く見えない。)

<共産党の立つべき位置は>

  おそらくこの板の住人なら、「いや橋下氏は「うそ」をついている。彼は必ず財界に迎合し、原発の稼動を認める。それに気がつかないお前はアホだ」といわれると思います。そうです。そのとおりです。私が言いたいのは、橋下氏の主張こそが、「政治の決断」というのはこういうものだと見せてくれているという一点です。

  共産党は90%以上の人が賛成しないことに下手に首を突っ込めば支持者減る。みんなの意見が一致しているかの市場調査をしてからしか政策が出せない。原発反対も、「たとえ停電しても命のほうが大切だ」という方針が打ち出せない。おそらくこの方針は半数の国民を敵に回してしまいう。しかし共産党の支持者は数%しかない。大胆に切り込めば良いのだ。西ドイツの緑の党も原発絶対反対で成功している。共産党は欲が深すぎて結局失敗している。ザルで水をすくうのが今の共産党のやり方である。

  共産党は「保守との共同」などという馬鹿げたスローガンは投げ捨て、革新・あるいは民主的な人々の結集を図ることこそが求められているのだ。その際の結集軸は憲法だと思われる。橋下氏との戦い(君が代問題、職員の思想調査、教育基本条例等)も、すべて憲法論議で対応できる。

 <反ハッシズムは橋下・「維新の会」との対立軸になりえるか>

 反ハッシズムは、言葉の定義を明確にしないと上滑りしてしまい、多くの国民の結集には、妨げになるかも知れない。ヒットラーの特徴は、ユダヤ人を虐殺し、すべての国力を他国侵略に動員したところにある。それを即、橋下氏にオーバーラップするには無理がある。(丸さんから指摘を受けた・・正しく理解できているか?ですが)

 ヒットラーは「嘘も百回言えば本当になる」だったが、橋下氏の主張にも似たところはあるが、彼の議論はディベートの一手法と言えなくない面もある。彼はまず相手を罵倒する、それから妥協点を探るという手法を用いており、最初言ったことと違うという面から見れば、みんな嘘になるが、府民の気分感情を捉え引くところは、政治家といえばそうとも取れる面もある。(こういえば、又橋下を評価していると怒られそうですが・・・)

<いま、大切なことは>

 いま大切なことは、共産党の立つべき位置をまず明確にすべきだと思っている。共産党が「保守との共同」に政治的活路を見出そうとしている限り、他の民主的な人々との共闘は進まない。例えば私の地元高槻市では、自民党から共産党までが結託して市長選を戦った。その余波で市会議員は5名から3名に落としている。  
  つい先日(8日投票)の隣の茨木市の市長選挙でも共産党は、唯一の反維新候補である新社会の候補者を推薦せず、現市長派の候補者を推薦し(注4)、結局は漁夫の利で維新の市長誕生に手を貸している。

注4:この候補は、元々は市民派でしたが、最近は宗旨替えし、橋下・「維新の会」の批判を一切行っていない。

 全国の実情は知らないが、これが大阪の実態である。共産党の軸が定まらない中、反ハッシズ統一戦線を呼びかけても絵に描いた餅だ。

 まず、共産党がしっかり襟を正すように指摘することこそが現状の課題である。