大阪ダブル選挙は共産党の壊滅状況を証明した。

 =この選挙結果から我々は何を学ばなくてはならないのか=


<はじめに>

 大阪ダブル選挙の結果は、橋下・「維新の会」の圧勝に終わった。と同時に大阪の地において共産党の終焉も描き出した。

 まず、結果であるが、

今回の得票数、率は  梅田候補は357159票、得票率9.74%である。

 4年前の結果は、   梅田候補は518563票、得票率15.48%である。

 

 これは4年前の得票数の68.87%、得票率では62.92%に過ぎない。完全な敗北である。

 大阪の共産党の票の動きは、40数年前公明党とほぼ同じ勢力を持ち、最高時の参議院選挙の得票数は763457票あった。(その際公明党は772003)しかし、前回の参議院選挙での共産党の得票は366105票、(得票率9.36%)公明党は864278票(得票率22.10%)獲得し、この40年間で共産党は公明党との力関係では4割政党(対公明党)になってしまった。

<ダブル選挙は共産党の支持者も逃した> 

この366105票、得票率9.36%と言う数字は、大阪の共産党の力を1965年の東中光雄の得票率9.55%の状態に戻したことになる。今春の一せい地方選挙では、共産党の獲得票数(府会議員選挙)では361792票(総得票数3119132票)で得票率11.60%であった。これに比べても得票率で83.97%しかなく、現在の共産党の最低ラインを割ってしまった。

 ちなみに維新の会は、一せい地方選挙の1267695票、得票率40.64%を今回のダブル選挙では2006195票、得票率54.73%と得票数で1.58倍、得票率で1.35倍に伸ばしている。

 毎日新聞の選挙結果報告(出口調査)によると、共産党支持者の8割が梅田氏に投票と分析されているが、一せい地方選挙の83.97%しか得票できなかったことと符合する。(ダブル選で共産党支持者さえもまとめられなかった。)これが今回の選挙の特徴である。

<ダブル選は大敗の原因>

 なぜ共産党は大敗したのか、共産党の得意な赤旗の部数との比較では証明はできない。一せい地方選挙後まだ6ヶ月ほどしか経っておらず、党勢の変化はそうないと推測される。(むしろこの間赤旗拡大に取り組み一定の成果を挙げたと赤旗には書いている。・・・このことからも赤旗の部数と選挙結果にはなんら相関関係はない。)

 最大の理由は

  1. 「維新の会」の本質を共産党は最後の最後までつかめず、結局有効な選挙戦術が打てなかった。

「明るい会」方式の選挙戦術がすでに破綻していることに気づかなかった。

共産党員が大衆を組織する政治的力量を全く失ってしまったことが挙げられる。(党員としての使命は赤旗拡大が主なものであり、組織者としての一人ひとりの政治的力量が全く喪失してしまっている。)

以下この点を詳しく見ていきたい。

【維新の会の本質が見抜けなかった】

  1. 共産党は橋下・「維新の会」の本質が見抜けず、最後の最後まで迷走した。

    今回の選挙では一般のマスコミも「独裁」か「民主主義」かの戦いと位置づけていた。にも関わらず、共産党は橋下徹氏の政治的手法が「独裁」を目指すものであるという批判を一貫して避けてきた。赤旗に「独裁」いう記事が載ったのは実質的な選挙戦の終盤10月23日が最初であったが、その後も赤旗、大阪民主新報は「独裁」を避け、「暴走」や「横暴」という見出しを書き続けた。また10月29日には「独裁ノー」という大阪府委員会の声明を出しながらも相変わらず、独裁と言う言葉を回避し、梅田候補のビラは「安全・安心・やさしさの大阪」がその後もメインスローガンであった。
      「明るい会」(梅田氏の選挙母体)が「独裁」というビラを出したのは、選挙の告示日が始めてであった。この迷走は告示後も続き、候補者ポスターも大きな顔写真と梅田氏の名前だけで「独裁政治ノー」などの記載は一切無かった。また、共産党の事務所前のポスターも「暴走政治」・「ノー」「安全安心のやさしさの大阪」であった。
    私は一せい地方選挙でも共産党は橋下・「維新の会」と戦わず、維新の爆発的な勝利をもたらし、結果として共産党が蹴散らされた状況に危機感を持ち、大阪府委員会や中央委員会に「維新の会」の本質を見抜いて戦わないと、大阪の政治情勢はとんでもないことになると訴え、中央委員会に大阪の現状を是非調査してほしいと申し入れ(直訴)も行った。(無視されましたが)
  1. 一せい地方選挙で共産党大阪府委員会はどのような方針で戦ったか、

    「維新の会」の出している個々の政策の批判に留まり、橋下・「維新の会」の本質と戦うことを避けた。例えば、府会議員候補の選挙公報には、「カジノ・阪神高速の延伸の橋下「開発」は中止を」と「橋下知事の国保「広域化」による2万円の値上げはストップ」としか記述が無く、橋下・「維新の会」という言葉すら出てこない。
    選挙戦の緒戦での大阪民主新報の記事は咲洲の旧WTCの購入の失敗を主要な攻撃対象に仕立て橋下氏との対決姿勢を示していたが、これも個々の政策にしか過ぎず、どうしても本質論を避けた戦いに終始した。
      大阪府委員会の橋下・「維新の会」に対する捉え方が分かる記事が4月26日付け赤旗13面の大阪市長選・知事選へ運動新たに 日本共産党大阪府常任委員会という記事がある。その内容は「古い自民党政治の装いを変えた地域政党に目が向けられるなか、切実な要求に沿った草の根の府民運動を広げ、府民の新たな共同を発展させていく大事なときを迎えている」と書かれている。

わたしはこれを批判して、

  1. 共産党は橋下知事が推し進める「大阪都構想」についても、党としての方針が無いことが浮き彫りになった。
  1. 橋下知事が推し進める「維新の会」を「古い自民党の装いを変えた地域政党」というような位置づけをしていたら、「秋の選挙戦で共産党はまたもや大敗するでしょう。」

少なくとも彼は民主主義の一貫である地方政治の破壊を企んでいます。「橋下王国」みたいなものを作ろうとしています。この彼の企みを正確に位置づけない限り、誰と戦っているのかい、肩透かし選挙になってしまう。と警告を発しました(中央委員会、大阪府委員会に)が無視されました

  1. 上記大阪府委員会の迷走が事実であることは、11月30日付け赤旗が示している。

    赤旗30日の紙面に「記者座談会」が記載され、ダブル選挙の総括がなされている。この記事はダブル選挙での敗北をまともに取り上げず、「52万票の重み、今後の展望は」という大きな見出しを掲げ、反「独裁」の市民との共同が広がり、今後の戦いの展望を切り開いたと書かれている。この記事そのものは一面的評価であり、52万票は自民党や民主党の票が多くを占めているのに、共産党が勝ち取った評価のような作為的な総括である。そのことが明らかに分かるのは、知事選挙の戦いには触れず、市長選挙の戦いに限定して総括を行っている。


   しかしこの記事の中で、今回の戦いの弱点(私の主張)を立証した記述がある。

<赤旗11月30日(水曜日)3面の抜粋>

A―たたかいの大義を打ち立てたという意味では、知事選の告示日(10日)に駆けつけた日本共産党の志位和夫
   の演説が大きかった。志位氏は「今回の選挙戦の最大の争点は、橋下・「維新の会」による独裁政治を許すの
   か、民主主義を守り抜くのかにある」として、憲法違反の「独裁3点セット」−「大阪都構想」「教育基本条例案」
   「職員基本条例案」を批判した。(注1)

 B―あの演説でなぜ「独裁政治」とよぶのかわかったという声もあった。

 A―ある新聞が「市長選「独裁」是か非か」と争点を報じたのも、志位演説の直後だ。(注2)

 Bーその後「明るい民主大阪府政をつくる会」は「なぜ「独裁政治」と呼ぶのかー事実を見てください」と見出しをつ
      けたビラを作り、大阪市内だけでも約120万枚配った。

 と書かれている。

 注1:この10日の街頭演説への参加呼びかけのビラは、志位委員長の発言の要旨を全く把握しておらず、「くらし
       と営業をなんとかしてほしい」「原発ゼロ、防災に強い街づくりを」という府民の声にこたえ府民の力で、府民
       が主人公の大阪をつくる街頭演説です。と宣伝している。あくまで「安全・安心・やさしさの大阪」の立場のビ
       ラである、実際の志位さんの演説の柱は「独裁ノー」一色であった。翌日の赤旗の演説要旨の記事の中に
      「安全・安心・やさしさの大阪」という言葉は一切無かった。

 注2:この演説以前に毎日新聞など多くのメディアは独裁か民主主義かの戦いと報じていた。また平松候補もこの
       主張をすでに前面に出していた。共産党のみが「独裁」という言葉の使用を躊躇していた。

  知事選挙は、一せい地方選挙後からすぐに取り組まれたはずだ、それが告示日に始めて志位委員長の演説でこの戦いの本質が判った。なんと馬鹿げた記事だ。・・・しかし事実はそのとおりである。大阪府委員会は「独裁」という言葉を意識的にさけ、「暴走」や「横暴」を使い、さらに、知事選の争点を咲洲の旧WTCの移転の失敗に絞っていた。ここに今回の選挙戦の敗北の最大の要因がある。

【丸裸にされた共産党】

  今回の選挙戦の総括でもう一つ重要な論点がある。1960年代に京都で成功した「明るい革新府政を作る会」の運動は、67年には美濃部都政を実現し、71年に入ると大阪にも波及し社・共協定の下1971年黒田革新府政が誕生した。その後社会党が革新の統一戦線から離れていったが、黒田府政は二期目も勝利し、三期目は僅差で敗北した。敗北したといっても共産党単独の支持で1671812票を獲得し、得票率は48.25%あった。

 これは共産党を前面に出して戦うより無所属の候補で統一戦線型の選挙を行えば大きな票の掘り起しができることを示していた。第二期黒田府政は、1494040で勝利したが、直近の参議院選挙の獲得票が763457票(橋本敦)であるから、約2倍の票が獲得できている。

  しかし、その後の戦いはこうした革新無所属を共産党が押し立てても、一定の票の掘り出しはできるが、黒田革新府政を実現した勢いは生まれなかった。その過程を少し正確に見ていくと

◆昭和50年知事選挙(二期目)

    黒田了一 1494040票・・共産党単独支持   ※763457票(注3)

    湯川宏  1043702票・・自民党推薦

    竹内正巳  947664票・・社・公・民推薦

注3:この数字は直近の参議院選挙での獲得票数である。(参考に記載した)

  ◆昭和54年知事選挙

    黒田了一 1671812票・・共産単独推薦     ※639713票

    岸 昌  1792856票・・社・公・民+自民

  ◆平成3年知事選挙

    中川和雄 2064708票・・自・社・公・民   

    角橋徹也 1112660票・・共産単独        ※482317票

  ◆平成7年知事選挙

    横山ノック1625256票・・無所属

    平野卓也 1147416票・・自・社・公・民

    小林勤武  570869表・・共産党単独       ※497549票

 ◆平成12年知事選挙

    大田房江 1380589票・・社・公・民・自(中央本部) 

    鰺坂真  1020483票・・共産党単独        ※594063

    平岡達人  574821票・・自民党大阪府連推薦

 ◆平成16年知事選挙

    大田房江 1558625票・・自・公・民・社民

    江本孟紀  670717票・・無所属

    梅田章二  505167票・・共産単独         ※442755

 ◆平成20年知事選挙

    橋下徹 1833857票・・自・公

    熊谷貞俊 999082票・・民主党

    梅田章二 518563票・・共産等単独        ※585620

 ◆平成23年知事選挙(今回)

    松井一郎 2006195・・維新

    倉田薫  1201034・・自・民

    梅田章二  357159・・共産単独          ※366105

  以上から分かることは、無所属の革新候補を共産党が押す場合、当初は共産党の基礎表の約倍の得票数を得ていた。しかし時と共にその効果は薄れ、平成16年の知事選では共産党の基礎表の上積みはごく少数(14.1%)に限られ、とうとう20年(前回の知事選)と今回の選挙は、共産党の基礎票を割ってしまった。(20年選挙で88.55%、今回では97.56%)さらにより直近の一せい地方選挙の府会議員の獲得票数361792票、得票率11.60%に比べ得票率で83.97%である。4月から11月までの間に得票率で16.03%も落としてしまった。これに対して「維新の会」は得票率で4月より14.09%延ばしている。まさに「維新の会」の一人勝ちであり、共産党は丸裸にされてしまった。(この危機感を持つことが大切である。) 

  この結果は、「明るい会」方式の選挙戦術の破綻を示すものであり、このような状態になぜ落ち込んだのかの詳細な分析無しに、今後「明るい会」方式で選挙を戦うことは全くの愚行である。


【なぜ「明るい会」方式の選挙戦術は破綻したのか】

 日本社会をめぐる情勢の変化が「明るい会方式」の選挙戦では戦えなくなっていることに共産党幹部は気づくべきである。この破綻は平成12年度の選挙戦ですでに明らかになっているのに、いつでも「勝利した」と選挙戦を総括するために、具体的な反転攻勢の知恵が全く出てこない。(共産党の知的退廃だと私は思っている。)

 情勢の根本的な違いは、黒田革新府政が誕生したときは、高度成長路線に日本が踏み出した時期であり、みんなが未来に希望を持っていた。そうした状況の中で増えるパイをどこに充てるかで、共産党の掲げた弱者に温かい政治は多くの市民の共感を勝ち得た。しかし失われた20年と言われるバブル崩壊後の1990年代前半から今日に至るまで不況が進行し、リストラが大量に行われ、同時に200万円以下の労働者が大量に生み出され、大学を出ても就職もできず、年金の切り下げが議論され、自殺者が年間3万人を越えるなど、国民の中に閉塞感が充満している中、「明るい会の選挙戦術」は全く大衆の気分感情から遊離したものになっている。

 この間の選挙戦を見ても、爆発的な国民の支持を得たのは、小泉首相の「自民党をぶっ壊す」や橋下・「維新の会」の「既得権益をぶっ壊す」あるいは「大阪市を解体する」であった。つまり市民の不満のエネルギーは頂点に達し、そのはけ口を政治に求めている状況下で、「明るい会」という会の名称も、そのスローガン「安全・安心・やさしさの大阪」が市民の感情と全く合致していないことを、共産党の幹部は気づいていない。

 国民の生活が破壊され、また教育改悪や労働者の権利を攻撃する施策が、反動側から国民に突きつけられているときに、それと真っ向から戦わず、「安全・安心やさしさの大阪」というスローガンは正にノーテンキなスローガン(政策)であり、おそらくこのスローガン(政策)を見て梅田氏に票を入れようと思った人は一人もいないと思われる。ここまで言い切るとお叱りを受けると思われるが、今回の梅田票は共産党支持者の8割しか票を入れておらず、無所属候補を立てて、なにか耳障りのいい言葉で票をかすめ取る(言い方は下品だが)という幻想は100%打ち破られた。

 国民大衆は戦いを求めている。何かホンワカした「安全・安心・やさしい大阪」を受けいれるような状況ではない。社会に対する怒りが渦巻いている以上、それを取り上げて戦うのが共産党です。その期待を裏切ったのが今回の選挙戦だ。

【共産党は戦う力量をすでに失っている】

 今回の選挙戦で明らかになったことは、共産党は告示日まで、「安全・安心・やさしさの大阪」で戦った。そのことはポスターの図柄からもはっきり分かる。(ポスターには「安全・安心」は書いているが、「反独裁」はない。せめて「民主主義を守る」くらいは入れてほしかった。)この弱点はすでに指摘した。

次にもっと深刻な弱点は告示日の志位演説で、この選挙の争点を「独裁ノー」に方針転換した、しかしこの効果が全くなかったことも深刻である。

 私は共産党は極めて優れた政治組織であって、方針転換がなされれば、一夜にしてみんながその方針で武装して、大衆の中に入り組織する力を持っていると信じていたが、今回の結果を見て分かったのは、2週間ぐらいの期間では方針転換しても、それを運動員が理解し、大衆の中に入り、オセロゲームのように橋下・「維新の会」の支持をひっくり返す政治的能力が無いということが証明された。

 私はこれまでの選挙の際、公明党が極端に抜き打ち解散を嫌がったのを覚えている。その理由は、支持者に票を入れてもらうには半年はかかると主張していた。この政党はバカではないかと思っていた。しかし今回の選挙結果は、共産党もその次元に来ていることを証明している。急に争点が、「民主主義」か「独裁」かと言われても、運動員(党員及び後援会員)は2週間でそのことを学習し大衆を組織する力量が無いことを天下にさらしてしまった。

  何が問題か、それは活動の基本を間違えているからである。現在の共産党の票読みは、電話で共産党に入れてほしいと頼むか、ビラを配るだけである。大衆との結びつきを強めじっくり話し合いながら、相手の同意を得ていく活動能力をすでに失っている。

 活動の原点は「宣伝し・扇動し、組織する」である。この原点を置き去りにしたことが共産党敗北の最大の原因である。(宣伝はするが、扇動も組織もしない。)橋下徹は見事にこれを成し遂げた。府会議員選挙で維新の会の得票率は約41%である。しかしダブル選挙では、約55%である。かれはこの6ヶ月間で自らへの支持を14%も伸ばした。その原動力はレーニンの唱えた「宣伝し・扇動し・組織する」である。

 私はここに本質があると思い、レーニンの「宣伝・扇動」の本を読もうとしてインターネットで検索したが、すでにどこにも無い。二分冊になっているが、NO.2だけ中古で見つかったが2500円である。(正価は350円)、しかも驚いたことに発行は日本共産党中央委員会宣伝部である。このような優れた本を闇に葬り、戦いの原点を忘れた共産党には勝ち目は無い。橋下徹のやったことは正にレーニンの宣伝し、扇動し、組織するである。橋下徹の手法から学ぶべきものは沢山ある。時代を読む目である。「維新の会」と「明るい会」では、自らの人生の未来が見えず、閉塞間のある若者が「維新の会」手を挙がるのは当然である。(「維新の会」からは「変革」がイメージできるが、「明かるい会」からは何もイメージできない。没階級的スローガンである。)過去の栄光にだけしがみついても未来は開かれない。

 最後のもう一点、最近の共産党の政策のおかしさについて

  大阪の共産党の躍進を支えたものは、部落解放同盟との戦いであった。これ抜きに大阪の共産党の成長記録は語れない。しかしこの間の選挙戦で共産党は部落問題を全く語らなくなっている。今回の選挙でも、同和行政の「終焉」を政策として出さなかった。この点も不思議だ。京都の共産党は民医連や民商など様々な組織が網の目のように組織されている。大阪の共産党は解放同盟との戦いで延びた。しかし他の組織は未成熟である。解放同盟との戦いが無くなり、バルブが崩壊したのが今の共産党の現状だと思われる。

 共産党は、12月3日、4日4日4中総を開き、その内容が5日付け赤旗一面で報告されている。その見出しは、「「二大政党」の基盤は大崩壊、歴史的奮闘で総選挙勝利を」と書かれているが、「維新の会」をはじめとした地域政党の躍進で、一番得票率を落としているのは共産党である。例えば、一せい地方選挙の府会議員の得票率は、4年前に比べ半減した。(前回20.60%、今回11.60%である。)他の政党に比べ支持者との結びつきが弱いことが暴露された。

  「維新の会」が掲げた「既得権益の打破」というような「革命的(改革)のスローガン」が国民に受け、共産党が掲げた「安全・安心・やさしいしい大阪(安定)のスローガン」、「警察の防犯協会のようなスローガン」が府民から拒否された。この事態は深刻である。真摯な議論を繰り返し、反転攻勢の方向性を見出すべきである。4中総はこうした情勢の変化をどう受け止め、戦いの柱をどう組み立て直していくかを議論すべきであったが、共産党のいう「歴史的奮闘」とは何をさすのか、いつもと同じ赤旗拡大、党員拡大であるとすれば、国民の生活が急速に破壊されていく中で、国民の生活と権利を守る戦いを正面から取り組まない限り、ますます国民から遊離する。国民から見れば「赤旗拡大は党内事情であり」そんなことを最優先する政党に魅力を感じない。いつまでも赤旗拡大に全てを流し込む方針をとっている限り、共産党に再生の道は無い。現在危機は、赤旗の部数減よりも思想的・政治的崩壊である。

追伸:この文書を書き終えてから、丸さんによる大阪知事選についての分析が投稿されていることに気がつきました。丸さんの分析に対しては異論を挟むつもりはありませんが事実誤認があると思います。

 大阪府委員会は今回の選挙を反ファッシスと位置づけて決して戦っていません。大阪府委員会は4月から告示日まで「安全・安心・やさしさの大阪」を掲げ、橋下氏に対する批判は、旧WTの購入の失敗がメインでした。

 この選挙戦が「反独裁」に変ったのは告示日の志位演説からです。ですから候補者ポスターも「安全・安心・やさしさの大阪」と書かれていますが、「反独裁」の文字はありません。

 この事実認識の上での評価が必要と思われます。私は丸さんと違い、最初から反独裁で戦えばもう少し善戦したとみています。

 この間の赤旗の記事、大阪民主新報の記事、撒かれたビラ等私のサイトで載せる準備をしていますので(2〜3日後には)良ければ見に来てください。