やっぱり皇中がすき (7号・8号) 大津市皇子山中学校 校長 藤本一夫
    教育目標 ◎たくましく生きる生徒 ◎情緒豊かな生徒 ◎社会性のある生徒



★やっぱり皇中がすきや(7号)

 先月、2年生の生徒がマンションから転落死するという本行にとって決して忘れることの出来ない大きな事件が起こってしまいました。特に教職員はもちろんのこと生徒達、保護者の皆様、地域の方々に大きな衝撃を与えてしまいました。

 学校では、このことを深く受け止め、全校生徒を対象にアンケート調査を実施する中で、その背景を明らかにしていこうと考えました。

 その結果、すでに新聞で報道があったように、アンケートに記載されている内容から、友達関係の「あそびや」「じゃれ合い」の中で本人が嫌がることや不本意な暴力と考えられる行為がありました。

 残念ながら、これらの行為は「一定の人間関係にある者から心理的・物理的攻撃を受けることにより精神的苦痛を感じている」もの、すなわち「いじめ」と判断される状況だと言わざるをえません。このような状況が学校で起こっているにもかかわらず、事前に把握し防止できなかったことにつきましてはその責任を重く受け止め、今後このようなことが二度と起こらないよう手立てを尽くしていきたいと考えています。

 先ずは、生徒達の心の安定を図りたいと考えています。自分の思いを文章に書き表すことで心のわだかまりを整理し減らしていきたいと思います。教師と話す機会を増やすことにより、少しでも心が軽くなればと願っています。

 これらのことで、自分の思いを表出する機会をできるだけ増やしていこうと思います。不安や不満、悩みなどが鬱積すると、それがいつか爆発したり、他人を攻撃したりしてしまいます。このような状態も「いじめ」を誘発することにつながります。

 次、生徒達の細かな観察や支援が出来るようにしていきたいと思います。教職員の人員増はできませんが、授業意外でも今までの昼食指導や部活動等をとおして、生徒達への声かけや会話を積極的に行っていきたいと思っています。

 また、これらの活動を始める新しい生徒の力を借りたいと思っています。生徒達の視点に立った「いじめ防止」の取り組みをサポートしていきたいと考えています。

 そして、教師の資質や力量の向上です。「いじめ」を見抜けないのは教師の責任です。教師自身が襟を正し、自らの自己研鑽に励みたいと思います。

 生徒達は日々、それまでにも増して授業や部活動に真剣に取り組んでくれています。保護者の皆様、さらに地域の方々のご理解、ご協力なくしては前に進まないものと考えます。

                                                   ■■■ 保護者説明会 ■■■

  11月1日(火)夜に今回のアンケート調査に関する保護者説明会を実施しました。緊急開催したにもかかわらず、480名以上の保護者の皆様にご参加頂きました。

 いろいろな立場でご意見を賜りありがとうございました。

  学校といたしましては、最初に説明いたしましたように、残念ながら「いじめ」があったとの認識のもと、今後の対策を進めたいと思っています。

  また、途中、私の言葉足らずや説明のまずさから、不信感や疑問を感じさせてしまったことをお詫び申し上げます。

 あの場で提案しましたようの、全ての生徒達をかけがいのない大切な生徒として育てていくためにも、生徒会の皇中環境宣言にある「いじめのない学校」を目指して再出発していきたいと職員全員で決意しています。

 より具体的な方向性や手立て等を示すことが出来なかったことも否めませんし、ご不満な点も多くあろうとは思います。

 あの場で、提案頂いたことなどを含め、具体的な方策の実施に向かって進んでいきたいと思っています。今後も、ご意見やご提案がありましたらよろしくお願いします。

 

                                               ★★★ 全校集会 ★★★

 11月1日(火)6校時に、今回の件についての全校集会を開催いたしました。

 アンケート調査から分かってきた内容の報告と、これからの生徒一人ひとりの生活を考える話をしました。

  先ずは、一人ひとりが不安や不満を解消するように努めてくれること、今の自分の学校生活・人間関係にもう一度目を向けること、先生達ももっと早く真剣に対応することなどを伝えました。

  また、@これからの皇中のことを真剣に考えて欲しい。A自分の思いと相手の思い、周囲の受け止めはそれぞれ違う。B自分や友達の人権を守るため「訴えたり相談する権利がある」C皇中の仲間を大切にという内容の話をしました。

 生徒達全員が、静かにしっかりと聞いてくれました。


★やっぱり皇中がすき(8号)

 知らず知らずのうちに師走に入り、木枯らしが吹く本格的な冬の訪れをかんじさせる季節となりました。今回、皆様方に多大なご心配をかけ、申し訳なく思っています。

 過日もPTA学年懇談会では多くのご意見をいただきました。学校としましても、皆様方からのご意見を参考にしながら具体的な取り組みを進めていきたいと考えています。

 今月に延期していました1年生の郊外学習「大津探訪」、2年生の「京都班別自主研修」を実施していきます。また校内人権週間にも取り組んでいます。いろんな体験をとおして、生徒達の人権意識を高めていきたいと思っています。

 このことが「いじめを許さない」学校づくりの基本になると考えています。

                                             ■■■■ 4つの課題 ■■■■

 本校の生徒への対応や指導が本当に生徒自身の気持ちに寄り添っているのか、保護者の皆様や地域の方々の期待に応えられているのかという厳しい意見をたくさんいただいています。

 また学校改善に向けてのご意見もたくさんいただいています。

  学校においては、現在もこれからの学校のあり方取り組みについて協議を続けていきます。

  現在、学校として緊急の課題を4つに絞って取り組んでいきます。

    @いじめのない学校づくり
         教育相談の充実や複数副担任制度等の取り組みを実施していることは先にお知らせしていますが、生徒
      の相談をしっかりと受け止める、生徒達の情報をしっかりと収集する。そして生徒に返していきながら生徒と
      共に解決しているという教師の姿勢を目に見えるものとしていきたいと思います。

          さらに新しい生徒会の力を借りて、生徒会による「いじめ対策」の会議や取り組みを進めていけるように支
      援していきたいと考えています。

    Aいのちを大切にする教育
          道徳教育や体験学習、各教科などでも命の大切さは指導し考えさせていますが、基本は皇中の人権学習
       の進め方であると考えています。命の大切さ、人間の尊厳を普遍的なものして、あらゆる場面で指導してい
       きます。

         このことがいじめのない学校づくりの基礎になるものと考え、時間をかけて取り組んでいきます。

    B開かれた学校づくり
         今回は保護者の皆様方や地域の方々に大きな不安や不信感を与えてしまいました。情報発信が不足し
       ている事を痛感しましたし、情報収集も不足していたと思います。特に保護者の皆様方からはもっと学校公
       開日を増やして欲しいとのご意見をいただきました。早速、先月末からの学校公開日も設けました。

          今後も、この様な組みを続けていきます。

    C教職員の資質向上
         現在、ほとんどの生徒達は自分が今、取り組むべき事を自覚して授業や生徒会活動、部活動等にしっか
        り取り組んでくれています。特に3年生は進路に向けて真剣な取り組みが迫られています。

           教職員もそれに応じられるように日々の授業を大切にし、行事等にも細かな配慮をしています。ただ、今
       回の件では生徒達からの情報をしっかり受け止め初期に継続的な情報収集をし、いじめを見抜くことが出
       来なかったことを重く受け止めています。反省は全員しています。

           学校全体はもとより教師の一人ひとりが自覚し自らの資質向上に取り組んでいきます。

                              ●●●● 第63回校内人権週間 ●●●●

          省略

                              ◆◆◆◆ 本校のいじめ対応 ◆◆◆◆

 今回、いじめを未然に防止できなかった点を深く反省し、再度本校のいじめ対策を確認し、再発防止に向かっていきたいと思います。

 保護者の皆様や地域の方々にも本校のいじめ対応についてご理解とご協力をお願いします。

★いじめ問題に関する基本認識

  1.「人をいじめることは人間として許されない」との強い認識を持つ。

      ※生徒・教師・とも人権に関わる重大な事として再認識していきます。

  2.いじめられている子どもの立場に立った親身な指導を行う。

  3、いじめは家庭教育のあり方に大きな関わりを有している。

  4.いじめの問題は教師の生徒観や指導のあり方が問われる問題である。

     ※現在、本校の指導や対応のあり方を厳しく問われていると認識しています。

  5.家庭・学校・地域社会などすべての関係者がそれぞれの役割を果たし、

一体となって真剣に取り組むことが必要である。

★いじめ問題への対応  

  @指導体制の確立

    ア 全教職員の協力体制の確立     イ 全教職員による共通理解

    ウ 好ましい人間関係の構築       エ 生活実態の把握

    オ SOSへの的確な対応         カ 訴えに対する真摯な対応

    キ 客観的事実の確認

        ※特に、オとカの部分が不十分さを改善します

  A教育相談体制の充実

    ア 教育相談の充実(教育相談週間の設置。期間中必ず1人1回相談)

    イ 保護者への教育相談体制(スクールカウンセラーの活用)

    ウ 継続的な事後指導         エ 専門機関との連携

    オ 一般相談センターの広場

        ※アについては、回数を増やして3学期にも実施します。

  B積極的な生徒指導

    ア いじめ等の問題行動の早期発見対応(月1回の善行迷惑調査の実施)

    イ 機会をとらえた適切な指導

    ウ 道徳・学級活動・総合的な学習時間の利用(人権学習(いじめ問題)の充実)

    エ 生徒による活動の展開(生徒会による皇中環境宣言等の活動)

    オ 社会性の涵養

        ※全校生徒を対象に人権意識を高めて行くことをいじめ防止の基本とします。

  C家庭・地域・関係団体との連携

    ア 地域ぐるみ対策(学校協力者会議・PTA実行委員会等)

    イ 家庭への啓発(家庭訪問・学校便り・学年通信・学級通信等)

    ウ 家庭に向けての協力一致した取り組み(関係機関との密な連携等)

       ※いじめが発生したときは最優先で取り組み、協力をお願いしていきます。

★いじめの問題の指導上の基本的な留意点

  @学校における基本的な留意点

    ア 教師は日頃から子どもたちと心のパイプを太くしておき、子どもの悩みを素直に聞き受け入れる相談の
       場を設ける。

       イ 生き生きとした学級・学年・学校づくりを推進するために、教師は生徒が全員で協力し合える活動の場
            を設ける。

       ウ 教師は、家庭・地域との連携を蜜にするとともに、地域に根ざした行事や習慣に積極的に参加させるな
            ど、生徒の体験的実践活動を促進させる。

    A「いじめられる子」に対する指導の留意点

        ア 弱い立場にある子どもの立場にまず立ち、教師はその子を常に援助する。

        イ 教師はその子の悩みを共感的に受け止め、その子の心の安全をはかり、自立できるように創意工夫に
            努める。

        ウ いじめられる要因となっている面の指摘はさけ、精神的にくじけないように援助し、その子の良い面をは
            げますとともに、他の子どもにその子を受け入れていくよう指導を深める。

    B「いじめる子」に対する指導の留意点

        ア 教師はいじめ行為について「絶対に許されないこと」を毅然と態度で指導し、一方でその子も欲求不満を
            受容し、心の不安を安定へと変えるように努める。

        イ 他人を誹謗する言動が正当なものでなく、非であることを十分に悟らせる指導を深める。

        ウ 生徒の人権感覚を育て、お互いの人権を大切にし、助け合いで相手の心の痛みが分かる感性が育つ
            ように援助する。

    C 「いじめられる子」「いじめる子」に対する指導の留意点

      ア 両者からの言い分を公平に聞き、正確な事実確認の上に立って、両者の関係回復図り、心の安定に努
           める。

      イ 両者の改善点、指導の問題点を明確にしながら、両者に十分話し合いをさせたり教師とともに奉仕活動
           等の体験活動を実践するなど、両者の相互理解を深める。

      ウ 両者への関わりを継続的に実施し、両者が自己理解を深め、他社理解を深めながら、改善点の克服に
           努めるようにする。

    D「傍観者や容認集団の子ども」に対する指導

      ア 弱い立場にあるものの苦しみを理解させ、いじめに対して正義感を持って対処できるように努める。

      イ 誰でも長所・短所を持っていることを十分理解させ、一方的に人の心を傷つけることは決して許されない
           ということを徹底し、友達のいい面を見つけ、お互いに認め合っていくことの大切さに気付かせる指導を
           深める。

       ウ 友達の問題や悩みは自分のものとして捉える共感的人間関係の育成を図り、その解決を話し合いを通
            じて考えさせ、ともに支える仲間集団が育つように援助する。

★役員選挙に触れその後に

 特に10年を経過した皇中服装規定「標準服、または、中学校生活に適した服装を各自の判断で着用する」【4つの約束】@授業を大切にして、けじめある行動をとる。A下校途中に寄り道をしない。Bブランド物など高価なものは避ける。C服装による差別やいじめを許さない。・・・について、認識を新たに新生生徒会としても検証を継続していってほしいと思います。そして「やっぱり皇中がすき」のスローガンのもと掲げられた「皇中環境宣言」@いじめのない学校。Aゴミのない学校。Bあいさつあふれる学校。この3つの具体的な取り組みを是非進めてほしいと願っています。皇中とっての「当たり前のこと」は、これらの約束をや決まりが一人ひとりの正しい判断によって、引き継がれ守られていくことではないでしょうか。

【注意】

 上記文書は、映像としてUPされていたものを、私がワードに打ち直したものであり、誤字、脱字や、一部省略したところ(新しい生徒会の役員名簿など)もあります。そのことを了解の上参照してください。