共産党はなぜ公明党比2分の1政党になったのか。(党建設の基本的誤り)  意見書7


                                                                                                                     平成23年5月1日


日本共産党中央委員会 様

 中央からメールを頂く前に基本的には書き終えていました。このまま出すのもどうかとは思いましたが、私の考えを知っていただくため、敢えてそのまま出します。怒りの中で書いたものです割り引いて読んでください。注1

 私は、今回の選挙戦を契機に、また私が60代半ばなった節目に、共産党に対する私の考えをまとめて「意見書」として既に6通のメールを送付しています。その際、私はこのメールを受け取ったというメールと、何時回答するかの連絡を求めています。しかし一向に何ら回答が無いので、意見書の数が増えまくっています。しかし、これが最後のメールです。注2

 注1:今回15通の意見書で唯一頂いたメール。

メールたしかに拝見いたしました。
 いっせい地方選挙前半戦につづき後半戦に全力をつくしていましたので返事がたいへん遅くなりました。申し訳ありませんでした。
 日本共産党は、今回の選挙では、情勢の激変のもとで、被災者支援と原発危機の収束、国の総力をあげての復興、原子力行政・エネルギー政策の転換、「福祉・防災のまちづくり」への地方政治の転換などを訴えてたたかいました。
  貴方からからご意見をいただきましたが、いっせい地方選挙全体の結果についての総括は、党内外のご意見に耳をかたむけ、次の中央委員会総会でおこなうことにしていますので、ご了解いただきますようお願いします。

2011年4月30日
中央委員会選挙対策局
共産党中央がメールをくれた、私にとっては驚きと共にうれしいことでした。(30数年前(党員であった頃)「意見書」を出しましたが全く無視されました。)

 注2:この時点では、中央からの回答約束のメールを頂いたので、これを最後にしようと考えていた。

◆はじめに

  前回も書きましたが、全体の構成の中での今回の「意見書」の占める位置をまず書きます。今回は(5)共産党はなぜ公明党比2分の1政党になったのか(党建設の基本的誤り)

(1)地方選挙の政治的課題を見あやまったこと

      「震災復興」は地方選挙の課題ではない。

(2)「命を守る政治」を争点にするなら、それは「原発」問題を中心に

    「原発の安全点検は」関西電力のスローガン、関電と何処が違うのか説明できない限り全く無内容なスローガン

(3)高槻独自の敗因として、市長選挙で取った態度

    自・公・民の罠にはまり、選挙の汚れ役を演じたこと(良くマフィアの映画などで出てくる掃除屋です。)

(4)市会議員団の長い間の負の歴史

    問題行動の数々の事例

(5)共産党はなぜ公明党比2分の1政党になったのか(党建設の基本的誤り)

    @ 党建設

    A 選挙に勝つためには何が必要か

   ◆これが今回の指摘:バラバラに送りましたが、全体を一体のものとして読んで判断してください。


 以下本文に入ります。

T 党建設の問題点(強大な党とは何か)

  1. 改革の基本は「現場主義」を採用すること。
    (社会主義体制の持っていた非効率性をもった組織原則)

      前にも指摘していますが、共産党は40年前(私が就職した際)公明党とほぼ同じ勢力を持ち、最高時の参議院選挙の得票数は76万票強だと記憶しています。(公明党は77万前後だったと思います。)ほぼ互角の戦いです。しかし前回の参議院選挙の獲得票数は共産党は366105票、公明党は864278票獲得しています。(公明党の2分の1にも及びません。・・・約42%です。)共産党は長期低落傾向にあるのに対して、公明党は相変わらず着実に前進しています。なぜこの様な違いが出たのか、不眠不休で国民の為に真剣に戦っている政党と、池田大作を守るためにだけに戦っている政党の大志の違いがなぜ国民大衆に理解されないのかこのことを深刻に総括する必要があります。(これは国民大衆が馬鹿だからという総括は最大の誤りです。共産党中央の方針に問題があるからこの様な結果になっているのです。この確認から出発しないと共産党の再生はないと思っています。)

      まず戦いは「敵を知り己を知る」べきです。なぜ公明党は着実に発展するのか、共産党は逆に落ち込んで行くのか、そこには必ず原因があります。この原因究明から目をそらし、何時の選挙でも何か理屈を見つけ合理化してきた「つけ」がもう取り返しがつかないところまできていることに目を覚ましませんか。

     一般的に企業においてはライバル会社と常に戦いを行っています。そして切磋琢磨しながら成長して行くものです。私は大学で社会主義社会の優位性について学びました。資本主義社会では、計画性も無く商品を作るから無駄が発生するが社会主義社会は計画的に物を作るから無駄が発生せず、効率的な運営ができると教わりました。(京都大学の先生が講師でしたから、この話は正しいと信じていました)しかし、ソ連を始めとする社会主義社会の崩壊が現実のものとなった時、その生産活動がいかに惨めなものであったかを知りました。東ドイツの車の車体がダンボールで作られていた事実を知って驚きました。日本ではその当時ワープロ全盛時代でした。各社から新製品が山ほど出て、6ヶ月もたてば価格が半値になる正に無駄を大量に出しています。しかしここに経済の発展の原動力があることを知りました。

      なぜ、この様なことをいうかといいますと、無駄の効用及び競争社会の持つエネルギーを正しく評価する事が重要です。共産党の党建設は社会主義社会と同じで、党中央がこの方向が正しいといえば、上から下まで同じ論理で動いています。この方法を実践すれば必ず勝てる。みんな一生懸命働いています。しかし、成果は上がりません。それでも党中央を信じてみんな頑張っています。私は日本の本当に良心的な部分が共産党に結集していると思っています。しかし、党中央は、皆が不眠不休の戦いをしているのにそこからの経験を学ばず、中央の言うとおり働けと命令を出し続けています。(既に党内の人間で無いので想像です)しかし、現場は中央の言うとおりしても成果が現れず、高齢化も相まってだんだん疲弊しています。もう限界です。

      踊る大走査線で織田裕二は常に「事件は現場で起こっているのです。」と叫びます。この発想を共産党が受け入れない限り、共産党の発展は無いと思います。・・・これが組織原則上の基本的な問題です。
  1. 党建設の主要な柱を赤旗拡大に設定したこと(これが実践的な誤り)

      以下私の体験とその後の見聞きした共産党の現実(現場で何が起っているのか)を書きます。(会社組織や公明党との比較も含めて)

      まず共産党の最大の誤りは党建設を赤旗拡大中心にしてしまったことです。この赤旗の拡大を行わなければ経営が上手くいかない。(財政的に)だから赤旗拡大に全党員が全力を挙げる。この繰り返しが共産党を疲弊させ、力を落としていることに気がつきませんか。大胆な提案をさせていただくなら、政党助成金を受け取り、赤旗は読みたい人だけに配る、この方針転換をしない限り共産党の再生は無いと私は思っています。(売れない商品を売らなければ成らないこの作業は疲れるだけで何の意味もありません。・・・こういう資本主義的な発想を取り入れない限り党の再生は無いと思っています。)

     この赤旗拡大こそが、党組織を破壊している最大の元凶です。一般的に組織にはいろんな部署があります。政党でも同じようにその組織を維持するためにはそれぞれの特徴(優れた能力を生かし)配置して行くのが原則です。共産党は赤旗拡大で成果を上げたものが英雄です。政策の作成や、議会での論戦で行政を上回る力量や、他党と競え合える力量等は評価点に入っていません。(私の偏見かもしれませんが)この共産党の発想が組織を全くダメにしてしまったのです。

      今日の朝、公明党の府会議員選挙のビラが手元にあったことに気付きました。このビラを見て驚きました。公明党も災害復旧を争点にしています。しかも具体的に「政策化」しています。このビラと共産党のビラを見れば「月とすっぽん」ほどの差があります。(共産党のビラはこの間何回も指摘していますが、揺れ動いています。しかもスローガンのレベルです。知的水準に大きな違いが浮き彫りになっています。
  1. 赤旗拡大がなぜ支部組織をダメにするのか(それぞれの党員の多様な能力を評価せず、「営業能力」が共産党員としての最大に資質になっている。これは、不純分子を増殖します。)

      赤旗拡大で一番奮闘していた人が党から離れた後に私に話した事は、共産党には未来が無い。「赤旗の拡大で世の中が変わるというのはウソだ」と言いました。そして自らの「からくり」について語りました。彼は「拡大月間になると一ヶ月あるいは3ヶ月だけ新聞を取ってもらい、その後は切ってもらう。また拡大月間になれば同じ人に取ってもらうその繰り返しをしていただけだ」と私に話しました。「実質何も増えていない。これが実態だ」と。そして「君の主張が正しかった」とも言いました。

     (もっと極端なことを言いますと、赤旗を拡大すれば幹部になえるというこの手法はスパイの導入を容易にします。警察に買ってもらえばいいわけですから。・・民青の大阪の委員長であった北島がこの手口です。)これが地方組織の拡大の実態です。

      また、選挙戦では、票読みを如何に沢山やるかが共産党員の資格になっています。上級期機関はは沢山の票を要求します。そこで地区指導者は、「電話で相手が「はい、はい、わかりました」といえば一票だと報告せよ」と言いました。こんなことをしてノルマをこなす。これが共産党をダメにしている原因です。こんな運営を長く続ければ組織は疲弊します。それが今日の実態だと思っています。
  1. 公明党と比較すれば、共産党の票読みはいい加減です。(100票読んだという「ウソつき」が組織の中枢へ)

      そのことを実証するのは、選挙戦の当選者の順位を公明党と共産党を比較した場合に証明できます。公明党は市会議員の当選者を例えば3位から7位まで占めるような結果を各地で出します。共産党はバラバラです。票読みの正確さは公明党の方が明らかに優れています。

      共産党は沢山票を読んだものが英雄ですからウソを報告する人物を輩出します。誰かから聞いた話ですが、300票読んだという人の票は、「保険屋のおばさんに頼んで読んだ票」だと教えてもらったことがあります。
     公明党は恐らく一人で100票も取ることを求めていないと思います。フレンドをしっかり固定し、安定的に票をよんでいると思われます。私の父が生きていた時、選挙になると他府県から中学時代の友達が必ず菓子折りを持って現れました。彼らは確実に固めています。一人100などという現実離れした票読みが、結局中身をいい加減にして、良心の呵責のない悪質な部分が組織の中でのさぼる体質を作ってしまっています。

     今回の高槻の選挙でも公明党のように正確に読めていれば、M議員の票を100票K議員に回せば1名減で済んでいたのです。読んだ票と実際に出た票の相関関係をもう少し正確に見ていかないと「ウソつき」がはびこる社会になります。
  1. 党の組織作りとは何か、拡大だけではなく、大衆運動を行う力や議員活動を行う力など全ての能力アップを同時に行う必要があります。(夏の盆踊りも大切)

      党の組織つくりで「赤旗拡大を」最大の課題とする事が党組織の疲弊を招き、営業部門だけの党建設が大衆との繋がりが無くなり、知的水準の低下を招き、結局は党の勢力拡大方針が逆に衰退を招いています。

    「赤旗拡大至上主義」は「党の大衆とのつながり」を確実に弱くしています。これを言えば党の逆鱗に触れると思いますが、私は新日和見主義批判がこれを加速させた最大の原因だと思っています。(この総括を行わない限り党と大衆のつながりは回復しません)

      単純な事例を出しますが、夏の地域での盆踊りなどにも共産党の市会議員は顔をだしません。(他党派の市会議員、国会議員まで顔を出します。)

      共産党は極端に大衆との接触を避けています。正々堂々と政策が語れない、その自信が無いのだと思われます。もし、今回の選挙でも小集会を行い、「原発の安全点検」の説明をした場合、私のような聴衆がおり、なぜ「脱原発」か「原発反対」といわないのだと詰め寄られたさい、回答できる候補者がいますか。候補者が語れない方針(政策)では選挙は戦えないし、大衆が怖くなります。共産党は大衆とのつながりを極端に嫌っています。(その現状を党中央は把握されていますか。赤旗拡大に疲れ、理論武装するヒマも無い、あるいは党幹部が党の政策を説明する力量も無い中、力が沸いてこない。・・・これが現状です。)
    <余談ですが参考に> 敗北の原因は大衆とのつながりの軽視

      もう一点誹謗中傷の水準の話ですが、私は旧知の仲と思いM氏に今回「意見書」を出しましたが一切返事をよこしません。私は受け取ったという返事を出すことを求めています。今日現在返事をいただいたのは中央委員会だけです。一番近い高槻市委員会やM氏の返事が無い、これが共産党の現状だということを中央委員会は把握していただきたいと思います。

     共産党の議員は「自分の団地の夏祭」ですら把握していない。その祭りに接してもまだ祭りだと気付かない。本当にピンボケです。他党派は元々役所に問合せを行い、全ての夏祭りを把握しています。必ず参加されます。例えば松浪健太も来ます辻元清美も来ます公明党の市会議員も来ます。共産党だけは現れません。(この様な実態をご存知ですか)敗北の原因はこうした一つ一つの積み重ねの中にあるのです。
  1. 党建設は人材養成が大切。(他党派との戦い、人間性において勝る人材が必要。)

      話は戻して再度党建設の基本的問題について語ります。党建設は必要な人材を育てていかなければ成りません。現在の共産党の市会議員を見ても他党派から見れば明らかに見劣りします。前回の選挙でKという議員が生まれました。かれは今までの議会の常識を破り、情報公開制度を利用して、市のありとあらゆる文書の開示を勝ち取り、市の不正を相当沢山見つけました。今までどの党派の議員も役所からもらう資料で役所と戦っていました。役所は不利益な資料は出さないわけですから議員は役所の資料を基にしている限り役所には勝てない。(こんな簡単な「自明の理」を誰も気がついていなかった。)

      特筆すべきは、農協の建て替え2億5千万円を市から援助することでした。これは前回の選挙ポスターで農協に責任者が市長とのツーショットの写真(このポスターが市内全域に張り出された)のお礼金だったのです。この支出に合理性が無いことは、K議員が取り上げると、市はすぐにその支出を取りやめました。彼を見てつくづく感じたのですが、一人の議員で市役所を揺り動かすことができるのだと、共産党にはそれが望めません。

      一つの党組織にどのような人材が必要か、そのような発想が共産党にはありません。市会議員の水準の低さが、高槻の党建設を押し留めているという発想はありません。(そんなことをまじめに考えた方はおられないと思います。これは市民に対する背信です。)また選挙戦になれば優れた政策が票を勝ち取るという意識もありません。選挙の票は日常的な大衆のつながりの中から生まれるという思想もありません。「全ての鍵は赤旗が握っている」この馬鹿げた思想(信仰の域)が地区役員を支配し、全党の持てる力が全てそこで消費されています。いちど公明党のビラと共産党のビラを見比べてみてください。その力量差は明白です。

      あえて、中央にも申し上げますが、今回の選挙を全国一律に「震災復興」を最大の争点としたのは、地方選挙の意味を全く理解しない選挙戦術です。こうした物事を見極める力量が実際の戦いで役に立つことを是非検証していただきたいと思います。(もし「震災復興」が争点という設定が当たっているなら、他の政党はそのことを争点にしていないのだから共産党の一人勝ちになっていたはずです。しかし、実際には票を減らしたという事実は、この争点が国民の要求とずれていたことを証明しています。この総括を是非してください。(争点は正しかったが国民は理解しなかったは最悪の総括です。)
  1. 民主集中制は、ヒラメ党員を生み出し、党の活性化に逆行する。

    また、話しがずれましたが、党建設を行う場合、党員はやはり党中央が何を求めているかを把握し、党中央の求めている事で応えようとします。私はある党員からこんな話を聞いたこともあります。「赤旗は拡大するもので読むものでは無い」と、この人も出世主義的な側面が強く、幹部になりたがっていました。それを実現するためには赤旗の拡大をしなければ成らない。しかし赤旗は面白くないと。

      またこの当時私は高槻市委員会に「意見書」を出しましたが、一片の回答ももらっていません。(今回も回答を期待していなかったのに中央委員会から回答を頂いたことは私にとっては驚きです。感謝しています。)



U 選挙に勝つためは何が必要か

  1. 科学的な党を標榜しながら、共産党の選挙方針は常に非科学的である。
      選挙で勝つためには「赤旗の拡大が必要です」、「赤旗の拡大が成功したところは票を伸ばしています」などの記事をよく見ますが、これほど非科学的な論法はありません。共産党は政治のプロであり何十年も選挙をやってきて、常に同じ「ウソ」をついていて恥ずかしくないのですか。選挙と赤旗の部数には一定の関係があっても、そのことは主要な問題ではありません。(共産党が公明党に勝てない最大の理由は、公明党より共産党が非科学的方針・・彼らはプロであるべき共産党より選挙戦を戦うノウハウウを蓄えてきています。ビラ一つとっても、力量が全く違うものに仕上がっています。)

     更にインターネットが相当普及し今の若者はほとんど新聞を取っていません。情報はインターネットを通じて取得しています。共産党は赤旗一辺倒ですから、ホームページの開設や議員個人の活動報告を情報発信する上で遅れを取っています。どうして地方議員は必ずホームページを作成し、情報発信をするぐらいの方針を出さないのですか。

     高槻市委員会はホームページを持っています。しかしメールをしようとしてもメールアドレスもありません。党の近代化で他党派に遅れをとっており、これだけでも敗因の原因に挙げることができます。それと大衆との結び付けを強化するためには、インターネットのメールアドレスの公開は不可欠です。私の想像ですが、結局大衆が怖いのです。共産党内で議論ができても他の大衆との議論をする力が無いのです。(共産党内の議論は簡単です。最初から結論が決まっています。党中央の方針が正しいという声を上げておけば全て解決します。これではリベート力が全くつきません。)

    共産党の選挙の票と赤旗の関係論の誤りは子どもでも判ります。他党派がそのような位置づけを行っておらず、共産党より票を集めているところを見れば、個々の国民が何を判断基準にして投票しようとしているのか、この分析を科学的に行い、それに対応した選挙戦術をたてることが求められています。

      そのことを最大証明するのが「大阪維新の会」です。彼らは別に機関紙を持っていません。にも関わらず、大阪府会議員選挙で40%の得票率を上げているのです。この40%得票の内訳は何か、電通等が分析していると思います。これら民間の調査も活用することが重要です。

  1. 果たして国民は何を基準に投票したのか

      この分析が極めて重要です。「震災復興」を掲げている党に投票した人が一体幾らいるかです。私はほとんど「0」に近いと思っています。共産党へ投票した人が府会議員選挙で11.60%あるのだから10%はあるという論点も成り立ちますが、これらの人は、共産党が何を訴えても入れてくれる人です。いつもは共産党に入れていないが今回は共産党に入れた、その理由は「震災復興」に積極的だからという人の数を私は求めています。

      この証明ができていない中で「震災復興」を掲げた今回の選挙方針は正しかったと総括した場合、共産党の復活はありえないと私は思っています。

     共産党は東日本大震災という国難の下で「震災復興」というスローガンは正しかったと強弁されると思いますが、今問題にしているのは、地方選挙の争点としてそれは正しかったかです。総括の基本はこのスローガンが国民の心を捉え、多くの方が共産党を支持してくれたかです。この実証抜きに正しかったと総括すれば、科学の党がなきます。

     大阪では維新の会との対決が府民の意識です。府民は40%の人が「維新」こそが、我々府民の生活を守ってくれると判断したのです。府民は共産党の思っているような人ではありません。「震災復興」よりも自分の生活を誰が守ってくれるかで判断したのです。この府民の考えを共産党は把握できず、歴史的な敗北をしたのです。(前回20.6%、今回11.60%)これは共産党が大衆から全く遊離していることを示したのです。)

  1. なぜ「維新」が勝ったのか

      なぜ維新が勝ったのかは、名古屋のなぜ減税日本が勝ったのかと同じ視点で捉えることができます。彼らの主要な主張が議会改革であり、公務員の賃金の切り下げです。これは200万円以下の労働が大量に発生している中公務員や議員が一定の生活水準で守られていることへの怒りです。基本的には、他人の給料を引き下げる運動は積極的でなく誤りですが、しかし公務員がこれらの人々の利益を守るためにどれだけ戦ったかが問われているのです。議員報酬も確かに異常に多いです。国民の感情からすれば怒りになります。たしかマルクスはパリコンミューンで公務員の順番制を唱えていたように思います。河村市長のいう職業としての政治家(世襲制)みたいなものは打破して行く必要があります。他国ではボランティアみたいな議員が結構頑張っています。

     河村氏、橋下氏には大衆の気分を読む政治的センスがあるのです。問題は共産党がこれらの提案の先頭に立つべきなのに遅れを取っています。(私は共産党は党の運営資金を議員の収入に頼っており、議員報酬を減らされることは党運営に支障を来たすため消極的だと見ています。そういう意味でも政党助成金をもらい、議員の歳費等は大幅削減すればよいと思います。)

     私は、大阪でも名古屋でもこの地域政党の台頭によって1番被害を受けた政党は共産党だと思っています。市民は共産党は市民の味方だと思っていたのに、議員歳費の切り下げなどで積極的ではない、彼らも議員という特権を守ろうとしているとみなされ、埋没したと見ています。

     これら維新の掲げる既得権益の打破に対する方針を確立しない限り、「維新の会」や「減税日本」には勝てません。共産党は吹っ飛ばされてしまいます。(今回高槻でMさんが当選しましたが、4年後は維新の会が2名立てるか、定数を1減らされるかの問題があり、共産党は議席を失う可能性が高いです。)

      赤旗の拡大でこれが乗り切れるのではなく、維新の会と議論をする力、維新の会を上回る議論を展開し、府民を組織できる力量が求められています。まさに「事件は現場で起っているのです」にも関わらず、大阪府委員会は維新と対決せず中央の方針に忠実に従い「震災復興」を全面に押したて敗北したのです。

  1. 選挙戦で他党派と競い勝ちをするためにはいろいろポイントがあります。

      共産党は「赤旗を増やせば選挙に勝てる」という信仰の下に他の選挙戦で必要なことには、全く無関心です。 
     投票は党で選ぶか人で選ぶのか(この判断が極めて重要です)

      国民は選挙で何を基準に投票するのか、この分析が決定的に重要です。「赤旗を増やせば選挙で勝てる」という主張は、国民は「政党選択」で投票行動をしていると判断しています。(ここに共産党の選挙方針の基本的誤りがあります。)

     平均的には、党で選ぶ人と人物で選ぶ人は半々だと思います。共産党はこの人物で選ぶ人をまず排除しています。(半数の有権者をまず切り捨てているのです。この半数のパイの中で選挙を戦っています。不利は明らかです。)

     全く古い話をして恐縮ですが私は子どものころ京都に住んでいました。京都1区は伝統的に共産党が強く谷口善太郎さんが議席を得ていました。ところが2区は何時も次点でした。しかしその候補者(田端シゲシさん)は、どう見ても戦前の活動家で、現代の社会になじまない風貌をしていました。そして1962年の第32回衆議院選挙の際、候補者が寺前巌氏に代わりました。この選挙では寺前氏は田端シゲシ氏が今まで獲得してきた票のおよそ2倍を取りトップ当選しました。(この4年間で党勢は2倍になっていたのですか)この勝利は寺前氏の個人的魅力に負うところが大きかったと思われます。

     また共産党が大躍進した第33回の衆議院選挙では、青森や宮城でも当選者が当選しました。このときの青森や宮城の党建設の到達点はどうだったのですか。これはこの2人の人物が大きく影響していると思います。(現在の共産党にはこの様な人物がなくなっています。)

     今回の高槻市の選挙戦、O議員の不幸があり、新たな候補者を立てていますが、この候補者が、本当に市民が期待する候補だったのですか。(共産党の都合で出された候補だと市民は見破っているのです。・・・私はD候補には一面識も無く、失礼な議論をしていますが、「選挙とは」を議論するうえでどうしてもこの話が必要なので。)

      選挙の候補者は党の都合で決めるのでなく、大衆が期待する候補者でなければなりません。現に革新無所属の候補は、政党の基盤がなく、自分の個性で票を取っているのです。この候補者選びの方法を根本的に変えない限り、共産党の躍進はありません。(ただ残念ながら、共産党は大衆との繋がりが深い候補者を党内に持っていないと私は思っています。・・・すでにほぼ全ての大衆運動の基盤を失ってしまったのが、党の現状だと思っています。)

  • ポスター(これも人物を売り出す視点がまるで無い。)

      府会議員のM氏のポスターの写真も全くダメでしたが、市会議員のポスターは5名とも同じデザイン、同じ文言という初歩的誤りをしています。(これは党組織だけの選挙戦だと理解し、候補者それぞれが票を勝ち取る視点が無いからです。)

      また「復興支援・原発総点検」という無内容なスローガンを上げています。
    (地元の要求を優先しなかった。)これも全て党組織お抱え選挙の弊害です。


   選挙公報も、府会議員も市会議員も無内容な広報になっている。

    (選挙広報を見て投票したという人が本当にいるだろうか疑問に思っています。)これも上記視点と同じ弱点
    です。選挙戦を通じて、市長選挙との関連を説明しなかった。(これが最大の敗因)

  1. 革新か保守かの分岐点、

      憲法を守る、平和な社会、今回は「脱原発」、このスローガンがどうしてもほしかった。(これがあれば輝いていた)

      世田谷区で保坂氏が勝利したように、共産党自身が対立軸を設定し、積極的に戦えば事態は違った展開になっていたと思われる。非常に残念だ。

      最後に、共産党はそんなことは考えたことが無いだろうが、選挙戦を臨むに当たってプロのスタイリストを入れてみてもらうなど、候補者の見栄えの改善も必要です。(主要な問題ではないが数票の競い合いの時は効果を発揮する。) 

頂いたメールでは、選挙戦の総括は党中央委員会で行うとのことでしたが、是非議論して頂きたい課題があります。

  1. 選挙戦の最大の争点は果たして本当に「震災復興」であったか。
      この議論の視点は、「震災で多くの人が苦しんでいる」などの視点からの総括でなく、この設定で「票」が如何に入ったかの総括でなければならないと思います。

  2. 原子力政策の揺れがこの選挙戦に与えた影響について
      共産党の原子力政策は、赤旗を見れば揺れ動いていることは明白です。
      共産党は「原子力の安全点検」と、「脱原発」、「反原発」を同義語で語られていますが、この言葉の意味は決定的に違います。「原子力の安全点検」は「いかなる国の核実験にも反対する」という社会党系の理論に異を唱え、攻撃的な「核兵器」と防衛のための「核兵器」があるとした議論を引きずっています。「安全点検」さえすれば、核の平和利用は国民の生活を潤すという判断は、少なくともこの状況下では、政治的感性の欠如と思われます。いかにゆれているかは何回も赤旗を引用していますくどいですが今日の新聞を引用します。

    ◆5月1日赤旗10面
       @「吉井英勝著「原発抜き・地域再生の温暖化対策へ」見出し(本の題名)
        危うい原発依存からの脱却の道をしめす
       A矢ケ崎勝間著「内部被爆の恐ろしさ!」
               たった100万分の1グラムで急性症状が・・・
         隠された被爆(大きな見出し)
      これは新日本出版の広告ですが、明らかに反原発、脱原発を表している。

    ◆5月1日12面
       メーデーのスローガン
      ◇◇原発・エネルギー政策の転換を◇◇
         これは明らかに脱原発

    ◆2面主張
       「原発依存から自然エネルギーへの転換を」などの要求を高くかかげ、第82回メーデーをと書いています。
     ※今まで赤旗の主張は「安全優先の原子力政策への転換」でした。これは主張を変えたのですか、それとも第82回メーデでの基本要求を客観的に伝えているのか判りません。

     ※共産党では「原発依存から自然エネルギーへの転換」と「安全優先の原子力政策の転換」は同義語ですか、私は絶対に違うと思っています。

      よく読んでください、最初のスローガンは原子力から自然エネルギーへと転換するのですよ。後は原子力政策の転換ですよ。原子力を否定するニュアンスが全くありません。この「安全優先の原子力政策の転換」と700億円かけて「安全点検」を行うと宣言した関西電力とどう違うのか是非説明してください。

      選挙戦の総括に当たっては、原発に反対した候補者、脱原発を訴えた候補者、安全点検を全面に出した候補者の得票がどうだったか是非検証してください。

  1. 選挙戦における候補者の役割

      勝った候補者と負けた候補者を選び、その人物が大衆運動とどう関わりがあったかを調べてください。簡単には夏の盆踊りに参加していたか否かでも結構です。党中央が気がついていない間に、共産党の市会議員は大衆から遠いところにいます。

  2. 現職の候補者で落ちた者の議会活動の内容点検をして下さい。

     全く知的水準の低い質問をしているか、国民大衆の立場にたった発言をしているか他党派を上回る議論あるいは「回数」をしているか、是非調査してください。

  3. 選挙活動は適切であったか

      候補者選定の基準は、ポスターは同じものを張り出したか、個性をだしたか候補者自身の魅力で票がとれているか

     などの点検を是非してください。総括は理念論でなく、具体的検証をお願いします。